• ★安邦保険・呉小暉は「鄧一族メンバー」で居られるか?★

    by  • May 8, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

    2017年5月8日

     中国の新たな金融市場再大掃除で、中国の新たな金融市場再大掃除で、「趙家の一員」(支配者一家の身内)だった「安邦保険グループ」は、明らかに巨大なターゲットとしてマークされています。5月5日、中国保険監督管理委員会(中国保監会)は安邦保険の商品の一つが、規定に反して市場秩序を乱したカドで、3カ月間、新商品(*ファンドなど)の申請を禁止する「保監会管理通知2017-14号」を公表しました。政府系メディアは、一致して、この措置は、「中央が、資金の実需から、虚業部分へ流れることに対する、『金融反腐敗キャンペーン』である」と言っています。

     ★「安邦」の防衛、重点は「身分」

     2017年始めからこれまでに、「証券市場お出入り禁止」処分を受けたのは18人で、李友(*方正証券CEO)、郭叢軍(*九好グループの事実上の代表)、馮小樹(*深圳証券取引所員)、鮮言(*上海多倫実業代表)など4人は、「生涯禁止」になっています。「人民日報中央厨房」の論評では、こうした重罰の背景は、ここ数年の金融業界の乱れが止まないことによって、潜在的な危険を放置出来なくなったからだと言います。管理部門が、次々と手を打つのも、まだ始まりに過ぎず、予見出来ることは、「金融反腐敗」の輪郭が、次第にはっきり見えてくることです。

     他の企業が受けた罰に比べると、「安邦」の「3カ月の新商品禁止」は比較的軽いのですが、肝心な点は、文書の最後の一言にこうあることです。

    ;「貴社の改革のしっかりした実情を見て、更に一歩踏み込んだ監督措置をとることもあり得る」

     これは、何とでも解釈出来る幅広すぎる表現です。ですから、「中国保監会」に、「更に一歩踏み込んだ監督措置」を取らせないためには、「安邦」は何らかの「お守り札」が必要です。呉小暉にとって、一番強力な「お守り」は、何と言っても「鄧小平一族の孫娘の夫」という身分です。これが分かれば、最近、「安邦」の法務部が、なぜ「『メディアコープ』系列の『財新周刊』、『財新ネット』などのメディアが、『三回の結婚』なるうその報道や、『夫婦関係は既に中止が確認されている』といったデマによる人身攻撃で、呉小暉の名誉と企業の利益を深刻に損たから訴える」と言い出したのかが理解出来ます。

     これは、「安邦」法務部が4月29日に、同日の「財新ネット」が掲載した「安邦資本の魔術を暴く」に対しての声明です。二つの部分からなり、一つは、呉小暉の婚姻という私事に関した部分。もう一つは「安邦公司」の企業としての部分です。これは公・私が分かれておらず奇妙です。「安邦」は、形の上では呉小暉の私企業ではありません。企業が、CEOに代わって、メディアをCEO結婚に関する報道で訴えるのは、訴訟主体が違います。次に、「財新」の呉小暉の婚姻に関わる報道というのは、2年以上前の出来事で、「安邦の大冒険」(财新《新世纪》 ,2015年2月2日)に発表されたものです。更に、「安邦」法務部の声明は、発表されたばかりの報道に対してではなく、「財新」の「一連の報道が企業に泥を塗り、世論を誤誘導した」事に対する反応です。全体から見れば、「『鄧一族の一員』の身分」が、「安邦」の訴えの核心部分です。

     こんなヘンテコな法務部の声明は、つまり「安邦」が極めて大きなプレッシャーを受けていて、もし、もう一度、孫娘の婿という「鄧一族の一員」の身分がなければ、乗り越えられない程の危機にあるということです。

     

    危機の深刻さ

     2015年から、「安邦」のメディア露出度は高くなっていました。中国国内では、「財経」、「南方周末」、「財新」、国外でも「ニューヨーク・タイムズ」が、「安邦」の「資本の大冒険」をずっと報道してきました。毎年、新たな話が加わって、そのテーマは、「安邦」が12年間に、資産を百倍にした秘密、つまり、「銀行を利用して、大量の安全でない理財・保険ファンドを販売して資金稼ぎをする」です。分かりやすく言えば、「安邦」は、高い利息で民衆の懐から大量の資金をかき集めて、国外の不動産に投資してきたのです。時には、2014年には「安邦」は、監督当局の要求を満足させるために、一挙に499億元増資のような、見せかけの増資を行いました。この増資資金はどこから来たのか? 郭婷冰というライターが、登記簿や企業年鑑などの公開資料を元に、「安邦の魔術を見破る」という記事を書きました。その分析は、「安邦」の2015年から一年間の海外投資1000億元の謎を鍵として謎に解明に取り組んだ結果、「安邦」の株主構造の迷路は、背後で呉小暉の家族がコントロールしていること。更に、筋をたどって、細かい分析をすると、「安邦」の関連株の権利配分や、増資の手法を通じ、「小蛇が巨像を呑み込む式の株式コントロール」し、「左手で右手を押す」ように、架空の資本増資で、「内部循環による資本強化」を図っていると指摘しました。

    「安邦」のこうした短期の借金のやり繰りで、長期投資を行う経営手法は、もし、どこか1カ所で資金ショートを起こすと、全体が総崩れになる危険が極めて高く、そうなったら、「安邦」の理財商品を購入した民衆の大事な元手は消えてしまいます。これぞ、中国金融業の隠された危険の、典型的なものの一つです。中国の金融のデタラメは、あまねく不動産、借金、保険、株式市場、銀行などの分野に広がっており、ちょっとしたことで、全体が揺るぎます。いったん、鎖の輪の一カ所で、金融危機が起これば、あらゆる家庭の金融資産と不動産価値に波及するのです。現段階では中国政府は、金融の安全維持を一番の大事とせざるを得ませんから、特大規模の「安邦」を、対象リストに載せないわけには行かないのです。

     他の企業に比べれば、「安邦」への処罰は軽かったと言えます。しかし、呉小暉は心の中で、もし「鄧小平一族の孫娘の婿」という「超級お守り」がなければアウトだということを、明確に承知しています。ですから、彼と、「財新」の長年の確執から、特に婚姻に関する不正確な報道という点を取り上げたのです。これは明らかに、毛沢東の治国のキモというべき、「路線(この場合は身分)が命綱であり、要点をつかめば、全体が解決される」というわけで、「鄧一族の一員」で居られれば、「天が崩れ落ちることはない」なのです。

      

    最重要の政治資源「鄧一族」

    「鄧小平の孫娘の婿」という身分は、呉小暉にとって極めて重要です。連続テレビドラマ「人民の名において」が放映されてから、誰かが、中国人がエリートの舞台に上がるには三つのやり方があって、
    ;息子が親の威を借りて、寝ていても上がって行く。
     農民の子の、祁同偉は、ただ「跪いて上がる」、まず学校の体操場で、省の政法委書記の娘の梁璐に求婚し、義父の死後は、現任の省書記の趙立春の祖先の墓前に跪く。
     ;漁師の娘の高小琴は、「裸になって上がって行く」、肉体を利用して、です。呉小暉がもし、結婚によって得た力が無かったならば、「寝ながら上がって」など行けず、今日のような立場はなかったことでしょう。

     「安邦の大冒険」はこう書いています。

    ;呉小暉が一躍、人々に知られた背景は、元指導者の一家との婚姻関係であった。事情を知る人によると、呉小暉はこうした関係をビジネスの開拓と、信用の裏書きとして使うのに長けており、知り合いでもない政治家やビジネス界の人々に、「安邦」に対して便宜を提供させた。

     実は、「鄧一家の一員」という身分は、こうした利便性だけには止まりません。2012年から始まった「大反腐敗」キャンペーンでも、紅色家族(*革命以来の共産党の大物の一族)であることは、安全保証書でした。薄熙来の「陰謀」と関係したケース以外は、多くの紅色家族メンバーは、誰も失脚しないで済んでいます。「人民の名において」に登場する趙公子(*主人公の後ろ盾になった大物の息子)の父ですら、紅色家族ではなく、ただの専門的官僚の地方長官に過ぎず、退職年齢に達したら、全国政治協商会議副主席という、副国級(*2〜4級の公務員)の栄誉が与えられるだけでした。この角度から「人民の〜」は、事実に正確な脚本だ、と言えるでしょう。これまでに槍玉にあがった汚職官僚は、基本的に農民や平民の息子たちです。

     ですから、「安邦の資本大冒険」のような記事が幾ら増えても、呉小暉は大して気にかけないでしょう。しかし、鄧小平の孫娘の卓苒との結婚が「中止」と書かれたら、それは「鄧一家の一員ではない」という意味ですから、呉小暉には極めて不愉快な話です。身分の件は、財産ばかりでなく、生命の安全にすら関わる大事ですから、はっきりさせなければなりません。これがまさに呉小暉が2015年に、中国のメディアの集中攻撃を受けた時、その中の一番弱い「南方周末」を狙って反撃し、2月1日付で、「我が社の1月29日の安邦保険関連報道で、情報が間違っていた点があったことを、安邦保険グループと主要責任者にお詫びします」という文章を掲載させたのです。(*参考;何清漣;鄧家”孫婿様”が「元の木阿弥」に 
    しかし、「財新」は、今回新たに「呉・鄧夫妻の関係は中止になったことが確認された」と報道し、呉小暉の「鄧一家のメンバー」という身分の上に、ぬぐい去るのは難しい暗い雲を投げかけています。

       

    2014年、太子党が退き、呉小暉は…

    中国共産党第18次全国代表大会(2012年11月)前後に、新旧の太子党は、次々に実業界から退場して行きました。温家宝の息子の温雲松は2009年に、自分が創設したプライベート・ファンドの「新天域資本」、習近平が総書記になってからは、姉の斉橋橋とその夫の鄧家貴に資産を売却させ、ビジネス界を引退させました。(ニューヨーク・タイムズ「天安門事件で運命を変えた実業家・粛建華」06/04/。
    2014年、習近平の親族が多方面の実業投資から引退」06/18/2014)、2014年の大晦日には、シンガポールの「聯合早報」が、陳傑人の「習近平の反腐敗は親族企業も」を掲載し、習近平が家族会議を開き、その母親が、姉の習安安と、その夫の呉竜に、彼らの「新郵通訊」を解散させたと報じました。この情勢を見て、他の太子党連中も一年のうちに次々に実業界から身を引きました。2014年10月には、朱鎔基の子の、朱雲が「中金公司」を辞職。陳小魯は、自分が持っている株は代理で所有しているだけで、自分のものではない、と言いました。

     しかし、「安邦」は逆に、2014年以後、海外で、「買え、買え、買え」とばかりに海外へ打って出ました。今年の4月26日に、呉小暉は「新京報」のインタビューに対して、2016年末に「安邦」の総資産は1.45兆元になったと答えました。そのうち、海外保険資産が9000億元以上で、総資産の6割で、中国で初めてのグローバルな競争力を持つ、国際的保険企業になった、と。

     呉小暉がこんなことを言ったのは、グローバル化という実力を見せたかったのでしょうが、彼は、これまでずっと紅色貴族の「白手袋」(汚れ役)を引き受けて来た粛建華が逮捕されたのは、中国政府が「外貨防衛戦争」で、資本の海外流出をなんとしても止めなければならない状態にあったことを忘れていたのでしょう。(参考;★スーパー白手袋マン・蕭建華失踪への推理★ 2017年2月9日)

     一起業家が、中国国内で、次々に新商品を発売し、小銭を稼いでいる、「お姫様の婿さんの企業」ならば、習近平も我慢したかもしれません。しかし、規模がこれほどになっては、話は違います。「網易新融街」のニュースによると、5月4日、中共中央政治局は再び会議を開き、着実に国家金融の安全工作専門的に行うために、「中国保監会」、「中国銀行業監督管理委員会」、「中国証券監督管理委員会」及び、各地の大証券取引所に対して、備えをしっかりさせ、全国的規模で第2波の金融界の大掃除を命じたとの事です。その2日目に、一番初めに述べた「中国保監会」の文書が出されたのです。

     「安邦」が、中国国内で集めた資金がこれほど多いのでは、もし、こけでもしたら、国内金融の動揺を引き起こしかねません。現在の状況から見ると、中国政府は呉小暉を逮捕ではなく、「安邦」に、海外の資金を回流させるのが目的でしょう。「安邦」の詐欺まがいの方法は、新たな業務で資金をやりくりしなければなりませんが、いったん、新たな業務が止められてしまえば、新資金源は断たれ、高い利息での自転車操業は続きません。そうなれば、止むを得ず、会社の運営を続けるには、海外から資金を回収しなければならなくなります。

     そのあと、そのツケをどう清算するかについては、呉小暉がどうするか、そして「鄧小平の一族」が、「孫娘の婿」という身分を承認するかどうかにかかっているでしょう。(終わり)

     拙訳御免。

     原文は;何清涟:吴小晖力争“赵家人”身份为哪般?

     参考;福島香織氏 ;鄧小平一族の企業「安邦」、急ブレーキの意味 習近平政権の干渉は、金融自由化とは異なる方向へ2017年5月10日。

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