• 難民問題は歯がたたぬ胡桃に

    by  • February 27, 2016 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2016年2月12日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    https://twishort.com/eBVjc

    2月10日、国連はトルコのシリア難民締め出しの為の国境閉鎖を非人道的と非難しましたが、トルコ政府は即座に強烈に反発してシリア情勢に関してシリア情勢について国連と米国、ロシアを鋭く批判しました。国際社会のこうした非難の応酬はいささか「鶏が先か卵が先か」的なところもありますが、しかし数ヶ月前には歓迎一色だったドイツでもいまや怨嗟の声に満ち満ちているや欧州連合各国も次々に積極姿勢から逃げ腰になっているのをみると国連が難民収容先の余地はますますなくなっているという現実に必ずや直面せざるを得ない状態です。

    ★リサ事件の示したドイツ社会の信頼崩壊の兆し

    これまで「政治的正しさ」(*ポリティカリィコレクトネス=少数者の気持ちに配慮する姿勢)との関係で少なからぬドイツ人は難民への本当の気持ちを心中に押し隠してきました。しかし2016年2月のカーニバルを機会についに胸中の鬱積していた不満を吐き出しメルケルの難民政策をからかいだしました。例えばケルン市民はメルケルが数ヶ月前に自信満々に「我々はやれる」と述べていたことがいまや「歯の立たない胡桃」になったと「難民と書かれた硬い胡桃を食べ歯がボロボロになったメルケル首相」の山車が登場(http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00315962.html、動画が面白い。)、デュッセルドルフでもメルケルの船が難民の津波に船もろともに沈没した山車が現れました。

    過去半年間の間にドイツ人は政府とメディアに対して最も重要な政治的信任をなくしてしまいました。これは「サーシャ事件」をめぐる騒ぎでもその一斑を伺うことができます。

    13歳のロシアの少女リサが30時間失踪した後、自分はこの間、南欧風の顔つきの男に拉致され強姦されたと語ったことからロシア系のドイツ国籍をもつ人々のネットサイトで大騒ぎになり全ドイツのロシア系の住民の間で大デモが組織されました。ロシアのメディアもすかさず介入し、ロシア政府まで介入したことからドイツ・ロシア間の政治問題にまで発展。ロシア外相のラブロフはドイツ当局がこの事件を長期に隠したと責め、「文明世界の一切のルール」にのっとってドイツ政府はこの事件をもっと早くロシア当局に知らせるべきだったとし、さらにこ少女の家庭が裁判を起こすなら弁護士費用はロシア外務省がもつ、とまで言いました。しかし、この大反響事件を引き起こした事件は自作自演劇だったのです。この少女はベルリンに住んでいましたが学校で問題がおきたため家に戻らずボーイフレンドの所に宿泊し、帰宅後心配していた親にでたらめを告げたのでした。

    この外交問題にまで波及した事件はロシアがドイツに難癖をつけたという要素は確かにありますが、しかしそれより大事なことは人々がドイツ政府もドイツのメディアも信用しなくなっている、ということです。(*訳注;ドイツ警察は調の結果、事件性はない、と主張していた。)

    ★ドイツ政府は難民問題で国民の「知る権利」を奪っていた

    リサ事件前に、ケルンの大晦日におきた大規模な集団痴漢・暴行事件でドイツ人は政府とメディアが共謀して嘘をついていたという体験をしたのでした。ドイツの10以上の都市で大晦日の夜、多くの女性が難民による痴漢襲撃を受け、中には強姦被害にあったケースもおきたにもかかわらず警察は一貫して「平安だった」と言い張ったのでした。とりわけケルンでは「平安だった」とされた後、警察には1054件の被害届が出され、そのうち454件が女性による性的な被害だったのです。残りは窃盗、強盗、傷害事件で容疑者は59人に及び、13人が拘留中です。

    ドイツ人はこの事件発生後、3日も経ってから、フランクフルトアルゲマイネ紙によって初めてメディア上で性的な暴行を受けた女性の訴えを報道で読まされる羽目になったことをはっきり覚えています。その後もケルン警察は事実を認めざるを得なかったのですが、それでも加害者と難民をむすびつける証拠はないといい続けました。

    しかし、結果が証明してしまいました。警察が容疑者とされた連中を調べた所、おもに北アフリカやアラブからの移民が大半だったのです。一部のメディアは名誉挽回をはかるため、これまで発表されてこなかった事実を報道し始めました。ドイツの有名な記者のDieter Wonka(ライプツィヒ民放ベルリン首都支社長)は1月8日、テレビに出演して警察は政治的にヤケドしそうなものには手を出すまいとして犯人がシリア人である可能性を否定したのだと指摘。こうした結果は上からの指示であり難民事件は犯罪事件から除外されていたために間違った喝采や間違った反応が生まれた、と。
    連邦内務省は先にボンで会議を開き、この席上で刑事部門の管轄長たちに性的な侵犯事件において難民が関係するときは「特別に注意するように、間違った結論をだしてはならない」という指示が出され、現場の人間はどうすべきなのか、理解したのだ、と。

    外国移民の犯罪を大衆に知らせない「国家機密」扱いするというのはドイツ政府の世論宣伝操作で一貫したやり方でした。「ディ・ヴェルト」紙の1月17日報道によると北アフリカ人たちによる犯罪は一貫して国家機密とされて来ました。彼らの窃盗、酒酔い、痴漢行為です。排外主義の激発を恐れて警察は一貫して北アフリカ人の犯罪については口を噤んで来ました。北バイエルン州ではケルン事件がおきて1980年からはじめて外国人犯罪について州議会で取り上げられました。1月28日のハノーバー新聞によるとキール市では警察と検察が去年の10月に、登記していない難民や有効なビザを持たない難民が起こした事件、窃盗や器物損壊については通常の犯罪として処罰しないという取り決めをかわしていたと報道されました。

    まさにドイツ政府が難民犯罪を罰せず、報道させずで、多くのメディアも「政治的正しさ」の配慮によってこの政府規定を尊重遵守したが故に、リサ事件のようにロシア移民はモスクワ放送のほうを信じて、ドイツのメディアの報じた自作自演の狂言劇だというほうは信じなかったのです。真実が覆い隠されるということは必然的に流言飛語の良き温床となるのです。

    メルケルの政治的威信はその難民政策によって急激に下降しています。「焦点」雑誌1月29日によると調査機関のINSAのデータでは現在の難民聞きで4割近い人々がメルケルは首相辞任すべきだと考えており、「ディ・ヴェルト」紙は2月4日、最新世論調査では81%が政府が難民問題をコントロールできていないと見ており、メルケルへの満足度は一週間で38%から13%まで暴落しました。

    この間にもメルケルの政策がはたして連邦憲法に違反するかとうかという話は絶えませんが、難民危機がメルケルを辞任へ追いやるかどうかはまだわかりません。しかし難民に要する費用が巨大な額になりその財源がどこにあるかという点については曖昧なままです。2010年の8月に「ドイツは自滅する」というムスリム移民問題に関する本を書いたおかげでドイツ連邦銀行理事の座を辞任させられた経済学者のディーグ・サラシン(*音訳)は最近、2017年からドイツは難民費用が300乃至500億ユーロかかるがその金をどこから出すかが問題だと疑問を提起しています。

    ★難民の就業と維持の費用;政府と民間で異なるソロバン

    難民経費の今後についてはドイツでは依然として政府は楽観的で民間は悲観的です。ドイツの声2月2日の報道では、ケルン経済研究のある研究者のレポートでは2016年と2017年、ドイツ政府は難民輸送、難民キャンプ建設、食料提供など多くの方面で500億ユーロ(*1ユーロ=127円なら6兆3500億円)かかる賭しています。一人の難民が住み、食料や福祉などで使う費用は12000ユーロ(同約1524000円)、それに語学研修費用など3300ユーロ(同約42万円)で約15000ユーロ(同約190万円)かかります。

    この報告は大変楽観的なもので、今年中に99000人の難民が就職先を見つけられるので、生活には政府が提供する福祉は不要になるとしています。政府は難民に語学習得などの費用をだせばいいだけで、それは来年なら27.6万人になりそうだと。

    ほかの学者はこれほど楽観して居ません。ドイツには現在でも各種の失業人口が292万人おり(2016年1月)ます。ドイツの青年失業率はEUでは比較的低く、2015年8月のデータではEUの平均青年失業率は22.2%で、最悪のスペインが53.2%、ギリシャが52.4%ですがドイツは7%、2016年1月末で25歳以下では6.7%,23.59万人です。自国青年がこのぐらい失業しているのに9割以上が言語に関して「事実上聾同然」の難民が就職するのはさらに困難でしょう。米国のジョージ・フリードマンはドイツ沈没の予測理由のひとつを難民は本来各種の労働市場にはいりこめる資質がなく、社会に溶け込ませるのは並大抵なことではできない、としています。

    ドイツのifo経済研究所のジーウェン(*音訳)所長は移民とドイツ国内の低所得者の間で社会福祉の奪い合いがおきる可能性が極めて高いと警告しています。さらに就職市場をめぐってはシリア難民の質を高く見積もりすぎてはならないと。ドイツの声1月9日の報道はこれが杞憂でないことを示しています。ドイツの35歳以下の就業者の平均収入は2131ユーロ(税引き前;約27万円)。30歳以下の兵器月収は1855ユーロ(同235000円)です。ドイツの大多数の若者にとっては給料がよくて安定した仕事に就くことは夢なのです。多くの高等教育の背景のないアルバイト学生の収入は生活を維持するのには不足なのです。

    EUもシリア周辺諸国も現在、難民問題に対処するのはもう疲れ切ってしまていて、国内は怨嗟の声に満ちています。スイス、デンマークでは批判を覚悟の上で、難民の入国後は持っている財産の一定限度以上を没収する規定を設けています。デンマークは1340ユーロ(約17万円)以上は没収。スエーデン内務省は「8万の難民を送還する」としています。メルケルでさえ「戦争が終わったら難民は母国に戻って欲しい、といわざるを得ませんでした。

    しかしEUの悪夢が終わらないうちに、シリアの戦火はますます燃え上がり、難民はどんどん発生し続けます。ドイツは援助方式でトルコに難民の欧州にくるのを止めようとしていますが、その効果ははっきりしません。冬ですら本物、偽物のまざった難民が(シリア難民はわずか39%)毎日、ドイツに入り込んできています。国境内にすでに100万人のシリア難民を抱えたトルコは毎日、スカンジナビアをめざす難民100人を阻止するので手一杯で、もう難民の入国を阻止するしかなくなって、ついにこの文章の始めのような一幕になってしまったのです。(終)

    拙訳御免。
    原文は;难民问题终成啃不动的硬核桃 http://www.voachinese.com/content/heqinglian-blog-refugees-syria-20160211/3187831.html

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