• ★メルケル独首相、こっそりと難民政策を転換★ 2017年2月11日

    by  • February 12, 2017 • Uncategorized, 日文文章 • 0 Comments

     「政府はしばしば嘘で滅びる」 (トマス・カーライル

     ある種の政治的な知恵は世界では「円熟」と呼ばれますが、ドイツのメルケル女史が最近、品性の円熟の見本を見せてくれました。同女史は一方で高い調子で、トランプ米大統領が1月27日に署名した入国禁止令を批判し、「反テロは特定の国家や宗教から生まれると思ってはならない」と言いつつ、こっそりと難民を早急に送還する16の計画を実施しています。そして欧州連合(EU)はリビアとアフリカ難民を阻止する協議を成立させました。一言で言えば、メルケルは引き続き道徳的には高い陣地に陣取りつつ、難民の泥沼からドイツを離脱させようとしています。

     

    16ポイント計画;難民政策の180度転換

     ドイツの週刊誌・「デア・シュピーゲル」のサイトでは「2017年送還人数、引き続き増加」で、申請を拒否された難民が送還させられている事実を明らかにしました。送還させられる前には、数日間から数週間、彼らは「連邦送還センター」に収容されます。

     メルケルとドイツメディアはこの数日間、引き続きトランプ米大統領のイラン、シリア、アフガン、ソマリア等7カ国の旅行者に対する入国禁止令を声高に批判し続けています。では、メルケルの難民送還16ポイント計画(国家をあげて頑張る—メルケルの難民送還16ポイント計画(RP Online,2017年2月9日)の要点を列挙して対比して見ましょう。

     (1) 法律の強化。テロ活動の危険分子を拘束して送還し、より簡単に監視することも含む。
     (2) 費用。連邦政府は難民に与えるお金を増やし(12歳から。一人当たり800〜1200ユーロ)早期出国のための4000万ユーロの送還費用と、故郷へ戻る費用として5000万ユーロの予算をつけた。誤った刺激策にならないように、難民に与える金額は、ドイツに戻る旅費より少なく支給する。
     (3) 帰国提案 難民を最初に受け入れたステーションで、彼らに早く帰国するように提案する。主な対象はまず難民率の低い国の人を対象とする。避難手続きの過程でももう一度帰国を促す。
     (4) 連絡ステーション 送還に関するあらゆる責任を負うステーションを各州に一箇所から数カ所作る。連邦が責任者を任命する。
     (5) 入国センター ドイツに残留させられない人を各市や町に押し付けず、各州に対応センターを設置する。
     (6) ダブリン規約(難民が最初に入った国で申請—ドイツが以前、他国に最初に入った難民をドイツに招き入れ自らが破った)の強化 

     (7) 帰還総本部の設立
     (8) 各州に収容人員が十分な送還センターを作らせる。
     (9) 連邦に各州の送還基準を一致統一させるための行動の一致
     (10)〜(16) 主に難民の資料記録に関する技術的な規定、例えば管理用のソフトを作るとか、懲罰規定など。

     この「16ポイント計画」は三つの重大な原則を確定しました。
      ●ダブリン規約を守る
      ●メルケルによって破壊された秩序回復に力を入れ、送還原則を確立し、メルケルの過去の難民の欧州到来奨励やEUが庇護を与える政策の放棄
      ●自国へ戻ろうとする人々への奨励措置

     です。この「16ポイント計画」と、メルケルがこの過去一年半やってきた難民政策を比べてみれば、メクラでもない限り、これは180度の巨大な方針転換だと分かります。徹底的な過去の否定です。トランプの7カ国の入国禁止は暫定措置でしたが、ドイツの「16ポイント計画」は永久に入国を禁止しようというものです。

     これと同時にメルケルはEUに重要な決定を下すように促しています。リビアを大々的に援助して、アフリカ難民が欧州に向かう重要な中継地点のリビアで難民の流れを遮断しようというのです。2月3日、マルタで開かれた欧州サミットの席上、地中海難民危機に対する10ポイント計画が批准されました。その内容には、いわゆる「難民地中海ルート」の遮断、とりわけビリア海岸の警備隊を訓練して、早急にその必要装備を配備し、彼らにスネークヘッドが難民を欧州に送るのを阻止させようという計画も含まれています。既にリビヤに到着した難民たちは、リビヤに留めて今後行き先を決める。

     メルケルの難民政策の熱心な支持者のEU委員長のシュルツは2016年6月9日に、こう語っています。
     「難民が我々にもたらしたものは黄金より貴重である」。そして8ヶ月後、難民はドイツとEUがなんとか国外に追い出したいマイナスの遺産になってしまいました。変化はともかく、驚くべきは彼らがトランプの暫定入国禁止令を批判するときの自分たちの正義を疑わない堂々たる姿勢です。

      

    メルケル政治の「円熟」

     「欧州の女王」メルケルはその最も評価の高かった時期には世界中で褒め称えられてきました。私も東ドイツ育ちの女性が、三期連続でドイツの総理を務めあげたのはきっと人並み優れたところがあるのだろうと思っていました。しかし2015年以来の政策は、もう一度改めてじっくり見つめ直さなければと思わせるものでした。

     能力で言えば、彼女はが国内政治を操る技巧派素晴らしいものがありましたが、これはポリティッシャン的技巧です。ステーツマンとしてみれば、彼女は明らかに展望する力が欠けています。彼女が総監督でやった難民の舞台は、ドイツを毀損したばかりか、欧州を毀損し、英国をEU脱退の決心をさせてしまい、EUの前途を暗いものにし、欧州各国で保守勢力の台頭を招きました。英国の有名なシンクタンクのChatham Houseはベルギー、ドイツ、ギリシャ、スペイン、フランス、イタリー、オーストリア、英国、ハンガリー、ポーランドの10カ国の1万人を対象にアンケートした結果の結論は「55%の欧州人はイスラム国家からの新たな移民が自分の国に入ってくるのを拒絶している」です。

    今や、欧州はEUの解体の可能性に直面しており、各種の反省は全て、メルケルのあの無茶な「ポリティカル・コレクトネス」と難民政策に向けられています。もし彼女が「傑出した政治家」と言うのであれば、それは他の凡庸さによって目立つようになった「傑出」ぶりで、「世に英雄なかりせば、馬鹿たれでも有名になれる」みたいな話です。

    彼女に対しては、私は既に、 ★「政治的正義」が国家の安全より重視されてよいのか?ー独・ケルン事件を考える★ ★メルケルの玉座の下の民意基盤★  2016年9月25日ではっきり書いていますので、興味があればご覧ください。(訳者注;他に、★難民問題は歯がたたぬ胡桃にドイツの憲政・法治の弱体化一25周年におもうー 2015年10月4日 ★「政治的正義病」にシビれる独メディア★などあり)
     
     政治家としての「徳」について。メルケルは「難民を無制限に受け入れる」といい、「難民の聖母」の栄光で輝かしい存在になりました。と言うのも、難民がドイツで引き起こした強姦、強姦殺人、集団痴漢、強盗殺人、麻薬売買、テロ事件などにも変わることなく、驚くことなく二度も「我々はやれる」と沈着(実は頑固)な態度を貫き、彼女のテッパンのファンから「ドイツの指導者に最もふさわしい」とされて来ました。自国の選挙民に選ばれ、自国の納税者によって養われている政府首脳は、自国人民の暮らしと安全に責任を負っているのですが、彼女は自国民の痛みや心配には全く関心を持たず、自国民の受け入れ能力を考えませんでしたし、警察部門のテロ分子が難民に紛れ込んでくるという注意警告をも顧みず、安全で落ち着きある国だったドイツから、短期間のうちに安全が失われてしまいました。ドイツ人の観点から見るならば、彼女は首相になる時の宣誓内容に背き、選挙民の期待を裏切っています。そして一人の女性としては、自国の多くの女性が強姦されるかもしれないという恐怖の訴えに耳を貸そうともしませんでした。

     メルケルは難民政策を頑固に維持し、パフォーマンスを上手に行って、偽善的な強情を見せています。つぎの首相選挙に勝つために、自分の難民政策の誤りを認めませんで、引き続き「ポリティカル・コレクトネス」にのっとった高い調子を続けながら、行動ではそっと転向を図り、素早く、しっかりと難民送還の「16ポイント計画」を決めています。

     難民政策の失敗を認めるのを拒否する態度は、中共が自分の失敗を認めないのと同じです。毛沢東時代の文化大革命や、階級闘争でもって人民内部の闘争を招いたのは正しい、としました。そして鄧小平改革が始まってからは、今度は毛沢東の政策を否定することは依然として正しく、つまり中共は永遠に正しいのです。

     ドイツから永遠にイスラム移民を駆逐する16ポイント計画が実施され、リビアと強度してアフリカのイスラム移民を阻止しても、メルケルは自分が明らかに道徳的に高尚であるということを示すチャンスを逃しません。シリアやイランなど7カ国の一時的入国阻止令を出したトランプ米大統領に対しては大いに批判しました。こうした言行不一致は確かに政治ブローカーとしての調子の良い円熟ぶり、とは言えましょう。しかし、普通の人として言わせてもらえば、私はトランプの思ったことをそのまま口に出したり、言ったことをそのままやってしまう率直さの方が、メルケルの「成熟した政治ブローカーの円熟ぶり」に騙されるよりマシではないかと思います。

     メルケルの口と実際行動の乖離ぶりに、最大発行部数を誇るドイツの日刊タブロイド紙「Bild-Zeitung」紙は、これ以上見ちゃいられないということでしょうか、2月2日に「米国の『イスラム移民阻止」への論評の、『なぜドイツはトランプの入国禁止令を批判するか』は完全にインチキだ」を掲載しました。7つの事実をあげて、ドイツ側のトランプ批判は欺瞞だと指弾しました。なぜなら、ドイツはとっくにシリア、リビア、イラン、アフガン、ソマリア、イラクなどの国民には、移民禁止令を出しているからです。ドイツの禁止令と中身は同じだが、その差はスムースでプロフェッショナルなスマートさだと。

     メルケルと似たような人物にカナダのトルドー首相がいます。カナダ国際放送の中国語サイトに2月9日に、トランプの禁止令を批判した記事があり、米国で入国拒否された難民を受け入れるとしたトルドーは、カナダは「適切な方法で移民を受け入れるべきだ」とし、同時にカナダの国境での保護を強調しました。この方針は、カナダ・マニトバ州の辺境の街のエマーソンで2016年から17年度にかけて403人の難民申請者がカナダと米国国境を越えて来たからというのです。米国の1100万人の違法難民と、毎年の難民数からしたら、このような数字は取るに足らないものです。

     ドイツの難民問題のやり方はあの手この手で色々言いながら、、自分は戦場からはそっと撤退し、同盟軍に「必死で頑張れ」と言い続けているようなものです。米国主流メディアが果たして「16ポイント計画」を「発見」するかどうかはわかりません。(終わり)

     (本稿はドイツのツイ友の野罂粟@WilderMohnの協力を得て書きました。感謝)
     
     原文は;德国的戏剧:默克尔难民政策悄然转身

     「中国2015 何清漣」 電子ブック発売中何清漣さんの「中国2015」表紙

    Leave a Reply

    Your email address will not be published. Required fields are marked *