• ★事、志と大違いの中国人民元の国際化★ 2017年4月5日

    by  • April 5, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     中国はずっと人民元の国際化推進を願ってきました。国際通貨基金(IMF)特別引き出し権(SDR=加盟国の準備資産を補完する手段として、IMFが1969年に創設した国際準備資産)の通貨バスケット入りをその出発点とみなしていたのです。ところが事志に反して、2016年10月に正式にバスケット入りは果たしたものの、最近IMFが発表した「各国外貨準備高構成」では、はっきりと人民元国際化の夢と現実の距離が極めて遠い現実をみせつけられました。指標は人民元の国際化の二つの肝心なデータが、上昇するどころか下落しており楽観を許しません。

      

    人民元は備蓄通貨として不人気

     国際通貨には二種類の重要な指標があります。一つは各国が備蓄通貨とする度合いです。

     3月31日、IMFはネット上に2016年12月までの「各国外貨準備高構成」(COFER)の四半期データで、人民元単独での保有状況を初めて発表しました。参加146カ国のメンバーと、その他非メンバー国家や経済体が持つ外国通貨の構成に関する四半期報告では、各中央銀行が2016年の最終四半期の人民元備蓄額は845億米ドルでした。これは、全世界の外貨準備高のうちたった1.07%という事で、SDRに人民元が占める比率の十分の一に過ぎません。2016年10月に、IMFが中国人民元をSDR通貨バスケットに受け入れた際の比重は11%で、米ドルやユーロに比べると低かったものの、英国ポンドと日本円よりは高かったのを覚えているでしょう。(訳注;各構成通貨の比重は、米ドル-41.73% 、ユーロ-30.93% 、RMB-10.92% 、日本円-8.33% 、英ポンド-8.09% 。全世界の公式な外貨準備高は米ドル-64%・ユーロ-21%・英ポンド-4.1%・日本円-3.4%)

     人民元はIMF国際準備通貨額の中での比率が、米ドルの64%よりはるかに低いばかりか、ユーロ、日本円、英ポンド、豪州ドルなどの他の主要通貨より低いということは、人民元はIMF主要国際備蓄通貨になりはしたものの、各国の受け入れ姿勢には限界がある、ということです。「ウオール・ストリート・ジャーナル」は、中国経済の規模からして、各国の中央銀行は、大体20%の人民元を所有するのが妥当だと分析しています。国際金融会は、人民元が各国中央銀行の所持外貨に占める割合が僅かしかないのは、グローバルな政策決定者らは、中国当局の人民元に対するコントロールが厳し過ぎると見ており、加えて金融マーケットの透明度と不断に上昇する債務などの要素への心配が、通貨価値をねじ曲げ中国に対してする一定の懸念となっている、と分析しています。

      

    国際貿易決済中の比率も下降

     人民元の国際化のもう一つの指標は、人民元が国際貿易の決済通貨として占める割合です。

     人民元が通貨バスケット入りを果たす前、中国は一部の中国との貿易の盛んな国家との間で、人民元の決済通貨を推進してきました。これは大変効果がありました。グローバル銀行間の通信システム(SWIFT)による、暦年のデータでは、2010年にわずか1%しかなかったのが、2013年には16.5%、2014年には、全世界の順位でも35位から7位に浮上しました。当時、中国側は「国際貿易決済の支払い手段としての人民元の地位は、2015年には日本円を超え、米ドル、ユーロ、英ポンドに次ぐ第4のグローバル通貨になるだろう」と楽観していました。こうした気分は中国の政府・民間とも持っており、中国経済メディアは「人民元の勃興と日本円の没落」(2016年9月上海三联出版)という本を大いに推薦していたことからもうかがえます。

     不幸なことには、2015年の人民元の国際決済通貨としての上昇の勢いは逆転し、2015年の下半期から、上記の指標は大幅に下がってしまいました。2015年第3四半期から2016年第2四半期の国際貿易での人民元決済規模は、2.09兆元から1.32兆元に下落。同期の人民元決済規模と国際貿易総額の比率は、32.5%から22.0%になりました。2017年2月8日の「ロイター」の報道では、英国のチャータード銀行が発表した独自指標では、2016年、主要国際金融センターで使用された人民元は10.5%減少し、12月には29カ月間で最低になりました。

     まさに2015年10月から2016年10月というのは、中国の人民元バスケット入りの観察期間が満了となって、正式に世界五大備蓄通貨になった時期です。しかし、事志と異なり、中国はこのIMFの吹かせてくれた「東風」にもかかわらず、国際化の足取りはかえって遅くなってしまったのです。

     

    通貨弱含み、は国家の実力と信用の弱さ

     国の通貨が国際的なハード・カレンシーになるかどうかは、自国の政府の決意によってではなく、経済的実力と国際的信用によって決まります。人民元国際化の歩みが遅いのは、以下四つの理由によるものです。

     第一に、中国の外国為替管理が不断に強化されていること。

     外貨準備高の持続的な減少によって、2016年8月の人民元為替レート改革以来、外貨準備の急激な流出が起きました。この状況の下で、中国政府は、人民元の国際化より、まず為替レートを安定化させ、資本の流出防止を第一に考えなければなりませんでした。優先目標を達成するために、中国政府が採った数々の措置は、自国企業の海外合併や資金流出の厳しい制限の他に、外国企業の利潤の国外持ち出しまで厳しく規制しました。これは、既に「★2017年中国経済の最重要劇⑴—通貨の安定維持★ 2017年1月5日で詳しく書きました。

     今年になって中国政府は、また外国為替管理をより厳しくする新措置を追加しました。「ドイツの声」がドイツメディアの報道を引用していますが、中国の金融官僚が、今年一月北京と上海で銀行システムのトップレベルのメンバーを招集し、非公開の会議を開きました。このニュース・ソースはドイツのメディアに、「これはもうわずか数カ月の間に、3度目。前の会議と同様、一切の書類はないまま、すべては口頭協議だったが、実際の拘束力はある。銀行業界ではこれを窓口指導、と呼んでいる。そしていう通りにしないと吊し上る、と脅かされた」「一番重要な新規則は、銀行は外貨バランスを絶対取らねばならず、中国から100ドル出て行くには、必ず100ドル中国に入ってこないと駄目ということだ」と語っています。外資銀行は中国国内での商売は危機にあると深く感じています。というのは、中国の外国資本の銀行は市場の1.3%を占めていますが、伝統的な預金業務や貸付業務は実は大して重要ではなく、彼らの重要業務はまず外国為替業務だからです。

     第二には、中国の金融危機の危険が顕在化するに従って、人民元資産の収益率が明らかに減少し、潜在的危険が上昇して、人民元の切り下げ予測が強まっています。国外の投資家は、人民元資産を減らしたいと願っており、これは人民元国際化の進み具合を遅くしています。

     第三には、中国の為替レート・コントロールの代償は、つまり人民元が国際貿易の決済手段としての地位を弱めています。企業は自分たちの利益から考えて、人民元を使ってまで中国政府のご機嫌を取りたくないのです。

     第四には、香港、台湾、シンガポールなど、ずっと人民元を国外で大量に備蓄してきた主な地域が、みなそれを減らそうとしていることです。人民元の通貨バスケット入り以前から、中国と30数カ国の貿易相手では、香港、台湾、シンガポールは最も多くの人民元を吸収してきました。しかし、現在この三つの地域は各種の、経済、政治的影響を受けて、人民元の備蓄規模を全て下げる傾向にあります。香港の人民元備蓄の規模は、12月の1兆元から2016年12月的5467.07億元に下がり、台湾では、2015年6月の3382億元から2017年1月末の3109.54億元に、シンガポールでは、2015年6月の2340亿元から2016年末の1890億元になっています。

     国際経済には発展の周期があって、中国経済はかつて、グローバル化の列車にのってグローバル化の中で一番利益を上げた国でした。勢いが盛んな時には、中国はずっと人民元国際化の後押しをして、米ドルと覇を競う「5歩の歩み」をうまく歩むことを期待していました。この「5歩の歩み」というのは、人民元が貿易決済通貨になり、人民元が投資通貨(人民元で国外直接投資、先進国の国際銀行間の債券市場での使用)となること。人民元を発行してオフショア金融債権に使えるようになること、人民元の通貨互換と外貨直接取引が出来るようになること、でした。しかし、人間の算盤は天の運命には勝てませんで、人民元が各国備蓄通貨に占める割合は、バスケットの他の4通貨より低いだけでなく、豪州ドルよりも低く、国際貿易の決済通貨としての比率減少の度合いは相当なものになってしまいました。ということは、中国経済の実力と国際的信用は、中国が思っているような強いものではないということです。

     一刻の通貨は、その国の経済の実力と国際的信用の名刺であり、米国が世界一の強国で米ドルは米国の名刺ですから、当然、各国の備蓄通貨及び国際貿易の決算の通貨としてトップに選ばれます。人民元が各国備蓄通貨の中で実際に占める割合と、人民元が国際貿易で決算通貨としての比率が大幅に下がっているとのは、人民元の国際化と「5歩の歩み」には、まだまだ長い時間がかかるということなのです。(終わり)

     拙訳御免。

     原文は;人民币国际化为何事与愿违? http://www.voachinese.com/a/china-exchange-20170404/3796304.html

     「中国2015 何清漣」 電子ブック発売中何清漣さんの「中国2015」表紙

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