• ★米国が脱退した”パリ気候協定”への素朴な疑問★ 2017年6月11日

    by  • June 11, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     6月1日、トランプ米大統領が「パリ気候協定」脱退を表明しました。この決定に対して、米国内の主流メディアや世界各国では、どこも批判的です。「パリ気候協定」は二つの問題に関わっています。一つは、二酸化炭素が過度に放出されると全地球の温度が上昇する。もう一つは、中国と米国は二酸化炭素の世界一、二の放出国であり、当然、重大な責任を負うべきである。だから、今回のトランプの宣言は、「全地球の共通認識」への重大な挑戦である、と批判者は憤懣でいっぱいです。

    理にかなった疑問 : 二酸化炭素は増えるだけなの?

     20世紀から、二酸化炭素の放出量は確かにますます増えています。しかし、科学界はこのテーマに関して、「世界共通認識」には至っていません。そこでここでは、「共通認識」以外の、常識問題として、我々は本当に、地球の五大大陸のそれぞれの二酸化炭素の増減の変化を分かっているのかということを提起したいと思います。もし、理解が不十分だったとしたら、二酸化炭素放出大国の責任は、どうやって合理的に配分したらいいのでしょう?

     中学・高校で勉強した人なら、誰でも石炭や石油科学燃料の燃焼過程で酸素を消耗し、二酸化炭素を生み出すことを知っています。「パリ気候協定」は、二酸化炭素増加の危険を強調し、あたかも大気中の二酸化炭素は、いつも増えるばかりのような印象を与えます。私は、気象分野のことは素人なのです。が、常識レベルで疑問を感じることがあるのです。それは
     : もし地球上の二酸化炭素がますます増加するなら、酸素はますます減っているということなのか?です。

    もしそうなら、地球の気温上昇は二の次の問題であって、人類の呼吸する酸素が不足することこそ一番の問題のはずです。奇怪なことに、ネットで調べても、これに関連する議論は全然ありません。

     いかにも素朴な疑問のようですが、これによって実はもう一つの角度から気候問題を認識することが出来ます。米国で、もし郊外の中産階級の住宅エリアに行ったことがあれば、普通、たくさんの樹木や緑の草地が目に入り、新鮮な空気が感じられるのが印象的です。中学生の生物教科書には、緑色植物は光合成作用を行い、昼間は二酸化炭素を吸い込み、酸素を排出すると書いてあ理、これが緑の多い土地に住む人々が空気が良いと感じさせる理由です。緑色植物は、二酸化酸素の「殺し屋」なのですね。ネットを検索すると、簡単にこうした情報は得られます。1ヘクタールの森は、毎日1トンの二酸化炭素を吸収します。つまり、石炭や石化燃料は二酸化炭素を作り出しますが、緑色植物が毎日、大量にそれを消化して、酸素を作り出すのです。この自然の流れがあるからこそ、私たちは全然、酸素不足になることを心配する必要はないわけです。となると、自然に、緑地面積が増えたら、二酸化炭素の吸収に役立ち、空気中の大量の二酸化炭素濃度を下げられるのではないか、というこという考えが頭に浮かびます。さらに一歩進めて、緑地面積の大きな国家は、少ない国家より、吸収する二酸化炭素量は多いので、大量の緑地を維持している国家は、温室効果ガスを減らすのに、無視できない貢献をしているのではないか? ということです。

     

    都市の緑化研究と地球温暖化研究の矛盾

     緑地が二酸化炭素を吸収できるとすれば、大気状態に影響を与えるのは、「パリ気候協定」の計算した全ての二酸化炭素放出量ではなくて、まだ植物によっては吸収されていない二酸化炭素の量ということになるはずです。それなら、「パリ気候協定」は二酸化炭素量だけを計算して、主要国家の植物による二酸化炭素吸収量は問題にしないのでしょうか? ネット上を探してみると、都市の空気改善に関連した研究データで、多くの、いかにして都市の緑地面積を増やすかについての論文が見つかりますが、しかし、植物のカバーする割合によって、異なった地域がどのぐらい二酸化炭素を吸収するかの分析は、ほとんどありません。まるで、いったん、グローバル大気の研究領域に入ったら、植物の二酸化炭素吸収のプラス作用は、どうでもいいかのようです。
    中国——とっくにクライシス、なのに崩壊しない“紅い帝国

     10年ほど前に、ニューヨーク州立大学のオルバニー分校での学術会議フォーラムに招かれたことがあります。私は中国の環境権について話したのですが、その会議に気候変化に注目している人がいました。会議の休み時間に、緑地のカバー率によって、大気の質に改善の違いがでるかどうかわかるかと思って、二酸化炭素の濃度増加が気候に与える影響について研究している専門家に、緑地が大気の質を改善できるかどうかという常識的な質問をしてみました。でも、その人は大変、クールに自分たちが研究しているのは、二酸化炭素の放出量の増加だけで、植物が二酸化炭素をどのぐらい吸収するかについては計算していない、とお答えになりました。なぜ植物の吸収する二酸化炭素量が気候研究の対象にならないのか、という私の質問にも、明確な答えは得られませんでした。私はびっくりしました。まさか、植物の二酸化炭素吸収量は、問題にするに値しないほどわずかなものだ、ということなのでしょうか? でもそれなら、私たちはどうして、緑の多い環境の新鮮な空気に対して、あんなにはっきり直感するのでしょう?

     ★勝負つの二酸化炭素吸収量を無視するのはパリ気候協定の過ち何?

     この疑問はずっとそれ以来、拭い去れませんでした。このブログを書く前に、もう一度データを探して、ざっと計算してみたのですが、結果には大変びっくりしました。緑地面積のデータは手に入らなかったので、ただ森林の二酸化炭素吸収量を計算したのです。ネット上で、2008年の中国の二酸化炭素放出量(70億トン)と森林率(16.5%)が分かったので、1ヘクタール当たりの森林が毎日1トンの二酸化炭素を吸収するとして、毎年の有効光合成作用を6ヵ月として計算しました。すると中国の現有森林は、毎年、中国の二酸化炭素放出量の4倍を吸収出来ることになります。この割合ですと、中国の放出する膨大な二酸化炭素は完全に森林によって吸収されます。同様に、米国の現有森林は、米国の放出する二酸化炭素の10倍を吸収出来ることになります。

     この計算は、ただ素人がやった分析に過ぎません。事実上、その他の要素が、待機中の二酸化炭素濃度に影響を与えているでしょう。例えば、都市の放出する二酸化炭素は、植物が少ないから十分吸収されないとか、煙突で空中に放出された二酸化炭素は大気層に行ってしまうとかもあるでしょう。しかし、少なくとも、この計算はひとつのヒントを与えてくれます。つまり、温室効果の濃度変化や、各国のこれにあたえる影響を論じるときに、パリ気候協定のように、ただ二酸化炭素の排出量だけを計算するのでは、明らかに不十分だと言うことです。森林や緑地、農地面積の二酸化炭素吸収量を、考えなければならないし、その差の比較こそが信頼できる分析と言えるでしょう。

      

    「パリ気候協定」は「共通認識」か「どんぶり勘定」か

     どうも、パリ気候協定は、単純に二酸化炭素放出量というメルクマールを使っているので、もう一度検討してみるに値するようです。あるいは、この指標だと、石炭や石化燃料の使用量によって簡単に計算できるし、分かりやすく、一番簡単に計算できるのかもしれませんが、だからといってこれで証明がなされた、とは言えないでしょう。「植物の吸収する大量の二酸化炭素が、依然して危険地区の大気環境の要素として考えることこそ、”科学”的なデータです。

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     事実上、科学界は、最初に申し上げた第一の観点、つまり二酸化炭素の過度な排出は地球全体の温度を上昇させる、というのは別に本当に「世界の共通認識」になったわけではありません。ウィキ百科には、過去50年間に観察された気候変化の速度は、過去100年の2倍になっていることを科学者は発見して、時期的に見て気候変動は人類の諸活動のせいだろう、という推論が生まれたとありました。しかし、推論は「定説」にはなっていません。ただ科学的検証を待つ仮説に過ぎません。パリ気候協定は、せいぜいまだ十分検証されていない仮説に基づいて、一連の疑いを挟む余地のない断定としており、いささか軽率な感じがします。ですから、現在、「グローバルな平均温度の変化と二酸化炭素濃度の変化と気温上昇は、実際には直接的関係はない」(ウィキ百科)なのです。二酸化炭素の過度な放出が地球の温暖化を招くと言うこの観点が、主流意見になったのは、どうも左翼政治家たちが、「ポリティカル・コレクトネス」に関係させてしまったからのようです。いったん「ポリティカル・コレクトネス」になると、あたかも「真理」であるかのような、疑えない教条になってしまうのです。

     この度、トランプが、米国を「パリ気象条約」から脱退させたことは、米国の主流メディアから見ると、「天に逆らう暴挙」のように見られています。ニューヨーク・タイムズ紙は、厳しくトランプを、「ならずもの国家」に変えたと責めています。この論評は中国の官製メディアに広く転載されました。トランプが使った理由は、この協議が米国経済に不利だから、というもので、この論理は少なからぬ批判に遭遇しました。しかし、角度を変えて見たならば、トランプを批判する政府とメディアは、もし二酸化炭素の放出国の緑地が、実際に吸収している量がはっきりしないのであれば、大国の責任だとして、米国にパリ気候協定が協議している「Green Climate Fund」に、毎年1000億米ドルの予算の7割を出せと要求するのは、軽率ではないでしょうか。

     米国の納税者はこう問いかける十分な理由があります。

    : どうか教えて欲しいのだが、米国の排出する二酸化炭素は、一体どのぐらい緑地に吸収されずに残っちまうのだね?それともわしらは、どんぶり勘定でゼニを払わされるのかね?、と。

     拙訳御免。
     原文は;美国退出“巴黎气候协定”动了谁的奶酪?(米国が退出した「パリ気候協定」って誰の”チーズ”なの?

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