• ★中国はなぜ崖から転がり落ちないか(2) 2017年6月27日

    by  • June 27, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     

    (4) 中国が直面する外部圧力の強さは?

     中国の歴史上、西周、唐、宋、明などの王朝は衰亡の際に、異民族の侵入を受けて滅亡しました。中共自身は、旧ソビエト連邦の全面的な支援下で、国民党に勝って、政権奪取しました。しかし、旧ソ連は、米国が推し進めた第三波の民主化の潮流の中で、内外の圧力のために崩壊しました。こうした歴史的な経験から、中共政府は一貫して、外部の力が中国に加える影響を、「平和的浸透工作」として、2005年の「カラー革命」以来、厳しく防衛してきました。周辺9カ国との領土紛争は、いささかの摩擦はあっても、どちらも、全面的な衝突を引き起こすことは不可能だと分かっています。

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     何度も申し上げてきましたが、中国の社会的な政治、経済の推移、変化は、必ずや、国際的なファクターという変数を考慮しなければなりません。こうした「平和的浸透工作」は、当然ありますが、その効果から見ると、中共の現体制は用心のし過ぎです。実際は、中国と国際社会の関係は、前ソ連時代とは完全に違うのです。一昨年のデータですと、今、全世界には168の国が、中国と貿易投資関係を結んでいます。発展途上国家は中共の投資を必要としており、中国による、自分たちの国の鉱産資源への需要や援助等に頼っています。米国、欧州連合(EU)、カナダ、豪州は中国と多方面で経済協力しています。こうした複雑な相互の入れ子になった関係は、旧ソ連が、社会主義国家とだけ貿易関係を結んでいたのとは大違いで、こうした複雑錯綜した関係では、どちらかの一国が中国にいわゆる経済制裁を仕掛けようとしても、「敵を1000人殺しても、味方も800人死んでしまう」になってしまいます。いわゆる経済制裁はやりようがないのです。ましてや、2009年から、中国を救い手だとみなしているEUにせよ、中国からは「外部勢力の親分」とみられているアメリカにしたところで、中国政府側が「敵対勢力」喧伝しているような存在ではありません。

    中国——とっくにクライシス、なのに崩壊しない“紅い帝国

     .1 米国の対中国政策の方針

     米国は、キッシンジャー外交から始まって、20数年の行き来を経て、ついに編み出した対中国外交方針は、8文字で表せます。すなわち、接触、合作、影響、改変、です。ビル・クリントン大統領になってからも、この原則は「経済往来を主として、人権問題を従とする」になりました。それからはずっと変わっておらず、時に応じて、主に、「接触、合作」で、可能な時期にはそれに「影響」が加わりました。例えば、中国に多くのNGO(政府以外の団体)が、中国の人権状態を批判したりといった具合に。しかし、最後の結果が証明しているのは、「接触、は双方が必要とし、合作は常に変化し、ときには”協力パートナー”になったり、”戦略的パートナー”になったりしましたが、”改変”はほとんど中国に与えた効果はありませんでした。(★米の海外援助費削減が引き起こす国際政治のピリピリ★《美国减少外援 牵动国际政治神经》,VOA,2017年3月17日)

     米国が、中国に影響を与え、改変させようとして使ったのは、主に中国での各種のNGOでした。クリントン大統領時期に、江沢民時代の中国とは、短い間の「蜜月」がありました。クリントン時期に、米国は人権外交戦略を、主にNGO組織を通じて、米国の非政府組織を中心に各種各様のNGOを中国に送り込みました。

     中国にどれほどの海外のNGOがあるかは明らかにされていません。清華大学のNGO研究所のレポートでは1万ぐらいだとしており、その中で一番多いのが米国のNGOで、約4割を占めました。米国は明らかに、大量のNGOによって中国で、「接触、合作」から、「影響、改変」への目的を持って、このため、パートナーとなる中国側の相手には、政府の管制下にある各種の機関を選びました。香港中文大学の社会科系助教授・安子傑(Anthony J.Spires)のレポートはこの事実を示しています。

     安子傑は、米・FoundationCenter(www.foundationcenter.org)の統計から、2002年から2009年の間に、Foundation Centerの対中国援助は4.3億ドル(香港・マカオ含まず)で、そのうち学術機構(中国の学術機構は全て官製)、政府部門、政府系NGOへの資金の配分は、各44.01%、25.38%、16.62%だったとしており、この三者で援助総額の86.01%を占め、草の根NGOが得たのはわずか5.61%だったとしています。

     このようなコントロール下にあった「合作」も、近年では中止を余儀なくされました。2014年4月15日、習近平が主催した中央国家安全委員会第一回会議は、国家の安全のための立場を再考する談話の後、中央国家安全委员会は徹底的に、在中国外NGOを調査し、「国外NGOの国内活動管理法」を実施し、硬軟織り交ぜた方法で、最終的に7000以上の外国資金援助を受けたNGOが、中国では活動を続けられないようにさせました。

     .2 米・英両国が、民主化拡大を放棄

     米国のヘリテージ財団のジェームズ・ロバーツは、これまでのこうしたプロジェクトをこう評価しています。

     「米国や経済協力開発機構(OECD)諸国などの西側国家の提供する援助は、大部分が最後には、ただ腐敗した政権の延命を助けただけだった」。オバマ大統領の残した20億ドルの巨額債務の削減を図る、新政府としては、国務省の予算を3分の1に削減しようとしており、あらゆる対外援助プロジェクトは、新大統領と国務長官の細かい審査を経なければならなくなり、まず財産権強化や法治に優先して与えらえるでしょうし、腐敗国家への打撃となるでしょう。

     中国はまさに「財産権がはっきりしない、法治も行われていない、高度に腐敗した専制国家」ですから、中国への各種の援助は、停止される可能性が極めて高いでしょう。中国国内ではこれに対する反応は、「トランプはついに米国のカラー革命を諦めた」が、ネットで人気になりました。同時に、もう一つ別の重大なニュース、すなわち、英国のテリーザ・メイ首相が、2017年1月26日に、米国のフィラデルフィアで
    講演した中で、英米の世界の主権国家に対する政治的干渉は失敗したことにふれ、「英米が主権国家に干渉し、世界を自分たちの思うように改造しようとした日々は終わった」と述べたのです。これは、実は英米が正式に、外に向かって民主主義政治を広める努力をやめたという正式な宣言なので、本来なら世界の注目を浴びてしかるべきだったのですが、大多数の英米メディアも、中国政府も大して重要だとはみなさなかったのでした。

     中国政府は、「カラー革命」の防衛のために打撃を与えていますが、これは「体制的な過剰防衛」というべきものです。ですから、西側国家、とりわけ米国が、中国に軍事的に干渉して「中国人民を解放する」ことを期待するのも、当然、気持ちの上だけの幻想、ということになります。
    中国の問題は、やはり最終的には、中国自身で解決する他はないのです。

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    (5) 中国の最重大問題とは何か?

     中国人にとっても、また中国の周辺国家にとっても、一番重要な問題は、いつ中共政権が崩壊するか、ではなくて、中共政権が歴史の舞台から退場した後、中国が、それにふさわしい社会再建能力があるかどうか、です。これは、中国の未来だけではなく、中国の周辺国家の安定にも関わってきます。

     中国から言えば、いくつかの問題は、民主化によって解決できます。例えば、政治的権利の問題です。しかし、幾つかの問題は民主化後であっても、引き続き中国を困難にし続けるでしょう。例えば、中東や北アフリカの4国(チュニジア、エジプト、リビア、シリア)のように、例えば、失業問題です。これらの国々に比べると、中国は、更に多くの自分自身の問題を抱えています。例えば環境破壊の酷さや、資源を高度に外国に依存していることや、人口が、これら4カ国を合わせた数の十倍もあることです。
     わずかに、最も基本的な三つのリソースを挙げただけで、中国経済の脆弱さが分かるでしょう。

     2014年の中国の石油輸入は約3.08億トンで、対外依存度は59.5%。
     中国の食料自給率は、2014年に87%に下がり、全ての農産品自給率はだいたい7割で、3割前後は国際市場から調達して調整しなければならない。
     中国大陸の人口は香港、マカオ抜きに13. 83億人です。アラブの春の4カ国人口は2013年で、1.22億人で、中国の十分の一にもなりません。この4カ国は2011年の”アラブの春”以後、過激派組織のISISを生み出し、シリアは戦火の中にあり、他の3カ国も革命以前の水準まで回復していませんで、高失業率は昔のままで、大量の失業青年壮年人口が、社会の不安定要素になっており、シリアなどのイスラム難民の大潮の下で、欧州大陸はすでに安全を失ってしまいました。

     「アラブの春」を経験を前にしてからというもの、ほとんど誰も、中国という、この人口世界第一の大国で、社会秩序が転覆するような革命が、もう一度起こることを希望していません。これはオバマ大統領が2期の任期中、中東には関与し続ける一方で、「勃興する中国より、衰亡する中国はもっと恐ろしい」と述べた原因です。トランプ大統領も選挙中に、自分が大統領になった後には、対外的なイデオロギー闘争は放棄すると述べ、実際、そうしています。

     (6)中国は、どうやって自身の問題を解決するのか?

     人類の歴史上、社会危機を解決する方法は、ただの三種類しかありません。

     一つは、マルクス主義、すなわち暴力革命で転覆させる方法。中国では1919年以前、何度も行われた革命は、農民革命で、毛沢東が指導した中共革命は、さらに徹底的に社会秩序と伝統観念をひっくり返した暴力革命でした。

     二つ目は、帝国主義的な、資本主義の経済危機に当たって、対外拡張戦争によって局面を打開しようというもの。

     三つ目は、ケインズ主義の出現以後の、国家の関与の下で資本主義の危機を解決しようというもの。この方式は、とっくに西側国家の危機対応の主流方式となっており、EUが債務上限を拡大し続けていることや、米国が国債を発行することなどがこれになります。

     三種の危機解決法の中で、第二の方式、すなわち対外拡張は、中国政府は十分に足る能力がありません。対外拡張どころか、ただ、生産過剰能力の輸出を図る、「一帯一路」計画ですら、少なからぬ国家から、本来なら歓迎されなければならない話なのですが、しかし、中国が人民元を使って対外投資を行うと聞かされた途端に、各国の情熱はたちまち消えてしまいました。数年来の通貨発行量の拡大と財政拡張政策によって、政府投資を増やすというのは第三の方式ですが、しかし、最後には問題を解決できないばかりか、金融危機の危険を増やし、現在、まさに、その整理に力を入れている最中です。

     政府からのイデオロギー教育を、70年近く継続して受けてきた中国人の価値観の第一の選択は、すなわちマルクス主義の暴力革命の理念に最も近いもので、ほとんど自然と行っていいほど、第一を選ぶことでしょう。

     中国の30年以上の、紅色権力貴族の公共財略奪は、もう好き勝手し放題のようなものでしたから、富の集中と不平等、貧富の差は十分にかけ離れたものになってしまいました。北京大学の「中国民生発展レポート2014」によれば、2012年の中国の家庭の純資産のジニ係数は、0.73で、トップの1%の家族が、全国の3分の1以上の財産を占有しており、底辺の25%の家庭の財産は、総量のわずか1%前後です。マルクス主義のこの種の状況に対する説明は簡単極まるものです。すなわち、

      : 一切の危機の根源は、絶対多数の人民大衆が、搾取されているから、収入が低すぎるのだ。少数の人間が搾取に依拠し、特権をもって略奪し、大部分の社会的富を占有している。貧乏人が多すぎると、必然的に消費は不足し、市場は疲弊し、経済は必然的に苦境に陥り、崩壊する。こうした周期的な危機や、長期的な不況は、極少数の人間が、絶対多数の人間を搾取していることを認識するならば、解決の方法は、すなわち、統治階級を消滅させ、社会秩序を覆し、もう一度立て直すことだ。

    です。

     つまり、中国社会を支える4本の柱のうち、3本が傾いて倒れそうな時、中共の専制政治は、ただ、ますます政府の強力なコントロールに頼るしかないのです。この種の、政治論理の下で、中共が克服できない財政危機に遭遇するならば、底辺層の暴力が勝利を得る可能性はありますが、しかし、更に高い可能性としては、権力から一番近い、軍のパワーが権力を引き継ぐことです。多くの可能性の中で、中国が”失敗国家”になる可能性は、低いとは言えないのです。現状に基づいて言えば、こうした全面的な財政危機は、おそらく直近の10年から20年内には、出現しないでしょう。その後のことは、論理で見通せる範囲を超えています。

     以上の分析は、ただ、私が中国の現状を観察しただけで、自分が第一のやり方が気に入っているということではありません。こうした状況は、今日私がお話ししたいと思った、「膿んで爛れていくが、崩壊はしない中国の現状は、社会各層の焦慮と痛苦を与え、誰も春の光を得ることはできない」ということです。

     拙訳御免。
     原文は : 中国为何不会出现断崖式崩溃(2)
     中国はなぜ崖からころがりおちないか(1)

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