• ★不動産の売れ残り解消—政府の巧みな販売技術の正体—★2017年3月30日

    by  • March 30, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     最近、中国各地の政府が相次いで、不動産購入制限令を発し、国内は嘆きの声で一杯です。胡馬という人の「絶望メール」と題して、「500万元握りしめても、北京では家が買えないよ〜」という嘆き節が大人気を博し、アモイや北京などの不動産転がし客が同様の苦境を訴えています。中国人は、こうして今、恐慌を来しているわけですが、分かってないようです。それは、こうして一つづつ、人為的な不動産供給不足を作り出す中で、政府がまんまと、一、二線級都市の過剰不動産を、うまいこと”他人の子供を身ごもった女と結婚する男”のような庶民に売りつけるのに成功したのです。(訳注;胡馬の書き込みは、北京のホワイトカラーが、500万元=約8000万円=用意して、家を買いに行ったら、まず、手付金が値上げされ、仕方なく、偽装離婚したら、今度は、離婚後一年間は不動産購入できない、とかのルールに引っかかった、頭にきて、アメリカに移民する決心をしたという内容)

     

    売買制限によって、欠乏心理を醸成

     限定購買令と限定販売令は、市場の二つの異なるビジネスグループに対して、順番に取られた措置です。購買限定は不動産の買い手の心理を狙ったものです。不動産物件は多くとも、購買資格を限定すれば品不足を作り出せます。そこで住宅ローン制度や、頭金の比率など、各方面から無理やり購入資格の敷居を高くしていき、買い手をパニックにさせたのです。不動産の値段がどんどん上がって、「大変だ、急がなきゃ! バスに乗り遅れるな!」という心理にさせるたのです。客が不断に湧いて来るように、政府は「凧揚げの原理」で不動産を販売します。つまり凧糸を締め過ぎないように、緩め過ぎないように、ちょうどよい調子を維持して、しっかり糸を離さず、です。糸を放すと凧は飛んで行ってしまいます。ですから、引っ張ったり、緩めたり、最後に凧(つまり価格)は、ますます高くなりますが、糸が切れる(バブル崩壊)ようなことにはさせません。

     この4年近く、中国の不動産市場はこんな具合でした。しばらく「通貨流通量を緩める」ことで、市場にレバレッジをかけ、簡単に銀行からお金を借りられるようにして、不動産購入の頭金も低く抑えます。これで不動産転がしが出来ます。少なからぬ北京、上海、深圳などの一線級都市の不動産市場は金儲けのチャンスと見て取り、次々に参入して行きました。そして今度は調整局面になりますと、「不動産は、転がすためのものではない」などと言って、様々な不動産購入限定政策が登場し、不動産供給を不足状態に見せかけて、人々の間にパニック心理を起こさせます。こうして、不動産購入を目指して、北京や上海などの少なからぬ人々は、「偽装離婚」してまで、万難を排して不動産を購入する決心をして奮闘努力する、というわけです。

      

    ”中国人がバカだからではない。財産の目減りが怖いから

     マーケットの観点から分析すると、中国の不動産は既に投資価値はありません。投資対象としての不動産には三つの指標があります。不動産が投資に閉めるGDPの比重、不動産からの収入比率、家賃・土地代の比率で、全て中国では、世界の平均水準を超えており、無茶苦茶なのです。それでも、中国不動産市場に”他人の子供を身ごもった女と結婚する男”のような買い手に事欠かないのは、「財産の目減りのパニック」があるからです。

     中国の最近のインフレは、主に不動産領域に集中しており、次が食料のような基本的生活物資です。不動産価格の値上がりの速さのすごいことは、自分の財産が目減りするというパニックを引き起こします。90年代初めに、都市人口の貧富の差が開き始めた一番主要な原因は、不動産を買ったか買わなかったか、そして、いつ買ったか、が鍵となったのでした。早く買っていれば、家の価値が上がり、遅く買ったら重い負担となりました。買わなければ、10年前に買えたマンションは、今では半分も買えなくなっています。頭のよく回る、冒険を恐れない人は、買った部屋を抵当に入れて、さらに買い増し、手を出すのも、引くのも素早く儲けました。2戸の不動産を買って、1戸を売れば「中華帝国のボーナス配当」を得て、投資移民になったり、子供の留学費用を払えました。こうした実際に存在した金儲けの話が、人々が一線都市の不動産を買う欲望を刺激したのです。

     「中華帝国のボーナス配当」を得た金持ちや、豊かな中産階級は、それを現金化して、外国に不動産を買い求め、米国、カナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランドなどの不動産価格上昇を刺激しました。中国のインフレ圧力を軽減し、自国の紙幣乱発によって引き起こしたインフレ圧力を、他国に”輸出”し、各国を警戒させました。この状況は、中国が外貨準備の大量流失によって、資金の流出を防ぐ各種政策によって、やっと今の所、暫時止まっています。
     そして、投資機会に恵まれない、中国国内資金はどこへも行き先がなく、最後には当然、不動産市場に流れ込んで来るのです。

     

    ”他人の子供を身ごもった女と結婚する男”の心理

     財産の目減りを恐れる外にも、”他人の子供を身ごもった女と結婚する男”が、不動産市場に参加する二つの大きな心理的要因があります。

     1; 政府の不動産市場維持能力へのテッパンの信用。民衆は長年、不動産こそが中国経済の柱で、大き過ぎて潰せないから、政府はなんとしても維持するだろうし、またそうする力を持っていると信じています。政府のそうした全能の「托塔天王(毘沙門天)」が全力で支える不動産市場だから、みな安心してやれるのです。

     2; 賭博心理に駆られる。中国人の人生で、「混」という文字があります。例えば「混日子」(*なんとかその日その日をごまかして過ごす、みたいな意味)というのがありますが、つまり、博打的な気持ちです。麻雀は小博打、投資は中ぐらいの博打で、不動産転がしは大博打、商品相場に手を出すのもでっかい賭け、です。最近、山東省の聊城で起きた母親を侮辱した相手を息子が殺した事件では(*闇金の借金取りたちが、母親に性的暴行を加えようとしたので、相手を殺してしまった事件、警察は見ぬふりをしていた)の原因は、母親の蘇銀霞が鉄鋼が値上がりすると聞いて、月一割の高利の金135万元(約2000万円)借りて返せなくなり、大きな悲劇になったものです。
     この種の、借金してまで博打に走る傾向は、中国の闇金融を至る所にはびこらせ、警察と結託した無法地帯となって、多くの家族を滅亡させる悲劇を生んでいます。2017年03月28日、「財新ネット」の「民間の借金のもつれによる事件は、江蘇省、浙江省、広東省、山東省で4割を占める」という記事では、東部沿海地方の江蘇省、浙江省、広東省、山東省が高利貸し事件の多発地域で、総計4万件の事件のうち1万6千件がこの4省で起こっています。冷たい数字の後ろに、血なまぐさの程度が違うというだけの、無数の不幸な物語が隠れています。

     

    なぜ、政府がいつも勝つのか?

     政府が全国に、売れない不動産物件が100億平米ある、と宣言してから、現在まで既に3年経ちました。ここ数年の全国各地の状況は違います。1、2線級の都市では、1、2度、多いところでは4、5度の購入制限令が出ており、今では、ついに販売規制命令まで出ました。購入制限から、販売制限までの、この巨大な転換は、政府があらゆる手段を使って市場で販売を行うことによって、大部分の不動産物件が既に、一般庶民の手中に渡っている、ということです。今年1月21日の、「清華五道口財富50人フォーラム」内部会議で、天風証券の首席経済アナリストの劉煜輝の発言に、政府が規制を方向転換することへの予見が伺えます。

     ; 2013年から2014年、不動産の在庫は不動産部門の手中に在庫として放置されており、地方財政部の財政的危機の崖っぷちと連動していた。しかし、ここ数年の家庭向けの販売の強化策を経て、「不動産は事実上、既に”熱はあるが冷静に治まっている状態”、つまり流動性がなくなり、すべて一般庶民の手に渡っている」と。

     中国政府が、一般庶民が自ら望んで”他人の子供を身ごもった女と結婚する男”のような役割を果たすようになったのは、政府が経済資源方面で持つ独占的な権力のおかげです。既に去年、私は

    中国の不動産市場ー 胴元、審判、プレイヤーは皆、政府」ではっきりと書いておきました。

     ; 米国で、ポンジスキーム(詐欺)が破綻し、サブプライムローン危機が発生したのは、プレイヤーと銀行と政府(審判)は利益が異なる三つの力だからです。しかし中国は違います。審判は中央政府で、胴元は中央銀行、大プレーヤーは地方政府です。地方政府が土地を売りたいと思えば、資金が途切れず入って来るように、小プレーヤーに賃貸用住宅を買わせなければなりません。中国でこの20年以上の経済発展は、主として超過通貨発行によって支えて来ました。株式市場と不動産市場は、中央銀行の二大通貨貯水池となったのです。信用貸付の放出は、既に中国政府の経済安定の「治安維持」の手段になっています。中国政府はとっくに、一連のマーケット・コントロールの方法を編み出しており、例えば、購入制限令、限定発売令、価格制限令、売り出し制限令のようなものを、使いたいだけ自由に使えるのです。一つの政府が、胴元で、審判官で、不動産の売り手を兼ねるというマーケットでは、バブルは昔の日本や米国より更に大きくても、自由自在に吹きまくれるのです。

     結論として、中国政府が不動産市場において、「販売の名人」でやれる理由は、あらゆる資源の独占ということでやってのけられることなのです。

     1; 政策レベルでは、いつも各種の異なった、購入制限、価格制限で、品不足状態を作りだし、値段はあっても商品がない事態を維持できる。さらにメディアを使って、不動産価格はまだまだ上がる、といった状態を煽って、不動産所有者に売り惜しみさせたり、民衆の「バスに乗り遅れるな」的なパニック心理を強めることができる。

     2;民衆側の買いたい、という心理の高まりが一定程度になったら、適当な時期に金融を緩和して、不動産を放出。待ち望んでいた人々がどっとマーケットに参入するようにする。皆、政策が始終変わり、不動産価格がどんどん上がっているのに、買わなければ、もっと高くなると知っている。一部のツイッター友達は、私に「前回は間に合わなかったから、また損をした。今回の不動産価格上昇は1割ぐらいだが、財産を目減りさせないためには、このバスに急いで飛び乗るしかない」と言いました。

     つまり、中国政府が中国人を、”他人の子供を身ごもった女と結婚する男”のように、過剰不動産の引き取り手に出来たのは、中国人が大馬鹿ぞろいだからではないのです。それは売り手も買い手も、情報、参加条件が、極めて非対称状態に置かれているために、必然的な結論なのです。
     政府、地方政府、銀行、不動産会社は行動の一致した利益共同体で、政策を決めるのも、不動産情報を提供するのも、彼らが一身に引き受け、何千万、何百万人もの買い手は、政策情報を受け入れるだけのバラバラの行動しかできません。マーケットの博打ゲームでは、バラバラの行動しかできないものは、負け決定なのです。

     西側社会の経済競争の中で、反独占が必要とされるのは、中小の生産者が価格決定で、自分たちが弱い立場にあるのだと、政府を説得したからなのです。(終わり)

    拙訳御免。
    原文は;从限购令到限卖令:全靠政府“营销”有术

    「中国2015 何清漣」 電子ブック発売中何清漣さんの「中国2015」表紙

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