• 紅色プロパガンダ VS 黒色プロパガンダ

    by  • April 9, 2016 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2016年4月1日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    https://twishort.com/OEokc

    「ブラックプロパガンダ」(*相手の評判を傷つける目的の謀略情報宣伝戦)というのは昔からあって、おもに政治的な戦いで用いられ、特徴としては「無から有を生じさせ」「巧みに相手に泥をぬり」「虚偽の事実を本当の内部情報のようにみせかけ」、敵方の仲間割れや動揺を誘うものです。これが情報戦争の一部門となって戦争に使われるようになったのはやはり第二次大戦中で連合軍では米国、英国はどちらも名人級で、第二次大戦の歴史では連合軍は上手にこの方法を使ってナチス滅亡を早めています。

    ところで、宣伝戦争に大量の資源を投入し、また理論的にも極めて進んでおり世界一といわれる中共がここ数年、度々この「ブラックプロパガンダ」攻撃に遭遇し、今にいたるまでなかなか勝利を勝ち取ることができないでいます。

    ★中共の遭遇したブラックプロパガンダ

    1990年以来、海外の対中共ブラックプロパガンダの傑作は二つありまして、一つは中共の”聖人”だった周恩来について書かれた「父と呼ぶには重すぎる」という本。1994年に海外で出版され、自分は周恩来の私生児であると作者の艾蓓は主張しました。この本が出版されるやものすごい反響を呼んで海外の中国系市民は争って買い求め版を重ねました。北京政府はとうとう堪忍袋の緒を切らし1994年8月に新華社が「艾蓓の正体を暴く」という記事を掲載して、「嘘っぱち」だと否定し、作者の正体は张艾蓓(原名“张爱培”)であり、1955年12月28日に安徽省五河県園集郷園集村の農民の家庭出身で父親は張兆型、母親は黄菊蘭だと報じました。

    北京は初めてこうした事態に直面したので真正面から対応しようとし、最高レベルの権威ある宣伝機関である新華社と権威ある研究機関を出動させて真相をはっきりさせようとしたのですが、結果は逆にこの本を有名にしてしまい、ますます多くのこの本の存在を知った海外の中国系の人々が争って香港までこの本を買いにくるようになってしまい、数年間ベストセラーになってしまったのでした。中国国内の読者の心理としては「本当か嘘かなんてどうでもいいから、とにかくまず読んでみたい」というものでした。そしてその後、作者の女性は中国政府お気に入りのハーバード大の有名教授と結婚、中国の賓客として招かれたりしたもので、結局、中共は手も足もでなくなって完敗、この夫妻が中国に来た時も「太っ腹に笑って過去のあれこれを忘れてしまう」ことにしたのでした。

    第二のブラックプロパガンダの傑作はパフォーマンス芸術の分野でおこりました。2011年2月17日に始まったいわゆる「中国ジャスミン革命」です。

    これは2月17日に@mimitree0・「秘密のウロ」と名乗るツィッター投稿者が「中国ジャスミン革命の第一回集会の日程が決定した。2011年2月20日(日曜日)午後二時、全国の各大都市で、集会場所は博讯ネットに前日発表される。もしそれが事情によって不可能な時は各自、その地方の大都市の中心広場に集まれ」というもので、このニュースは数人によってRTされたあと自由アジア放送局の記者・丁小波が発見して「中東のジャスミン革命デモ鎮圧(*エジプトのタハリール広場の攻防が最高潮だった)が注目を浴びているがネットでは中国のジャスミン革命の日取りが決まった、と発表された」というツィットとなって流されました。 これに続いてすぐ博讯ネットに「中国ジャスミン革命各大都市集会地点」が発表されたものですから、このニュースはあっというまに広まってどこの誰が作ったかわからないジャスミン革命Google地図もでて、「我らには飯が必要だ、仕事も、家も、公平も正義も!一党専政を終わらせ、情報の自由を!」など、中国ジャスミン革命の機が熟したかのようにネットの上ではまるで本当のように広がったのでした。

    中国語ツィッターの世界ではこの情報は最初から疑いの目でみられており、大多数はこれはパフォーマンス芸術の類だとおもっていたのですが、中国政府はさにあらずで現実に大量の警察官を動員してしまい、このパフォーマンス芸術がパーフェクトに完成するお手伝いをしてしまいました。さらにこのあとネットにこうしたジャスミン革命の情報がながれるたびに北京などの現地では警察官が防衛に出動して10月になるまでつづいたのでした。

    当時、私は「偉大な幻想主義芸術作品・2.20ジャスミン革命」(http://www.boxun.com/news/gb/pubvp/2011/02/201102240119.shtml)にこう書きました。
    ;このツィッターの一文が引き起こした「ジャスミン革命」に対しての中共の体制防衛の過大な動きは中国政府に内在する虚弱さを暴露してしまった。中国語ツィッター圏の少なかぬ参加者はマウスをクリックするだけでこれを「革命発酵の道具」にしてしまった。この地下から芽生えて突然、空中に巨大な幻想の魔術トリックを描き出して見せたパフォーマンス芸としての作品は芸術の部類にはいるだろう」と。

    ★様々なブラックプロパガンダが進行中の時代

    薄熙来が重慶市書記となって「革命歌を歌い、黒い輩をやっつける」運動を行いはじめてからは、中国国内も海外のメディアも共産党の紅色プロパガンダとブラックプロパガンダが入り乱れる状態になり、英文メディアもこれに巻き込まれその背景には中共各派の勢力争いがありました。もし慧眼の士が各種の資料をあつめ、10年ののちに中国ニュース報道の歴史を振り返ってみれば必ずや権威ある学術著作が書けるでしょう。

    ところで現在進行中の「ブラックプロパガンダ」といえば香港の銅鑼湾書店事件がそうです。これは同書店が「習近平の情人たち」という本を出そうとしておきたものです。今明らかになっているのは同書店の桂民海、李波等五人が企画したものでした。事件全体の経過はすでにニュースで明らかになっています。《独家:习书首版被300万买断 桂民海李波食髓知味再出终惹祸》(2016年2月21日)に詳しくかいてあります。
    ;本社の情報通によれば桂民海と李波は習近平の愛人に関する本を出版したが、世に出る以前に300万香港ドルで全て買い占められた。これに味をしめてまた世界の各地から作者をさがして同じテーマの本を出して、再び「買い占め」てもらおうとしたのがついに当局の怒りを買って実力部隊の出動となって終わった。
    というものです。これに補足すれば、本は2014年に出版され、全部買い占めたのは山東省(習近平夫人の彭麗媛の故郷)に関係する方面で、多分、誰かが忠義立てしたのだろうとおもわれます。

    関係方面による香港のこの書店関係者の拉致は当然、国際社会から厳しい非難を受け、とくに香港人は危機感を深め抗議の声はやまず最後には国際的事件になってしまいました。最終結果からみれば北京がやや勝利したというところでしょうか。まずひとつには米国在住の筆者たちが再三にわたってこの本の愛人というのはいい加減な話で「文学的創作」に属すると認めたこと。ふたつには銅鑼湾書店が最近盛んにだしている政治ゴシップ書籍はすっかり信用がなくなったこと。三つ目は中国国境の外でも拉致逮捕したことで威嚇作用を持ったこと、でしょう。

    练乙铮が『掳人:并非侮辱港人智慧,而是党官“蓄意拙劣”』という文章で、チェコのVáclav Havelが独裁政治に対する分析で『大多数の人に言わせれば不断の査問や取り調べは十分、言行を慎ませる効果があり、自分から政権と争うのをやめさせ、自主的にある方面の要求を満たすようになる。この過程で政権が荒っぽい下手な手段を取るというのは意味がこめられているのだ」と。
    つまり香港銅鑼湾書店の事件はブラックプロパガンダ製造者に対して、金銭目的であれば「相手の領域」であって、自分たちが極めて危険な立場にある、という警告でしょう。

    もうひとつの現在進行中のブラックプロパガンダは、自称「忠実な共産党員」を名乗る人物がだした「習近平に辞職を促す公開状」です。この署名のない公開状は人民代表大会の前に発表され、海外に流れましたが所詮は「伝説の中共党内の習近平打倒派」とやらのあだ花のような話にすぎませんせした。しかし、中国国内の「無界ニュース」がどういうわけか3月4日、つまり北京で人民代表大会が開かれる当日にこれを発表したので、同ニュースの編集者、ネット技術者ら多数が逮捕され香港と北京往復しているコラムニストの作家贾葭が行方不明になりました。さらに二人の海外で中共を批判している作家の家族までその本籍地で身柄を拘束されてついに国際事件にまでなったのでした。国際メディアは次々に事件に無関係な家族まで拉致した北京当局の封建時代の連座制のような取り締まりを批判しました。3月30日になって長平らふたりの家族が釈放してやっと一段落ついたのでした。

    このブラックプロパガンダ事件の見方としては、①今に至るまで自分が書いたと名乗ってでる人間や組織がおらず、それにたいしては責任が問われていないこと。② 真似するものがでたこと。これは3月29日、習近平がチェコ訪問中に「171人の中共党、政治、軍グループの忠実な党員」と名乗って第二の公開メールがながれたのです。(明鏡ネット、現在は削除されている)。このメールは銅鑼湾事件や数々の事件の処理個人独裁、個人崇拝は不当であり、同時に19回大会で8000万人党員が全員一人一票で党中央を選出するように呼びかけています。

    ★古代占術の盛んなお国柄でブラックプロパガンダはVer2.00に進化

    中国は大昔から王朝でも盛んに占いが行われたお国柄で、全社会も容易にこうした流言の類に影響されますから、各種の神秘的な占い予言の類はみな王朝末期の政治的な動員道具として使われてきました。中共もその昔政権を奪取するに際しては様々なブラックプロパガンダを使用して、国民党政府の評判を傷つけました。例えば陳伯達は学術研究の形で「四大家族」で蒋、宋、孔、陳一族の財産とその稼いだ方法が略奪的だったと誇張して書き知識人界と中、低層階級での国民政府の評判を貶めました。しかし政権掌握後はあらゆる世論とイデオロギーを独占してすべての手法はみな「共産党の宣伝」と紅色一色となります。ただ「党内の反党集団」や「反革命分子」をやっつけるときにはこの種の「ブラックプロパガンダ」を使うこともありました。例えば文革時に中央文革小組が劉少奇・王光美夫妻に汚名を着せたやり方です。

    中共はこの手のブラックプロパガンダを使わせたら世界一というべき存在です。しかしいまや新たな問題もおきていて、インターネット時代にはブラックプロパガンダの中国版は言い出しっぺがだれかわからないしその尻尾もつかめないというVer2.00にアップグレードされており、これをどうするかというのが目下、中共紅色ブロパガンダ部隊の専門家が頭を悩ませているところだといえましょう。(終わり)
    (《中国人权双周刊》第179期  2016年3月18日—3月31日)

    拙訳御免。
    原文は;红色政权遇上黑色宣传
    http://biweekly.hrichina.org/article/32595

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