• オバマ大統領の珍しく正しい発言

    by  • April 9, 2016 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2016年3月19日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    https://twishort.com/GXkkc

    オバマ大統領が最近、アトランティック・マンスリー誌記者のJeffrey Goldberg取材を受けました。(4月号)これは「オバマドクトリン」というタイトルで発表されています。様々な国がこのオバマの見解を気にしており自国内であらましを紹介しております。中国のメディアでは「米国のオバマインタビュー;中国衰退は中国崛起より恐ろしい」というタイトルで紹介されました。中国メディアは肝心な事を翻訳しない癖があるので私は今回、よくよく原文と中国語記事を比較して読んでみましたが基本的にはオバマは確かにそのような発言をしていました。

    ★国際社会の見方は「中国崛起」から「中国衰退」へ

    オバマは取材をうけて確かに「衰退する中国は崛起する中国よりもっと怖い存在」だと発言し、その理由は「もし中国が失敗して自国の人口が求めるものを満足させられない場合、ある種の民族主義が生まれそれが一種の組織原則となって(ここで中国語の翻訳は「……and has to resort to nationalism as an organizing principle.」=ナショナリズムに訴えて組織を維持しようとする、と部分をぬかしています)、もし中国が国際秩序維持についての責任を負担しようとせず、自分達でもどうしていいのかわからないようなことになり、また、狭い地域にしか目をやろうとしなかったなら、我々は中国と衝突する可能性を考慮しなければならないばかりでなく、さらに多くの困難と挑戦に直面せねばならなくなるだろう、ということをもっと深く認識すべきである」と述べました。

    ホワイトハウスの主人になって7年になるオバマは最初は中国のことがまったくわかっていませんでしたが、その後の厳しい中国体験をへてこうした認識に至ったことはなかなか頑張って勉強したといえるでしょう。

    中国というこの世界一の人口大国はその独裁専制体制によってしょっちゅう世界を不安に陥れます。しかしその原因はどんどん変わってきています。かつてはまず「誰が中国を養うのか?」というものでしたが、2003年からは「中国崛起」の脅威が世界の平和を脅かすのではないか、となって、現在では中国の衰退は世界を巻き添えにするのではないか、というように。

    巻き添えにする方法には色々な予測があって、中国人が自分で「イエローペリル(黄禍)」説のたぐいを考えたりしましたが、オバマが指摘したのは「ナショナリズム」によって民衆を団結させることで、これは中国国内のタカ派が唱えれいる「武器を片手に世界でビジネス」という考え方に似ています。

    注意しておかなければならないことは、国際社会の中国にたいする見方は常に大きくブレることです。一昨年までずっと「中国は2030年に米国を抜き、世界の最強の経済体になる」などといっていました。それが去年からまたしてもさまざまな「中国崩壊論」が登場しています。

    しかし、「世界最強の経済体」の予測が大外れになったとたん「崩壊」にまで一気にいってしまうというのはあまりにもその落差がひどすぎます。こんな巨大な落差になってしまうのは中国ウォッチャーに言わせれば「中国は極めて大きな不確実性があるからだ」となるのですが、この種の不確定性のよってきたる所以の一部は彼らが全然中国をわかってないことから、そしてもうひとつは中国政府は国際社会のルール通りに駒をすすめたりしないからです。

    私が長年中国を研究してきた上での理解としては、中国は最初から米国を凌駕する可能性はありません。しかし、外国との衝突とかいうことがなければそう簡単に短期間に崩壊したりすることもまたありえません。

    ★中国は「中国モデル輸出」政策から「内部対応政策」に変化

    実は北京のほうが国際社会よりとっくのむかしに自分たちの内部危機に気がついていました。これは中国の対外宣伝戦略の重点がどこに置かれてきたかという変化をみれば一目瞭然です。

    中共の理論家で体制が変わってもいつもうまくやってきた鄭必堅(*党の理論家で元中央委員、中国崛起論の発案者)は2003年に「中国平和的崛起説」を唱えて内外から注目を浴びました。米国の「外交マンスリー」2005年9・10月号には彼の「中国平和崛起」が掲載されました。

    しかし、続くわずか3年で中国の対外宣伝の焦点は「平和的崛起」から「北京の認識」を「ワシントンの認識」に取って替えようというものになって、さらに最後には世界に「中国モデルを輸出する」に変わり、ベネズエラのチャベツ大統領の大歓迎を受け、一時のあいだ、中国モデルは発展途上国でおおいに歓迎されるきざしがみえました。

    ところが2009年以来、「中国モデル」といった対外宣伝はいつのまにかそっと鳴りを潜めてしまい、中国は国際的な姿勢をゆっくり縮小する動きに変わり、これに取って代わって習近平の「外国人に中国のことをとやかく指図させない。そのかわり貧困と飢餓は輸出しない」になりました。

    それに続いて起きたのがトップレベルの激烈な権力闘争でした。2015年、習近平はやっと周永康や令計劃といった政敵を秦城監獄に送り込み、つづいて企業倒産が引きおこす失業の大波対策に乗り出しました。この過程において、習近平は次第に社会に対する締め付けを強め、現政権の政治を批判するあらゆる言論を弾圧し、反対者を牢屋に放り込みました。

    このような弾圧のなかで最も注目に値することは各種の外国の資金援助を受けているNGOに対するものです。郭玉閃(*传知行社会经济研究所をつくって啓蒙活動に熱心な学者)を逮捕したときに警察はわざと長々と外国機関の名前を列挙したリストを公開しましたが、これは外国資金をバックにしたNGOメンバーを脅しあげるためで、別に「政治的にデリケート」ではない女権拡張運動家まで活動を停止させられ、いまにいたるまで三百人以上の護憲派弁護士や護権人士が逮捕されています。こうして日増しにたかまる緊張した恐怖感の広がるなかで、2016年3月上旬、米国、カナダ、ドイツ、日本およびEUなどの駐北京の大使が連名で中共公安部長の郭声琨に対して、「反テロ法」「ネット安全法」「国外非政府組織管理法」の発表内容に憂慮を表明したのは中共が少しでも圧政の締め付けを緩めるようにと願ってのことでした。

    ★国際社会の真の憂慮

    国際社会の本当の憂慮は実は半分は口にされていません。オバマが懸念した「民族主義を利用して国民をまとめあげる」のは半分だけで、彼が口に出さなかったあとの半分は中国が対外軍事拡張をへて、過剰人口危機をも転嫁させてしまわないだろうかということです。

    中国経済の衰退によって、中国の失業人口は3億人以上になっています。政府はこれまで巨額の銀行の貸出で国営企業の大損を穴埋めしてやってきましたが、これはつまり企業労働者の失業を防ぐために多くの銀行に不良貸付をさせてきた、ということです。たとえばかつて世界500企業に入っていた渤海鋼鉄は銀行債務が1920億元にのぼります。フランスのリヨン証券の計算だと中国の銀行の不良債権は8.1%に達するおそれがあり、GDPの1割を超えておりますが、その主要な原因は国営企業と不動産業界の債務です。

    中国の当局と人民の間の「パン契約(*政治的権利は与えないがメシはくわせる)」は維持するのが難しくなっているのです。黒竜江省の双鴨山炭鉱での大規模抗議のスローガンは「我々はメシをくわねばならん」でした。

    国際社会はようやく、中国によって引き起こされる面倒は専制政治以外にもあって、それこそが数億の失業人口に仕事口を見つけられるかということなのだ、と気が付き始めました。「中国崩壊」という問題が去年から問題にされ始めたのは、つまりはチャイナウォッチャーたちがやっと薄々この問題に気がついてきたからです。

    そうなってきた理由は多くの民主制度をとっている国家でも同様に高失業問題が起きているからでした。中国の人口、資源、就職などの問題はつまりは中国がたとえ民主化された後にもやっぱり深刻な問題なのです。これが中国衰退が強大なる中国よりさらに恐るべき問題だということです。

    アラブの春、はアラブの冬になってしまい、深刻なシリア難民聞きが起きて全世界が二つの問題を見出しました。
    ひとつは秩序の破壊は秩序の建設よりはるかに容易だということ。
    二つ目は、全世界ですでに2.44億人の難民が発生し、全地球の中心的問題になっている。2015年にEUが直面したシリア難民危機が証明したように、開放的な民主社会の福祉システムは脆弱で数百万の難民の波が押し寄せただけで維持するのが難しいのです。

    そして中国は世界第一の人口大国です。この国は昔から漢時代の文景之治、唐代の貞観の治などごくわずかな期間を除いて、大部分の時代には災害、飢饉におそわれました。(興味のある向きは「中国災荒史」をお読みください)。

    中国は鄧小平の改革開放以来の三十数年間、生態環境と労働者の福祉を代価として経済を発展させてきて、たしかに中国人に腹いっぱいのメシをくわせてきた、のでした。これを私は一般大衆と中国の統治者の間における「パンの契約」と呼んできました。つまり政治的には一般大衆の各種の権利を奪い与えず、しかし経済は発展させ大衆に職をあたえ衣食住の基本は満足させるということです。

    中国経済が素晴らしい勢いで発展中は国際社会は中国の経済発展を促進することで中国の民主化も促進できると思っていました。米国のビルクリントン大統領時代には10年にわたる中国の法律整備援助計画があり、2003年から実施もされました。中米の法的協力が中国の法治建設を促進して最後に中国民主化を促進するだろうという願いからでした。

    2005年から中国の「平和的崛起」論があらわれると、国際社会は「強大な中国は国際社会に脅威となる」ことを心配し始め、現在では「衰退する中国は崛起する中国よりもっとヤバい」になりました。つまりこの10年で一回りして元の「中国を誰が食わせるか」に戻ってしまったのです。

    私は長年、中国を研究してまいりましたが、中国にはもともと米国を抜く可能性などありはせいません。しかし外国との戦争とかにならなければ短期間に崩壊することもまたありません。

    2003年に私は「専制統治下の中国現状および未来」で、今後20年から30年の間、中国は腐って潰れていくだろうが、崩壊状態にはならない、と書きました。

    これが中国が次第に衰えて不断に外部に対してマイナスの影響を与え続ける過程なのです。中国の現状に鑑みて、私はオバマ大統領の「中国衰退は中国崛起より恐ろしい」という見方は真実の問題を提起したものだとおもいます。(終わり)

    拙訳御免。
    原文は;何清涟:关于中国,奥巴马这次说对了  http://www.voachinese.com/content/heqinglian-obama-china-20160318/3244790.html

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