• ★「プラごみ王国」— 失われた政府の責任★2017年01月12日

    by  • January 17, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     ドキュメンタリー映画「プラごみ王国」(原題;plastic china) が「国際ドキュメンタリー・フェスティバル・アムステルダム(IDFA)」で新人特別賞を受賞しました。製作者の王久良はこの映画を通じて、中国のプラごみ汚染を一目で分かるような形で世界に見せてくれました。私はこの映画を見て別の問題にも気がつきました。この環境保護産業の資源再生業界で、原料(すなわち業者の言う「洋ゴミ」)の輸入から生産(洗浄・分類)と最後に廃棄物を燃やす黒煙が空を真っ黒に染め上げるまで、全く環境保全への処理がされておらず、高濃度汚染を野放しにするばかりか、中国人の暮らしの中でいたるところに目を光らせているはずの政府が、これに関しては影も形も無いことです。「プラごみ王国」に出てくる零細業者や従業員は記者に暴露されることを恐れていましたが、誰も政府の環境保全部門を恐れてはいませんでした。

     

    洋ゴミ輸入‐‐合法的な輸入貿易

     私は中国にいたとき(*何清漣氏は2001年米国へ事実上の亡命)からこの方面の情報に関心を持っていました。いわゆるゴミは政府用語では「廃物」、環境保全用語では「再生可能資源」、と言われ、紙ゴミ、プラごみ、金属ゴミ、くず鉄、くずアルミ、電子部品などの原料の固体ゴミを全て含み、また「洋ゴミの中かから金をすくう」という言い方もよく知られています。

     経済大国の地位と電子関係ゴミの発生は比例します。世界最大の経済体である米国は、同時に公認の一大電子ゴミ製造国であり、経済的地位に応じて、中国も2011年、世界第二の電子ゴミ製造国にのし上がりました。2010年の国連環境プロジェクトのレポートでは、全世界で毎年生産される電子設備のゴミは2000万〜5000万トンにのぼり、2011年から、中国では毎年230万トンの電子ゴミを生み出しており、毎年、全世界の電子関係ゴミの7割(1400万トンから3500万トン)を輸入し、世界最大の電子ゴミ輸入国になっています。河北、山東、江蘇、広東など十数省に「洋ゴミ」処理場があります。

     電子ゴミ以外に、中国は毎年どのぐらい「洋ゴミ」を輸入しているのでしょうか? 政府側は総量を発表していませんで、一部のバラバラのデータを見てみると、2010年、中国が輸入した紙ゴミ、プラゴミ、金属ゴミなど固体ゴミは4800万トンで300億米ドル以上で、2012年には400億ドルになっています。そのうちのプラゴミだけでも、中国税関の2011年から2013年のデータは毎年800万トン以上輸入されています。

     中国の貿易で再生資源は一大項目です。米国国際貿易委員会のデータでは、2000年から2011年まで、中国が米国から輸入した再生資源の貿易額は7.4億億ドルから115.4億ドルに増加しており、米国からの輸入貿易総額の11.1%を占めます。これは農作物、パソコンや電子部品、化学製品、運輸設備に次ぐものです。当然、こうした「洋ゴミ」は米国だけではなく、欧州、韓国、オーストラリアなどの先進国から輸入されています。

     

    洋ゴミの背後に国際的産業連鎖

     人類の消費の欲望はほとんど無限に広がり、環境保護の必要性が資源再生業界を生み出し、この業界は人類が地球の限られた資源を乱掘する速度を緩和するとして、先進国家から奨励を受けています。米国や欧州連合は電子ゴミに対しての資源回収利用要求を、2000年以来、米国は前後して20以上の電子ゴミ廃棄物のための専門管理法案を打ち出しました。米国のハイテク企業は、回収が容易で、かつ環境へのダメージの少ない電子機器を設計しています。米国の電子ゴミの回収、再利用率は97%以上に達していると言われます。欧州連合委員会もEU加盟国に対して2015年に75%の回収率、65%の再利用率を要求しています。

     しかし、米国の企業に言わせれば、1トンの電子ゴミを処理するには400〜1000ドル必要なのに対して、輸出すればたった10〜40ドルしかかからないのです。ですから、多くの企業は電子ゴミを廃品輸出業者に売ってしまいます。2012年、米国の資源再生処理は6割が国内、4割が海外で任されたのでした。つまり、まだ使える機材は国内で処理して、人の手で処理しなければならないものは人件費を節約するためにまとめて中国やブラジルのような国に売ってしまうのです。英国などの欧州同盟国も同様に、政府の補助金をもらってから、ゴミは分類処理などせず輸出コンテナに放り込んでしまえば、費用の節約効果も大きく、中国などに売れば儲けにもなります。

     中国は買い手としてなぜ大歓迎されるか? 「プラごみ王国」ははっきり、中国の業界が倍の値段でも買ってくれるからだと言っています。中国メディアは昔から「洋ゴミ」の乱暴な処理が中国の環境を深刻に汚染していることに注目しており、「全世界の電子ゴミの7割が中国へ」「WTO加入5年、中国は慧海の工場になったのかゴミ処理場になったのか?」といった報道で、厳しく欧米や日本そして中国の欲張り商人たちを批判しています。しかし、衆知のように監督許可、責任のある政府は全てをほったらかのままでした。「人民ネット」ですら「全世界の電子ゴミが中国の環境を破壊する」という記事の書き出して「7割の電子ゴミは中国で再生、分解、埋め立て処理されているのは、一部の人間の近視眼と愚かさの反映である」と書いています。

     「中国は先進国のゴミ捨て場に。闇取引業者は数十倍の暴利」という記事には、こうした「洋ゴミ」は国外で提供する業者、中間業者、国内の輸入業者の一連の連鎖をなしていることを明らかにしています。国外の提供者は、皆自分のゴミ収集、箱詰め工場を持っており、政府の補助金を受け取った後、処理します。中間業者はゴミを売ることでトン当たり10ドルの利益をあげます。中国国内の輸入業者は、分別されていない都市ゴミ、その他のゴミを買うのはコストの問題です。中国国内での分別コストは10分の1ですみますから、もし分別済みのゴミを外国から買えばその購入金額は、国内販売の価格をはるかに超えてしまうのです。

     中国国内の輸入業者の多くは貿易会社で、港の近くに専門の簡易分析処理場を作って、大儲けするのです。ある貿易会社の職員はオランダで購入した763トンの洋ゴミのコストは1トンあたり1000〜1100元でも、その中の紙ゴミは1トン当たり2000元ぐらいで売れ、牛乳瓶やミネラルウォーターなどのプラスチック製品は、1トン当たり
    7000元から1万元、アルミ缶などはトン当たり4000元で売れる。どうしようもない残りゴミ8%前後は処理業者に出すが、1トン当たり60元しかかからない、と言います。

     分別に必要な人的コストの安さが、輸入業者の暴利のもう一つの要因です。中国内での分別小卒は外国での10分の1で、中国のゴミ選別従業員の月給は2000人民元で、一週間の労働時間は60〜70時間にもなり、分別作業中の防護措置はほとんどありません。これに対してEUでは、月給が2000ユーロもかかり、一週間の労働時間はわずか40時間で、さらにコストの高い防護服を用意しなければなりません。

     この記事が明らかにした事実だけでもびっくりですが、さらに「闇取引業者」という言葉は、この業界に政府の監督管理がないことを覆い隠しています。これほど大規模で多いゴミ分別場が、現地の政府に分からないはずがありません。中国政府なんだって忘れてしまいますが、決して、税金が取れる太った羊を見逃したりすることはありません。

      

    暴利汚染業界は政府の監督管理の欠陥の反映

     国際貿易と再生資源利用業界に関しては、少なくとも国家の商業部と環境保護局などいくつかの部門許可があって、はじめて個体廃物の輸入許可証を手にすることができます。しかし、許可証を手にする企業は輸入と、税関通過しか関わりませんで、中国国境を入ってからは、無許可の多くの零細企業や、一家で細々やっているような家族業者に丸投げされます。あの「プラごみ王国」で出てきたように。鄭州の杏壇商会の幹部は記者に「河南省の中牟県にある百以上のプラスチック加工企業で許可証を持っているのは2社しかない」と話しています。

     中国政府は監督・管理の分野で深刻なまでにその職責を果たしていません。2001年に政府は電子ゴミの輸入を禁止していますが、ゴミはやはり変わらず、高い値段で競り落とした中国商人の船によって世界各国から途切れることなく中国に搬入されているのです。2011年8月からは、国家税関、環境保安部など5つの省庁が連合して制定した「固形廃物輸入管理方法」が正式に実施され、外国からの廃棄物の納品に対しては、発送前の検査、中国国内での受け取り、出入国検査場での検査、税関の監督管理、輸入許可、利用企業への監督などの各段階ですべて具体的な要求が出され、「一歩進んだ金染汚個体廃棄物全過程監督管理体制」ができたはずですが、状況は変わりませんでした。ドキュメンタリー「プラごみ王国」は、こうした洋ゴミが中国に入ってきた後の落ち着き先は、地方政府も港湾行政当局もその生み出す汚染には知らんふりを決め込んでいることを明らかにしています。これに対する唯一の解釈は、この洋ゴミ処理業界は、地方政府にとって税金を取れる、監督部門が金儲けできるための手段でもあるということです。

     「プラごみ王国」で業者が自分の商売を「空気は悪いし、水も悪いが、ただゼニはいいよ。ゴミが来るとみんな『ドルがきたー』っていうのさ。冗談じゃなくて、本当にゼニになるからね」と話しています。

     私は昔、「中国環境汚染の共犯構造ー中国2013”経済改革”の焦点(2)」で、政府の役人が許可から監督まで、どの段階でも利益を私することを追い求め、その上、役人の成績と財政予算という二つの働きによって、汚染企業と政府部門はとっくに一種の共犯構造になっていると分析しました。しかし、中国政府はずっと「汚染退治はやり遂げる」とか言っていました。今、それから何年も経って環境汚染は一層、深刻です。「農薬付のお国柄で、将来はガンが爆発」という文章には「未来の十年のうちに、中国のガンが各地で吹き出し、33%の家庭はこのためにすっからかんになる。グローバル大気汚染の最も深刻な都市の半分以上は中国。汚染した大地は中国人の隠れた殺し屋になるだろう」と書いています。

     しかし、政府は環境生態についてはクルクルいうことが変わり、ちょっと前には「中国の悪性スモッグ(ウーマイ)は気象現象である」と言ったかと思うと、中国環境保護部長の陳吉寧は1月6日に記者会見して、中国の環境汚染が極めて深刻なことを認めましたが、いつになったら改善されるかについては何も言いませんでした。

     中国政府の環境保全に対して、こうした態度を見せるのは、その背後に絶望的な中国が隠されているのです。(終)

     拙訳御免。
     原文は;《塑料王国》里消失的政府监管 
    《中国人权双周刊》首发,转载请注明出处。
    (第200期,2017年1月6日—2017年1月19日)

     なお、プラごみ王国」(原題;plastic china) はここから見られます。http://videolike.org/view/yt=C2_yE-vhfSh

     「中国2015 何清漣」 電子ブック発売中何清漣さんの「中国2015」表紙

    Leave a Reply

    Your email address will not be published. Required fields are marked *