• ★米の海外援助費削減が引き起こす国際政治のピリピリ★2017年3月18日

    by  • March 18, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     トランプ政府の2018年度予算案の重点は軍事費増加と海外援助と環境保護費の削減です。この予算案の狙いは米国のハードパワーの増強です。オバマ政府が大幅に削減(軍備縮小)させ、ソフトパワーを重んじたのとは正反対です。一部の民主党議員はこの予算案は保守派の幻想に過ぎないとして、議会で法案阻止する動きです。

     海外援助によるNGO活動は、米国政界の主流と被援助者によって積極的な支持を受けてきました。しかし、NGO活動の舞台たる現地では、例えば中国やロシアといった国では、こうした組織に打撃、抑制を加えてきており、米国国内ではその効果や影響力に対しての疑問が高まっていました。特に一部の国々の急進派への援助は一層直接的に疑問が持たれていました。

     

    どんな海外援助資金が削減?

     トランプ政府はその1.1兆米ドルの予算大綱で、国防費支出を540億米ドル増やし、環境保護庁(EPA)予算の31%、国務省予算の28%、住宅都市開発省予算の13.2%の削減を提案しています。公共放送会社や、博物館、図書館サービス学会、米国国家芸術基金、米国平和研究所などへの資金援助はゼロです。さらに世界銀行などの国際組織への資金も、6.5億ドル削減を提案しています。

     連邦政府の大幅改造計画は、トランプのこの予算青写真の際立った特徴です。外部ウォッチャーは、この案はトランプによる米国の現在のシステム全体に対する挑戦で、米政府の方向性を変えようとするものであり、トランプが選挙のスローガンで使った「沼地を干拓せよ」を行動に移すプランだと見ています。

     海外援助資金は国務院予算の一部で、メディアはどれほどの海外援助計画が影響を受け、どの機関が廃止され、職業外交官がどのくらい仕事を失うか、などワシントンの空を覆うような恐慌感を隠すことなく報道しています。

     3月14日の、「ワシントン・フリービーコン」に掲載された「国会は国務省の外国選挙干渉への予算割り当ての調査を要求」(Congress Demands Investigation Into Obama Admin Meddling in Foreign Elections)があります。この記事はマイク・リーら数名の共和党上院議員が連名でティラーソン国務長官に当てたメールで、オバマ政府が世界的に、外交官を含む偏った政治的支持を行って、米国の国際開発資金を過激派や暴力的な政治活動家に与えて、過激派や政党を応援し、外国指導層内の穏健派や保守派の力を削ぎ落とそうとしていたかについての調査を要求しています。例えば、オバマ政府はイスラエルの最近の選挙で、イスラエル国内のネタニヤフ反対派に資金を与えました。これらの議員たちは「我々の全世界各地における代表団が、こうした政治的な不公平な肩入れをしているのは我慢ならないし、米国との関係に危険を及ぼす」として、「ティラーソンは、我々の税金の使用状況を調査し、こうした国家主権や市民社会を尊重しないで、最終的には我が国が築いてきた国際関係活動を損なう政治的扇動活動をやめさせるべきだ」としています。この手紙が挙げている国家としては、マケドニア、アルバニア、ラテンアメリカ、アフリカの多くの国家があります。

      

    ロシア;外国NGOシャットアウトの先鋒

     アメリカの今回の海外援助プロジェクトの削減の重点は中国やロシア関係のものではなく、上述のような国家と中東地区関連です。外国NGOに対する「心配症」のひどいロシアや中国はとっくに米国の外国援助プロジェクトの重点にはなっていません。

     2005年ごろから、ロシアは前後して連邦国家で色とりどりのカラー革命に見舞われ続けました。ウクライナの「オレンジ革命」、
    グルジア(ジョージア)の「バラ革命」、キルギスタンの「チューリップ革命」で、ハズフスタンでカラー革命が阻止され、やっとこの革命的風潮は暫時、歩みを止めたのでした。当時、米国は旧ソ連.独立国家共同体(CIS)でカラー革命を推進したのは、地政学的な考えからで、「旧ソ連の解体後、旧ソ連のCIS国家群は、ロシア、米、欧州の大国の政治的レスリングのリングになりました。CIS自身は、早い事、ロシアのコントロールから抜け出したかったわけです。しかし、こうして「カラー革命」を通じて実現した選挙を行った「民主的国家」は、その内幕はといえば、相変わらず集権的なエリート統治国家群でした。現状に不満な民衆にも他の選択肢は無く、政権党と反対党の間を行ったり来たりするしかありませんでした。基本となる制度建設がなかったために、何度政権を交代させたところで、社会の実質を変えていくには限界があったのです。流行用語で言えば、こうした国家の民主化は「TBA」(*発表を待ってね/追ってご連絡、の意味)です。

     しかし、CIS国家で次から次へとひっきりなしに起きた「カラー革命」から、プーチンのロシア政府は、外国NGOの役割の重大さを見てとりました。そこで、カラー革命が始まるや、すぐ自国での外国NGO打撃作戦を着手しました。2012年11月21日には厳しい「外国代理人法」(foreign agents law)を作り出しました。この法律では、NGOは「政治活動に従事する外国の代理人」とされました。ロシア語では「外国代理人」というと「スパイ」「国家への反逆者」の意味もあります。

     2015年、プーチン大統領は国外NGOに対する新法案に署名し、検察機関に外国組織や組織の国内活動を禁止できるようにし、ロシア当局に、国家安全の面から「歓迎されざる外国企業」を認定できるようにして、そうしたNGOや個人に罰金や最高6年間の禁錮を課せられるようにした。

     この期間中に、100以上の機関がロシア政府のブラックリストに載せられ、閉鎖されたり、ロシアから追い出されました。その中には、米国国際開発庁(USAID)、ソロスの「Open Society Foundations」(OSF)、National Endowment for Democracy(NED)、International Republican Institute(IRI)、National Democratic Institute for International Affairs, (NDI)、マッカーサー・ファンド、フリーダム・ハウス、Charles Stewart Mott Foundation、 Democracy Education Foundation(DEF)、東欧民主センターなどがありました。活動を許されたNGOも資金ショートや、名誉を損なわれたり、職員が脅されるなどの苦境に陥りました。2016年9月初め、ロシアの独立系世論調査機関の「レバダ・センター」が政府によって閉鎖させられました。政府は「NGO活動法修正案」を根拠に、国外からの資金援助を受けている同センターを「外国代理人」と認定したのです。

      

    中国はロシアを師として出藍の誉れ

     外国NGOを統制するロシアのやり方を公開打撃型とするなら、中国では習近平以前は、米国の対中外交の、「接触、協力、影響、改革」の8文字に対してソフトな方法で応じて、外国NGOを政府との協力を中心にさせて、極めて小さな分け前しか草の根のNGOには渡らないようにするやり方を採ってきました。

     香港大学社会学系の安子傑(AnthonyJ.Spires)助教授は米国の基金センターのデータバンク(www.foundationcenter.org)の統計から、2002年から2009年の間、米国の様々なファンドによる対中援助額は4.3億ドル(香港、台湾含まず)で、そのうち学術機構(中国ではすべて政府立です)、政府部門、政府系NGOにそれぞれ44.01%、25.38%、16.62%,渡っており、この三者だけで総額の86.01%を占めており、本来のNGO(草の根)には5.61%しか渡っていないことを分析しています。この分析の結論は、米国の援助しているのは中国の民間パワーでは無く、中国政府である、でした。(退華援助は誰の手に?「政見」2012年4月9日)。

     2010年、中国のGDP総額は日本を超えて、世界第二の経済力となりました。西側国家は自分たちの方が中国より貧乏であるということに気がついて、次第に中国への援助は減らされたり中止されたりしました。「財新ネット」の2015年11月の報道では、中国ファンデーション・センターの評価リストでは2015年に、中国のNGOへの国外からの資金援助は「断流」に見舞われており、2013年に比べて、参加評価で選ばれたNGOは103から195に増えたが、国外からの援助は逆に98から62と4割近くに減った。中国で5つ以上のNGOを支援している海外基金会も2013年の8から6に減って、援助回数も78回から55回に減ったとしています。

     こうした状況の下で、中国政府はもはや外国から援助を受けている草の根NGOなど不要だと見て、2014年4月に国家安全部が、国外NGOを徹底調査し、新しい「国外非政府NGO国内活動管理法」を2016年4月から実施。硬軟両用のあの手この手で、最終的に7000以上の外国資金援助を受けているNGOの活動を出来ないようにしました。その中にはドイツの200以上の中国におけるファンドが「違法」とされて国外退去させられています。

     トランプ政権は別に全ての対外援助を停止しようとしているわけでは無く、ただ、オバマ政府時代の米国の対外援助の成績を再評価して、その基礎の上に展開しようとしているのです。「トランプ政府の米国の対外援助プロジェクト」(VOA,2017年1月17日)は、保守派のシンクタンクのヘリテージ財団(Heritage Foundation)のJames Robertsの見方を紹介しています。それは「米国、経済協力開発機構(OECD)加盟国等、西側国家の提供する援助のほとんどは、最後にただ腐敗した政府の延命にしか役立っていない…対外援助では、トランプ大統領とその政府は出来るだけ、財産権や法治を強化し、腐敗に打撃を加える国家に援助したいと考えている」、というものです。

     ですから、本当の問題のありかは、(1)、多くの米国の援助を受けている国々の中で、どの国がこうした基準を達成し、援助を引き続き受けるに値するか? (2)、外国援助が、意図と全く反対の成果となったりしないように、有効かつ流用されない方式を保証するのにはどうすれば良いのか、です。(終わり)

     拙訳御免。
     原文は;美国减少外援 牵动国际政治神经 http://www.voachinese.com/a/heqinglian-foreign-aids-20170317/3771596.html
     「中国2015 何清漣」 電子ブック発売中何清漣さんの「中国2015」表紙

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