• ★「トランプの米国が”カラー革命輸出”をやめた」お話★2017年02月03日

    by  • February 4, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     最近、中国で騒がれたニュースに「トランプ、米国のカラー革命推進を終わらせ、中国の反体制知識人の糧道が断たれる」というのがあり、それが「うそだ」「ほんとだ」とかますびしいことでした。

     このニュースは当然、本当のことではありませんが、根拠のない話でもありません。多少の色合いはあるのですが、故意に中国政府側によって誇張されています。ここでは以下の三つの問題をはっきりさせたいと思います。

     ① 米国の対中国援助の中にどれほど「カラー革命」の分があるか
     ② 国際的な中国援助と「カラー革命」の関係
     ③米国は民主を海外に広げる重責を止めるのかどうか

    (1)米国の対中国援助の中にどれほど「カラー革命」用があるか

     まず、「トランプが米国カラー革命をやめる」という文章の内容を簡単にご紹介しますと

     「最近、トランプは海外のカラー革命グループに資金提供をすることをやめると発表し、米国が誤った民主革命やカラー革命の遂行を継続させることは意味がなく、オバマは納税者のお金をいっぱい無駄遣いして大間違いを犯しただけでなく、世界の恨みを買ってしまったので、正式に一切の米国の財政からの民主に関する支出をおしまいにするとはっきりと表明した」です。

     この記事の見出しは「トランプ、米国カラー革命を終わらせる。きっと中国の公共知識人(*反体制的な知識人、人権派弁護士など)は嘆き悲しむばかりだろうさ」というのがちょっと変更を加えられたりして広く流されました。記事が人々に与える印象は「米国は大金を投じて中国の反体制知識人をサポートし、連中をつかって中共政権転覆のカラー革命を起こさせようとしていた」ということです。

     この文章は事実と異なり、完全に中国政府が知られたくない真相を隠蔽しています。それは米国の対中援助のうち9割が、全て中国政府に関係する機関のフトコロに入ってしまっているということです。「アメリカの大きな諸財団の対中援助は一体誰の手に?」は香港中文大学のAnthony J.Spiresのレポートはこれを分析したものです。

     Anthony J.Spiresは「www.foundationcenter.org」のデータベースの統計を分析して、2002年から2009年の間、アメリカの大きな諸財団の対中援助は香港、マカオ、台湾を除いて4億3000万米ドルで、内訳では中国の学術機関(中国政府のもの)、政府部門、政府系NGOにそれぞれ、44.01%、25.38%、16.62%配分され、合計で総額の86.01%になり、政府系ではない草の根NGOにはわずか5.61%しか行ってません。

     このレポートが明らかにしていることは、対中国際援助は極めて異常なほど政府のフトコロに入っていると言うことで、これはアメリカの大きな諸財団自身が使命としていることとは反対の結果になっている原因を明らかにしています。筆者はこの分析と取材の上に、一つには制度的な制約、二つ目は機関の「類は友を呼ぶ効果」が原因だとしています。

     制度的制約というのは米中両国政府によるものです。ある面ではアメリカの大きな諸財団は資金の乱用を防ぐためにペーパーカンパニー、ダミー会社といったものが受取人になるのを防ぐといったことで、アメリカ国内の面倒な法律や援助資金に対する厳格な財務審査を通過し、さもなければ法的責任を負わなければなりません。他方、中国のNGOとアメリカの大きな諸財団は中国側の法律法規にも従わねばなりません。例えば、中国では社会的団体を設立するには3万元の登録資金が必要で、どこかの主管団体に属さねばなりませんが、これは多くのNGOにとって大きな障害となっています。登録しないと、米国側の「援助を受ける側は米国国内の公益事業に相当する資格」を必要とするという法律の条件を満たせません。中国のNGO管理法の曖昧模糊として始終変わってしまうルールと「表に出ない潜在的ルール」も中国でのNGO活動にとっては数々の「暗礁」となっています。

     筆者は中国政府がこうしたNGOに対して厳しい監視の目を光らせていることには言及していません。しかし、中国で早くからエイズ患者の権利のために頑張ってきた万延海は「国際政治プロの疑惑」(VOA,2011年2月7日)で、人権に関する国内活動プロジェクトは事実上、全て国家安全部門の監視・コントロールを受けていると述べています。

     (2)国際援助の中の「カラー革命」費は?

     あらゆる国際援助の中で「カラー革命」に関するものはほとんど無く、資金は2010年以後は無いに等しいのですが、中国政府は「カラー革命」に対してかくも神経を尖らして、確かにオーバーなほど防御姿勢を固めています。

     中国が世界第二の主要経済国家に踊り出た2010年以前には、国連も含めて世界の少なからぬ先進国が中国に多くの援助を与えてきましたし、国際的なNGO組織もこうした資金の流入とともに中国に進出しました。中でも活発だったと言えるのはフォード財団、オクスファム(香港)、Plan International、Action Aid、World Vision、Save the Children、Health Unlimited、WWFなどで、その援助対象は主に環境保護、反貧困、男女平等、基礎教育の分野でした。国連報告によると過去20年以上、日本、欧州を先頭に西側先進国と世界銀行などの国際組織は中国に総額で1161億米ドルの低利、無利息の経済援助や借款、贈与を行なってきており、そのうちでも無利息、低利即の借款が絶対多数を占めていて、主に教育、エネルギー、採鉱、環境、衛生保険、農村、交通、水利、衛生設備などの分野に投じられ、中国経済の発展促進に大きな貢献をしてきました。

     これらの借款項目の中には、別に「民主」という項目はありません。無理やり挙ようとすれば、弁護士や公民権活動への資金援助が一番政治に関わりが近いので、「民主」に当たるかもしれません。しかし上述のように、米国からのこの種の資金の中で草の根NGOに入るのはわずかに総額の5.61%です。欧州連合やその他の西側国家の援助比率も似たようなものでしょうからいくらも多く無いでしょう。これまで中国政府がこうした草の根NGOに対する援助を我慢してきたのは、西側国家からの資金が大きいので、こうした「異分子」に対する援助が少しばかり混じっているのを我慢するしかなかったのです。
     
     しかし、2010年に中国のGDPは日本を追い抜き、世界第二の経済大国になって、西側国家は自分たちが援助を与えていた中国に及ばないことを発見したばかりか、中国に「世界の救世主」になってもらおうということで、中国の位置付けも変化し、国際援助は次第にゆっくりと減少、あるいは中止されるようになりました。こうなればもう中国政府は外国援助を受けているNGOなんぞいらないということになりました。更には国内政治経済情勢も日々悪化していることから、ついに外国の
    NGOの始末に乗り出しました。2014年4月15日に習近平が主催した中央国家安全委員会第一回会合で、国家安全の位置付け再確認の講話において、国家安全委員会は徹底的に在中国NGOを調べ、新たな「外国のNGO組織の国内活動管理法」を制定し、硬軟とりまぜたやり方で最後には7000以上の外国資金援助を受けている中国でのNGO活動をさせないようにしたのでした。

     この時期に、公盟(北京公盟咨询有限责任公司、中国の有名なNGO)の許志英や、伝知行(传知行社会经济研究所、同)の夏霖が告発され、複数の外国機関からの援助を受けたとして創始者の郭玉閃も逮捕されました。とりわけ2015年の709護憲派弁護士集団逮捕事件では外国からの援助を受けていた弁護士であろうと、全く受けていなかった護憲派弁護士であろうと、護憲派活動家は政府によって一網打尽にされ、それからは中共の眼中からは「カラー革命組織」は消え失せました。国際的に注目を浴びて騒ぎになった「NGO5女性逮捕事件」では、当局はその主張などは全くどうでもよく、ただ彼女らが海外から資金援助を受けていたという事実だけを問題にしました。

     以上の事実は、「米国など西側国家が中国にカラー革命を輸出する」という話は、完全にその可能性を抹殺されているのであって、米国が中国に「カラー革命」を輸出したいと願ったとしても、もうそんな組織は中国国内にはまるで無いのです。

     (3) 米国が「カラー革命」輸出をやめた、の噂の出所

     今やまさにグローバリズムに逆流が起こっています。2016年の米国大統領選挙では、「アメリカ・ファースト」を唱え、対外的なイデオロギー闘争は放棄するというトランプが大統領となり、米国の人権分野に関わりのある人々はずっと「人権問題は新大統領の外交交渉リストで何番目になるんだ?」と心配しています。というのはクリントン大統領時期から米国の外交政策の順番は第一に経済、次いで政治、そして人権が第三番目でした。ですから、実は人権が果たして三番目のままでいられるかどうかも危ないと心配しているからです。

     トランプ政治が始まって既に10数日すぎ、大統領令が立て続けに出され、その多くは国内関係、移民政策です。トランプ大統領独特の「ツィッター政治」は経済、外交に関する個人の考え方に及びますが、大統領令だろうがツィッターだろうが人権に関わることといえばたった一つだけです。それが1月17日に報道された「トランプ政権、米国の対外援助プロジェクトをチェックへ」です。

     これに関するニュースによると、新大統領と国務長官は全ての対外援助プロジェクトを洗い直すとしています。対外援助分野では、トランプ新大統領と政府はまず、財産権強化、法治腐敗撲滅に努力する国家に与える可能性が大変強いと言われています。この記事には

     「保守派のシンクタンクのヘリテージ財団のトーマス・ロバーツの「米国やOECDなどの組織の西側国家による援助は、その大部分が腐敗した政府が権力を握り続けることだけのために使われた」という言葉を引用しています。

     たしかにオバマ政府の時期には米国の対外援助には少なからずこうしたプロジェクトがありました。

     この記事では中国には言及していません。なんとか関係づけようとするなら財産権、法治、腐敗の分野でしょう。中国は財産権ははっきりせず、法治には知らんふりをしている高度に腐敗した国家ですから、どれも芳しい成績ではありません。援助は停止されるはずです。中国内のネットで流行った「トランプが米国のカラー革命推進を終わらせる」という話は、この話の「嵐の到来への予感」の「最初のそよ風のひとふき」なのです。

     本当はこっちの方が重大なニュースだったのは、メイ英国首相の1月26日のフィラデルフィアでの発言の「英米が世界の主権国家に対して自分たちの好きなように変えていこうとする日々は終わった」です。これは、英米が国外に向かって、民主化を広げる政治努力をするのをやめるという正式発言です。本来は世界中の注目を浴びるべきだったのですが、大多数の英米のメディアと中国政府からは完全に無視されてしまいました。(終)

     原文は;美国停止输出“颜色革命”风起何处 
    《中国人权双周刊》首发
    (第201期,2017年1月20日—2月2日)

     「中国2015 何清漣」 電子ブック発売中何清漣さんの「中国2015」表紙

     

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