• ★2016年の世界(2)—BRICSの剥げた金メッキ★2016年12月30日  

    by  • December 30, 2016 • 日文文章 • 0 Comments

    2016年、かつては国際投資業界から希望の星と見られていたBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南ア)はどこも経済不況におちいり、それぞれ異なった原因のトラブルを抱えています。

     

    ロシア—経済苦境

    ⑴ 

    ロシアがクリミア半島を併合してから、欧米の対ロシア経済制裁は次第に強まって、ロシア経済を不況に追い込んでおり、更にエネルギー供給の構造的変化によってロシア経済は苦境に陥っています。ロシア貯蓄銀行の首席アナリストのミハイル・マトフニコフのレポートによると、ロシアの労働力コストは中国より低く、全ロシアの労働者の平均収入は月額433米ドルで、スロベニア、ルーマニア、ポーランド、中国より下です。ロシアの収入減の原因はルーブルの対米ドルレートが暴落した他に、国際エネルギー価格の下落があります。石油価格の下落の原因の一つにはISが盗掘した石油を国際価格の三分の一で売っていることも一因です。 

    西側は皆、プーチンの命運は長くないだろうと予想しました。しかし、2016年12月のAP通信社とシカゴ大学の「全国アンケートセンター公共サービス研究所」が共同で行った調査によると、8割のロシア国民は依然としてプーチンを支持しており、自国経済の不況はプーチンのせいではなく、彼がまだ経済復活させる力があると信じています。 

     

    ⑵ ブラジル経済の不況は「戦争の後のよう」

    ラテンアメリカ諸国はずっと左派連合で、経済は停滞しています。1998年、ウゴ・チャベスがベネズエラの大統領になってから、キューバのカストロの「真っ赤な共産主義」より、柔軟性を持ち、温和な社会主義版の「ピンク色の波」がラテンアメリカ諸国で盛んになりました。ブラジルは2002年のルーラ・ダ・シルヴァを代表とする左派が4度目の選挙参加で当選し、温和な社会主義経済改革路線をスタートさせ、釈迦し民主党政府の部分的新自由主義経済の継続以外に、政府支出を拡大することによって経済成長と社会福祉を増進させ、2009年、オリンピックの成功時には、ブラジルの経済は大変うまくいっているように見え、一度は国際投資資本から、中国に代わる投資先だともみなされ、2010年の経済成長率は7.5%に達しました。

    2011年1月1日からは労働者党出身のジルマ・ルセフ新政権が発足し、通貨と信用の急速な経済拡大刺激策を通じて、短期的に経済成長を維持しました。しかし、政策のマイナス面が現れるのも急激でした。利率と貯蓄率は不断に下降し借款総額は前代未聞のうなぎのぼりとなって、政府支出が不断に増加しました。この状況に対して、オーストリア学派経済学者は経済周期理論に基づいて、中央計画経済と政府の経済関与、市場の自由は互いに相容れない存在で必然的に危機を招くとして、ルセフの経済政策に強い批判的態度を示してきました。2015年、ブラジルのGNPは6年来初めてのマイナス成長となり、2014年に比べて3.8%のマイナスとなりました。2016年4月17日、ブラジル議会では、違法な国家借款で、連邦政府の予算の赤字を隠したとして、ルセフ弾劾決議を賛成多数で通過させました。8月、ブラジル史上初の女性大統領ルセフは解職されました。

    マサチューセッツ工科大学の経済学者Roberto Rigobonは、ブラジルでは今は内戦は起きていないが、経済状況では内戦を体験した国家と同じ状態になっており、「インフレは天井知らずで国家経済は停滞している。経済的な側面から言えば、ルシフ政府の執政は破滅的な災難だった」としています。

    この危機の根源について、ブラジルではまだコンセンサスが得られていません。一部の人々はルシフ政府の政策のせいで、その根源はダシルバ政府にあるとし、別の人々は、鉄鉱石と石油などエネルギー価格の低迷や、中国のブラジル輸出品に対する需要低迷、米ドルの上昇が経済不況の原因だとしています。こうした見方は政治レベルに影響し、ブラジル人大衆の間では少なからぬ人々が、議会がルシフ前大統領の弾劾に不満をもって、新大統領のミシェル・テメル政府に抗議する大規模集会には何万人もが参加して総選挙を要求しています。

    2016年、ブラジル経済社会の全面的な動揺の中、危機の原因や解決の道への政府、民間のコンセンサスが失われたままの状況は2017年も続くでしょう。

     

    ⑶ インドの「経済革命」;紙幣使用禁止、金と一部不動産の没収

    インドは中国と並ぶアジアの二大人口大国で、長年来、西側国家は「竜と象の対決」のどちらが勝利者になるかについて様々な説が出されてきました。2016年11月、インド財務省の高官は自信満々に「インドは中国から、『世界の成長力となるバトン』を受け継ぐ用意がある」と語りました。2016年8月のIMFのインド経済予測では今年のインドの経済成長は7.5%に達し、中国の6.7%を上回っていました。

    ちょうど、インドも世界も経済の将来が明るいと見ていたその時、インドの首相・ナレンドラ・モディが11月8日にインドの汚職と地下経済に打撃を与えるために「高額紙幣廃止令」を宣言して大混乱を引き起こしました。その原因は、まず第一に、廃止された500と1000ルピー(1ルピー=1.7円 2016年12月現在)はこのアジア第三の第経済体で流通している貨幣の8割を占めていました。第二には、インド経済の総規模は2兆米ドルで、小売業がその56%を占めます。第三には新札がなかなか手に入らず、少額紙幣しか流通していないので、消費停滞現象が起こった。これに、新しい2000ルピー紙幣を手にした人は使い惜しみしたり、釣り銭がなかったことから、使おうとしなかった。というわけでインド経済は流動性の危機におちいったのでした。インドの2016年と2017年の財政年度ではこれによってGDP成長率が4.1%下降するとみられています。少なからぬ大量の紙幣を溜め込んでいる金持ちは、お金が無駄にならないように貧乏人に10~15%の費用で交換させたりしています。変えることができなかった金持ちは廃止された紙幣を袋に入れて川に捨てることもありました。

    そればかりか、86%の流通通過を廃止したのち、モディ政府は黄金を没収して国庫に入れようとしています。新たな規定では結婚している女性は500グラムまで、未婚女性は250グラムまでの黄金を、男性は100グラムまで所持を許されるだけです。これ以上持っていたら、捜査員が自分の判断で没収できるとしています。

    インドの厄介ごとはこれだけでは終わりません。フィナンシャル・タイムズ紙は、モディの次の目標は違法な資金によって購入された、本当の持ち主でない名義で登記された不動産を目標にしそうだ、と述べています。さらにこの記事はモディは「非常的な改革措置」として、所得税をやめて、銀行の取引税に変えることも考えているとしています。

    あるインドの経済学者は、反映している経済体の通貨を変えることは高速で走行中の車のタイヤに銃弾を撃ち込むようなものだ、と述べています。この総理の異常な「経済改革」は、2014年4月のインド総選挙の直前に、エコノミスト誌がトップで報じたインドはモディ総理が実現したら大変なことになるという「誰がモディを止められるか」という記事を思い起こさせます。

     

    ⑷ アフリカの「伝統国家」に回帰する南ア

    2016年2月、世界銀行の南アの2016年の経済成長率予測はたった0.8%でした。7月になってIMFのそれは0.1%になりました。世界銀行は主要商品の価格低迷、中国の需給の低下、深刻な干ばつがみな南アの発展を妨げているとみています。この二つの国際組織は現在南アの経済環境の変化は激しく、最も懸念される要素は頻繁なストライキだとしています。南アは金鉱とプラチナ鉱山の大変豊富な国ですが、こうした鉱区のある地域はストライキが最も頻繁に起きている地区です。以前は5カ月にわたる長期ストが行われ、南アの経済発展に極めて大きな影響を与えました。

    ポスト・マンデラ時代の南ア政治は国際社会のタブーのテーマではありません。18年間の執政中、アフリカの指導的な立場にあった政府は膨大な数の黒人中産階級(主に公共領域で私的分野ではない)と、小規模だが大変はっきりした黒人特権階級を生み出しましたが、蚕棚ベッドの小屋に住む下層階級とその他の社会階層の溝を埋めることには成功しませんでした。こうした不平等は強烈な社会的怨恨を生み出し、各種の暴力的な抗議活動やストライキが絶えませんでした。ある文章は「黒人の中には人種差別時代を懐かしむ声さえある」と書いています。

    南アの新聞のトップ記事は毎日、大体政治的なスキャンダルで、現在の大統領のジェイコブ・ズマの唯一成功したことは前の大統領のムベキが「道徳的な模範」に見えるようにしたことだと言われます。ズマは巨額の公費で豪華な農園をたて、何人もの妻と十数人もの息子や娘たちを政治的に個人的に任命して、南アをますます「伝統的なアフリカ国家」にしたと言われます。誰も南アの将来を予測できません。というのは「ポリティカル・コレクトネス」(*”聖人”マンデラの国はうかつに批判できない、という西側のマスコミの伝統)の関係でズマの極端な贅沢と腐敗に関しては思考停止状態だからです。

    グローバリズムの進展の中で、最高の効率と最低の労働賃金を求める世界的な競争は、資本を不断に新たな「開拓」に向かわせました。ブラジル、ロシア、インド、中国、南アなどが「金塊でできた5つの国」になりました。このうち4つは中国とは違い、形式的にはみな「民主化」されています。しかし、あけすけに言ってしまえば、どの国もその民主制度はひ弱で無力であり、とっくに形の上だけのものになっています。廉潔さと効率を欠いて、監督能力の政治的な制度の支えがないために、これらの国家は一度は勝ち得た経済的な成功が早くもきれいさっぱり失われようとしているのです。(終わり)

     拙訳御免。
     原文は;2016年的世界:金砖之国成土坯(2)

     

    Share Button

    Leave a Reply

    Your email address will not be published. Required fields are marked *