• ★瑣末な報告に終始した人民代表大会の陰にある真の”国家出納帳” 2016年3月9日

    by  • April 9, 2016 • 日文文章 • 0 Comments

    2016年の人民代表大会では代表たちは誰も中国の国家的な深い問題に触れるのを避けて、議題には瑣末なことばかり次々にコース料理のように運ばれてきて、「天下泰平、なに国家の大事もちゃんと考えておるわい」といわんばかりでした。朝野の懸案となっている財政赤字についても、「心配は全くいらない」「赤字の拡大はちゃんとした理由があって、利点もある。さらに増えても大丈夫」といった調子でした。

    ★中国財政赤字は「座して待つ3%、4%が垣間みえて、そのまま5%へ突入もあり」

    大会では財政問題がどうなのかがもっとも肝心な点でしたが、財政部長の楼継偉が明らかにしたのは三つの点でした。
    ひとつは国家財政の赤字は去年、GDPの2.3%だったのが今年は3%であること。理由は「適当な赤字拡大によって経済を支え、さらに中高速の成長をはかり、経済の急激な悪化を防ぐこと」でした。
    二番目は債務で、中国政府の債務は目下、GDPの4割程度であり、そのうち中央政府の債務が11兆元で、まだ起債の余裕があること。しかし、地方政府の償還責任のある16兆の債務があり、これはコントロールしなければならない。
    三番目は税改革法案が用意されており、新体系のもとでは不動産賃貸の利息、教育、子育ての費用などは控除が適応される、です。

    三項目とも財政に関連しており、中国の財政赤字の原因は主に借金によるもので、さらに主要なものは国内の債務でり、個々の税改革は当然、中国人の税負担を軽減するためではなく、「新たな税収の対象」を拡大することです。楼部長は人々を安心させるなだめるために、当然「中国の債務は鉄則を守っており、資産を食い潰したりしていない」といいましたが、これはちょっと前にG20の席上で彼が語った「財政危機にあって崖からおちそうだ」というあの話はどうも外国のことのようで中国とは無関係であるかのようでした。(*「中共内部からも「崖っぷちまでまだ余裕のあるうちに」と経済状態を危惧する声があがりはじめた
    http://heqinglian.net/2016/03/01/fiscal-crisis/

    財政赤字の3%突破に関しては、楼部長の気休めのような発言以外にも、すくなからぬ専門家がその必要性と合理性を”論証”し、改革開放以来、「中国の財政は連年赤字ではあるが、しかしコントロールしてきた経験から赤字に対しての対処法には自信をもっており、比較的習熟してるので、2015年の赤字率(赤字規模と年度のGDPの比率)は2.3%から2.7%で、明らかに安全圏である」。「2016年は3%に高まる可能性があるがこれも心配はいらなくて、今年2月の中国中央銀行の調査統計局の盛松成が『我が国の赤字率を大幅に高めるべし』という研究レポートにもあるように、「中国政府の負担率を計算すると未来のある時期には中国財政赤字率は4%か、それ以上の水準に高められる」などです。

    これに先立って、習近平は「党のマスコミは党のいう通り報道しなければならない」という強いお達しをだしていましたから、いわゆる批判的な”雑音”はまずなくなっており、今年の大会をめぐる内外でも一群の金融関係者は「3%の壁を越えて4%になろうとしている」赤字に対しても認める姿勢を示しました。ある説明では中国の2015年のGDP計算では中国財政部の赤字率は1%高められるごとに、政府は6700億元以上の財力を得ることになります。3%ということは2兆元以上の財力になります。一般大衆向けに予防線も張ってあり、公開データによれば2015年の財政赤字率が予測より引き上げられて2.3%とされていますが、一部の研究機関の予測ではすでに3.5%に達しております。これだと2016年の財政赤字目標は3%から3.5%、5%突破も可能となります。

    ★中国と欧米の財政収入と税収原則はどこが違うか?

    楼部長のいう中国税制収入はGDPの3割を占めるにすぎず、一般の国々より低い比重である、という話は真実とは言えません。なぜなら彼は比較に当たって税収だけをとりあげて計算しており、政府のすべての収入を計算にいれてないからです。国際社会ではこういう場合「広い意味での政府収入」、つまりすべての収入で計算しています。

    中国政府の収入は、四つの部分から構成されます。「公共財政収入」、「政府性の基金収入」、「国有資本経営予算収入」及び「社会保険基金収入」です。もし、「広い意味での尺度」で測るなら、政府収入が全部これに入ります。中国の財政収入がGDPに占める割合の高さにおいて、福祉方面の施策が極めて低いという現状を考慮するなら、中国人の税負担は全世界のトップなのです。2014年、中国の国内メディアが、今ほどこっぴどく弾圧されていなかった頃には、まだマクロ的な税負担の論議が掲載されました。ある研究者は、中国の2014年上半期のマクロ税負担(財政収入の対GDP比)で44%であり、1人当たりの税負担額は6338元(1元=16.5円なら10.5万円)で、北京・上海・天津がトップ3であり、それぞれ20347.8元(336000円)、19192.8元(317000円)、17993.5元(297000円)だとしました。この時の論議で、ネット上では誰かが「この基準を見ると、自分の饅頭の半分は税金かよ〜」とツッコミを入れていました。しかし、最後には人民日報の論評が「中国の税負担は、マクロ的にそれほど重くない」とツルの一声的な論評が出て、マスコミも黙らされてお終いとなり、それ以上の論議は起きませんでした。しかし、それでも天津財経大学の李炜光は鳳凰財経の取材に対して、「マクロ的な広い意味での中国財政がGDPに占める割合は、38%以上になる可能性がある」と自説を堅持していました。

    中国が常に用いる発展した国家の指標は主に欧米諸国です。EU諸国は高度福祉国家ですから広い意味での税負担は当然大変重いものです。2015年の三季ですと、ユーロ地域の国家の財政収入にGDPが占める割合は46.5%です。ユーロ域内国家の政府財政の赤字がGDPにしめる割合(赤字率)は2.3%です。この十年来、ユーロ圏の財政赤字のGDPにしめる比率の経過は急激に変化しており、2007年の0.6%から、2009年の6.8%になっており、財政状況の深刻な悪化から債務危機に陥っています。EUはやむをえず2010年から財政安定政策を実行し始め、域内政府の財政赤字は急速に下がり、ドイツは一度は財政黒字にまでなりました。全体では2009年の6.8%をピークに2015年の三季では2.3%です。

    中国とEU諸国の比較では必ず考慮しておかなければならないのはEU諸国の福祉水準がはるかに中国より高いということです。以前の社会主義国だった中欧の4カ国ですら、その福祉が行き届く範囲ははるかに中国より高く、基本的に「民から得たものは民のために用いる」ことが実行されています。中国の財政税収の基本は「民から得たものを官がこれを使う」(社会保険や医療福祉は主に中共の党政関係機関をカバーしている)であり、広い意味での税負担がEUに近い、などということが土台、最初から理に合わないことなのです。

    2015年の米国の全国財政収入にしめるGDPの割合は36%で、そのうち個人所得税の新増加部分はおもに金持ち税です。2013年1月、小ブッシュ大統領の政府が行った減税策の期限が来て、オバマ政府は2013年、増税案を提出し、高所得税率を39.6%とし、クリントン時代と同じにしました。米国のピラミッドの頂点にいる富裕者は1986年以来最高の所得税率を課せられました。政府の支出拡大が議会によって厳格に制限されたうえに、この富裕者課税で米国の財政赤字は急速に減りつつあり、2015年には2.5%に下がっています。

    中国では、富裕者の脱税や養老保険、医療保険などの社会保険のカバーする範囲の狭さにもかかわらず、政府収入がGDPの占める割合は米国に迫り、財政赤字は米国を上回って、更に高まっているという現状からして、「まだ上げられる余地がある」などという結論はどうしたって不可能です。

    ★国家の出納帳の赤字は国運の興亡にかかわる

    中国の国家大福帳の「ささいな細目」をよくみて、EUやアメリカの国家のそれと比べてみれば、誰が「崖っぷち」に一番近いのかということは一目瞭然です。ましてやEUの中心であるドイツの経済発展の勢いは良好ですし、米国はさらに繁栄していますが、中国はといえば実体経済は次々に破綻に瀕しており、銀行の不良債権率の高いことは同日の談ではありません。ですから、中国政府がさらに高い財政赤字に足を踏みいれようとするなら、各方面から赤字比率拡大の「合理性」などを”論証”しようとすべきではなく、その赤字を通じて得られる二兆元以上お金の浪費をどうやって少なくして、産業振興につかうべきか、就業先を増やし民生に役立てるかということを考えるべきなのです。もし今年も以前からのやり方でただ金を投入して、産出される結果は問わないようであれば、何兆元を投じようとも中国経済が苦境から脱出することなどありえないのですから。

    一国の政府の財政危機は往々にして赤字をコントロールできないところからおきるというのは、古今東西、財政危機によって政治危機を招いた例は枚挙にいとまがありません。例えばフランス大革命の前夜、国王ルイ16世のマリー・アントワネットは「赤字夫人」とよばれ、彼女の豪奢なくらしぶりと「貧乏人はケーキを食えばよい」(この発言はのちにでっち上げと判明していますが)という言葉が革命の導火線のひとつとなりました。

    EUは「マーストリヒト条約」と「安定と成長の公約」の規定した財政政策基本規則に違反して債務の泥沼に沈み、米国はイラク戦争の債務が山となってどちらも、中国メディアと専門家がメディアで嘲笑してたものでしたね。でも10年がたってみたら財政赤字の冠は中国にまわってきました。最後に笑うものこそが勝者、なのです。(終)

    拙訳御免。
    原文は;何清涟: 2016两会:一地鸡毛下的国家账本  http://www.voachinese.com/content/heqinglian-blog-chinese-two-meetings-20160308/3226341.html

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