• ★グローバリズムへの逆流と愛憎★ 2016年10月11日

    by  • November 22, 2016 • 日文文章 • 0 Comments

     2016年の世界の大事件では、反グローバリズムへの潮流がまず一番に挙げられるべきでしょう。国際通貨基金(IMF)、世界銀行、世界貿易機関(WTO)の年総会といえばグローバル経済のリーダーたちの集いですが、最近のこの三組織の会議で、彼らグローバリズムの旗手達は、この20年にわたるグローバリズムへの抵抗を討論し始めました。別に彼らが考え方を変えたわけではなく、急激に変化する世界情勢が彼らを現実に直面せざるを得なくしたのです。

     ★経済のリーダー達はグローバル化の苦境をいかに表明したか

     グローバル化の影響については、これまでの「聖典」ではこう説明されてきました。
     グローバル化と自由貿易は、就業機会を増やし、人材の国際的流動を今より容易にする。先進国、発展途上国、貧しい国々はこの過程の中で、それぞれが利益を得ることができ、グローバル化の進展、拡張によって、当然、普遍的な価値(*民主、人権など)も広まる。ただ、中国だけが受け入れを拒否している。
     
     しかし、移民問題は去年、欧州の難民の大潮流となり、それはグローバリズムの情勢の逆境の転換点になりました。現在、先進国ではますます多くの人々が自由貿易と移民に反対し始め、グローバリズムの大親分の米国でさえ、左右のポピュリズムが2016年の大統領選挙において想像から現実に変わって、今年の大統領選挙を一大泥仕合にしてしまいました。世界銀行やIMF、WTOは先日、開催したワシントンでの年次総会で、この潮流に対して反対するプランを議題にし、米国大統領選挙と英国のEU脱退が産み出した政治的な危険と不確定性が、グローバリズム経済の最大の差し迫った問題だとしました。ドイツの財務長官は会議で、英国のEU脱退の国民投票から米国のグローバリズム攻撃の選挙戦の盛り上がりは、どちらも共通の導火線があり、それは、エリートや政治リーダーへの不信がますます強まっていることだ、と述べました。

     米国の2016大統領選挙が各国の経済界のリーダー達が極めて注目しているテーマです。それは共和党のトランプの言葉が多くの選挙民を引きつけ、彼を共和党候補の地位にまで引き上げたことであり、参加者にはこれを「反グローバリズムの狂乱の潮流」と表現しました。米国は本来、自由貿易の最大の支持者であり、グローバリズムの誰にも負けない推進者だったのです。この世界の経済界のトップが集まった時点ではまだ次期ホワイトハウスの主人は未定です。で、IMFの会議では興味深い現象がみられました。
     それは、彼ら世界経済のエリート達は保護主義や、グローバリズムが直面する、存亡の危機に対しての懸念は表明したのですが、直接、トランプ氏の名前に言及することはしませんでした。しかし、彼らは民主党のヒラリーにもあまり安心できないでいます。民主党のもう一人の候補者選定に参戦したサンダースが、グローバリズムを批判することによって注目を集めていたからです。そしてヒラリーはサンダースにどんどん歩みよったわけですから。

     ★EU脱退に着実に歩む英国

     欧米の国家の中で、英国は唯一、頭に血が上らずに理性的に事を運んでいる国です。EU脱退という選択は一時の思いつきではなく、BBCの政治をテーマにしたムービーには、EU脱退をテーマにした映画が二十以上あり、1950年代の欧州一体化の交渉に参加した政府の役人から、現在の欧米の政界、経済界の大物まで、そして英国の中小企業の経営者や労働者まで記者は様々な人々にインタビューしています。その中で私が深い印象を受けたのは、「Who Really Rules Us」(誰が我々のルールを決めている?」)という番組でした。これは、EUの最近の無茶苦茶なバナナ法、キュウリ法(*スーパーで売られるバナナやキュウリは曲がっていてはいけない、というEUの”法律”)から始まって、記者が、英国市民が自分たちで組織したEU訪問団に同行した記録映画です。

     この数十名の英国市民はEU訪問中に、EUの議員や職員、欧州大陸国家の人々に様々な広範な問題を質問しました。それは結局、最後には二つの大きな問題に収斂していき、⑴ 英国のEUの議員は民選ではなく、任命である。そして自国の納税者や選挙民に責任を負わないので、英国市民の意思を反映していないのに、却って、英国民にそれを順守せよ、と迫る。⑵ 英国はEUにおいて、主権を失った。その結果、EUの制定する法律の大部分は英国の国情に合わないものであり、規則はやたらに増えて、司法は混乱し、何をしていいかわからなくなった。記者と訪問者たちは異なった年齢のフランス人、ベルギー人の青年らに、「EUに加盟してどんないい点があったか?」と訪ねた結果、答えはほとんど同じで、「我々は五億人の大きなファミリーのメンバーになり、世界で前より力があるようになった」というものでした。

     英国メディアの姿勢については、「世界共通の問題;大衆の信頼を失うメディア」heqinglian.net/../06/trust-media で既に書きましたが、欧米のメディアの大部分は「ポリティカルコレクトネス」(*本来は政治的・社会的に公正・公平・中立的で、差別・偏見が含まれていない姿勢のことだったが、それを重んじるあまり、それに反する事実は報道しない、という姿勢が生まれた。)の影響下にあって、それが、本来の「社会の危険を、高台から見渡して警告を与える」という役割をダメにしてしまています。しかし、保守主義の伝統がまだ存続する英国においては、メディアは違っていました。6月23日の、EU脱退の可否を問う国民投票で脱退を決める前のえ、英国の大小の新聞は世論を統一などせず、ある新聞は脱退を、別の新聞は残留をそれぞれに訴えて、様々なメディアがトップニュースで伝えており、最後の段階では互いに一歩も譲らぬ大接戦でした。ですから、メデァイアの観点も同じではなく、情報の受け手たちは両方を比較して事態を理解できました。これは政府と同じ立場に立つドイツの「ポリティカルコレクトネス」を重んじたメディアよりははるかに社会に好影響を与えたのでした。

     ★言及されない英国のEU脱退理由は「主権の独立」

    一般に公認されている欧州一体化の理由は三つの核心的な柱があります。すなわち、欧州共同体、共同の外交と安全政策、司法の内部事務協力、です。現在、英国の新首相のテリーザ・メイは時勢を見抜く姿勢と、自分の考えをはっきり持った人です。元々は、EU残留派に属しており、中国のヒンクリー原発プロジェクトに反対していました。しかし、首相になってからは、国内の欧州残留派の要求する二回目の国民投票を行えという圧力に屈せず、国民投票は一回だけで、二度はないという姿勢を貫きました。また現実的な考慮から、中国のヒンクリー原発プロジェクトの協力を再開しました。

     世界は、英国のEU脱退は反グローバリズムであると認識していますが、しかしグローバリズムは主権国家にプラスの効果があったでしょうか?必ずしもそうではありません。例えば最近、スウェーデン国籍のEU反民族主義・不寛容の専門職員のChristian Ahlundは、メディアに対してテロ分子の宗教を報道しないように要求しました。この御仁は、英国のヘイトスピーチが増加しており、EU脱退後はさらに増加傾向にあることから、英国政府に対して、自国の記者により厳しい「テロ分子のムスリム信仰については報道しないように」という要求を突きつけました。英国はEUのこのニュース報道管制への要求を突っぱねました。(FREE SPEECH CRACKDOWN: Europe tells British press NOT to reveal if terrorists are Muslims)

     Great Repeal Bill(*各種の規制撤廃を呼びかける法 en.wikiversity…eat_Repeal_Bill)と英国がEUを拒絶する世論の一致した要求は、事実上、英国がグローバリズム下の欧州融合運動を否定することです。欧州融合運動の究極の目標は国家主権を消滅させることで、欧州憲法の責任者であるジュリアーノ・アマート(ja.wikipedia.or..%83%BC%E3%83%88)は、2000年7月12日にLa Stampaの取材に対して、「ゆっくり前進し、主権をひとつひとつ粉砕していきたい。この過程において、民族権が突然、連盟の権限を制限するようなことのないように、、単独国家の主権がなければ極端な独裁主義にならないし、民主は君主を必要としない」と話しています。

     英国がやっていることは、まさに一国家の主権の法律システムを回復することで、EUが主権を消滅させるという点において、英国が真っ先にそれを感じ取ったわけです。

     ★世界が米国を注視

     米国はグローバリズムの進行において、指導者であり、正真正銘の第一の推進者でした。世界各国の指導者はみなトランプの当選はグローバリズムへの凶兆であり、災難だとみています。米国2016年の大統領選挙はとっくに、問題をめぐる討論から、人品をうんぬんする方に向かっており、ヒラリーが勝つ可能性が高まっているようです。しかし、世界経済の指導者達は依然として心配なのは、ヒラリーがどの程度グローバリズムをこの先、守り続けるだろうか、という点です。

     英国のフィナンシャルタイムズ10月10日に「米高大統領選挙の裏表」を掲載し、筆者は大統領選挙の表面上の大騒ぎに拘泥せず、米国の「中身」を問題にしています。筆者は、大統領選挙の結果がどうあろうと、米国の経済的な中、長期の成長は抑制されるだろうとしています。具体的に言えば、この深層の趨勢は以下の三方面であらわれるだろう、と。

     ⑴ 構造改革の過程の鈍化。誰が当選しようと、構造改革は回避できない重大なチャレンジを受ける。成熟し、バランスのとれた大勢の下では、大統領本人が、他のパワーセンターに対して、十分な説得力と凝縮力を持っていてこそ、有効な改革が進められる。さもなければ、大統領の一方的な行動は際限のない紛糾を招く。筆者の言いたいのは「二人の候補者のどちらが当選しても、本質的な欠陥があるから、政界に対しても、強い説得力や凝縮力がないから、構造的な改革は困難。
     ⑵ 通貨政策の不確定性が増大する。
     ⑶ ポピュリズムの危険が現実化する。トランプは米国の右翼ポピュリズムを代表し、またサンダースの攻撃によってヒラリーも左翼ポピュリズムを採用した。これによって、大統領選挙の結果がどうであれ、ポピュリズムは堂々とまかり通るようになり、また政策の中に登場するだろう。

     グローバリズムの過程での逆転現象は、2016年に始まったばかりです。唯一の方法はこの局面に正面から向かいあって、グローバリズムのマイナス面をどうやって解決するかを考えることです。(終)

     拙訳御免。

     原文は;世界对全球化的爱与恨 voachinese.com/..10/3545115.html

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