• ★「全人民が起業家に」の無残な結末★2016/09/06

    by  • September 6, 2016 • 日文文章 • 0 Comments

     

    百年前、中国社会が激しく移り変わるのを観察した梁啓超は中国の社会と民情に対してその冷徹な目を向け、「中華の風を表すには8文字で十分足る。『偽りから始まり、恥知らずで終わる(始于作伪,终于无耻)』だ」と喝破しました。李克强総理が去年の9月に提起した「全民創業、万衆創新」運動もいまや梁啓超の言葉通りになってしまいました。メディアによえれば大学生の起業は95%が失敗し、残る一部の成功者のやり方は「恥知らず」そのもので、いまネットで話題になっている”起業成功談”は創業時期(2015年)に「最初学校内専門の洗濯屋を起業したが4日間に一件しか注文がなかったので、付近の学校のセルフ洗濯場の電源を切断して注文を沢山取って大成功した」という「宅代洗」が典型的です。

    ★「双創運動」ー民のためと言いながら結果は逆に

    中国の失業問題は深刻で、胡温の任期中に大学生の間に「卒業、即失業」という現象が起きていました。その時、李克强は副総理でいかに中国人にメシを喰わせるかというのはずっと彼の関心事でした。2008年に早くも大学生の起業奨励は中国の大学院や専門学校のスローガンとなっており、就職難で大学生が起業する数は不断に増加しました。高等教育研究機構の研究員は「2013年中国大学生就職レポート」で大学生起業比率は2008年の1%から2012年の2%に倍増したとしています。

    政府が指導する起業は李克强総理が「全民創業」を唱えてからです。このアイデアは最初、李克强が2014年7月に湖南大学の学生起業センターを視察したとき、106元で湖南大学の学生が作った4つの起業作品(手書きの絵葉書など)を購入して学生に「君はスティーブ・ジョブズみたいだね。卒業前に起業したなんて」と褒めたのです。二ヶ月後、李克强は天津の夏季ダボスフォーラムで「960万平方キロの大地に一大大衆起業を起こし、草の根の創業のブームをつくろう」と語りました。2015年3月には中国政府のリポートに初めて「全民創業、万衆創新」という言葉があらわれ、起業を指導する計画を推し進めることが認められました。同年6月、貴州で四人の留守児童が農薬を飲んで集団自殺する事件が起きた時、このような悲劇を起こさないためにも、と李克强は農民工に故郷に戻り起業して家族との団欒を楽しむことを奨励しました。

    率直に言えば、中国の各種の政策の中でこの起業を奨励指導するというのはまだ真面目で良い方策だといえるでしょう。2年間に中国で国民起業のために出された政策には、一つは起業登録の敷居を低くするもので、例えば有限責任起業の登録に最低3万元、個人の有限責任企業の最低登録に必要だった10万元、株式会社なら最低資本が500万元という制限を取り消し、企業登記の条件を解放しました。二つ目には政府が条件に叶えば指導資金を提供しました。米国ブルムバーグがコンサルタント企業の清科グループからとして紹介しているデータによると、2015年、政府がサポートしたリスク投資ファンドは1.5兆元で、その管理総資産は2.2兆元になっており、2014年のリスク投資ファンド資産は3倍となりました。ロンドンに本部のあるコンサルタント企業のPeriginはこれは全世界で最大規模の創業基金であり、2015年の全世界の他の地域の起業ファンド総額の5倍にあたるといいます。全国には780もの似たようなファンドがあり、その資金の大部分は税収や政府の貸与金から出ています。

    しかし、起業家の95%が失敗してしまい、李克强が「双創」を提起した時には考えもしなかった悲劇的結果となってしまったのです。

    ★政府が資金をテコ入れしても、起業家が需要を得られず

    政府が指導した創業起業ファンドは創業者に資金的なテコ入れを果たすためのものでした。しかし、それは起業家に市場の需要をもたらすものではありません。すくなからぬ起業家はここで落とし穴に落ちてしまいました。データバンクの「IT桔子」のデータによると、中国で2013年以後生まれた企業の死亡(倒産)数は406社で、そのうち2013年にできた企業の死亡率が90.6%を締めます。メディアが広く伝えているところでは「中国創業起業の失敗率は8割前後で企業の平均寿命は3年足らず、大学生の起業の失敗率は更に高く95%」といわれます。

    新華社はこれに関する専門調査を行い、その結論も大学生起業の失敗率は9割以上としています。この調査では最も成功率の高かった浙江大学を例に起業の難しさを説明しています。

    ;「浙江大学の学生の第一次起業の成功率は約5%ではるかに全国平均を上回る。しかし、浙江社会科学院調査研究センター主任の楊建華は中国社会科学院などの調査研究データをあげて、大学生の創業成功率は社会平均の成功率よりはるかに低いとし、大部分の「大学ブランド」は創業の始めの段階で夭折し、3年もたないとしている」。

    いわゆる創業というのは実はつまり中小企業を作ることです。一国の起業経営環境の良し悪しはその国の中小企業の死亡率からも伺うことができましょう。中国の中小企業の死亡率は相当に高いものです。1993年以前の民営起業の平均寿命は4年。2000年には7.02年に伸びました。2010年に中国の中小企業は約4000万社あり、平均寿命はたった2.9年でした。(中国経済ネット。4月12日)。2012年のデータでは中国の中小企業の平均寿命はわずか2.5年(集団起業の平均寿命は7〜8年)です。これと米国の銀行や小企業局(SBA)の借款に依拠する米国での起業による零細企業の平均寿命は8年以上です。というのは米国の零細企業起業援助は資金だけでなく、全国に1000以上の零細企業技術補導センターが無償で零細企業のための技術相談を行っているからです。

    これは疑いなく中国の企業の生存環境の劣悪な状態の影響を反映したものです。中国の中小企業工業の総資産価値と利益と税金額は全国企業総数の約6割から4割を占めており75%の都市と町における就職チャンスを提供しています。中小企業の寿命が短いということは必然的に中国人の就職を日々苦しいものにしています。中小企業の生存がこのように困難な時に全く無経験な大学生に起業させるのは自殺行為です。中国のメディアは例えば自殺、蒸発、担保を負わされた家族の債務によって多くの人々が赤貧洗うがごとき再起不能状態になっていることなど、不断に起業失敗者の悲劇の話題を報道し続けています。

    まさに、「龍の種を植えて、ノミを収穫する」の図になっています。

    ★創業成功にインチキはなぜ必要なのか?

    私には「双創運動」が言われだしたときからこんなものは成功しっこないとわかっていました。わかりきった話をここでもう一度しておきますと、企業の成功というもは外部では良好な社会環境が必要なのです。例えば政策、政府の貢献、社会の信用などです。そして内部では創業者の経験、起業の生産品の研究開発と企業の人事、財産の管理、管理能力や市場営業能力などが必要です。一番簡単な言い方をすれば、創業資金だけではダメで、市場も必要です。こうした条件をすべて兼ね備えていたとしてもなお起業というのは危険に満ち満ちており、安全な道などありません。中国を代表する起業家の馬雲や郭広昌らの成功者はほんのごく少数で、無数の失敗の話はとっくに大衆からも忘れられています。

    であるがゆえに、私たちは一番最初に書いた最近指弾されている「宅代洗」のお話に行き当たるのです。報道によればこの会社は起業後4日間に一件しか注文が得られなかったために、他の学校のセルフ洗濯機の電線を切るという「奥の手」を使って、顧客がどうしても「洗濯アプリ」を使わざるを得ないように仕向けて「すごい需要」を生み出し、1日に1100件の注文を受けて、最初の月に60万元の営業利益をあげたというのです。

    この話は商売の信用という問題を浮かび上がらせました。「財新ネット」は「インターネット企業の悪習慣養成記」という記事を発表し、いくつかの有名な企業者のインチキ事件を回顧し、筆者は「インターネット起業は儲からないどころか損するのが当たり前になって、いろいろなことが変わってしまい、最後には道徳感までなくなってしまった。ネット上には『なんで起業家ってますますひどい恥知らずばっかりになるの』という声ばかりだ」とあります。

    中国の道徳体系はとっくに崩壊してるわけです。もう15年も前の2001年8月の「遠東経済評論」に「詐欺師の共和国」という記事があって、そこでは「People’s Republic of China」がいかにして「People’s Republic of Cheats」(詐欺師共和国)になったか、と言われていました。

    中国の信用システムの崩壊は、以前、四つの局面`英国の東アングリア大学が15か国の1500人による二つのネット抽出調査で得た結論は、中国人の誠実と信用度が最低で、日本人と英国人の誠実と信用度が最高でした。

    起業は世界中どこでも容易いことではありません。「Funders and Founders」の調査では創業者は1回目で成功するのはわずかに12%。二回目のチャレンジで20%で、創業成功というのは確率の低いことなのです。中国のような社会環境が悪い中ででは当然、もっと低くなります。

    早くも6、7年前、中国では多くの民営起業が市場から退場し、経営環境が悪劣なので、投資しないことがむしろ一番財産を保全する道なのです。いまや、中国経済の危機は日増しに迫っており、起業倒産はブームで、マーケットはどんどん萎縮しています。教育界という危機が伝わるには一番最後の分野でも人減らしが始まっているような時に、初めて社会に出て行く企業の経営管理経験の全くない大学生に借金させて起業させるというのは、必ずや最後にはそこら中が荒蕪地だらけとなりはてます。起業者の絶対多数は失敗から貧困に陥り、ごく少数が詐欺的な行為によって成功をおさめるのです。(終わり)

    拙訳御免。
    原文は;何清涟:“全民创业”为何又成荒芜之地?

     

    Leave a Reply

    Your email address will not be published. Required fields are marked *