• ★報道から読む「海航グループ」の資本の謎(1) ★ 2017年4月27日

    by  • May 1, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     「中国海航グループ」が再び、強烈なスポットライトを浴びています。しかし、今回は以前とは完全に違います。以前は、その中心人物の陳峰や、資本計画が「使っても使っても減らない」点に注目が集まりました。が、今回は、郭文貴のせいです。(*習近平の秘密を握って米国逃亡した実業家。元国家副主席の曾慶紅の腹心。参考;福島香織氏;「郭文貴のVOAインタビューを中断させたのは誰か」)。今回、郭文貴は、4月19日のVOAの、中途で打ち切られたインタビューで、公安副部長の傳政華が、郭文貴の家族と従業員を”人質”として、5千万米ドルを要求すると同時に、党中央紀律検査委員会書記・王岐山の家族の蓄財ぶりと、党中央政法委員会書記の孟建柱の、複数の愛人問題を調べるように要求した、と明らかにしました。その調査要求項目には、王岐山の甥の姚慶応が持つ、「海南航空」の株券と、プライベートジェット機のことも含まれていた、とのことです。

     数日後、BBCは、4月25日に「郭文貴の暴露は機が熟した—海航の紅色資本家と豪華プライベートジェット機」を発表。こうした観点を列挙した上で、「郭文貴の指摘は、事実かどうかは確認できない」「しかし、海南グループの株価の値下がりは、郭文貴の暴露の影響かもしれない」としました。

     

    「海航」— 疑惑の業界スター

     中国の有名企業の中で、「海航」は特別です。その「秘密」と、「外からはうかがい知れない」ことで、ずっとメディアのニュースの注目のまとになってきました。2005年から今に至るまで、ずっと報道されており、数年おきに深く掘り下げた特集が組まれて来ました。Googleを検索しただけでも、2005年9月の「海航グループ会長の陳峰 誰も海航はわからない」、2011年12月の「海航の秘密資金の謎;大規模な企業買収が巨額欠損に」、2016年11月の「海航はどうやって、飛行機の翼も買えないところから、香港の買収王になったか」(海航資本はどうやって「影絵芝居の空手道」をやったか)などがあります。

     こうした海航を取り上げた特集報道は、その起業から、資本運用、内部管理、背後関係など極めて広範囲に渡り、それぞれが一つの企業に関するアーカイブズのようなものです。郭文貴が最近、次々に暴露した、「真偽不明の爆弾」に至っては、4月19日のVOA事件以後、「新京報」(*中共系北京の新聞)が4月23日に発表した「海航の『迷霧』、株式構造の秘密。国家開発銀行が1000億元融資保証」は、すぐさま削除されましたが、米国の新浪ネット上に全文転載されました。今回、この4編の特集からの主なデータを使いましたが、以下の文中では、いちいちその出所は書きません。

     興味深いのは、海航関連報道では、「海航グループ会長の陳峰 誰も海航は分からない」から始まって、あらゆる関連報道が、基本的に真っ向から、海航を強い疑いの目で見ているということで、はなはだ否定的なのです。中国で、企業がこうしてメディアに、深く疑われた場合、5年も持てば大変運が良い方に入ります。「海航」がこうした疑惑の眼差しを浴びながら、今日まで歩みを続けてこられたことは、奇跡的です。

     郭文貴の暴露は主に、一つの問題の両面に集中しています。出資した株主と、出資していない株主への贈与です。後者は、後ろ盾が必要だからです。ここでは、あまりに多い各種の報道情報から、目下の関心のある問題について、まず(1)で資本、(2)でバックグラウンドの問題を分けて考えて見ましょう。

      

    「海航」の常ならざるところ

     2005年の「海航グループ会長の陳峰 誰も海航は分からない」が最初に掲載されたのは「時代人物周報」で、新華社のウエブサイトに転載されると言う栄誉を得てから広まりました。

     この記事は、その後10年間の陳峰と「海航グループ」に関する報道の基本となり、以後の関連報道は主にデータ的に新しくしていったようなものです。この記事は陳峰と「海航」に関する3つの謎を紹介しています。

     (1)業界では、陳峰は資本運営の名手だと見られていますが、陳峰自身はこれを否定、自分は「資本をうまく活用して、実業を発展させた名人だ」と主張します。

     資料は、2005年、「海航グループ」の総資産は189.6億元だったのが、2015年末には4687億元になっています。10年で24倍です。2004年末、「海南航空」の資産負債率は94.3%を超え、純資産はたったの14.29億元で、それでいて253億元の負債を背負っていたのです。三大国有航空(*中国航空集団公司、中国東方航空集团公司、中国南方航空集団公司)は同一時期に、どこも負債率は70%前後でしたから、「海航」の負債率94.3%は高過ぎます。後になって、「海航」の負債率は多少下がって、2015年には为75.46%、3537億元になりました。

     陳峰は自分の「海航」の、こうしたやりくりは誰も理解できまい、としています。業界も学会も一致して、「海航」の革新的な競争力は資本運営だと見ていますが、陳峰はずっと、自分が資本運営の名手だとは認めていません。十数年前に、彼は「資本運用の名手は資本市場でのチャンスを不断に利用して富と価値を増やしていく。しかし、自分は、資本市場の発展におけるチャンスを利用して、実業を発展させて来たのだ。だから、自分は資本の運用が上手なのではなく、資本の市場を利用して、実業を発展させてきた名人なのだ」と自分の立ち位置を説明しています。

     (2) 「海航」は1999年に、A株、B株、H株を同時上場した

     これは中国の株式市場では、滅多にない特別な待遇です。これは呉小輝(*鄧小平の孫娘の亭主だった)の安邦グループが金融業界で得た全ての営業許可に匹敵するもので、強大なバックがなければ出来ることではありません。(*A株は中国国内で上場され、中国A株市場で取引されている株式。人民元建てで、中国の国内投資家専用。B株は上海証券取引所や深セン証券取引所に上場している外貨建て。H株は、中国本土で登記を行い香港取引所に上場している本土企業株)

     (3) 

     融資、再編成、再融資というのが、「海航」の一貫した資本拡大のやり方です。「海航」は、2000年1月、海南航空株式有限公司の基礎の上に作られ、ここから「海航」のグループ化戦略が始まりました。「虎嗅ネット」のデータでは、現在、「海航グループ」の上場企業には、A株企業が8社、香港株で上場が3社、店頭取引銘柄12社、その他3社(思福租赁、海航酒店、渤海保理)が店頭取引待ちで、「海航系」の3大セクターの上場企業純資産価値は、1900億元になります。
    1000万元の起業家だった陳峰が、どうやったら、1900億元の財産家になれたのでしょうか?

     まず第一には、説得によって大きな金額の資本を引き出した。ほとんどの報道が一致して、陳峰は「説得上手」で、その資本はまず説得によって得たと認めています。

     陳峰の最も得意な「説得物語」は、二機の航空機の話です。「海航」設立当初、銀行に担保を説明するのに、まず「海南から北京への切符が1000元で、150人乗せられる。往復で30万元になる。1日のうちに北京に飛んで、また広州に飛べば、1日のコストで45万元になる。これで上海の銀行がその気になりました。双方が固定利率を決めて清算すると、銀行の儲けは100万元以上になります。銀行は大いに喜んで、担保は何だ? と尋ねたら、陳は「もしお金を返せなかったら、飛行機を抵当にすればいい」と言いました。で、財産権登記の際には、銀行が本来、借金を返済されるまでは自分のものである航空機を、「海航」の帳簿に載せました。これは、「お金を貸すだけでなく、飛行機もくれてやる」みたいなもんで、これしたやり方で、陳峰は軽々と二機の飛行機を手に入れたのでした。

     こんな話は、映画でしか見たことがありません。銀行はそろばん勘定に長けていますし、銀行を動かそうと思ったらどれほど長い説得をすればいいか、読者は自分の想像力を働かせて見てください。

     第二の奥の手は、「大きく見せて強くなる」ことで、自分が負けないようになった、です。1993年、37歳の陳峰は、海南省政府の命令で、1000万元を手始めに、正式に「海南航空公司」を立ち上げた際、本人の言うことによれば、「1000万元ぽっちでは、飛行機の翼だって買えない」のでした。しかし、1999年に、1万6400株のA株で9.43億元を得て、拡張をスタートしました。2000年には、中国民用航空局が、国内航空会社へ戦略的再編を行い、3大国有航空会社に地方航空会社を合併させて主役にさせることにしました。「海航」は、合併されないために、「自分を大きくする」挙に出て、2000年から2001年にまず、長安航空、新華航空、山西航空を相前後して合併し、2015年末までに、グループの総資産を4687億元にしたのです。

     中国の端っこの「海南航空」が、他の三つの航空会社を併呑する資本は三つしかありません。一つは元々持っていた中国民用航空局への人脈(陳は「海南」に来る前には、中国民用航空局で仕事をしていた)。二つ目は、国際的なルートにたけていた。国際資本の大ワニのソロスは「海航」の筆頭株主で、ソロスの支持で「海航」は最初の中国と外国資本の合資航空会社になりました。三つ目は陳のプレゼンテーション能力です。この他の1、2点のバックについては後編で検討しましょう。

      

    陳峰の資本運営の独壇場とは

     融資方式は株式投資(私募、株)、債務融資(企業債権、銀行借款)です。多くの記事の中で、「海航はどうやって、飛行機の翼も買えないところから、香港の買収王になったか」には、詳しく「海航」の「資本空手道」の主要な方法が描かれており、一番価値のあるのは、「海航」の最大の謎である「20年以上の発展史の中で、その高負債率がなぜ、アキレス腱にならなかったか」を解き明かしている点です。

     「虎嗅ネット」の統計データですと、20以上の企業の平均負債率は約75%で、これは業界平均を大きく上回りますが、しかし「海航」は以下の方法で、「禍を転じて福となす」を実現しました。

     ⑴ 「海航」系で相互保証し、一つにまとまって債権を起こし、借金をしやすくした。⑵ 株上場で兵力を分散して、連結を生かして、負債率を下げた。⑶ 国際化を加速させ、優秀な成績を上げて、高値で売った。⑷ 陳峰の危機を乗り越える能力。

     この4点が「海航」の投資戦略を極めてフレキシブルなものにして、買いにあたっては、「奇貨居くべし」、売るにあたっては「高値売り抜け」の結果、資本が資本を産み、雪だるまのように転がれば転がるほど大きくなったのです。「海航」は、「航空業は本来、巨大資本と高負債の業界で、80%の負債率は大変健康なもの」と豪語できるのでした。(★報道から読む「海航グループ」の後ろ盾の謎⑵★ 2017年5月1日に続く)

     拙訳御免。
     原文は;读报撷英:海航集团资本篇 http://www.voachinese.com/a/heqinglian-haihang-part1-20170426/3827046.html

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