• 東も西も「SNS恨み節」合唱へ  2017年3月20日

    by  • March 20, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

    3月19日、ロシア下院議会は、「VOA」、「CNN」、「自由欧州放送局」、「自由放送局ロシア語放送」はロシアの法律を遵守しているかどうかについて調査を命じました。同時に、欧州連合(EU)の多くの国が総選挙を迎える今年、ドイツ、フランスなどでは現在、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「フェイク・ニュース」を規制する法律案を準備しています。これは無情にも滑稽な姿です。各国の制度も、エリートの権力の源も異なるにもかかわらず、SNSの引き起こした批判に対する悩み方たるやそっくりなんですから。

     

    中国とロシアは水も漏らさぬ体制へ

     中国とロシアの共産党一党専制体制の遺伝子はずっと存在しており、中国の権力の源は、「銃口から産まれた政権」が自分で憲法を作りました。ロシアは形式上は民選と議会がありますが、その骨の中は依然として専制の色彩の極めて強いエリート政治です。専制独裁政治のロジックは、この両国はもはや「真理」までは独占できませんが、しかし「輿論」は独占し続ける方法を模索して飽きないのです。

     メディアコントロールは共産政権が元々持っている天賦の資質です。ソ連崩壊後、一時期は民間のメディアもありましたが、プーチンがクレムリンの主になってからは、あっという間に多くのメディアは片付けられてしまい、ロシアは再び政府が輿論をコントロールする形に戻りました。中共は鄧小平の改革後はちょっと融通を効かせましたが、政権掌握後はロシアを教師として、未だに異論を弾圧し、宣伝で世論を引っ張ろうとする姿勢と、政権党の一言で全てが決まるという伝統的なやり方を続けています。伝統メディアのコントロールでは、中国とロシアは互角です。しかし、ネットの管制となると、中国は政府の巨大な、ネット監視員、五毛、専門性の比較的高い情報アナリストなど全て揃えています。ロシアの経済力は中共にとても及びませんから、引けを取っています。

     中国はこの方面では大変気前が良くて、無料でロシアやイランなどへ「防火技術」を輸出しています。2016年6月にプーチン大統領が中国を訪問した際、中国とインターネット領域での協力に関する重要文献にサインして協力を始めたと思われていますが、実はインターネットに関する協力は、もっと早くから、中国の「金盾工程」が建設された胡錦濤時期に始まっていました。ただどちらも、目立たないようにして外部に宣伝などはしませんでした。中国も当然、ロシアから学ぶこともあって、例えば習近平が権力を掌握したのちに、プーチンの育てた「若き親衛隊」に習って、ネット評議員の有料仕事を中国共青団の組織的ボランティア活動にしたことがそうです。

     ソーシャルメディアへのコントロールでは、両国はそれぞれ特徴があって、中国は問題をしらみつぶしにしていくやり方で、ツイッター、Facebookなどの国外SNSの中国侵入を禁止して、Facebookのザッカーバーグが、習近平の本をいかに真面目に学習してお願いしても、中国の門は開きませんでした。中国国内の「微博」(ウェイボ/マイクロブログ)については始終、取り締まりを行って最後には半死半生の域に追い込み、中国人を「微信」に逃げ出すように仕向けました。(参考;中国人のWeibo(微博)とWechat(微信) の活用方法の違いとは? )「微信」に対しては政府はグループ管理で一つ一つの微信の群れを同質性の高い暇つぶしグループにさせることによって、中共の指導を比較的成功させています。
     
     ロシアの各主要メディアは全て、程度は違えど当局のコントロールを受けているのに対して、インターネットは相対的に自由だと言えます。ロシアの経済力は中国に比べてはるかに弱いですから、インターネット管制に投入できる資力・人力はなかなか思い通りにはならないのです。ブーチン支持者はテレビの観衆で、反対派はネットに集まります。2011年と2012年にロシアで起きた大規模な反プーチンデモではインターネットとソーシャルメディアがその推進力になりました。今、ロシアは2018年の大統領選挙が近づいていますが、当局はインターネットとソーシャルメディア、カラー革命などがプーチンの当選に対しての脅威だとみなしています。ですから、中国に習いたいのですが、中国の経験と技術が果たしてロシアのネット空間で有効かどうかは未知数です。経費不足から、ロシアのインターネットコントロール能力は、中国の比ではありません。プーチンに批判的なネットを当局が封鎖しても、ソーシャルメディア上にはまだ残っていて、簡単に見られるとかです。ですから「当局はソーシャルメディアに対して真剣に取り組まなければ、今のようなネット管制の試みは意味なし。一旦封鎖されてもいくらでも見られる。ソーシャルメディアこそが鍵なのに」と言われています。

     
     

    西側民主政府もSNSがお嫌い

     西側の政府もSNSで悩まされています。一貫して言論の自由を誇ってきた米国、ドイツやフランスの体制派のエリートも、一昨年から次々に、ソーシャルメディアとの戦いに悩まされています。彼らは伝統的メディアをコントロールする必要はありません。というのはこうした国家の主流のメディアと体制派はイデオロギー方面では、ぴったり好みが同じで、少数の伝統メディアが多少批判的でも大した波風は立たないからです。

     最初にSNSで悩まされたのはメルケル政府でした。早くも2015年、メルケルが無制限に難民を受け入れると約束した時に、ドイツ版のネット監視が始まりました。9月14日、ドイツの法務大臣のHeiko MaasはFacebookの代表団に対して「 ヘイトスピーチ」をすぐ消去できるようにし、そうした差別的言論に対する反証を集める、Facebookと民間のNGOによる小グループを作ることを要求しました。9月下旬に、ニューヨークの国連大会の合間に、メルケルはFacebookのCEO・ザッカーバーグにナショナリズム的言論がFacebook上に増えていることに足して注意を促し、ザッカーバーグも監督強化を約束しました。今年9月に総選挙を迎える連邦議会は、ソーシャルメディア上で、フェイクニュースやヘイトスピーチが選挙に影響するのを防ぐために、ドイツ連邦司法・消費者保護省(BMJV)が3月14日に、一連の法律案を提出しました。それはバーチャルなソーシャルメディアは24時間対応できる体制をとって、投書に対して専門に処理する人員を配置する。違反者には最高5000万ユーロの罰金というものです。この法案は9月24日の選挙前に通過すると言われています。

     フランスのソーシャルメディアに対する管理は、ドイツと極めて似ています。2017年、フランス大統領選挙の幕は既に開きましたが、フランス政府の要求でFacebookとGoogleはフランスの新聞期間と協力して、選挙民が「フェイクニュース」に騙されないように、選挙の「公正性」に影響を与えないように、協力して措置を取るというものです。この2社は、このほど17社によって作られたフランス権威あるメディア検証機関である「クロスチェック」と深く協力して、大衆がネット上の情報の真実性を調べ、「フェイク・ニュース」に打撃を与えることに協力すると発表しました。

     

    米国の心配。視聴者の伝統メディアへの信頼度低下

     EU等の国々は真剣に米国大統領選挙でのヒラリーの失敗から教訓を学ぼうとしています。ヒラリーは主流メディアの圧倒的な支持の下に、米国のエリート同盟によって一致協力した推薦を得ていたにもかかわらず敗れたのです。エリートたちは苦しい痛みに耐えて、敗戦原因を二つあげています。一つはロシアのハッカーが選挙に干渉したこと。もう一つはSNSが選挙結果に影響を与えた、というものです。「ニューヨーク・タイムズ」は10数編の反省記事を書きましたが、その中の「ソーシャルメディアの政治的力 フェイクニュースが選挙結果に影響」(2016年11月18日)では「米国大統領選挙ではFacebookにデジタル情報時代のニュースソースとしてのスポットライトを浴びせた。とっくの昔から、世界的に指導者や団体、少数民族系のグループに対しては、大量の偽ネット情報や侮辱が浴びせられており、真実に対して悪影響を与えて来た。長年にわたってソーシャルネットワークは基本的に偽情報を抑制するすべを持たないで来たのだ」と書きました。

     しかし、わずか数年前、米国メディアやヒラリー本人が、ソーシャルメディアに対しては現在とは全く反対の態度を取っていました。2009年1月21日、国務長官だったヒラリー・クリントンはワシントンの「ニュージアム」( NEWSEUM)で講演した際、おおっぴらに、「我々は新しいツールを開発し、公民に政治的チェックなしに、それを自由に表明する権利を支持する。我々は今、世界各地の団体や組織に資金を提供し、こうした新しいツールの現地語バージョンを作り、必要な人々に提供し、彼らに安全にネットに接続できるように訓練する」という意見を表明しています。

     その年の6月のイラン大統領選挙の時に、ヒラリーはこの選挙を「ツイッター革命」になったとして、大いに褒め称えました。当時の国防長官だったRobert Gatesは、ツイッターはイランのテヘランにおける抗議行動で極めて重要な働きをしたソーシャルメディアで「米国の重要な戦略的資産である」と表明しました。この種の新技術は、独裁政権に情報を管理するのを極端に難しくさせ、こうした技術の進歩は世界各地での自由の巨大な勝利だと言ったものです。当時、「マウスをちょっとクリックして世界を変え、独裁政権を倒そう」という言葉までメディアに登場しました。

    2011年の中東と北アフリカのジャスミン革命では、Facebookなどの役割は同様に、誇張されてオーバーな評価をされました。エジプト革命の推進に力を尽くし、匿名のFacebookなどで、2011年のエジプトのカイロ・タハリール広場革命を手助けしたグーグル職員のエジプト人・Wael Ghonimは、「ソーシャルメディアは、新たな秩序を建設するのではなく、既成秩序を覆すの方面に力がある」と反省しています。

     西側世界の、ソーシャルメディアに対する革命的熱情はやっと冷め始めています。今後は各国がソーシャルメディアをコントロールできないことに対する恐慌状態が続くでしょう。インターネット革命を推進した米国の前国務長官だったヒラリーが、2016年の大統領選挙では、左派陣営が1%しか勝利の可能性はない、と見ていたトランプに敗れたのです。かくて、ソーシャルメディアの西側国家における地位には変化が起き、独裁政権を倒すツールから、「ポリティカル・コレクトネス」をダメにしてしまうデマを伝えるものとして粛清と罰金の対象になったのです。

     伝統メディアからすれば、自分たちの権威の源がまさにソーシャルメディアによって崩される部分があります。3月6日、米国の「投資ジャーナル」(Investor’s Business Daily, IBD)技術スタンダードマーケット情報(Techno Metrica Market Intelligence of Policy and Politics, TIPP)が最新の全米世論調査を明らかにしました。55%の回答者は、「主流メディアがトランプに対するマイナス報道を続けているのにうんざりする」と答え、54%の民衆は「メデイァは反対党となって、トランプの政策に全部反対している」と答えました。3日後、「USA Today」のアンケートでは、トランプ大統領をプラス評価した人々は45%でしたが、それでも議会(26%)、ヒラリー・クリントン(36%)、メディア(37%)より高かったのです。

     以上の分析から、ソーシャルメディアはまだ出現して10数年の歴史しか持っていないのですが、民衆がそれを使って自由に意見を述べ、公共参加できる重要なツールとなっています。そして、中国やロシアといった専制国家の反発を受けるだけでなく、言論の自由を尊ぶはずの西側のエリートとメディアからの反感も、日増しに強くなってきているのです。(終わり)

     拙訳御免。
     原文は;世界精英的共同烦恼:对付社交媒体 http://www.voachinese.com/a/media-20170319/3772865.html

     「中国2015 何清漣」 電子ブック発売中何清漣さんの「中国2015」表紙

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