• ★中国はグローバリズムの旗手になれるか?★2016年11月25日

    by  • November 25, 2016 • 日文文章 • 0 Comments

    トランプ次期米大統領が、就任と同時に環太平洋経済連携協定(TPP)離脱を表明すると宣言したことは、TPP発効にかすな望みをつないでいた国々を絶望させ、チリ、ペルーは中国が推進する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への協議参加に興味を示しています。世界は「米国第一」を掲げるトランプが、「世界のリーダー」の地位を気前よく譲り渡すのではないか、ということに否応なしに意識せざるをえなくなりました。英国の「ファイナンシャル・タイムズ」は「世界のリーダー」の任務を二つに分けて分析し、サイト上に大きく、「中国がグローバリズムの旗手に」と「メルケルが西側のリーダーの後継者」の2記事を掲載し、グローバリズムの経済指導の大任を中国に、西側の価値観の後継者という大任はドイルのメルケル首相に与えたのでした。

    数日前にオバマ大統領が訪欧した際、すでに価値観に関するトーチはメルケル・ドイツ首相にバトンタッチされ、彼女は4選出馬を表明しました。しかし、北京が果たしてグローバリズムの経済上の旗手になるかどうかはまだ注意して見守る必要があります。

    グローバル化勢力のリーダー空位、中国ではなぜ人気

    中国政府がまだ「グローバル化のリーダー」の地位についての姿勢は明らかにしていません。しかし、民間ではもう政府より先に「トランプ勝利は中国の大チャンス」といった文章が登場しています。大意は「トランプがアメリカ第一主義を唱え、世界のリーダーの地位を明け渡すのは『中国にとって重要な国際戦略のチャンスで、この得難い機会をなんとしてもつかみとるべきだ!」というものです。また、「何十年の苦労が実って、役割が完全に入れ替わった。なんと、これまでアメリカが世界をリードしてきて、中国は鎖国していたが、今や中国がグローバリズムの柱ととなって、米国が鎖国しようとしている」と感嘆する声もあります。

    こうした民間の「さあ、今だ!チャンスをつかめ!」という声は「政治的には絶対正しい」ものですが、トランプの「米国優先」というのは、米国はもう自分のお金を出して他の国の国家建設を援助しない、という意味で、別に鎖国しようというのではありません。トランプがTPPを廃止してから、アメリカでは労働者や労働組合、環境保護団体、中小企業を含むグループがお祝いしています。事実上、TPPは、ただ米国が、メンバー国家に対して何万にもなる輸入品の関税を下げるという話であって、別に自由貿易宣言ではありませんでした。そんなものがなくても、世界各国の間で自由貿易は長年存在し続けてきており、関税や貿易障壁だって存在してはいましたが、別にだからといって、「自由貿易じゃない」などとは誰も言いはしませんでした。

    中国がグローバリズムの新リーダーに、と言われるのはグローバリズムの中で果たしてきた役割から連想されたことなのです。

    中国はグローバリズムの最大の受益者

    今年の8月に「グローバル化と難民問題—動揺止まぬその基盤」を書いて、前世界銀行のエコノミスト、ブランコ・ミラノビッチとイェール大の政治学教授・ジョン・E・ローマーがハーバードビジネスレビュー誌上でこう指摘しているのを紹介しました。

    「グローバル化の流れの中で、中国とインドという二つの発展途上国が急速に上昇して世界の不平等の度合いは大幅に下がった。しかし多くの先進国の内部では貧富の文化は却って不断に拡大している。1988年から2011年までに発展途上国家の下層家庭の収入はほとんど変化がなかったし、ここから引き出される厳しい結論は、つまりグローバル化発展は世界全体の収入を上昇させ大きくグローバルでの収入の格差を縮小するが、しかし同時に国内の不平等の加速を招く、ということだ。そして後者の不満の気持ちの下で、グローバリズムは世界をもっと不平等にするものだと思われかねない」と。

    数日前、米国メディアもに年前に、米国連邦貯蓄準備制度( FRS/米の中央銀行)の経済学者ジャスティン・ピアスとエール大学のピーター・スコット教授が連名で発表したレポートを掲載しています。その重要な結論は、「米国は2000年に中国を貿易の正式パートナー(PNTR)の地位を与えて以来、米国製造業の就業チャンスが失われた一半は中国からの輸入商品の増加のせいである。米国のPNTRによる影響を比較的多く受けた地域(郡単位)では、失業率が1%増えるごとに自殺率が11%増えるという明らかな相関関係がみられる」という指摘です。この論文は、白人男性が製造業に従事する比率は他のグループより高いので、白人男性層が重大な損害を受けている、としています。

    しかし、グローバリズムに巻き込まれた国家で最大の例外が、純粋に受益者だった中国です。この利益は四つの面から総括できます。

    第一は、GDPの劇的な増加。中国は「改革開放」元年の1978年の2168米ドルから、2015年の10.98兆米ドルと、48倍もの増えました。

    第二は、資本の純輸入国から資本の輸出大国に。改革解放前、中国は兄弟国家にだけ国家援助を行っており、投資はゼロでした。2015年、中国の対外直接投資は初めて1兆米ドルを超え、世界第二の対外投資国になりました。

    第三は世界最多の兆級富豪数。改革開放前はゼロだったのが、2015年には568人で、米国の535人を抜き世界最多に。世界中の2188名の超級富豪の4分の1強となりました。2015年、中国では5日ごとに一人の超級富豪が生まれました。科学技術、消費物資、小売業、不動産業が「温床」でした。

    第四は、総人口の2割が中産階級になりました。クレディ・スイス銀行の2015グローバル財産報告によると、中国は世界最大の中産階級人口を持ち、その数は1.09億人で、米国の9200万人を超えました。

    しかし、中国はグローバル化の全てを受け入れたわけではなく、例えば、選挙権を核心とする政治的権利などの世界の普遍的価値観は、ずっと拒絶し続けています。胡錦濤の時期から、中共中央は、カラー革命防止、「5つのやらない(*民主化はしない!)」「7つの教えない事」 (訳者注;「「七不講」 大学・高校など教育の場で「①西洋的価値観 ②報道の自由 ③市民社会 ④市民の権利 ⑤中共の失政 ⑥紅色権力貴族の存在 ⑦司法の独立など西側の価値観の七つを教えるな、という中共の学校への通達。公表はされていない。
    )などではっきり、西側の価値観が中国に入り込み、影響を与える事を防止しています。この点では中国は植民地時代の清朝朝廷が西洋化を拒否し「中体西用」としたのと同様、今は「マルクス主義を体となし、西側の技術は利用するだけ」です。

    中国政府から見れば、中国はグローバル化の経済の利だけを得て、西側価値観の害を免れ、巨利を得て、儲かるだけ儲けて元手は一銭も減らないと言ううまい商売をしているわけです。ですから、米国や欧州連名(EU)が右翼ポピュリズムによってグローバル化に反対しても、中国はその反グローバリズム軍には決して参加しません。

    グローバル化軍の旗手に、中国はなれるか?

    世界のリーダーになりたい、という願いは20世紀以来、数多くの国家首脳たちの巨大な夢でしたが、達成するのは困難至極です。このリーダーになるためには、他でもない三つの力を持たなければなりません。軍事の実力、経済の実力、ソフトパワーの力です。同時にこの3種の力を持ち、それを長期維持できたのは極めて稀です。米国はかつて「神の選んだ国」として、第2次大戦後、長期にわたってこの三つの力を持ってきました。

    以下、中国はどうかを見てみましょう。

    軍事的実力では中国の軍事力は世界第3位、で世界火力指数では第四位で、どちらも5強の中に入っています。しかし、第1位の米国と比べるとその差はあまりにも大きいことは世界中が周知のことです。とりわけ、グローバル展開するための空軍、海軍の作戦能力では極めて遅れています。

    経済的な実力では、中国は米国とともにGDPで10兆ドルクラブの2名しかいない会員資格を持っていますが、一人当たり平均にすると差は大きすぎます。2015年を例にとると、世界191カ国で米国のGDP総量は17.94兆米ドルで世界第一位ですが、中国は10.98兆米ドルです。しかし、米国人一人当たりでは49866米ドルで12位ですが、中国人は7990ドルで76位です。米国はこの力を持ってしても、なお7割の国民は米国政府が他国のことにかまけないで、国内の仕事をちゃんとやって民生を改善しろ、と求めています。実力で遠く及ばない中国は自分の分をしっかり測ってみることです。中国の金持ちは確かに米国より多いかもしれませんが、貧しい人々の数はインドに次ぎ世界第2位です。新疆、チベットや内地では毎年、「国家安全の費用」と称して軍事費とほぼ同額のコストがかかっています。このような状況の下で「治安を維持している」だけでも大したものであって、米国のように全世界のリーダーとして意気揚々と全世界に力を広げて見せるというのはとてもできることではありません。

    価値観の方面では、胡錦濤時代には「中国モデル」を言い出して、一部の中国や外国の学者連が「北京の常識がワシントンのそれに取って代わる時代」とか言い出したことがありますが、習近平政権になってからはこの言い方は棚上げとなり、世界中にお金をばらまいてみせる経済力を見せるようになりました。

    こうした弱みは、中国政府はしっかり分かっています。グローバル化の騎手というのは大変聞こえはよく、「天下は回り持ち、いよいよ皇帝の座が我が家にやってきた」なのですが、北京はもっとはっきりと「夢のご馳走は結構だが、今晩の飢餓はどうするか」みたいだということをわかっています。この「飢餓」とは、現在の中国金融システムの持つ危険性です。

    フランス興業銀行の最新のグローバル金融市場の「ブラックスワン」(*事前にほとんど予想できず、起きた時の衝撃が大きい出来事)リストでは、中国の不動産バブルと高額の負債、不良債権は「最大の純経済的危険」とされ、中国がハードランディングする確率を2割とみています。これは誇張でもなんでもなく、国内メディアが今、叫び出したスローガン「不動産を捨てて、外貨備蓄を守れ」を見ても、中国の外貨準備学という金融防波堤の一番弱い部分で、急速に流出する危険に直面していることが分かります。中国政府が必死に守ろうとしているのが、国際通貨基金の5大備蓄通貨になったばかりの人民元ではなく、米ドルであるという事実を見ても、その実力がはるかに米ドルに及ばないことは明らかでしょう。

    米国の世界の指導者としての地位は、第一に超強力な軍事力。そして第二には長期にわたる実績から来る世界中の承認の上に、米国債を売ることが出来る力、第三に経済で全世界を支える力です。中国には、まずこの米国の国力はありませんし、二つ目には西側世界の価値観に加わることが出来ません。三つ目には人民元は米ドルの国際的な地位はありませんから、とても米国の地位を受け継ぐことなど出来ません。もし本当に受け継ごうとしたら、大変な思いをして、なお世界中から「前の親分が良かった」と文句たらたら言われることになるでしょう。

    以上の事実に鑑みて、こう言えるでしょう。

    米国が自分の世界のリーダーとしての力を弱めたいというのは、確かに中国にとっては喜ばしいことです。その理由はイデオロギー上、オバマ政府の時のように、中国への各種の圧力は少し減るでしょうから。しかし、北京が、西側メディアが米国への警告として煽り立てている記事によって、北京がその気になってしまうだろうと思うなら中共総書記の習近平の能力をあまりにも低く見過ぎています。

    習近平指揮下の中京は、決して米国と覇権を争おうとはしますまい。彼らが願っているのは国際構造は最終的にロシア、米国、中国の三本足の鼎のようになることであって、中国はその大師匠の毛沢東がやったように、米国とロシアの間を悠々と泳ぎ回り、細心の注意を払って中国という高度に資源を対外依存した国家としての経済利益を獲得し、中共のがいつまでも政権を握っていられるようにすることなのです。(終)

    拙訳御免。
    原文は;中国会勇扛全球化领军大旗吗?http://www.voachinese.com/a/he-qinglian-globalization-20161124/3610627.html

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