• 中共内部からも「崖っぷちまでまだ余裕のあるうちに」と経済状態を危惧する声があがりはじめた

    by  • March 1, 2016 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2016年2月28日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    https://twishort.com/0kckc

    最近、「中国崩壊論」がまた流行りだしています。「崖っぷち」「危機」「崩壊」など、過去に外国で取りざたされていた言葉が大っぴらにつぶやかれるようになっています。以前と違っているのは今回「崩壊論」は中共の身内からでている点です。一番重要なのは今回の危機を予言する人々のうちに現職の財務部長(*財務大臣)の楼継偉がいることです。

    ★楼財務部長の警告;「崖っぷちにあと1キロメートル」

    2月26日午前、中国財政部長・楼継偉はG20構造改革高級検討会分会の席上で、「OECD経済政策改革力に全力で取り組む」と題して各国に構造改革が遅れれば遅れるほど改革の余地はますます狭まるから、崖っぷちに至ってから改革するようなことの無いように、という短い演説を行いました。

    中国財政のトップとして楼継偉は当然「中国における正しき政治的姿勢」をわきまえていますから「中国は比較的ラッキーでまだ改革への余地はあるが、問題も色々ある」と言いました。さらに「改革の余地は変化しており、遅れれば遅れるほど崖っぷちにたたされる」として、「一人なら崖をうまく降りることもできるが、一国ともなれば無理だ。だから我々は痛みを受け止め、まだ崖っぷちまで1キロある今のうちに将来を見据えて改革を急ぐべきで、断崖があと1メートルに迫るまでぼやぼやしていてはならない」といいました。彼が強調したのは人々は往往にして短期的な問題にばかり関心を持つ、それは間違いとは言わないが、しかしもっと大事なことは長期と短期の問題に目配りしなければいけない、ということだと。

    玄人筋ならばこの演説のポイントが理解できます。楼財政部長は賢明にも中国の問題をあたかも世界的問題のような顔をしてこの話をしたのですが、彼が本当に言って聞かせたい相手というのは中国国内で自分よりさらに上にいる決定権を持っているトップ指導者たちです。現在、中国国内の”言論空間”はますます縮小されており、各種の経済的なデータはみな慎重にチェックされた後でないと発表できません。なんせこれまでずっと中共に忠実にやってきた任志強(*不動産ビジネス界の大物。華遠グループ総裁。北京市政協委員、「不動産業界は暴利を貪るのが当然」といった”暴言”で知られる)が「人民政府はいつの間に中共の政府になった?使っているのは党費なのか?(*税金だろ)」と「党のいいなりのメディア」を批判して習近平麾下のメディアの逆鱗に触れ今現在でも袋叩きにあっており、中共から除名されかねない状態にあり、中央テレビで”罪を認める”映像が流されました。ですから一国の財務大臣たる楼継偉であってもこうした警告の談話は国際会議の席上でやるしかなかったのです。

    財政部長というのは、政府公務員のサラリー、軍事費、公共安全支出、チベット、新疆、西北などの不断に動揺する少数民族地区への巨額の財政援助支払い、全国各省の教育、医療、養老など主要な公共支出は全部彼の上にかかってくる中央政府の大金庫番です。楼部長の仕事は中央財政という巨大な財布の管理ですから、彼が言及した「崖っぷちまであと1キロに迫った」のは当然財政危機のことです。そして彼はさらに「なにかできる余地は変化している」といいました。各国はまだ幸いにも崖っぷちから1000メートルの距離にいる、ならば中国は毎日、1メートル、2メートル、あるいはもっと崖っぷちに近づいているということなのでしょうか。これは中国の改革の動きが有効か否かをみなければなりません。

    ★国家の大福帳は財政の安全に問題があることを示している

    国家財政部の収入と支出の明細はつまり中国という国家の大福帳です。現在、中国のそれは赤字であり、財政困難はすでにはっきりと目に見えています。以下の三つの情報を一緒にしてみれば危険なニオイが漂ってきましょう。

    1; 2015年の財政赤字は2.3兆元です。2016年2月1日、毎日経済ニュースの「2015年財政赤字は2兆に達し2016年の収支バランスはさらに困難」では、2015年の赤字幅は当初の予想より遥かに悪かったとしており、2015年の全国の一般公共予算の収入は15.22兆元で、5.8%の増加ですが、増加速度は1988年以来の最低新記録。しかし同時期の全国の一般公共予算支出は17.58兆元で同13.17%の増加。差し引き2015年の中国の財政赤字は2兆元を突破して23551億元となり、当初の予想より7351億元増えました。

    2; 2016年1月の財政収入は前年同月比で0.7ポイント下がりました。財政部の最新統計データによると2016年1月分の中央政府支出は8387億人民元で、去年同期より11.6%増加しています。1月の中央財政収入は7256億元で0,7%減ですから1月の赤字は1131億元です。しかし、今年の経済の下降ぶりをみるに、今後数カ月内に財政収入が増える可能性は大きくありませんから、財政赤字は続くでしょう。

    3; 県(*中国では市より下の行政単位)クラスの地方財政はボロボロです。政府の統計では2015年11か月、国有土地使用権譲渡による収入は前年比で29.2%下がっており、各地の土地財政は継続するのも困難です。財政部の調査によると2015年、中国国内では少なくとも21の省の基礎養老保険の成長率がマイナスになっており、多くの地方で養老年金が底をつく現象がおき、養老保険基金は破産の直前です。政府は養老年金の赤字が1兆元に達することを認めているますが、実際の状況はもっと深刻です。これまでは養老保険年金の赤字に対しては通常、地方財政から補填してきましたが、現在ではすくなからぬ県レベルの政府の職員の給料さえ払えていませんし、政府そのものが巨額債務問題をかかえており、養老年金の運営は暗い洞穴のようなもので不断に中央政府財政の余剰金を蚕食し、同時に国家財政赤字をさらに膨張させています。

    では、この「崖っぷちまであと1キロ」の現状で中国の財政改革の最初の大ナタはどこへむかうのでしょうか?実は中国経済に関心を持つ人なら誰でも知っていることですが養老保険(年金)が真っ先に”改革”の大ナタの対象になります。

    ★中国財政改革の最初の大ナタは?

    現在、中国は人口高齢化のピークにさしかかっています。60歳以上の人口は15%に迫っているときに養老保険の赤字と社会の安定は相関関係にあります。何かいい方法があれば中国政府もここには手をつけたくないでしょう。しかし企業破産の波が未だに続いていおり、残っている企業もなんとか生き残るのに必死という有様ではとてもじゃないですが増税などできませんし、したら全部潰れてしまいます。収入を増やす道が閉ざされている以上、支出を減らすというのが唯一の方法なのです。

    養老保険体制の改革は去年から始まりました。まず楼財務部長のいった「崖っぷちから1キロ」というのはこれでしょう。2015年1月に国務院は「機関事業単位の職員の養老保険制度改革の決定」を発表し、3月6日に楼財務部長は記者会見で改革法案を、社会養老保険プラス企業年金・職業年金プラス個人の購入した商業健康・養老保険の三本柱がこれからの養老年金にあたる、といいました。11月初めには中央が「十三五計画(第13次5カ年計画、2016〜20年、2020年までに『小康(中産)社会』の全面的実現を達成を目指す)」を発表し、労働者の医療保険と退職者の経費負担政策を決めました。楼継偉は「求是」(*中共の雑誌)にはっきりと現在政府は労働者の医療保険における退職者の負担政策を研究していると明らかにしています。「第一経済日報」は政府部門のデータに基づいて、2015年末の全国の退職人数の平均養老年金は2250元を基準として、現在の8%の医療保険の総負担率(職場が6%、個人が2%)によれば退職者の負担は毎月一人あたりで180元になるとしています。

    なぜ、「おおナタ」を最初に入れる対象が民生部門なのか?これはあけすけにいえば簡単なことです。政府の役人の給料は減らせません。そして幹部たちの気持ちとしては、軍事と公共安全(*治安)は政権の安全に関わるから減らせない、だったら民生を減らすしかない。年寄りが反対する力なんか大したことはない、せいぜいブツブツ文句を言うぐらいだし、というわけです。

    中央政府が財布の紐を閉めようとしているのは劉源(軍人、劉少奇の息子)を全国人民代表大会の財経委副主任にしたことからも伺えます。中国政府のふたつの金庫で中央銀行は札を発行し、財政部は使い道を管理します。中国の各省、特に経済発展の遅れた地域の省、区ではこれまでずっと本省の金庫番のポケットにむかって「お金ちょーだーい」とおねだりするのがお仕事でした。しかし、今年はこれまでのようにはいきません。財政赤字が2.3兆元ともなっては中央のママだってそういい顔はできませんからやむをえず財布の紐をしめます。劉源は財政経済などやったことがないのにこの職をつとめるように言われたのは、経験を買ったのではなくその太子党の身分を買われたわけです。彼がこの仕事についたということは財布の入った金庫の前の番人のようなもので、今後、財政部は各省のお金ちょーだーい組をこれまでどおり聞くわけにはいかず、「これは人民代表大会財経委員会の決めたことだから、不満なら彼のところにいけ」ということになります。誰かが、人民代表大会の財経委員会なんて暇人の集まりだとか言ってますが、王岐山が着任するまでいまなら泣く子もだまる中央規律委員会だって日向ぼっこしてお茶をのんでるような暇な部署だったのをお忘れなのだとおもいます。

    ★財政の安全は政府の安全の保障

    危機を論じる文章は一つにとどまりません。シンクタンクの安邦(*中国最大の研究機関)の2016経済内部検討資料が公開され、そこで提起された問題は、政治的な圧力はかつてないほど高められ、政策に関する文献は効果がなく、いわゆる金融刷新は空騒ぎに終わり、貧富の差は社会の安定に影響を与えており、3、4級の都市の指導者は「治安安定」に重点を置き、事なかれの運営に徹しており、都市の水、ガス配給は止められず、事故がおこったらさらに大変、だと。老鄧経済サロン(*ブロガー)は「崩壊のニオイがするぞ」という文章で人民元の大放出が人民元の価値下落をまねき、3月には人民元の交換比率が暴落して外国為替市場が崩壊する可能性を予言しています。

    私は2003年に「専制独裁政治下における中国の現状と未来」で、財政の安全は一国の政治の最後の防衛ラインである、と書きました。中国のすべての危機の要素はとっくに地下に埋め込められましたが次第に深刻化しています。しかしそれが政権崩壊に向かうかどうかというのは、例えば統治集団の内部矛盾(極端な場合ならクーデター)、外敵の侵入、社会内部に有力な反抗が同時におきる、などのことにより共振現象がおきないかぎり中共政権は崩壊することはありませんし、中国は20年から30年間はひどく膿みただれても崩壊はしない、という状態が続きましょう。

    ここでは国家の大福帳におけるいくつかの大きな数字を列挙しましたが、これはまだまだ始まりにすぎません。はたして「崖っぷちまであと1キロ」の時点で有効な財政・金融改革ができるかどうかということは中国政府にとって現段階で一大事です。実際のところ、中国政府だって「別に座して死を待っている」わけではありません。続いて、現在すでにそこにある危機に対しての備えとしての対策、という点から分析してみましょう。

    (終わり)

    拙訳御免。
    原文は;何清涟:中国财政危机:距悬崖还有一公里 http://www.voachinese.com/content/voa-news-he-qinglian-china-crisis-20160227/3211055.html

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