• 経済の「巨大ネズミ講化」に対して習近平はどうする?

    by  • September 5, 2016 • 日文文章 • 0 Comments

    何清漣

    2016年8月16日

    全文日本語概訳/Minya_J., Takeuchi Jun

    https://twishort.com/gXRkc

    8月7日、人民日報は「習近平が中国経済の新航路へ指導権、大国経済の舵輪を握る」という記事を発表しました。この記事はここ数ヶ月、盛んに伝えられた「南北院間の争い」つまり、習近平朝廷と李克强・国務院の争いが一段落して、中国は習近平大親分が経済の舵取りになったということです。民間からみれば今上皇帝・習近平はすべての権力を専断し李首相は同情を集めています。しかし、今、中国経済が陥っている「巨大ネズミ講」増長化の苦境が解決できるのか?できるとしたら誰が?ということに注目したほうがよろしいのです。

    ★「巨大ネズミ講」が生み出す金融空回り現象

    「巨大ネズミ講増加」というのは米国のポンジスキームといわれた一種のネズミ講詐欺から生まれた言葉です。高度に金融活動に頼りきった現代の経済システムと「ネズミ講詐欺」は似たような運営システムを持っています。その本質は「高い利益を上げる投資活動」を謳って大量の投資者を参加させ、後から来た投資者のお金を前から投資している者に高位収益だといって支払い、自転車操業で資金集めが立ちいかなくなるまで続け、信用がなくなったとたんに全システムが即、崩壊するのです。中国は金融自由化のスローガンのもとに金融業だけが栄え政府は不断に新しい貸し金の元手を投入し「ネズミ講」と似たような働きになっています。

    今、中国経済の核心テーマは通貨のダム湖の決壊を免れるための「資産バブル抑制」です。李首相は今年5月に「国家のために共に我慢し、経済への強い刺激策をとらない」と表明したのですが、まもなく、習近平皇帝の経済活動グループは「資産バブル抑制」の挙にでたのでした。

    まず中国の「資産バブル」の規模をみましょう。2015年、新たな増発融資額は11.72兆元。今年6月分のデータでは新融資額は75300億元で前期比40%増です。しかし7月末のデータは人民元融資額は4636億元です。部門別では住宅部門に4575億元、そのうち短期融資は193億元の減、中長期融資は4773億元。非金融企業及び期間団体の融資額は26億元の減少でした。

    7月分の新融資増の流れの行き先ははっきりしています。98.7%が不動産です。それなら、2015年の11兆と今年の上半期の新な融資増額分は一体どこへ流れ込んだのでしょうか?ここで簡単に振り返ってみましょう。

    中国は2012年以後、資金が「実業部門ではなく虚業部門に流れる」ことになって、通貨は次第に持続的に「広い脇道」に入って行きました。あらゆる産業が不景気なのに金融業だけが”繁栄”発展したのです。最初の頃にはシャドーバンク(*中国型ノンバンク)が猛烈にはびこりました。「金融創新」のスローガンの元に、各種各様のきらびやかなP2P(*ピア・ツー・ピアレンディング=資金を借りたい人と貸したい人を主としてネット上で結び付ける融資仲介サービス)を代表とするインターネット金融の財富管理プラットフォームが生まれました。2015年の第一季にはしかし、ほとんどあらゆる金融業者はP2Pの将来はよろしくないとみてとりました。中国最大のP2Pプラットフォーム平安保険の傘下のインターネット金融プラットフォームの陸金所理事長の計葵生(Gregory Gibb)は公にP2P業務モデルはネズミ講詐欺的になっていくと予測し、中国の1500社のネット金融プラットフォームの絶対多数は破産するだろうし、生き残れるのは5%ならラッキーだと言いました。(参考;WSJ;急成長を遂げた中国P2P融資の深い闇;jp.wsj.com/arti..527693585004366

    ピア・ツー・ピアがうまくいかないなら、では11万元の新な貸出し金はどこへ行ったのでしょうか?国内業界の言い方では「金融空回り」です。つまり一つには通貨資金が金融システム内部で空転して、実体経済にはいっていけないでいる、という意味です。もうひとつは国有銀行と国営企業の間で空転しているという意味です。この二つの空転に関わる主体は銀行、国有企業、上場企業などですが、結果はただひとつ、こうしたお金は実体経済には入っていかないので経済を刺激する働きを失っているのです。実体経済が現在のように無残な有様では、利益を上げることも借金返済もダメで、どんな業界でも儲からず、企業経営者は自信を無くし、自滅がいやなら自ら廃業しかないという有様です。

    ★「ネズミ講」急増は容易、解消は大変

    大量の新たな貸出し金はどの分野に流れるのか?中国内の経済メディアの総括では2015年の11兆元の行く先は

    ⑴ 個人住宅抵当のローン、インフラ、不動産業界が主な行き先で

    ⑵ 企業の借入金では中長期が少なく、短期が多く主に資金の回転につかわれ、投資にはつかわれていない。特に生産過剰企業の借金は大半が帳面上のゲームとなっており、新たな借金で古い借金を返したことにするばかりで、実体経済に向かっていかない。関連研究報告でも新たな借入金枠の52%は実体経済関連の利息返済に充てられており、ほんの一部が本当の意味で実体経済につかわれているだけだといいます。

    ⑶ 証券金融部門。2015年上半期は株式市場が熱狂的に過熱、金融業の価値増加速度は17%を超えました。

    ここで注目に値するのは2016年初の政府レポートで、GDPの目標値を下げると同時に、マネーサプライM2(*M1は、現金通貨と預金通貨の合計、M2は、M1に準通貨を含めたもの)の方は逆に目標を13%に引き上げました。これは常軌に反したことです。しかし中国メディアは深く掘り下げようとはしませんでした。私はこの点に注目して、中国経済が「ネズミ講化」する局面なのが意外だとはおもえませんでした。

    中国経済がネズミ講化しているのは二つの点からはっきりしています。第一には金融業が実体経済へのサービス機能を失ってしまったので、前述のような二つの「空転」、はっきり言えば金融経済の奇形的発展が実体経済の発展の余地を圧迫してしまっていること。第二には金融業の利潤が中国経済の利潤の8割を占め、実体経済の利潤を圧迫して実体経済が利益を上げようがないようにしてしまったこと、です。

    今年7月に米国・マッキンゼーは「中国の選択、五兆米ドルの生産力チャンスをつかめ」というレポートで、3500社を超す中国の上場会社(営業収入が中国の2015年GDP総額の55%)と7000以上の米国の上場企業(営業収入が米国の2015年GDP総額の85%)のデータを分析し、中米両国の経済利潤に対して計算した結果、中国の金融業界の利潤は中国全体の経済利潤の80%以上で全世界で最高だったのです。米国はこの比率は20%にすぎませんでした。はっきりいってしまえば、中国経済の利潤はすべて奇形に発展した金融業界がのみこんでしまっているのです。これはある部分、中国のバーチャルな経済がチョー異常に「盛ん」になって、実体経済が再起不能な程という現象の説明にもなります。

    新たな貸金のお金は国営企業以外、その他にはどこへいってしまったのでしょうか?ひとつには不動産市場で、中国の一線級都市の不動産価格は狂ったように値上がりをつづけています。二つ目には株式市場、三つ目には主要商品取引市場です。ただ実体経済にだけは入って行かずに、貨幣のせき止め湖現象が作られています。

    ★経済が病い膏肓状態で、舵手を変えてどうする?

    これまでに何度も言ってきたことですが、李克强首相になってから通貨のダブダブ政策を中止しようと二度トライしましたが、毎回、一月もしないうちにうやむやになってしまいました。その原因についてはすでに三編の文章で書きましたし、弱腰の措置は強権には勝てないわけで「やりたくないのではなく、やろうとしてもできない」のです。(2013.07.23 「李克强経済学」の制度基礎は何処に?
    heqinglian.net/..nomics-japanese、2013.08.14「政府投資の大号令がリコノミクスを吹き飛ばす
    heqinglian.net/..econ-japanese-2、2014.12.15総理の首をすげ替えても退勢は止まらない )

    中国のこの30余年以来の金融貸出の歴史が証明するとおり、いつの時期でも銀行が貸金を強烈に増やした時には必然的に一定の期間後に不良貸付がはっきりと増加します。中国の銀行の不良債権の形成などもう珍しくもなく聞き飽きたというのなら、今回、この文章では中国経済がますます「ネズミ講化」しているというのが新しいテーマです。これは中国経済を救う方向なのでしょうか?

    マッケンジーレポートは中国はこうした救助活動を支える力がある、としています。同レポートによれば中国政府の負債はGDPの5割を占めますが、しかしドイツや米国は80%から90%の間ですし、日本は240%にもなります。もし負債比率を65%にすれば中国は新たに10兆元の人民元資金を得ることができるので、極端な場合、8.2兆元の人民元調整を行える元手に使えるというのです。中国財政部のデータですと2016年4月までに、中国政府は123兆人民元の資産を管理しています。一部の資産を売りに出しても更に多くの資金を得ることができます。このレポートでは2010年以来、政府支配下にある土地資源は毎年3.5兆元の税収を産んでいます。このほかに、中国はさらに3.2兆米ドルの外国為替準備があり、「必要な時に運営できる」としています。

    しかし、私は中国経済を救う本当の問題は中国政府にそのためのお金があるかどうかではなく、中国経済の構造をどうすれば正常化できるかにあるとおもいます。李克强首相が採用した方法は金融市場化の名目の下で不断に国営企業、不動産市場、株式市場への輸血ですし、習近平皇帝の方法は原則的に「サプライサイド改革」で、「国営企業を大きく強く」することです。いわゆる「サプライサイド改革」というのは企業改革から始めて、産業構造を改革し、国営企業を中国経済の羊の群れのトップに立たせようというものです。

    どちらの方法もその実、本質的な違いはありません。中共が主権を取ってからの歴史が証明するとおり、一切の資源を国有企業の強大化につぎ込むわけで、せいぜい、朝顔の花が一斉に咲き誇るような具合になるものの、最後にはキョンシー企業になるだけです。皇帝と李首相のやり方に強いて違いを見つければ、ただ鞭とニンジンのやり方が違うだけです。

    李首相のいう「金融市場化」改革理論の方向は企業を高負債によって破産させるというのですが、現実には国有企業が破産するなどという例はなく、李首相はただ朱鎔基が昔やったボロ企業を株式化して売り逃げしようというだけです。もし皇帝が舵をとるならば、たぶん成績の上がらない国営企業のトップの首をすげ替えることになるでしょう。もうその先例は、去年、2015年の株式市場対決で政府が失敗した結果、「株式市場救援軍全部」のトップが牢屋入りして、「中国金融証券界豪華キャスト監獄風雲伝」が上演されましたよね。

    中国経済が「ネズミ講化」に陥っている現状は容易に解決できません。米国の2008年の金融危機発生後、大変早くU字回復できたのは実体経済が健康だったからです。中国経済の実態部分はあたり一面に被災者が溢れかえっているようなもので、一旦、金融危機が発生したら、中産階級以下はきれいさっぱり押し流されてしまうでしょう。ですから、中国経済というこの巨大な船の舵手が変わってあらたな局面がひらけることを祈るばかりです。そして私は楽観していません。(終)

    拙訳御免。

    原文は;庞氏增长,经济舵手换人是否有救?
    voachinese.com/..15/3465444.html

    何清漣氏のこれまでの日本語論考は;heqinglian.net/japanese

     

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