• ★2017年中国経済の最重要劇⑵—通貨の安定維持★ 2017年1月8日

    by  • January 8, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     一般的な状況では中国の政策の戦略的な転換はだいたい毎年の「両会」期間中に起きるのですが、今年は違います。もう元日前から「治安安定維持戦略」に重大な戦略的転換が起きています。政治的な「治安安定維持」が経済のそれに変わりました。その原因には内因と外因があります。そして、従来からの債務、不動産、生産能力過剰などの重大な経済面での問題は皆、今や二の次になって、一番は「通貨の安定」です。

     

    米国と中国国内の圧力がそうさせた

     
     トランプはまだ正式に大統領に就任していませんが、しかしその政策の考え方には世界中が反応し、英米の主流メディアによってバカにされている「ツィッター政治」では更に激烈な反応が起きています。トランプの対外政策のおおまかな考え方と、彼が予告する中国との貿易戦争もいとわないという予告に対して、中国側も戦略調整を繰り上げたのです。

     トランプは早くから、自分の政治思想は「二つの中心軸」と「四つの原則」があると述べていました。「二つの中心軸」とは、国内的には経済建設、国外的にはイデオロギー闘争の放棄、不干渉です。「四つの原則」とは、減税、外国資本の誘致、再工業化、インフラ建設です。「二つの中心軸」と「四つの原則」は「米国の就業率アップ」という一つの目標を実現するためです。ワシントンの各種の政治勢力がいかにワイワイ反対し、「お金をアメリカ国内で使う」といった考え方の正しさに疑問を唱えようとも、彼の「ツィッター政治」を見ると、よほどの特別な国際的・国内的な大事件が起こったりしない限り、この路線をしっかりと歩んで行くでしょう。

     中国は当然、詳細に対応戦略を研究しています。米国がもはや今後、中国に「カラー革命」を起して「平和的革命」で政権を転覆させようとしないのであれば「それは結構、ビジネスの話だけすればいいのだな」というわけです。ですから、早くも戦略を調整して、貿易戦争、通貨戦争などの要素を全て考慮して、政治的治安維持は二の次にし、経済的安定維持を優先し、かつて世界銀行の副頭取だった経済学者の林毅夫を通じてインフラ建設が経済成長に果たす重要性を理解していることを大いに褒め上げ、トランプが世界のリーダーとして、彼の言う「グローバルインフラ建設のイニシアティブ」に、豊富なインフラ建設の経験を持つ中国と手を取り合って、グローバル経済の復活を、とトランプに献策させました。

     中国国内政治にも重要な変化が起きています。共産党内の反対勢力と在野の批判者たちは、もう既に皆きれいにやっつけてしまいました。習近平はもうすぐ中南海の主人として5年になり、統治集団内部でも敵対する邪魔な大物は皆平定し終わり、指導者としての権威を打ち立てました。社会の反対勢力は逮捕、口封じ、外国NGOも制限して、大部分の反対勢力を消滅させ、全面的な治安維持体制を作り上げました。

     米国政治と対中国外交政策の変化、それに中国経済が大変な困難に直面している時でもあって、北京のハイレベル政策決定者たちは、情勢に見合った戦略調整を迫られ、政策の重点を民生と関係する経済の「安定維持」に起いており、その戦いの鍵は、この文章の⑴ ★2017年中国経済の最重要劇⑴—通貨の安定維持★(2017年1月5日)で書いたとおり外貨準備の防衛戦です。

     通貨の安定維持を核心とした外国為替市場の安定の継続はどのぐらいまだ続くのか? 政府が現在決めているタイムテーブルだと今年の9月で、現在の第十八回中国共産党大会の期間が終わり、第十九回中国共産党大会大の党大会が招集され、習近平の第2期の5年間が始まるからです。これは政治的な「敏感時期」だとみなされます。

      

    経済安定の三つの重点

     経済安定は当然、他にも大事な内容がありますが、しかしこうした経済安定の話は、あけすけに言えば、がん患者が治療を放棄したら必ず死ぬので治療は強化するが治りはしない、というようなものです。以下、経済安定化リストの重要な内容です。

     1;債務を化けさせて危機を解消する

     中国の債務総額は内外の見方は大体一致しています。2016年に政府は2015年末までの中国の債務総額は168.48兆人民元で、外国の投資業界では26.6億ドル(約180兆人民元)だと見ており、そう差はありません。違いは巨大債務が果たして危機を招くかどうか、という点です。中国内部では官僚もメディアも皆、政府債務はコントロールできる、と見ています。しかし、外部のウォッチャーたちはとても心配しており、危機を爆発させて世界を巻き添えにしかねないと懸念しています。中国でもよく知られているソロスはこの心配を公言しています。

     中国政府のやり方は債務を株式に変えることです。つまり、左手で持った腐った卵を右手に握り変えて磨き上げ「チャンスの卵」として売り出そうというわけです。詳しくは、「★中国株市場の「新鋭軍」とは★」( 2016年10月15日)に書いてあります。

     中国国内での債務に対する見方は「帳簿上はあっても、気持ちの上では無視する」です。つまり帳簿上の債務総額は否定できないが、戦略上は債務を軽視してかかるというものです。巨大債務は危機を招かない、なぜならば、その理由は三つあり、① 2015年の全国の政府製債務負債率は41.5%で、地方政府の債務率は89.2%でこの指標は国際的な警戒ラインより下。② 債務は一種の信用に他ならず、債務があってこそ資本の運営ができる。現代社会では信用とは一種の自信であり、能力であって、基準でもあるわけで、国家が債務を持つことはとやかくいう必要はない。中国の債務は持ちうる範囲内にあって、財政状況は全体的には安定しており、将来の発展と態勢は良好と言えるから、債務危機は「しょっぱい大根を嫌いな人が心配する」(全然物事がわかってない他人が余計な心配をしている)」ようなものだ。③ はもっとストレートに、債務主体は他でもない国営企業と地方政府であり、天が崩れても中央政府がなんとか支えるから心配ない、です。

     債務危機が2015年のトップ級の地位から二の次になったのは、より大きな危険、つまり株式市場の危機が起きたからです。株式市場で破綻すれば金融危機を招きます。ですから、通貨の安定維持が最重要になったのです。政府と官僚界の専門家は、金融システムさえ崩壊しなければ、政府は安泰であると十分に承知しています。ですから、今や大事なことは外資企業や国内企業、中産階級がエッサホイサと数兆元の外貨準備を掘り崩し続けるのをやめさせれば、あとは大丈夫というわけです。

     2;不動産バブルを持たせるように政府が頑張る

     これは2016年中央経済工作会議の既定方針で、「住宅は住むためのもので、転がすためのものではない」という習近平の考え方が大変良く出ている言葉は会議後に広く流布されたものです。「不動産バブルを抑制し、急騰暴落を防ぐ」というのは値段があっても品物がない状態を維持する必要があるということです。

     「住宅は住むためのもので、転がすためのものではない」という言葉は世界中のどこでも通じるまともな言葉ですが、中国では登場するのが少なくとも7、8年遅すぎました。と言うのは中国の不動産は、とっくに深刻に過剰な状態で、居住のための需要をはるかに超えてしまったからです。政府側のデータでは、一家族あたり1.2軒の家があり、その他に在庫が100億平米あります。家を持たない家族は極めて少なく、貧乏人は最初からそんなに高い住宅は買えません。

     不動産の発展は、全て中国経済が深刻な不動産依存症に罹っているからです。地方政府の土地財政依存度は60%前後で、不動産産業はGDPの6.6%から投資額の四分の一を占め、直接間接に関連する産業は60もあり、もう中国経済の命脈になっています。データは不動産業が経済成長に寄与する働きは24.1%にもなっており、関連産業を引っ張る効果も2倍です。一般家庭の財産構成で不動産は約68%前後です。政府に言わせれば、中国の不動産は米国のウォール街と同様、大きすぎて潰せないほどで、危機が来るたびに、政府は止むを得ず納税者のお金を投入して全力で救わなければならないのです。

     中国の不動産にはもう一つの中国中央銀行の通貨の貯水池という役割があって、信用貸付で不動産市場を支えることがとっくに中国政府の経済安定の道になっています。中国政府は昔からワンセットの市場コントロール方法を発明しました。例えば、購入制限、販売制限、価格制限で、どれもが使い放題でした。二十世紀から、全世界では合計100回以上の不動産危機が起きていますが、中国では政府がコントロールする、世界で唯一の、政府がオーナーで、販売者で裁定者なのです。不動産の安定の意味は、市場の信用を維持するということであって、その実質ではありません。バブルさえ破裂しなければ、不動産業界が銀行の債務に計上されても、不良資産にならず、銀行の帳簿も表面上は傷つきません。家庭の財産も帳簿上は減りませんから、それによって恐慌感は生じません。

     3; 生産力過剰と経済構造の調整

     中国当局の生産力過剰調整は物笑いの種に近いものですが、でも継続しなければならないのです。原因は簡単で、グローバルな生産能力過剰業回は石炭、鐵鋼、セメント、平面ガラス、アルミ、造船ですが、その主要な基地は皆中国にあり、中国の鐵鋼ダンピングは全世界の貿易戦争できな臭い火薬の臭いを撒き散らしています。2015年、中国の鐵鋼産品は、欧州連合、米国、日本、カナダ、マレーシアなどの多くの国々で反ダンピング税を課せられています。のみならず、中国はこれが原因でWTO加盟15周年でも米、欧、日本などの国からその「市場経済国の地位」を認められませんでした。次期米国大統領のトランプは中国に懲罰を与えるべきだと不穏な話をしています。銀行の安全ということからも、中国と外国の貿易関係という考慮からも、中国は「生産能力過剰」を経済安定のメニューに載せざるを得ないのです。

     圧力があまりに大きいので、北京は生産能力過剰問題を解決しようとしない地方各省や、中央省庁の高官を罰し始めました。これまでは人事異動程度で済んだのですが、最近ではもっと厳しい手段が採られるようになりました。2016年12月、中央は江蘇省、河北省の鐵鋼業界での生産力過剰への努力不足に対して国務院が「厳重な検査」を行わせ、江蘇省の副省長の馬秋林を「重い警告」に、河北省副省長の張烈に「警告」処分にしました。

     多くの人々が「政治の治安安定維持」から「経済の治安安定維持」への方向転換が何を意味するか理解していません。ここでは、概括してこう言っておきます。

     中国経済は「経済の治安安定維持」段階に入ったということは、短期的な傷みか、長期的な健康的繁栄かといったような二者選択の問題ではありません。それは「今日がなければ明日はない」問題なのです。経済的安定のキーは通貨の安定であり、通貨の安定の核心は外国為替の安定です。現在、外貨準備高防衛戦は中国の通貨安定のキーとなる闘いなのであって、勝利するしかなく、負けるわけにはいかないのです。

     去年、全世界ではモンゴル、ベネズエラ、インドの三つの国々が前後して経済危機に陥りました。災難の理由はそれぞれ異なりますが、始まりはみな通貨(外国為替レート)の失敗から始まっています。こうした「ひっくり返ってしまった前を行く車」の例があるので、中国政府の現在の最大の任務はまさに中国をベネズエラのような苦境におちいらせないということです。中国人は政府がインドの総理大臣のモディのような「通貨廃止令」で黄金や、他人名義で購入した不動産を没収したりして自国民の財産を奪ったりしないように期待して見守るしかありません。(終わり)

     拙訳御免。
     原文は;2017年中国重头戏(2):经济维稳 http://www.voachinese.com/a/3667228.html

     「中国2015 何清漣」 電子ブック発売中何清漣さんの「中国2015」表紙

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