• ★スーパー白手袋マン・蕭建華失踪への推理★ 2017年2月9日

    by  • February 9, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     中国の資本界の大物・蕭建華が香港で失踪した(参考;[FT]香港の大富豪失踪 中国が送った恐怖のサイン  )ことは様々な憶測を呼んでおりますが、概ね権力闘争と反腐敗キャンペーンに関連づける憶測です。一番多いのは中国の大金持ちの間の不安や、銅羅湾事件の李波(参考;福島香織氏「香港銅羅湾書店の「失踪事件の暗澹」)誘拐と合わせて香港の一国二制度の危機、更に外国メディアは肖建華のカナダ国籍に関連してカナダとのトラブルに言及しています。こうした見方は「中国の大金持ちの不安」は事実ですが、その他は一種の観測にすぎません。

     私はちょっと違う観点からこの事件を見ています。蕭建華が「資本マーケットの非合法と合法の間で活躍する白手袋男(白手袋=汚い仕事を白手袋で隠す=非合法と合法の間で活躍する人物)」として有名だということと、二つの背景要素、中国の外国為替準備高が1月に3兆米ドルの「心理的な壁」を割り込んだ(2.998兆ドル)こと、外国為替管理局が2月初めに新たに、中国国内の「コーナーストーン投資家」(*一流機関投資家、大型企業グループ、有名な大富豪やその所有企業)に対して国外で株式上場をして募集した米ドルの一定額を国内に戻して元と交換するように要求したこと、これが肖建華失踪のニュースの”キモ”だと見ています。

     ★「スーパー白手袋男」の背後には誰がいる?★

    蕭建華と同じく有名な資本家の大物に徐翔がおり、「プライベートファンドのナンバーワン男」と呼ばれ、得意技は中国株式市場に風雲を呼び起こすことでしたが、既に2015年に中国政府の株式マーケット救出作戦の中で、逮捕されています。(*2017年1月23日、市場操作の罪で5年半の判決)。世間には徐翔は一部の人間の「白手袋」で、バックは大きいと言われましたが、具体的に誰が背後にいたかは明らかにされていません。
     蕭建華は徐とは違って、主戦場は香港の株式市場で、中国国内の「コーナーストーン投資家」たちの資金を扱っていました。蕭建華の「明天グループ」王国に関しては、2013年1月に中国国内の「第一経済日報」と「南方周末」が相次いで報道しており、どちらも各種の資料に基づいて「明天グループ」がわずか10数年の間に投資のダミー会社を数多く登記し、数十社の株式を持ち、コントロールできる上場企業になって、金融構造の資本帝国として総資産1兆元近くにもなることを報じています。特に注目に値するのはこの報道にある「想像の余地」です。太平洋証券上場事件で、黒幕が暴露されて、副大臣級の役人や国家開発銀行の副頭取の王益が汚職関連の違反取り調べを受け、プライベートファンドのトップだった魏東が飛び降り自殺するなど、多くの証券界人関係者が巻き込まれた事件でも肖建華はうまく逃れることができました。報道ではこの理由を「とけない謎のまま」としています。ただこの事件後、蕭建華は次第に中国国内資本マーケットからはフェードアウトしていきました。

     誰が蕭建華を事件から逃れさせたのか? 「ニューヨーク・タイムズ」は2014年6月4日の「天安門事件で運命が変わった蕭建華」の記事には重要な参考になるデータがあります。蕭建華がダミー会社を投資のツールとして使っていて、本当の株主の正体を隠すやり方をしていたと言うのです。業界では昔から肖建華がある種の特権を持っていて、国有資産の取引に関わっており、統治階級の家族と共同の利益関係にあると囁かれていました。蕭建華も少なからぬ中共のトップの息子や娘たちを知っているし、彼らと”たまたま一緒”に投資していることは認めていました。例えば2006年、蕭建華は前政治局常務委員の曽慶紅の息子の曽偉代のために山東魯電力を、30数億元の価格で700億以上のこの企業を買収しました。2009年には3.5億元で、中共政治国常務委員の賈慶林の女婿の李伯潭の名義で不動産会社を購入しました。2012年には蕭建華は中国人民銀行の前頭取の戴相竜の女婿の車峰の会社を購入しています。最も注目を集めたのは、習近平が反腐敗キャンペーンを始めた後、その姉の斉橋橋の泰川大地企業の株式を受け継いだことです。

     

    2016年の中国富豪ランキングで40億の個人資産

     キラめく公爵伯爵たちと共同する蕭建華が「資本マーケットのスーパー白手袋」と呼ばれたのも故なきことではありません。この「スーパー」な友達たちのために、資本マーケットで戦うのですから、当然、「スーパー白手袋」なのです。

     蕭建華はこうした大勢のパワフルな友人の委託を受けて、「プライベートファンドの第一人者」徐翔が刑務所にぶちこまれた後、香港の有名な四季飯店に降臨して、4年間どっしりと構えていました。香港の「北望楼」でずっと「北を眺める」ことを選んで、せっかくとったカナダ国籍を利用してカナダに住もうとしなかったのは、たった一つの理由、つまり自分の「スーパー友人」たちを信じていたからでした。それはこれらの友人たちはみな、三期にわたる中央常務委員の親戚であり、どこへいこうともちゃんと話を通じられたわけですから。

     もし読者が四季飯店の名前をご存知なければ、「香港四季飯店に滞在する大陸の富豪たちー蘇達仁から蕭建華まで」(腾讯财经 ,2014/11/25)を読めばよろしい。

      

    蕭建華はなぜ、北京に連れて行かれた?

     ここからは全く私の個人的な分析です。

     蕭建華は中共のトップレベルにおける新たな権力闘争のコマにされたのだ、という言い方は正しいのですが、全て完全に正しいとは言えません。

     正しい点は、中央政府は確かに蕭建華の力を借りて緊急に大きなことをやろうとしている、ということです。完全に正しくないというのは、この「大きなこと」の目的は「反腐敗キャンペーン」や権力闘争ではなくて、中央銀行の外貨準備の金庫の米ドル減少をなんとかするためでしょう。2016年、中国は対外貿易の購入を取り消した金額は700億米ドル以上に登ります。しかしそれでも外貨準備高は今年1月に3兆ドルを割り込んでしまいました。ですから外国為替管理局の資本プロジェクト管理局の郭松局長は中国外為ネットの取材に、2017年の外為改革の革新的内容は、「国外で上場募集した資金は、上場企業が適時、回収した時に一定の比率で資金を元に変えなければならない」でした。(これについては★政府の「ドル呼び戻し」の声、震えあがるのは誰でしょう?★2017年2月6日 参照)

     しかし、この「コーナーストーン投資家」が国外で上場した株式会社の資金を回収して人民元に両替するという約束を要求する」というのは、言うのは簡単ですが、実行は難しいのです。その難点は二つあります。

     (1) ひとつには「自分の身内のチーズ」に関わることで、明暗様々な激しい反発を呼び起こします。「★政府の「ドル呼び戻し」の声、震えあがるのは誰でしょう?★」でも書きましたが、いわゆる中国の「コーナーストーン投資家」というのは主に一流の機関投資家、大型企業集団、有名な大富豪やその所有企業です。中国共産党は太陽ですから、こうした企業や投資家は当然、太陽の周囲を回っているおかげで儲けさせてもらっている惑星であり、また中共統治の「コーナーストーン」です。企業集団は国有ですから当然、自分たちの地位を与えてくれたり、党の資産を運用しており、「外国で稼いだ金を持ち帰れ」といわれれば従うでしょう。しかし一流の投資機関となると、必ずしも「国家資本」ではありませんし、その中には少なからぬ紅二代目、紅三代目がいて、さらに日に影に「ダミー企業」の背後に隠れているほうが多いわけです。こうしたダミー企業の真の主人が誰なのかをはっきりさせるのは難しい。これが第一の難点です。

    (2) 自分の身内、とはいえそこには親疎、勢力の大小、嫡子かそうでないか、とかいろいろしかし、どの子がたくさん持って来るべきで、どの子は少なくてもいい、とか当然、「お父様」は公平に扱うのは無理にせよ、ある程度のことは、騙されないようにまず先に知っておかねばなりません。どうしてその腹づもりしておくか、が第二の難点です。

     「コーナーストーン」の子女連は「お父さん」の七光で少なからぬお金を荒稼ぎしましたが、しかしそのカネはとっくに海外各地に分散隠匿されています。例えば世界中に40もあるオフショア金融センターとかです。「中国オフショアセンターの秘密」や「パナマ文書」で一部のオフショアの実態が暴露されましたが、まだまだ暴露されてない方が多いのです。「秘事を知りたければ、内部の人間に聞け」と言うわけで、外国為替管理局が「コーナーストーン」投資家に国外での株上場の資金を人民元に一定額替えろと言ったところで、彼らが唯々諾々と言うことを聞くなどと期待はできませんから、まず、先に「コーナーストーン」たちの長年の蓄財の成果を知らなければなりません。それには当然、彼らを助けてお金を持ち出していた「白手袋男」が手掛かりになります。こうした手掛かりがあってこそ初めて、「コーナーストーン」たちにドルを持って帰らせて人民元に交換させることができるのです。

     「党のおとうさん」から言えば、「コーナーストーン」たちが金儲けできたのは中国の「家族と国が一体となった中共体制」のおかげです。江沢民・胡錦濤時代には中共はずっと倉庫から自分の財布に持ち出すネズミを眠り猫を決め込んで知らん顔していたわけです。しかし、現在、中共は外国為替の万里の長城を守らねばならない時にあたって、庶民の外貨交換を一年に5万ドルに制限するなどの手ぬるい手段ではとても十分とは言えません。そこで、新たにこの「ドルを元に交換させる」新たな手段を思いついたわけで、「コーナーストーン君たち、中共とうさんは別に君らの米ドルを没収しようとう言うのではなくて、交換しようと言うのだ。それも国際備蓄通貨バスケットの通貨の一つの人民元とだよ。米ドルと同じことだし、それに君らは中共に恩を返し忠義を尽くせるチャンスだ。そうでもしなきゃこの長城は守れんのだよ」というわけです。

     この文章の前半は蕭建華の明天金融帝国についてのメディアの暴露についてで、後半が私の推測です。

     中国政府の強制執行部門が蕭建華に手を出した動機は、世界が考えるようなハイレベルの権力闘争ではなく、蕭建華に「コーナーストーン」たちの国外財産を、自分たちから「志願して」米ドルを人民元に交換する貢献をして、「党のお父様」の外国為替の防壁を守らせるためです。しかし、「コーナーストーン」たちがもし、党の呼びかけに答えようとしないのであれば、最後には反腐敗キャンペーンの対象になることは免れ難いでしょう。(終わり)

     原文は;超级白手套肖建华失踪的一点猜想 http://www.voachinese.com/a/he-qinglian-blog-xiao-jianhua-case-20170208/3715625.html

     「中国2015 何清漣」 電子ブック発売中何清漣さんの「中国2015」表紙

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