• 不動産バブル維持か税金か?中共の二択難問

    by  • August 6, 2016 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2016年8月1日

    全文日本語概訳/Minya_J., Takeuchi Jun

    https://twishort.com/1yOkc

    最近、中国の財務大臣・楼継偉が公けに、「不動産税の徴収は天の声」みたいなことを言い出し、法案はできており、2017年に交付、徴収開始されるだろうと発言しました。楼大臣はとっくの昔から「不動産市場の振興と不動産税徴収については政府は一択しかできない問題だと理解しています。中国政府は今、「魚も肉も両方食いたい」状態で地方政府には土地売却によって財政維持を果たるばかりか、一般大衆の懐からは不動産税を搾り取てようとしています。ただ不動産税を取り始めれば投資でなんとかもたせている巨大な不動産バブルを破裂させる危険があります。中国人に不動産税がかかる可能性はどれぐらいあるのでしょうか?

    中国政府は税金を取りたいと思えばすぐ課税しますし、もっと取りたいとおもえば迷うことなくすぐ増やします。しかし不動産税については長年「階段の足音は聞こえても誰も降りてこない」状態で、現在までに上海と重慶でだけ試験的に徴税が始まりましたが、その税率は低く抑えられ一定面積内のマイハウスは免税されています。2013年5月の国務院は国家発展改革委員会からの「2013年、経済体制改革の重点工作を深化させる意見」を批准して下部に回し、はっきりと不動産税改革の試験地域を拡大するとしたものの、今に至るまで上海、重慶以外には拡大していません。

    その原因は二つあります。

    ⑴ 不動産・住宅の所有者は多くが公務員たちで特に局長クラス以上の官僚、それに金持ちたちです。体制内の官僚は政府に対して影に陽に影響力を十分持っています。

    ⑵ 関連した政策を制定する責任を負う国土資源部、住宅と都市建設部の政治利益集団のそれぞれの利益で、ひとつは政府に引き続き土地を売らせなければなりませんし、ひとつは不動産市場を引き続き繁栄させねばなりませんから、楼財務大臣の「財布が空っぽだよ~」という声は別にあまり彼らには痛くもかゆくもないのです。

    そして三番目には、中国では今、売れない不動産が山のようにあることです。購入希望者はもうとっくに自分の家は持っていますから、投資資産として買うわけです。ですから、一旦、不動産税を徴収するとなると、いまでもちっとも売れない二、三線級の都市の不動産はもとより、現在、不動産価格が堅調で上昇している大都市のマーケットだって維持が難しくなります。

     これほど様々なそろばん勘定が入り乱れていては、楼部長の「天の声」も、つまりはG20向けの景気づけのホラ話のようなもので、いつ徴税が始まるかは、中共中央の最高層での検討、決心次第ということです。そもそも不動産税を取ろうという話は、2008年からとっくにあった話です。しかし、その開始は何度も先送りされて、2013年が2015年になり、更に2017年に延期され、それがまた2019年になるかどうか、見守るしかありません。

     不動産税徴収で不動産所有者は欠席裁判されます。中国の都市住民は87%が不動産を所有しており、そのうち69%は一戸しか持っていません。政府は、決して彼らに自分たちの意見を述べさせるチャンスなど与えませんが、別に彼らは平気の平左で、心中、天が崩れ落ちてもしっかり上の方で支えてくれるさ、と思っています。それは、あんなにも多くの役人がいっぱい不動産を持っていて、税金が怖いのは彼らだし、ということです。自分の家さえ免税なら、そんな税金の話はどうでもいいこわけです。そして、たくさん不動産を持っている連中の考え方は、不動産税を取るなら取れ、誰も逃げないから、税が重過ぎたら売っちまえばいいさ、です。

    ★不動産バブルはどのぐらいおおきい?

    中国の不動産業は、とっくに中国経済そのものを「人質」にしており「大きすぎて潰せない」産業です。これまでに、どれほどの「ゴーストタウン」が建設されたかは、住宅建設部ですら本当のところは分からないでしょう。以前、私が引用した「不動産の真実の在庫は98億平米、完全消化には10年かかる」《房地产真实库存98亿平 完全消化需10年http://guba.eastmoney.com/news,000002,227984568.html》(中国不動産ー買い手はどこにいるの?
     http://heqinglian.net/2015/12/23/real-estate-3/でも言及)のデータがあります。その計算では漏れている分も加えて、相対的に真実に近い在庫は、98.3億平米で、売れ残りが6.86億平米、未着工が43.2億平米、建設中在庫が49.1億平米です。

     「澎湃ニュース」は「中国工程院会員が明らかにした国務院調査」でこう書いています。

    ;全国ニュータウンの計画人口は34億人。深刻な管理不能に」に出ている数字は更に仰天モノ。「国務院の都市計画部門と関連組織が全国の都市計画を作ったところ、その中の12の省級都市と144の地級都市の調査は、省級都市で平均4.6、地級都市では1.5のニュータウンを計画している。ある西部の省級都市は、3つの新地区と5つの街を計画しており、総面積は現在の面積の7.8倍になる。取材を受けた工程院会員は「全国の新区・新城の計画人口は34億人になる。これは深刻な制御不能状態だ」と。

     この調査は、不動産バブルが膨大すぎて既に中国が支えきれない重さになっていることを物語っています。

     このバブルを維持するために、当局はなんと一番購買力の無い、社会底辺層に買わせようというアイデアを打ち出し、農民工(出稼ぎ労働者)が在庫消化の主力だとかにされました。例えば、全国で大変人気になった四川省の「眉山の経験」(*2015年、期間限定で土地や家の購入に補助金を出して、多くの農民に家を買わせることに成功。ただし、眉山は四川省で一番うまく発展している都市という指摘あり)などがそれで、ニュータウンで買い手と売り手に補助金を出すやり方で、農民を都市に住まわせ、在庫不動産を買わせたのでした。少なからぬ地方が「眉山」に学べと、農民に無理やり飴と鞭で迫り、強制的に農家を取り壊したりして人権問題を引き起こしました。

    ★不動産マーケットと不動産税、どちらか一方しか選べない

     政府は自分たちが、不動産市場と不動産税徴収はどちらか一方しか選べないことを、知らないわけではありません。現在、どの業界も不景気で、政府は経済上でも財政上でも、終始、不動産依存症を抜け出せないでいるのです。

     税金徴収を延期すべきだと主張する側には、「不動産課税、税徴収は投資を減少させ、最後には不動産マーケットを衰退(バブル崩壊の婉曲な言い方)を招き、一にバブル崩壊と、巨額の銀行の悪性債務、金融システムの危機を招く。二つには、民衆の資産が深刻に減価し、社会矛盾が先鋭化する、と言います。

     中国家庭金融調査研究センターのデータでは、都市家庭の住宅資産は総資産の65%を占めており、農村家庭でも54%です。つまり、中国の家庭の半分以上の資産は不動産の形で存在するのです。いったん、資産バブルが弾けたならば、中国家庭資産は急速に減価してしまい、社会不満と各種の矛盾を激発させます。こんな結果を考えたら、政府は徴収を先送りするしかありません。

     しかし、数億もの住宅に対して税金を取らないというのも、また政府にとっては、金の卵を産むガチョウがどんどん卵を産んでいるのに、自分のカゴには全然入らないのと同じです。政府の目から見れば、このガチョウは本当に太っていておいしそうなのです。

     清華大学の中国金融研究センターの出した「2015中国家庭金融調査報告」によれば、現在、農村戸籍の家庭93%は持ち家で、都市戸籍住民だと一家平均3人、一戸平均1.2軒の家を持っており、そのうち69%が1軒、15%が2軒、3.6%が3軒以上持っています。数億棟の住宅が生み出す巨額の税金を目の当たりに見て、不動産税を徴収出来ないで、みすみす「流出」しているわけですから、楼財務大臣が最近「天の声」で徴収すると述べたのは、ただ時間が早いか遅いかという違いしかありません。

     不動産購入者からみれば、現在不動産購入するのは自分が住むためではなく、中央銀行が深刻なまでに通貨を過剰発行し、人民元の価値が予想以上に減ってしまうからです。資産保全のために家を買うのは、中国の家庭資産配分での主要商品だからです。その一部分の購入者にとっては、元々は老後備えての貯金だったのが、家を買うことによってその代用にしようということです。これまでの経験では、不動産市場の消費では投資需要の比率が高まれば、不動産税への反応もより敏感なものになりますから、不動産税は投資需給を抑える働きをします。

     不動産バブルの弾ける小さな予兆は各地でもう見られます。「江西省の不動産在庫悲惨、6割の不動産業者が倒産、銀行は動きがとれず」(中国新聞周刊、2016年6月7日)には、現地の開発資金が途絶え、ビルは途中で建設が止まり、購入者と農民が北京上訴へ向かい、銀行には不良債務が積み上がり、政府もやむをえず後始末に乗り出した、とあります。これが幾つかの省で起きただけなら、中国政府はまだ対処出来ますが、もし全国のバブルが崩壊したならお手上げで、為替レートにまで影響する危険があります。

     ですから、不動産税徴収が遅々として出来ないでいるのは、別に中国政府が民意を汲んで、民の懐具合を配慮して下さっているわけではありません。ましてや、資産を維持するか為替レートを維持するかの二択問題で悩んでいるわけでもありません。不動産バブルが崩壊してしまえば資産も保全出来ませんし、連動して為替レートも下がってしまい、金融の防波堤が決壊しかねない、ということなのです。(終わり)

    拙訳御免。
    原文は;二选一的难题:保房地产或开征房产税
    voachinese.com/..31/3443679.html

    About

    Leave a Reply

    Your email address will not be published. Required fields are marked *