• なぜ中共はソロスだけがお嫌い?

    by  • February 2, 2016 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2016年1月31日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    https://twishort.com/WhRjc

    最近、ソロスが再び中共官製メディアに筆誅口誅を加えられその憎まれ具合は中共の歯ぎしりが国外にも伝わってくるほどです。中国経済のハードランティングは避けがたいというようなことは別にソロス一人が言っているわけでもないのに、なぜソロスだけが「中国人民の敵」にされているのでしょう。その理由を考えてみましょう。

    ★ソロスのどこが北京の神経に触ったのか?

    ソロスが最近世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でおこなった講話がきっかけで、新華社の中文、英文論評が一斉に出動して、やれ「ソロスの物の見方は『選択的失明状態』である」とか「急いで相場破壊して儲けようとしている投機屋や空売り野郎達はより高い代価支払いと法的な報いを受ける」とか、さらには「アハハ。中国に通貨戦争に通貨戦争を仕掛けようってのか?」といった皮肉な風刺文(1月26人民日報海外版トップ記事)は「ソロスの人民元と香港ドルに対する挑戦は成功しない」と言っています。こうした文章をよむとまるでソロスが「中国空売りの陰謀」を本当に今、やっているようにきこえます。

    でも、こうした記事すべてがソロスの発言を集中的に批判していますが、ソロスが中国の資本マーケットで「中国空売りの陰謀」を激しくやっている、などとは書いてないのです。では、一体ソロスはダボスの世界経済フォーラムで一体どんな話をして中国当局にこれほど恨まれたのか、わけがわかりません。

    実際はソロスが発言したのは三点です。

    第一;世界経済は今再び2008年の危機前夜の轍を踏もうとしている。しかしこの二回は比較のしようがない。なぜならば今回の危機の根源は中国だからだ。

    第二;中国の現下の主要な問題はデフレと高負債率で経済のハードランティングは避けがたい。ただまだ二、三年は発展を持続できるだろう。

    第三;ハードランディングを中国政府が管理できるかについては中国は資源と政策の選択の余地が大きい。それは3兆ドルの外貨準備を持っているなどの理由からだ。

    つづいて、ソロスの観点に一体どんな「間違い」があったのかを考えてみましょう。

    第一の点ですが、いささかも間違っていません。中国政府が不愉快なのはソロスが金融危機に対する能力において中国が米国より劣っているという見方です。でもこれは事実です。2008年の金融危機発生時に米国はバーチャル経済で深刻な問題をかかえましたが実質経済は基本的には健全でした。科学技術は依然として世界をリードしていましたし、教育は一大産業で制度環境も問題はありませんでした。ですから3年を経て中国に進出した米国の製造業は自国の条件の方が中国より良かったと知って大量に回帰しています。これと現在の中国の実体経済が直面する様々なレベルでの困難はまったく違います。中国経済の構造的不良、製造業の何十もの業界の深刻な生産力過剰、企業破産の連鎖、技術革新能力の不足などはみな中国経済界公認の問題ですし、政府だってとっくに認めていました。ですからソロスが比較にならない危機といっているのはまったくもって正しいのです。
    第二点について。中国の高負債率については国際投資業界の共通認識で、中国セフ系のシンクタンクでも同じ見方をしており、違いは負債率のパーセンテージの違いだけです。ブルムバーグの2015年7月の統計データによると2015年6月末までに中国企業と家庭の未償還借金はGDPの207%で、2008年の125%をはるかに超えました。IMFの2015年8月発表の中国経済評価報告では中国の実質債務総額(地方の金融プラットフォームの債務と企業債務も含む)がGDPに占める比重は2020年には250%になるだろうとしています。
    2015年7月、中国社会科学院の発表した「中国国家資産負債表2015」レポートでは2014年末、中国経済全体(金融機構を含む)債務総額は150.03兆元で、そのGDP比重は2008年の170%から235.7%になり、6年間で65.7%に増えたとしています。
    中国経済の衰退が全世界規模のデフレを引き起こすか、インフレを引き起こすかは技術レベルの予測であって、数年前に中国は自分たちの経済学者がデフレを予測しましたが結果はインフレでした。ソロスのいう「デフレ」は「中国空売り」という第テーマとごちゃまぜになって、いささか「いいがかり」のようであります。

    第三点の「ハードランディング」、これは中国政府の宣伝規格から外れています。あとはほとんどすべて中国政府の管理能力に対してのまとも意見表明です。この三年来、国際金融ビジネス界は中国経済の衰退は避けがたいということにだんだん認識が統一されてきており、違いは「ソフトランディング」か「ハードランディング」かという点です。
    中国政府は当然、「ソフトランディング」だといわれたがります。丁度、飛行機が危機に際して着陸せざるを得なくなった時にパイロットの技術が高く、運がよければ「軟着陸」して、まあ火花が散ったり機体が痛んだり、多少のけが人はでてもまずまず乗客らは無事だということになりますが、パイロットが下手くそでさらに不運だったりしたら着陸時に火災を起こして最悪の時には機体もろとも人員も炎上、ということになりかねませんからわかります。
    その身になってみたら誰だって「ハードランディング」なんて縁起でもない予言は聞きたくありません。ましてや中共は毛沢東以来、自分たちと異なった意見は聞きたくないという素晴らしい伝統がありますから、「悪い知らせを伝えてきた使者は殺せ」がお得意なのでして、違いといえば程度の違いしかありません。

    ★ソロスはなぜ「中国空売り」の「身代わりの羊」にされるのか?

    まず「天の時」があります。中国経済は現在、様々な悪い情報だらけで、国際投資業界のこれまで中国経済の「絶対のファン」たちすら最近は転向して、ちゅ獄政府の言い方だと「中国衰亡の歌」を歌うようになりました。例えばCBB International の出したベージュブックは2015年第三季度では「中国経済に対する悲観的な見方は果然に事実と違う」と書いていたのですが、第四季度では「経済不安で状況は全面的に悪化」と自分が第三季に何を書いたかすっかり忘れたかのように”転向”してしまいました。いまや中国の株式市場が活発になる望みはなく、為替市場も危険な状態で、いくら政府があの手この手で防ごうとしても資本の流出は加速しています。2015年の株式市場救済の失敗は「中国空売り」の罪名で数十人の証券界の切れ者たちを捕まえたのですから、ソロスに「中国空売り」の帽子をかぶせてしまうことなどお茶の子さいさいです。

    さらに「地の利」をいえば、ソロスがもし英国か仏国人だったら中国政府もこんなことはしなかったでしょう。英仏両国は中国政府が常々ゆうところの「国外勢力」の代表ではありませんし。しかしたまたまソロスは米国投資界のトップですから、これは完全に北京が選び出す「(*悪意で敵対する)国外勢力」の国別基準にもぴったりなんです。

    最後に「人の和」。中国政府は一貫して、ソロスは「国を空売りする前科だらけの大ワニ野郎」だと宣伝してきました。1992年に英国中央銀行に空売りを浴びせて金融危機に陥れ、1997年にはタイに空売りを浴びせて東南アジア金融危機をおこしました。それに続いて1998年には香港で。この時香港は北京に救助を求め、幸い朱鎔基が懸命にも1200億の外貨準備から香港金融管理局に数百億の(北京では280億といわれる)を貸し出し、香港にうまくソロスの攻撃を撃退させました。鳳凰ネットはちょっとまえに、「人民元の反撃ー1998年の香港はいかにソロスをやっつけたか」という記事でこの光栄な歳月を振り返っています。

    ソロスと中国の確執はまだほかにもあります。20世紀の80年代にソロスは中国の改革開放を助けようと北京に開放ファンド中国事務所を開き、中国は国家安全部副部長の長凌雲を中国側の代表者にしました。天安門事件後、当局は趙紫陽をやっつけるために公安部が趙紫陽はソロスをつうじて米国のスパイだったという話をでっちあげました。これをワシントンポスト紙で知ったソロスは鄧小平に反論の手紙を書いたので、中国政府はそれ以上この話を蒸し返すことはやめたのでした。

    中国政府がソロスを選んだのは当然、彼が投資業界の奇才で二人といない人物だからです。国家であれ個人であれ、弱いものに負けるのは大恥ですが、強いものにやられたのであればその恥辱感は大分軽減されます。中国政府は現在「ハードランディング」が避けがたいことを承知しておりますから、万一、不幸にして炎上して深刻な結果を招いたとしてもソロスという「身代わり羊」がいれば少なくとも世界に対して「自分たちの経済管理能力が不足していたのではなく、ソロスという強敵にやられたのだ」といえば、各国政府も彼にやられていたわけでメンツ丸つぶれにはならない、ということでしょう。ましてや一度はソロスに勝利したこともあるわけですから。

    かくしてこの「天の時、地の利、人の和」の三拍子がそろっているのですから、今回北京がソロスを「身代わり羊」に選んだことは「運命」とでもいうしかないでしょう。というわけで事実はえらく単純な話です。ソロスの「中国空売り」のお話はおそらくすくなくとも中国人の7割は真に受けるとおもいます。ゲッペルスは「嘘でも旋回繰り返せば本当になる」と言っています。ましてや中国には大量の毛沢東左翼や、「愛国者」にことかきませんから、人民日報や新華社などの「中共の喉」が吐き散らすこんな唾といえども無駄ではないのです。(終)

    原文は;何清涟:众言“硬着陆”,为何索罗斯独招中国恨?
    http://www.voachinese.com/content/voa-news-qinglian-he-20160130/3169886.html

    Share Button

    About

    Leave a Reply

    Your email address will not be published. Required fields are marked *