• 台湾VS北京ーその商業攻防戦ー

    by  • May 28, 2016 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2016年5月28日

    全文日本語概訳/Minya_J Takeuchi Jun

    https://twishort.com/4b6kc
    5月20日、台湾総統・蔡英文が就任演説を行いました。北京は必死になって蔡英文に「92年合意」(*中台は不可分の領土とする「一つの中国」原則)をしつこく持ち出して態度表明をせまりましたが、それでいて台湾に対する自分たちの吸引能力がなぜ衰えたのかということを真剣に考えようとはしませんでした。蔡英文の提起した「新南向政策」は、ただ中国大陸にいた台湾ビジネスマンたちが近年、続々と東南アジアやインドなどに資本を写している情勢の流れ乗っかっただけの話でなのすが、このまま勢いづいて行けばそれは中国と台湾の経済の絆がどんどん弱くなって切れてしまう方向に向かうことになります。国民党政治の没落が意味するのは中・台の政治的絆がもうすでに切れたということであり、いわゆる文化的な絆もイデオロギーがまったく違うので残るは言語だけで辛くもつながっているというだけです。もし政治、経済、文化の三つの絆が日々弱まっていけば、いわゆる「92年合意」も根無し草になりましょう。

    ★大陸と台湾の関係;「まず経済、それから政治」だった

    台湾では李登輝が総裁だった期間は台湾ビジネスマンが大陸に投資するのは厳禁でした。このとき大陸と台湾に橋をかけたのは第二次大戦時期に中国を助けた米国のフライングタイガー飛行隊の隊長・クレア・リー・シェンノート夫人の陳香梅(*アンナ・チェン・シェンノート)でした。この陳香梅というのは大変な女性で夫とともに米国に移ってのち、自分の能力で道を切り開き、米国政界で最も影響力のある中国系女性となりました。ケネディからクリントンにいたる8人の米国大統領がみんな彼女に任を託し、北京側もずっとVIPとして彼女を遇しました。それは彼女が中国のために三つの大仕事を果たしたからです。

    そのひとつは1980年代のはじめ、彼女は米中関係のコミュニケーションをはかるレーガン大統領の”特使”としてでした。彼女は叔父の廖承志(*中共の華僑対策の責任者)の要請を受け密かに訪中したとき、次期大統領に決まっていたレーガンの親書を鄧小平に手渡し、中米関係の改善を促しました。二つ目は国民党の老兵たちが故郷を思う気持ちに感じ入って台湾の蒋経国総統に台湾民衆の大陸家族訪問を説得したことです。そして三番目には台湾のビジネスマンたちの中国大陸投資の架け橋になりました。1989年12月、西側が天安門事件で中国に対して経済制裁措置を取っていた次期に、陳香梅は秘密のうちに台湾ビジネスマンの投資訪問団を組織し、破天荒な大陸旅行をやり遂げ台湾から大陸への投資の門を開いたのでした。

    これ以前、台湾から大陸に投資しようという者は極めて少なかったのです。いまや世界的富豪になった郭台銘(*フォックスコン)もこれに商機を見いだし1988年末にこっそり大陸に橋頭堡づくりにいきました。なぜ人目を忍んで行かなければならなかったか、というのは当時、李登輝政府は大陸に投資しようとするものは「共産党」だとみなし、政治的に弾圧していたからです。私の知人の女性も、当時、陳香梅のビジネス代表団に参加するためにまずアメリカにいってそこから中国にむかったのでした。そしてそのあと夫が中国で工場をつくりましたが親戚には長い間「東南アジアで工場をやってる」といいつづけたそうです。陳香梅のこのビジネス代表団は大変な成功をおさめ9割以上が大陸投資を行い、その結果、巨利を博したのでした。

    中国商務部のデータだと2016年末までに大陸の批准した台湾からの投資プロジェクトは95543件で、実際に使われた台湾資本は628億9000万米ドルで台湾資本は中国への外国からの投資の3.8%をしめます。

    台湾側のデータでは、2014年10月までに台湾当局が批准した対中国大陸投資資金は1418.78億米ドルで、同期の台湾のそれ以外の外国への投資金額は893.19億米ドルで中国大陸への投資は台湾の対外投資の61.3%を占めます。一部の学者の研究によると台湾の対外投資にはすくなからぬバージン諸島やケイマン群島などの「脱税天国」へのものがあり、その多くが最終的には中国大陸へ向かっています。この意味では実際にはさらに多くの投資がおこなわれたとみられ、ある専門家は実際には2000億ドル以上だと見積もっています。

    ★政治的な絆は、経済の絆の上に

    台湾ビジネスマンが魚が堰を超えるように次々に中国大陸に参入したあと、中国は台湾でのビジネスを少しづつ深めて影響力をつよめ、それには台湾のメディアへの資本参加もふくまれ、数年前に私は「红色资本渗透与台湾媒体“靠岸”」(中共資本の台湾メディアへの浸透/2010年 voachinese.com/..034/774021.html)で、2010年6月中国と台湾が両岸経済協議(ECFA)で双方が経済貿易の協力制度を作って以後は台湾の正解はすでに経済界の大声での要請を断れなくなったと指摘しておきました。この協議にサインされたとき、香港の北京系雑誌の「鏡報」は陳星戦の署名記事「両岸発展の先進的な思考」で北京が2013年の全国人民代表大会で国民党の名誉主席の連戦を国家副主席に任命する可能性を指摘しました。「北京の構想は一朝一夕のものではなく、北京の誠意は疑いなし」と。もしこれが実現していたら台湾は香港に似た”特区”になっていたでしょう。

    以上の事実は、中国大陸と台湾の関係の実質は政治的な絆の元は経済的な絆だということです。台海ネットのデータでは現在、大陸に各種の投資をしている台湾の企業は8万以上で、大陸で働き暮らしている台湾ビジネスマン、労働者、その家族は230万人近くで台湾の総人口の1割を占めます。蔡英文政府でもこのグループの力と影響は無視できませんし、実際、蔡英文が2012年の台湾総選挙で「最後の一キロ」で競り負けたのは北京がチャーター機を飛ばし台湾ビジネスマンを大量に台湾に木国させたので80万票差で負けたのです。

    北京はその後、成功を急ぎすぎて両岸関係の経済一体化へ向けた最後の一歩である貿易協定へのサインを迫りました。しかし生憎なことにこの時、香港のオキュパイ・セントラル(*雨傘)運動がおきてしまい、台湾人、とりわけ青年たちがついに「台湾がここで頑張らないと香港みたいになってしまうんだ」と気がつき、「ひまわり学生運動」をおこしたおかげで、いま、民進党が台湾の政権に返り咲けたのです。

    ★蔡英文は「中国依存」から脱却させられるか?

    蔡英文が演説で言った「南向政策」というのは実は馬英九政府の穴埋め仕事のようなものです。2008年から、万にのぼる台湾資本は続々と中国から離れだしています。大陸投資ではテッパンだった郭台铭ですら一部の工場をインドや東南アジア諸国に移しています。この撤退はべつに台湾ビジネスマンが台湾政治と歩みを共にしているからではなく、大陸投資の環境変化が極めておおきかったからです。

    ひとつは労働力のコストがあがり、サラリーをあげるほかにも新たな世代の農民工(農村からのでかせぎ労働者)は前の世代のようにおとなしくいうことをきかないで、なにかといえばストライキをしますし、例えば2014年9月にアップル東莞委託製造工場では数千人がストライキをしましたがその原因となったのは台湾側からみたらつまらない、秋分の日の月餅が配られなかったとか祭日のボーナスがでなかった、とかがきっかけでした。

    二番目は大陸の土地のコストが高すぎて、東南アジアやインドより高いだけでなく、米国中西部よりなお高いという有様になったからです。

    三番目は2008年以来、中国は「両税統一」をおこない内外の資本の税収基準を同じにして、対外優遇措置を取り消したのでした。台湾の委託型製造産業はもともと利幅の極めて薄い商売ですからこうした要素が大陸での仕事を続けていくことを難しくさせたのでした。

    台湾のビジネスが次々に大陸から撤退するという過程は、つまり北京の台湾へのビジネス攻勢の包囲網の基礎が弱まっていくという過程でもあります。

    台湾での「ひまわり学生運動」後、蔡英文が当選するというのは自然な流れでしたし、台湾と大陸の関係が薄まっていき、悪化さえするというのも予想されたことです。台湾世論はそのためずっと台湾の大陸依存度は降下しているとし、対外経済構造のレベルアップと多元化の必要を説き、過度の大陸単一マーケット依存に別れを告げるべきだと強調しています。

    台湾財政部の公布した税関輸出統計によると2001年の台湾の中国大陸および香港への輸出比重は26.6%で、2007年に40.7%、2010年に40.7%なったのが2013年に39.7%になり2006年の水準になりました。これで台湾側は大陸への経済依頼度が減り、これなら政治的な大陸離れもできるだろうと比較的楽観的になっています。

    北京側ではべつの計算をしています。中国商務部の今年5月の統計では2015年、大陸と台湾の貿易学は1885.6億米ドルでマイナス4.9%。そのうち大陸からの台湾輸出は499億米ドルでマイナス3%、台湾からの輸入は14366億米ドルでマイナス5.5%。しかしなんといっても大陸の台湾貿易は987.5億ドルもの赤字で、台湾は依然として中国の7大貿易パートナーであり、9番目の輸出先であり、6番目の輸入先です。ですから未来については経済の難題が超えがたい垣根となって蔡英文政府も中国離れできないだろうと期待しています。

    こうした台湾と北京の思惑以外に、さらに二つの要素が未来の両岸関係に避けがたい変数として存在します。ひとつは中国経済がL字型の谷間に入っていること。そしてL字型の横棒がまだまだ下がり気味だということで、こうした状況下では政治的要素がなくても台湾商人は自分の生存問題を考えて「コストが引き合うところ」を求めるでしょう。ふたつめは米国の次の大統領が外交政策を変えるか否かで、つまり誰が当選するか、ということです。

    現在の状況からみるに、台湾の中国大陸経済依存はたしかにゆっくり下降しており、政治的な中国離れも流れもできています。大陸の台湾の態度とその批判はたとえば蔡英文は結婚してないからダメだとか、どれも台湾人の対中国への嫌悪感を強めるだけです。(終わり)

    何清涟:《红色资本渗透与台湾媒体“靠岸”》 ,voachinese.com/..034/774021.html
    何清涟:《服贸协议:中台一体化的最后铺路石》,voachinese.com/..24/1877849.html。中国台湾サービス貿易協定ー中台一体化への最後の仕上げー heqinglian.net/..ina-in-japanese

    拙訳御免。
    原文は;台湾“新南向”VS北京“ 以商围政” voachinese.com/..27/3349357.html
    台湾と中国の『統一』の展望;2013年11月5日 heqinglian.net/..ations-japanese

     

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