• 令計劃事件の筋書き通りの幕引き、真の狙いは何処に?

    by  • July 15, 2016 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2016年7月5日

    全文日本語概訳/Minya_J., Takeuchi Jun

    https://twishort.com/jUGkc

    7月4日、令計劃事件の裁判が開かれ、収賄、違法国家機密取得、職権濫用の罪で無期懲役が言い渡されました。令計劃が組織に対して罪を認め服する態度で、薄熙来の様に裁判の場を利用して自己弁護しなかった為に観衆の興味も盛り上がりませんでした。しかし、令計劃事件が18回党大会の6中全会前に裁判が開かれ判決が出されたのは別に観衆を喜ばせるのが目的ではなく、「中共18会大会前に始まったトップレベルでの権力争いがついに幕を下ろした」という事を習近平が天下に知らせる為でした。つまり「戦場はもう掃き清められて今後の出し物は新しい権力配置だ」ということをです。

    ★令計劃の量刑はとっくに計画のうち

    令計劃事件の裁判のやり方、量刑の程度、罪名、そして令計劃のセリフまですべては中共トップの計画どおりでした。2012年から始まった令計劃事件の数々の内幕は既に内外のメディアを通じて白日のもとにさらされており、「財新ネット」の「令計劃財産の物語」や「令一族の危険な関係」といったヘビー級の特集があります。そして一つだけ残っていた問題は令計劃の弟の令完成がアメリカに逃亡した際に中国から持ち出した国家機密とは何か、ということだけでした。

    令計劃が無期懲役になったことは外からの予想と一致します。もし令完成が持ち出した機密が暴露されたとしても、おそらく無期懲役か執行猶予付き死刑判決だろうというのが外界の予想でした。どちらも牢獄にずっと居るわけですが、後者の方が恥辱性が強いのです。

    観衆がこの劇をたいして見るに値しないとおもったのは令計劃が薄熙来の様に強硬な態度を取らず、罪を背負って詫び、裁判長や法廷、弁護士に感謝の気持ちなどを表明してしまったからです。これは意外ではなく令計劃はその出身が山西省の平陸令狐で唐代の大臣の令狐綯の子孫のようですが、父親は共産革命幹部の尻尾のうちには入っていましたが、そんな大昔の名門だの革命幹部の尻尾というだけでは現実政治の中では同じ山西本籍でも「薄一波の子供」という大看板を背負った薄熙来のようにはいきません。そうした紅色貴族の看板がないからには行動もおのずから違ってきます。薄熙来が法廷で自分の待遇が出廷前にピータンを一個食べられたから大変いいと皮肉な調子で語り、卵も食べられない暮らしぶりだということを暗示しましたが、令計劃はそんなことはしませんでした。

    裁判では令計劃の8つの罪証として楼忠福、崔晓玉、魏新、潘逸陽、李春城ら5人が事件に関係したなどの細かい点が初めて明らかにされました。しかし7708万元などという子供騙しのような金額に対しては海外メディアは全然興味をしめしませんでした。また令計劃と共産主義青年団の背景や、公安系統の職にあった潘逸陽関係は一定程度、令計劃と周永康の「共謀」関係を証明する話でしたが、しかし「中国の政治構造を変えたフェラーリ事件」(*令計劃の息子が起こした交通事故)に比べれば別に驚くほどのものではありませんでした。また判決は令計劃が多くの情婦や私生児を作っていたかにも触れませんでした。というわけでこの事件はちっともびっくりするような要素がなく、色事関係もなく聴衆の耳をそばだてさせませんでした。しかし観衆のこうした反応こそがまさに当局が期待したかったものなのです。お信じにならなければ分析をしてみましょう。

    ★判決は、令完成の持ち出した国家機密は脅威ではないと暗示

    令計劃事件で最も注目を集めているのは違法に窃取された国家機密です。

    令計劃は中国共産党中央委員会弁公庁のトップとして大量の最高レベルの国家機密を扱っていました。これらの秘密が盗まれ、それが弟の令完成によって米国に持ち出されたことは海外メディアも何度も繰り返して報道してきました。中国政府も何度も米国に令完成の身柄引き渡しを求めましたが、これは報道が嘘ではないことを証明しています。

    ただ一つ証明されていないのはその高度の機密が既に米国の情報機関の手に入ってしまっているかどうかです。2015年8月のNYタイムズは米国情報部関係者の談話としてこの事件は「米国情報分野での大成功の一つ」令完成は「習近平の現在と過去の自筆の手紙などの不安材料である可能性」があるなどと述べたとしています。その後、米国の華僑による中国ニュースサイト「博讯」には「令計劃が逮捕される前に盗んだ文献は2700件で中共の政治、軍事、経済、文化などの方面におよび、その一部は令完成によって米国に持ち出され中南海を脅かす切り札となっている」というニュースを流しました。

    それ以来、令完成が持ち出した情報は海外メディアが何度も繰り返し一体何か?を特集する謎となり、核兵器の暗号だとか高官の海外秘密財産だとか、私生活のビデオだとかあらゆることが言われ、中国政府も極めて居心地の悪い思いをしてきました。しかし判決書の内容からみると、中共高層はこの判決を考えている間にこうした推測に決断を下したようです。

    裁判所の判決は、令計劃が中央統一戦線部長、第12節全国政治協商副主席であった期間、中央委員会弁公庁秘書局の霍克局長らを通じて「違法に大量の国家機密資料を獲得し、国家機密制度を深刻に破壊した」としています。注目に値するのは当局が何度も米国に対して身柄を引き渡せと言っていた令完成について、この判決が言及していないことです。

    私は当局は令完成が米国に持ち出した国家機密情報の価値を引き下げたいのだとおもいます。こういう狙いは以前から布石(当然、事実の一部という可能性があります)がありました。2015年8月12日、中央規律委の監察部ネットに「国家旅行局の元副局長・霍克が国家機密漏洩で党除名及び公職を解かれた」というニュースがあり、そこに霍克の前職が中央委員会弁公庁秘書局長で令計劃の経歴と交錯しているしており、これは中央檔案馆(国家檔案=アーカイブズ=局。*共産党中央直属の資料局)の主管です。中央档案馆のウェブサイトにもあるのですが、現任の中央委員会弁公庁秘書局長・栗戦書は以前、同館の会議で「令計劃の余毒を清掃するように」と発言しており、館長の交代などのニュースにも言及しています。この二つのニュースからは令計劃が盗んだのは中央檔案館にある国家機密だったということです。

    中央檔案館はどんな種類の国家機密を握っているのでしょうか?政府側の資料だと中央檔案館と国家檔案局は「二つの看板を持つ同一組織」で、副部長級(副大臣)の役所で中共中央秘書局の管理下にあって、1959年6月に中共中央と国務院の批准によって作られ、1970年から1979年4月に中共中央檔案館となり、その主要な任務は収集、保管と国家中央機関の持つ永久保存価値のある重要なファイルと解放前の中共中央の機関や団体などの革命歴史ファイルを整理して研究用に提供し、党中央や国務院及び国家の各プロジェクトに提供するとあります。

    令計劃が霍克を通じて広大な海のような中央檔案から拾い出したのはいかなる類の国家機密だったのか、どの中央高層レベルと関係しているのかについては想像の域をでません。しかし令完成についての言及がなかったということはあきらかに、米国側は中国のトップレベルに「殺傷力」のある国家機密など握ってはいないのだ、と言いたかったのだと思われます。

    しかし判決がそう言ったからといって、それは外の世界が信じることは意味しません。もちろん政治的な反対派がそんなことを信じるはずもなく、体制内部の自分達の側の人間だって信じやしないでしょう。今年6月下旬に北京であった集まりで80年代の改革有名人である翁永曦(*元中共中央农村政策研究室副主任、王岐山とともに「改革4君子」と呼ばれたそう)が中国の改革が苦境に陥る6つの懸念の4つ目に「外交上主導権をうしなって受動的になること。以前の中央帝国は他国のことにかまわないでもよかったが、現在グローバル化した世界ではあらゆる国際的な出来事に中国は態度を表明せねばならないにもかかわらず、我々の今の価値観ではダメで、四面敵だらけで孤立しており、友人国家といえば北朝鮮とキューバぐらいしかない。そして我々の弱みは敵側に握られていて、『最高レベルの指導者個人が果たして中国の法律に違反していない存在かどうか』なんてことまで相手に指摘されかねない(*訳注;指導者レベルの人間が国民に知られては都合がわるい秘密が相手国に流出していれば、の意味)。一旦国家の間で問題がおきたら、ちょっとした爆薬(*これも同様に不都合な真実が相手に知られていることを指す)で自分たちの合法性が損なわれるなどという状態で戦争なんかできるか?」といいました。

    「敵の手に握られた弱み」と、前述のNYタイムズ、博讯のいうところが期せずして一致しますが、その「弱み」がどれほどのものかはなんとも想像に任せるしかありません。

    ★令事件幕引きは18回党大会6中全会への準備

    令計劃事件の幕引きの真の目的は数ヶ月後に開かれる18回党大会6中全会への準備です。習近平は18会大会で権力を手にして以来5年経ちました。この数年は休む間も無く軍隊内部を清掃し、各省委員会の幹部を入れ替え、人事を一新して新朝廷を支える体制を作り上げました。これからはつまり習近平がいかなる形式で中国の最高権力の座にどのぐらい長く留まるかです。この問題については中南海星占い術で内幕を占う人々が数々の憶測を出しています。6月12日の「人民日報」は鄭秉文が長期間エネルギーを維持するために一文を発表し、そのポイントは「三つのことを出現させない」だとしています。私は「人民日報記事に観測気球か?「習近平終身皇帝」への道
    」(heqinglian.net/..ing-new-emporer)で指摘しておきましたが、「制度上、断層や波動を生まないこと」というのはナンバーワンを変えない、と暗にほのめかしているのです。

    いかなる国家権力構造も更新時にはすべて「古きを取り除き新しきを配置する」というのが順序です。「あたらしき」を配置する前には「古き」を取り除かなければなりません。この数年間、習近平は「反腐敗キャンペーン」でもって「古きを取り除き」、中共の官僚達を震え上がらせてきました。胡錦濤の第一の腹心だった令計劃が法廷ですっかり昔の傲慢さを失っておとなしく罪を認めるその姿は、まさに「先の皇帝という大樹はもう失われて全く力はなくなった。今の陛下はこのように罰をくだし、官僚たちにこれをもって見本を示された。18会大会の権力争いは千里の堤もここにピリオドがうたれ、旧主人はいない。皆のもの、あたらしい皇帝の元でしっかり働くのじゃ。さすれば汝らの前途は有望であるぞよ」という点を証明したのでした。(終わり)

    拙訳御免。
    原文は;何清涟:令计划案按”计划”落幕 真意何在?
    voachinese.com/..04/3404324.html

     

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