• ★グローバリズムの大潮流への逆流曲がり角★2017年2月1日

    by  • February 1, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     トランプ大統領就任後、大統領令が次々に出され数々の重要な話題があまたある中で、暫時、イスラム教徒を主要人口とする7カ国からの米国入国禁止が最も人々の注目を集め、これによって全世界的に街頭デモが起きています。一言で現在の世界の状況を表すとすれば「乱」でしょう。この「乱」は長い間、欧米の政界を主導してきた左派政治の「乱」であり、また価値観と利益の根本と、グローバリズムの進展、民主政治の本義、その経路など各方面に関わるもので、つまり、グローバリズムの潮流が逆流の曲がり角に直面しているということです。

     

    根本の乱—価値観が利益に座を明け渡す

     「乱」の最たるものは、西側政治・経済・メディアの三つの業界のエリートたちが共同で推挙する「中国がグローバリズムの新旗手だ」説です。この類の記事・論説は大変多く、一番直接的なものは1月28日付の「ニューヨーク・タイムズ」の「トランプ時代は中国に絶好のチャンス」です。この記事のテーマは、⑴ に中国が世界のリーダーになるのは時代の選択である ⑵ 中国は既に世界の指導者の能力を備えているです。そして結論は「中国の指導者は既にトランプ政権によって出来た世界指導の空白を埋め始めており、更に中国は環境保護政策で指導的役割を準備している」です。阎学通(*清華大学教授)がこの文章を書いたまさにそのとき、北京はどうしようもない毒スモッグがやっと晴れたばかりだったのですが。

     中国がグローバリズムの最大の受益者だということは、私は2016年11月25日に「★中国はグローバリズムの旗手になれるか?★」ではっきり書いておきました。結構な点では、例えば、グローバリズムは中国を貧乏な資本の純輸入国家から世界第二の経済体になさしめ、世界最多の超億万長者を生み出し、億を超える中産階級が誕生したなどで、ただ惜むらくは、西側諸国が期待したような普遍的な価値観は、中国政府によって「平和的政権転覆の陰謀」とみなされ、2005年後のカラー革命に対してはずっと防衛一途で来たことです。

     中国で「世界の普遍的な価値観」を広めるために、西側国家は、大は中国政府に、小は各種のNGOの中国進出など各種の援助プロジェクトで大いに努力を続けて来ました。米国を例にとれば、香港の学者がAmerican Foundationセンターのデータバンクの統計を基に、2002年から2009年の間にAmerican Foundationの対中国援助は香港・マカオを除いて、4.3億米ドルで、内訳は学術機構、政府部門、政府系NGOへの援助が86.01%、草の根NGOにはわずか5.61%でした。(「American Foundationの援助は誰が貰った?」2012-04-09 より)しかし、中国政府は一貫してこうしたNGOを中国政府転覆の工作だとして厳しく警戒し、お金の無い時期には江沢民が「連中の金だけ貰って、我々は自分流でやる」方法で、胡錦濤の第二期には「カラー革命防止」を図り、習近平時代になって中国が金持ちになると、そんな小銭はいらないよ、とばかり「国外のNGOの中国内での活動管理法」を作り、硬軟両方のやり方で7000以上の外国資金援助を受けたNGOの中国国内生存の道を絶ったのでした。

     中国政府が「普遍的価値」を峻拒したことは、西側各国には大変不評でした。しかし、こうした一切は今やもう過去の話となりました。今、米国には「米国を再び偉大に」として、米国のお金を世界各国にばらまくことを拒絶した「ポピュリスト」大統領トランプが登場しました。そして欧州連合(EU)は、突然、今までは「グローバル文明とマーケットの破壊者」とみなしていた中国を、あっという間に米国に代わってグローバル旗手の役割を果たすベストである、ということにしてしまい、まず英米の主流メディアが言い出しっぺになって、更に2017年のダボス会議で正式に”戴冠”させ、北京は喜んでこれを受け、こうして中国が「グローバル指導者の空白を埋める」ことになったのでした。

     

    ちぐはぐな「乱」— 欧米の左派はグローバル価値の包装紙を放棄

     中共総書記の習近平が2017年、ダボス会議の席上でぶった演説は、実はこれまでと同様ですべてホラ話で、例えば「世界の今代をただ単に経済グローバリズムのせいにするのは、事実と違うし、問題の解決に寄与しない。全く反対であり、グローバリズムは世界経済の成長に強力なエネルギーを与え、商品と資本の流動、科学技術と文明の進歩、各国人民の往来を促進したのである」と言ったようなことです。

     しかし、まさに米国の指導を失い、どうしていいか分からなかった西側のエリートたちは、これを福音のように聞き、極めて高く評価して、少なからぬメディアがこれを習近平談話は2000年の世界経済フォーラムにおけるクリントン大統領の演説と並べて論じたのでした。

     西側のエリート達が熱心に中国を新たなグローバリズムの旗手だとほめあげているのですが、みなさん、中国が世界の独裁者国家クラブの指導者であり、インターネットの敵であり、最大の人権圧迫者…だなどということはキレイさっぱりお忘れのようです。一番皮肉なことは、こうした”栄冠”の数々は、全て西側の政治エリートとメディア、NGOによって中国に奉られたものだということです。中国政府は人権や報道の自由の分野でこの間、何かが改善されたなどということは全く無いにも関わらず、国際的な評判は天地返しのような変化をとげてしまったのです。習近平も中南海の玉座で「夢じゃないかね?」とほっぺたをつねるようなお話です。

     読者のために復習しておくには、20年前にグローバリズムを開始した米国のクリントン大統領がダボス会議でした発言を振り返ってみないといけません。

     それは「我々は必ずやはっきりともう一度申し上げねばならない。市場開放とルールにのっとった貿易が我々が知る生活の向上、環境破壊の提言、共同して繁栄する一番の道なのだ」です。

     中国は「市場開放」では成績劣悪で、中国における米国、EUの商議所の調査が証拠になります。これらの調査は欧米資本の中国進出への敷居が毎年高くなることに文句を言っています。「ルールにのっとった貿易」では、世界各国がWTOで中国を相手取って数百の訴訟を起こしています。EUはほんのちょっと前に中国の市場経済国家としての地位を認めるのを拒否したばかりで、その理由は「中国は市場のルールを尊重しないから」でした。環境破壊に関しては、世界中で中国はトップでしょう。水質汚染、土壌汚染、大気汚染で中国人は新鮮な空気を吸うことだって難しい有様なのですから。

     かつての植民地化も現代のグローバリズムも、推進したのは全て西側国家でした。経済上の類似点は、米英、欧州などの先進国はみな自分が全世界でマーケット、新たな消費者、資源供給源を探し求めて来ました。異なる点は「植民地化」というのはあまりにも評判が悪いので、グローバリズムの進展に合わせて、西側国家は「人権、自由、民主の価値観を広める」というもう一枚の包装紙でくるみました。こうして、グローバリズムは世界各国の首都とエリート層を結びつけ国際社会の支持システムになりした。しかし、米国やEUの各国中産階級は深刻に損害を被り、貧困化したため、各国政府はそうした国内の不満の気分を和らげ、「グローバリズム」を「全地球規模で普遍的価値を伝えるもので、国際的な救貧措置となって先進国と発展途上国間の貧富の差を縮小するものだ」と言って来たのです。

     今や西側のエリートたちが、みな一緒になって、悪劣なる中国をグローバリズムの新たなリーダーにいただくというのなら、これはグローバリズムの普遍的価値、という包装紙をかなぐり捨て、金融資本集団のグローバルな富の略奪を露わにしたに等しいのです。彼らは、これこそがグローバリズムにとっての自殺行為だということを考えませんでした。

     わずかな人々が潮流に逆らいました。米の有名シンクタンクを含む超党派組織な外交問題評議会 のエリザベス・エコノミー–米外交問題評議会(CFR)アジア研究部長 は、習近平がなりたいといったからばかりでなく、米国がなりたくない、といったために多くのウォッチャーが中国が世界の指導者を称することを支持表明したが、「ワシントンがどのような道を選ぼうとも、中国がグローバル化の旗手だなどと持ち上げるのは間違いだ」と言っています。

     左派もまたすっかり、このまだそう遠い昔の話になっていない歴史をころりと忘れています。20数年前、米国がグローバリズムを推進していた当時は、西側のマルクス主義の「従属論」の立場は「これは西側先進国家による貧困国家への略奪であり、世界の工場は中国の廉価な労働者への搾取である」として、世界中の左翼が罵詈讒謗を雨あられと浴びせました。それが今、トランプはグローバリズムの指導者の地位を放り出し、米国資本の米国回帰を歓迎し、世界の資本を呼び込んで、ともに米国人民を「搾取」しようという話になったのに、左派の人々はまたしても”西側の搾取者”トランプがグローバリズムから手を引くのはケシカランというわけです。こうした理論的なデタラメさ、オポチュニズム、全然首尾一貫しない態度には呆れて言葉もありません。

      

    政局構造の乱— 怒りの街頭デモVS議会政治

     19世紀末、国際共産主義運動にベルンシュタインが現れました。この修正主義者の元祖とそのフォロワーたちは、議会主義を通じて平和的に権力奪取を唱えたのです。欧州の歴史は修正主義者の勝利を証明しています。修正主義の衣鉢は最後には欧州各国の色とりどりの社会民主主義者政党となり、民主国家で戦争のない平和的環境のもとで、高い福祉を約束することによって政権を奪取し、その後、各政党間での戦争目的は票数の争いとなり、選挙戦が戦いとなって、これが「民主主義の政治的勝利」と呼ばれたのです。

     しかし、2016年の米国大統領選挙で民主党はホワイトハウスを失って、上下院でも少数派になりました。この極端に不利な政治的な局面にあって、街頭デモ闘争が再び米国政治の舞台に登場しました。選挙結果が明らかになった途端、大統領就任式が終わった途端、トランプがイスラム教徒の入国を暫時停止する大統領命令をだした途端に、街頭デモで忿怒をぶちまけることが、大流行のやり方になりました。オバマ前大統領と民主党の要人たちは、おおっぴらにこの街頭闘争支持を表明し、中には参加する人も出ました。次の議員選挙で民主党が議席奪回をはかれる2年後まで、こうした街頭闘争は米国政治の常態となるでしょう。

     一貫してトランプ反対を唱えて来た「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、米国の街頭デモ政治を支持するばかりか、更に「ポピュリズムに対しては静観がベスト」という記事はまるで街頭デモへの動員アジビラのようでした。筆者は現段階の米国政治は、選挙でも議会政治でも勝てず、世界の左派(米国移民したくてもできない人たちを含めて)を動員して、グローバルな反トランプ運動を巻き起こし、少しづつ各種のテーマで様々な方法を使って、このポピュリズムの代表である米国大統領の合法性を削り取って最後に下野に至る、としています。

     今日の欧米の大学における人文科学の主力はすべて1968年の社会運動を今に伝える左派の人々で、1968年の「赤い五月」が再びやってくると信ずる理由を持っています。
     
     「乱」現象はもう起きており、全世界で支持だろうが、反対だろうがみな以下の事実に直面せねばなりません。

     それは、グローバリズムの潮流はすでに逆流の時期を迎え、各種の水底にあった様々な事象がすべて渦を巻いて表面に浮かび上がっていること。この一年以内に、米国大統領選挙を幕を開けた歴史の衝撃は欧州の数カ国に広がること。一年以後になって、この歴史の逆流の曲がり角を経てからでないと、我々はグローバル化が既定の路線で進むのか、それとも欧米各国の人民が受け入れられる方法に沿った形で進むのかを知るすべはない、ということです。(終)

     拙訳御免。
     原文は;:乱:全球化大潮遇到回水湾

     「中国2015 何清漣」 電子ブック発売中何清漣さんの「中国2015」表紙

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