• ★トランプ経済学と米中関係★ 2017年1月12日

    by  • January 12, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     トランプの出現の意義は、現代中国における鄧小平の登場と似ています。それは政治上の180度の転換であり、経済上の資本導入への一大努力で世界の構造に影響を与えるのです。ただ、米国と中国の地位は昔と違います。トランプ経済学(トランポノミクス)の影響はたちまち現れ、各国や人々が好まなくても、その反応は素早いものでした。鄧小平の改革開放では、西側各国は中国んお改革開放のために大量の大義名分の世論を準備してから、中国市場に乗り込んみ、その影響が明確に現れたのは十数年後でした。

     

    トランプ主義の基本的特徴は「プラグマチズム」

     トランプ陣営の中で、「トランプ主義」に哲学的解釈を行ったのは1995年から1999年まで下院議長を務めた下院議長のニュート・ギングリッチ氏です。1月10日、保守派のシンクタンクのヘリテージ財団での講演でトランプ主義の特徴を総括し、「米国利益優先とプラグマチズムを特徴とする。米国の現状に対して就業を増加させ、貿易交渉(反対派が保護貿易主義者と攻撃する)を行い、貧しい地方小都市の経済を発展させ、連邦の管理を減らし、メキシコとの国境に壁を作る等々、だとしました。

     関連する批判に対してキングリッチは「トランプはプラグマティストで、観念主義者ではない」として、彼はプラグマチズムは米国が西側の哲学思想上、行った唯一の貢献であり、その核心は「事実に基づいて理念を総括するのであって、形而上の理念を使って事実を解釈するのではない」。トランプ主義の評価は結果であって、努力ではない。努力の生み出したものであって、どれだけ努力したかではない。これは官僚主義的な福祉国家とは根本的に異なる。トランプとトランプ主義の成功のゆえんは、巨大なエネルギーを生み出したことで、それはトランプが民の声に耳を傾ける努力をし、社会における反ワシントン官僚主義政治、貿易協定反対、雇用の創造への強烈な声を聞いたからだ」と述べました。

     キングリッチは更に、トランプとトランプ主義の勝利は米国政治の巨大な分水嶺になる。1年後、トランプ主義は、ルーズベルトのニューディール以後、80年以上にわたった米国の社会発展(自由主義、大きな政府、ポリティカル・コレクトネス)などの一時的な偏りもあったが、結局は米国が旧秩序から新しい秩序に向かう大変意義深い分水嶺だったということを事実が証明するかもしれない、と述べました。

      

    トランプの「ツィッター政治」に世界は踊る

     トランプのツィッター政治は大統領が交代する前から注目の的になっています。現大統領がまだホワイトハウスを離れていないのに、もう「トランプ経済学」は世界の金融市場の形勢に影響を与えています。「ニューヨーク・タイムズ」や他のメディア群が懸命にトランプの「ツィッター政治」は大変デタラメだと非難しているにもかかわらず、各国の指導者や投資家は毎日、トランプのツィッターに注目し、何を言い出すかと思って見ています。大統領選挙中はずっとヒラリーを支持してきたウォール街も、トランプのツィッターが11月8日以後、投資家にとって「必修科目」になったと認めるしかありませんでした。

     Quantitative research社のFusionIQ株式研究主任のBarry RitholtzはPOTUS指数(The performance on stocks Trump has praised or disparaged)に基づいて、トランプの賞賛した企業の株式を分析して、トランプが賞賛したり、認めた企業(その重役がトランプ内閣のメンバーや顧問に就任した企業)がどれもうまくいっていること、Oligarch Index指数によって、Colony Capital、Exxon Mobil、Facebook、ゴールドマン・サックス、モルガン、ソフトバンクグループなど十数社の企業を列挙しています。反対にトランプに攻撃された企業はDrain the Swamp Indexによるとうまくいっていません。アマゾン、ボーイング、GM、ケロッグ、ロッキード・マーティン、メイシー百貨店、ニューヨーク・タイムズ、ペプシコ、ツィッターなど十数社がこれにあたります。研究者は、トランプが生み出したこの二つのグループは明らかに将来性が違うと述べています。

     「トランプ経済学」は既に生まれていると言えますし、その核になるものを私は、「二つの核(国内的には米国経済建設、対外的にはイデオロギー闘争の放棄、不関与)、四原則(減税、外資導入、再工業化、インフラ建設)で、米国の雇用を作り出すという一つの目的を果たす」と書きました。望むと望まないに関わらず、今や世界各国は既にトランプ経済学によって、自分たちと米国の関係を計画していかざるを得ません。トランプがトヨタ自動車のメキシコ工場計画を批判した後、日本の菅官房長官は「トヨタは米国でずっと良きアメリカの市民企業であり、米国がその貢献を認めてくれるように希望する」ととりなしに出てきました。

       

    北京の「トランプ経済学」への遠回りアプローチ

     トランプが米国経済建設を中心として、対外的には不干渉の方針を取るのであれば、米中関係には障害はなさそうです。しかし、トランプと蔡英文の電話会談という挿入曲は波風を立てました。しかしこの波風で一番焦ったのはどうも北京ではんあく、米国民主党と、米中関係然っこく委員会の多くの重要メンバーを含む米中関係に関わる多くのシンクタンクの人々だったようです。現在、こうした心配はもう収まっています。一月の上、中旬に台湾総統の蔡英文が中米4か国を米国経由で訪問しましたが、トランプ本人やそのメンバーは蔡英文と面会しませんでした。

     私は当初、米国政界のトランプ・蔡英文電話に対する反応はオーバーだと思っていました。というのは台湾は米中のゲーム盤の上では比較的小さな駒にすぎませんし、トランプがそれを理解したら台湾問題を米中関係に持ち込むことはしないだろうからです。

     で、最近起こった幾つかの事態をよく考えてみるとわかったのですが、中米関係は既に、私が「★トランプ時代の中米関係新構造★2016年12月9日」で指摘したように、イデオロギーには拘泥こうでいせず(「一つの中国」の原則も含めて)、重視しているのは経済協力という路線で、そのメルクマールは中国側のアイデア提案者と企業のトップが前後してやったことからです。彼らの立場からみて、こうした人々と中国の政界の関係は極めて密接ですし、その組み合わせは大変絶妙なものがあります。

     まず、政策立案者としては林毅夫(北京大学中国経済研究センター所長・主任教授)です。林毅夫は中国政府の知恵袋の中で特殊な地位を持っています。かつて世界銀行の元世界銀行上級副総裁・主任エコノミストで、現在は中国政治協商会議常務委員で、中国政府の経済を代表するスポークスマンだと見なされています。1月5日、林毅夫はニューヨークの国際経済会議の中国経済年度予測討論で、トランプのインフラ建設の重要性への理解を褒め称え、「米国が世界のリーダーとしての力を発揮して中国と手を携え、ともに彼の『グローバルインフラの建設提案』を支持することを希望する」と述べ、「もし米中が連合して発展途上国のインフラ建設に投資を行えば、米国に3%から3.5%のGDP成長をもたらし、米国を金融危機から復活させ全世界の経済復活させうるだろう」と述べました。

     鄧小平の外孫の婿である安邦保険集団(Anbang Insurance Group)の理事長・呉小暉の登場はそれよりも前でした。既に巨額の投資をニューヨークの前進基地にしている(*ウォルドーフ・アストリアホテル買収など)呉小暉は、11月16日、トランプ当選の一週間後にトランプの婿であるJared Kushnerと会見しました。「ニューヨーク・タイムズ」が真っ先にこの会談を報道し、呉小暉の特別な身分を強調し、呉の企業は不透明な所有権構造(それには中名な共産党トップレベルの家族関係を含む)で有名であると指摘しました。しかし、「ニューヨーク・タイムズ」もこの会談の真の目的を明らかにはできませんでした。というのは報道の重点が「トランプと家族と国外との複雑なビジネスのネットワーク」に置かれ、「この関係は公務履行の公職者として問題になる可能性がある」と述べているからです。

     1月9日、トランプはニューヨークのトランプタワーで中国のアリババのトップ、馬雲と面会し、「協力して大事業をやる」と述べました。馬雲は会見で、アリババは将来の5年で米国に100万の雇用を生み出し、米国中西部の小企業に重点を置いて、アリババのプラットフォームを通じて、農産品と米国のサービス業を中国やアジアに広める、と述べました。

     呉小暉と馬雲の立場の妙は「民営」という肩書きにありますが、誰でも彼らがどんな力を代表して行動しているかは明らかです。もし、中国の軍の企業と国営企業がこの時点で、米国ビジネス界と投資の相談をしたりすれば面倒や変数を増すだけですから。

     

    米中経済関係の新青写真

     米中関係ゲームの盤上に置かれた、この三つの布石を見ると、米中関係の青写真がぼんやりと見えてきます。

     林毅夫が伝えた意味は「トランプ大統領が米国のインフラ発展に大いに力を入れるなら、中国は協力したい。インフラに必要な鋼材、セメント、その他の建材は中国がまさにたくさん製造しているわけで、また米国が中国の二つのシルクロード計画に方針を変えて参加するなら、双方の協力はウィンウィン関係になる」です。

     ジャレッド・クシュナー(トランプの娘婿)はホワイトハウスの上級顧問になるにあたって、自分の主要な不動産とメディア資産であるKushner Companiesの経営者の職を辞職するとしています。これは呉小暉と彼の付き合いはプライベートなものでビジネス目的ではないということです。呉小暉にとってはビジネス上の利益などどこでも得られますから、トランプのあら探しが仕事の「ニューヨーク・タイムズ」などが言う「トランプの弱み」になどなる必要はありません。呉小暉と目的は中南海とホワイトハウスの架け橋を作ることでした。

     馬雲の対米投資計画の要点は、トランプの「痒いところ」である「中西部の雇用」に「手を届かせた」ことです。彼が中国のために生み出したという3000万の雇用とは水増しもいいところです。彼のタオバオなどに登録した人の数を計算しただけで、それには営業金額が1000万から10000元まで、みんな「一社」と数えているからだと中国人は皆、知っています。しかしその意義は、トランプ経済学は各国がそれに応えることを必要としており、米国の新大統領に明るい未来を示すことで馬雲の名前を印象付けることです。北京からすれば、「ためしに石を投げて道のようすを確かめ」、またホワイトハウスへのパイプを作った、ということです。

     現在、オバマとその政府の高官はそれぞれが任期を終えるにあたって、新大統領向けて進言しています。ケリー国務長官は公開の席で「次の米国政府に提案したいのは、中国と非常に密接に協力し、中国に北朝鮮への圧力をもっとかけさせること」と言いました。財務長官のジェイコブ・ルーは「ウォールストリート・ジャーナル」の取材に対して「過去18カ月、中国が人民元を防衛するためにとった措置は明らかに、中国政府は既に人民元を不公平貿易に有利に使おうとするやり方を止めたということだ。もし中国政府の最近の経済解放のためにとっている措置をちゃんと見ないで、中国を為替レート操作国だと認定したりすると、中国との北朝鮮といったたの重要な地縁的な問題に影響を及ぼしかねない」と警告しています。

     米国政界と国際社会の不安をなだめるために、キングリッチはトランプ主義を説明するにあたって、はっきりと「トランプは別に貿易戦争を起こそうとはしておらず、貿易交渉を通じて米国に有利な貿易を広げようとしているのだ」と述べています。

     もうすぐ1月20日の大統領就任式で、トランプ主義とトランプ経済学が正式にデビューします。世界のこうしたドキドキハラハラの時期は終わろうとしており、いかに対応するかが次の重点になります。(終わり)

     拙訳御免。
     原文は、川普经济学效应及其导引下的中美关系 

     「中国2015 何清漣」 電子ブック発売中何清漣さんの「中国2015」表紙

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