• ★中国外貨準備のアキレス腱とは?2016年1月15日

    by  • January 23, 2016 • 日文文章 • 0 Comments

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    https://twishort.com/QELjc
    2016年が始まり中国政府の株式市場と為替市場の管理は多くの批判を招いています。株式市場に対しては中国証券監視委員会はすでに「サーキットブレーカー方式」を停止すると発表しましたが、為替市場の方に対しては緩める気配がないばかりかどんどん強めていってます。その理由は株式市場は外国の中国の経済に対する信用度に影響するのですが、人民元の為替レートの方は中国経済の生死、つまり中央銀行が破産するかどうかにかかわる一大事で、支えているのは為替レートというより外貨準備高の3兆ドルのボーダーラインだからです。

    ★中国の為替市場の急所がなかなかわからない国際投資界

    中国の現在の外貨準備高のデータは誰でも知っています。2014年6月のピーク時に3.99兆米ドルだったのが2015年12月の3.33兆ドルになって、2015年で5000億ドル以上減ってしまいました。

    国際投資界の中国の為替レートに対する批判は二点です。第一には中国政府が人民元の為替レートにたいしてIMFのSDRバスケット(特別引き出し権構成通貨)に元が加入する時の約束に違反することにIMFは我慢ならないのです。二つ目は中国政府のオフショアマーケットに対する干渉が度が過ぎるというものです。

    外国為替管理局は最近、オフショアマーケットの為替レートの差異を利用し顧客のために差額を稼ぎ、国内の利率との差をますます広げている銀行への監査を極めて厳しくしています。金融市場の為替レートは正月明け最初の週に1ドル=6.59元だったのに対して、オフショアは1ドル=6.68元でした。(*背景説明;人民元市場にはオンショア人民元市場=中国国内=と香港のオフショア人民元市場が分かれて存在。オフショア市場では人民元の先安観から、昨年末にかけて大幅な米ドル高・人民元安が進行し、オンショア市場の為替レートとの乖離が顕著に。これに対し人民銀はオフショア市場である香港市場で、大規模な米ドル売り・人民元買い介入を行ったとみられ介入の影響で香港市場の人民元建て短期金利が急騰し、為替レートの乖離はほぼ解消した、といわれている)。

    外国の批判者たちは自分たちの利益という観点から中国の為替マーケットをみており、通貨の自由フロートと自由交換できる中国市場を新たなうまく稼げる場だとおもっていたのです。しかし事実から見るとIMFはもともと人民元をSDRバスケットに入れる際の中国政府の「約束」なるものはどんなものか承知の上でもありました。

    まず、その「約束」なるものの中身をみてみましょう。2015年11月、IMFが人民元のSDRバスケット入りを批准した際、中国政府は「将来、人民元のクリーン・フローティングを実施する」、つまり政府が干渉しないで通貨のレートを自由にするといいました。しかし、この約束には「将来」がいつのことかというのは具体的に言明していません。そのうえ中央銀行の周小川総裁はSDRバスケット入りの決定前日に、人民日報紙上で「外部の”金融攻撃”に対して政府は為替レートの保持に干渉し、政府の管理下に為替レートを置く」と公開言明しています。これはIMFの北京駐在代表ははっきりと知っていることなのです。

    もし人民元の切り下げ圧力があまりにも大きすぎず、中国金融システムが巨額の赤字をかかえておらず債務過剰などの金融システム上の危険がなかったならば、元の為替レートを自由にしておいても危険はさほどないと北京も判断したことでしょう。しかし2015年6月以来、こうした危険要素はますます目立つようになり、IMFへの約束履行と中国金融の安全のどちらを選ぶか、ということになり当然、中国政府は後者を選んだのです。

    2015年以前、人民元はずっと国内では切り下げ、国外では切り上げという二重の重圧間にありました。国内の切り下げ圧力の原因ははっきりしています。2009年以来中国は地上最大の紙幣印刷機になって、あれほど多くの紙幣を市場にだせばインフレ圧力がおきるのは当然ですし、人民元の切り下げは人民元本来の力に近づこうとする過程にほかなりません。ただこれは時間のかかるゆっくりした過程です。原因の二番目は2012年以後、中国政府の”反腐敗運動”が強化され、国内での政治的な危険が増加して一人の政府高官が落馬するたびに何人もの大金持ちビジネスマンが共倒れになりましたから、すくなからぬ金持ちたちは資金を海外に逃避させ、それによって外貨準備高が急激に減少したのです。

    ★中国の3兆の外貨準備高は結局まだどれぐらい残っているのか?

    2015年8月から、中国政府は米国国債を売って米ドルと交換せざるをえませんでした。12月分だけで中国は記録的な速度で米国国債を消耗して、1080億米ドルの外貨準備高を清算し、国内の外国為替市場の需要に対応する努力をしました。この点を国債投資界はみてとって、中国の数億の外貨準備高は名目上の資産にすぎず、遠からず中国政府が使ってしまうのでは、とおもったのです。1月8日、ブルムバーグニュースはトップニュースで「中国は自分たちの3兆ドル外貨準備高が以前のように強いものではないと気がついた」(China Finds $3 Trillion Just Doesn’t Pack the Punch It Used To)という記事をのせました。

    このブルムバーグの記事の主語を「国際投資界」と変えればいいだけです。中国の外国為替管理部門は当然、外貨準備がどこに使われるかを承知しております。それは以下の通りです。

    ① 米国国債。中国中央銀行の元にある数兆米ドルはとっくに米国国債など安全かつ流動性の高い証券になっています。米国財務省のデータでは米国は中国の所持する米国国債は2015年10月で約1.25兆米ドルだと推定しています。しかし、それにはこの数字は第三国の口座を通じて中国が購入した米国国債は含まれていないので真実の実態ではない、という説明がついています。

    ② 海外投資。2015年、中国の対外直接投資は正式に総額は発表されていませんが、ロイター社が2015年中期推定ではじめて1兆米ドルを超えたとしています。このうち大部分は政府投資と国営企業の海外投資です。例えば「二つのシルクロード計画」の基金は中央政府が懸命に推進している対外投資プロジェクトですから、外貨準備から国家開発銀行、輸出入銀行に総額で930億米ドルがつぎこまれ、これは6000億元にあたります。こうした投資プロジェクトの評価は「政治的」なものと「経済的」なものがありますが、両者は往々にして矛盾します。「二つのシルクロード計画」で得られるのは政治的利益であって、経済的利益は計算されていません。

    ③ 対外援助。中国の対外援助は大変太っ腹で、通常、発展途上国の債務償還時期がきても、また新たな援助が発表されるのですが、こうしたお金も当然、外貨準備から支払われます。

    ★外貨準備」は中央銀行の負債であって、資産が債務を支えきれなければ破産。

    最後に、中国政府と中国人が常に犯している常識上の間違いについて。この間違いとは「外貨準備は中国政府(又は人民)の財産だ」というものです。正確な答えは「外貨準備は中央銀行の擁する資産ではあるが、その資産は一銭ごとにすべて対応する債務がある」ということです。なぜならば外貨準備というものは、まず外国と関係する企業が外国貿易で稼いだ米ドルを国内に持ち帰った時に、中国中央銀行の外為政策の決まりにしたがって必ず中央銀行で人民元への為替決済をしなければならず、米ドルを元と中央銀行で交換するのです。中央銀行はそこで受け取った米ドルに見合う人民元を企業などに支払い、ドルを手元に残します。この残されたドル(ユーロでも日本円でも同じ)が中央銀行の外貨準備となるのです。この過程では中央銀行がドル資産をふやせば、同時に新たに人民元を発行するのでその分が負債として増えるのです。

    簡単に言えば、中国の外貨準備とは中国中央銀行が外国為替管理制度を利用して、外国貿易の輸出企業、在中国の外国企業、ドル資産を持っている個人の手中にあるドルを”借用”しているわけで、その一銭といえども対応する債務となっているのです。もし中国政府がこうして貯めたドルを米国国債、海外投資、対外援助に使うということは自分たちが借りたお金を自分のお金として先に使ってしまうとおなじことなのです。そして米国国債を売って国内為替市場が必要とする米ドルの支払にあてているということは、中央銀行の手持ちの米ドルの現金が不足しているということなのです。政府がもし国内における外国為替の制限を外して、手を出さず人々が自由に外貨と元を交換できるようになるように任せるならば、中央銀行は破産してしまうかもしれません。

    ★中国政府は外国為替市場の戦に勝てない。

    すくなからぬ専門家が「為替レートの下落は輸出に有利」という分析をしていますが、しかし輸出の利益の効果は時間がかかるプロセスです。それより資本が外国に逃げ出してしまう圧力は焦眉の急です。当局にとってみれば3兆ドルを先に使ってしまっているというこの致命的な「アキレスの踵」の弱点があらわれるのをなんとしてもバレバレにするわけにはいかないのです。

    現在、中国政府は外貨強制購入政策を次第に引き締める政策をとっています。1月8日のロイターによると。1月8日のロイターによると、

    ;中国国家外為管理局の一部の分局では近日中に銀行が客にかわって外貨を売る業務の監督を厳しくするように管内の銀行に窓口指導を行い1月の外貨売り渡し総額をコントロールし、さらに企業や機関などに対して「蟻がちょっとづつ物を運んでいくようなやり方」で外国為替管理を強めようとしている。地下銀行への取り締まりも強化。そして北京、上海、深圳などでは2000米ドル以上必要なものは三日前に予約させる、と。一部の銀行に関しては1000米ドル以上は予約制にするとも。

    1月14日、外国為替管理局の役人はこの話を否定し、こうした政策をやるつもりはないとしながらも「個別銀行が自分の手元のドル不足によって、一種の管理をやる可能性は排除しない」と言いました。こんな言い方ですと、全国各地の銀行はすべて「必要な時がきたら自分で自主的に管理を実行」するのではないか、とおもわせられます。

    総括的に言えば国債投資業界からみたら中国外国為替市場はあらたな金儲けのできる場所ですから、規制が多すぎることに対する文句はいっぱいあり、IMFの規定どおりの開放基準を達成せよと要求します。しかし、中国政府の目からみたら外国為替は金融の安全に関わることです。為替レートの値下がりの中国にとっての本当の脅威は資本の流出ですし、これは中国の株式市場や不動産市場の資本価格に影響を与えるだけでなく、政府が力をいれている不動産政策目標の達成を困難にさせます。つまり実体経済への巨大な圧力のテコの働きをしかねない、ということです。

    さらに、一部では外国為替市場は中国金融危機の発火点になりかねず、政権基盤崩壊を招くという予測もあります。この考え方はあまりに幼稚です。中国政府は外部世界より自分たちの弱点の在り処を知っていますし、いまさまざまな手段に訴えても危険を防止しようとしています。ですから、北京中央政権が一夜のうちにみんなアホになってしまうという、そんなことを信じられる人はこの種の予想を信じればよろしい。

    カフカは『万里の長城が築かれたとき』(*未完の小説)を書いて中国が古代に長城を建設した目的と理由を解釈しようとしましたが、結局ほんとうに中国人がどうしてあれをつくったかを理解することはできませんでした。中国人にとっては長城の意味は簡単です。敵を防ぐことです。襲ってくる一切の危険な要素を長城の外側で防いでしまおうということです。長城の意識をもって中国の為替市場管理のルールを理解すれば、中国政府がなぜ外国為替市場をコントロールしたがるのか理解できるでしょう。(終わり)

    拙訳御免。
    原文は;中国外储的阿喀琉斯之踵何在?http://www.voachinese.com/content/rmb-foreign-currency-20160114/3145927.html

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