• “狡兔三窟”から、税金を取れ! 「中国FAT法」始動  2017年7月2日

    by  • July 2, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     今年の7月1日から、中国のあらゆる金融機関は、全面的に、金持ち不在中国納税者の金融口座データを調査し始めます。これは、中国政府が、ちょっと前に発表していたニュースで、目的は、2018年から、全面的に、中国版の「外国口座税務遵守法」(Foreign Account Tax Compliance Act/FATCA)を開始し、金持ちの脱税者から追徴税を徴収し、ついでに、これまでの汚職官僚の隠匿財産を総ざらいするためです。これまで、外国の永久居住権や外国国籍を持っている中国国内の金持ちは、財産を移転させ、中国や外国での税収逃れの最上の地を選べましたが、中国版FACTAが実施されると、この広い世界といえども、中国の金持ちが財産を隠せる場所がなくなり、更には、来年から出来る国家観察委システムは、この金融税務情報を十二分に活用し、ターゲットを、とことんまで追求できるようになります。

     

    中国版「FATCA」はなぜ生まれた?

     4年以上前に、私はボイス・オブ・アメリカ(VOA)で、★外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)が中国エリートを困らせる話(2013/2/18 : )を書いて、米国の「FATCA」法案を紹介したことがあります。その英語名の「Foreign Account Tax Compliance Act 」の頭文字を取ると「FAT」(デブ、肥えた)になるので、誰かが「デブ(FAT)法案」と呼びました。この法律は、米国市民かグリーンカード所有者で、毎年183日以上、米国を離れていて、その銀行口座が、個人なら5万ドル、企業なら25万ドル以上の場合、海外脱税をしていないかどうか調べることが出来るというものです。しかし、多くの中国人金持ちは、財産を中国に隠しておけば、自分が米国に住んでいても、米国の法律は中国国内には及ばないさ、と考えていました。

     しかし、現在、準備は整いました。中国版「FATCA」(以下「中国FAT法」)が作られ、その重要な意味は、中米両国が、金持ちが互いに相手国に隠している資産口座のデータを交換し、追徴税を課すことが出来る、ということです。「中国FAT法」は、国家税務総局、財政部、中国人民銀行、中国銀行業監督管理委員会、中国証券監督管理委員会、中国保険監督管理委員会によって、「非居住民金融口座税金情報職責調査管理方法」と呼ばれます。注意すべき点は、なぜ金持ちの資産口座資料調査の中国版には、中国銀行業監督管理委員会、中国証券監督管理委員会、中国保険監督管理委員会が入っているか、ということです。これは、商業銀行の口座の資産口座と理財口座も、調査範囲に入れているばかりか、証券会社の投資口座、保険会社の養老年金購入の口座も、証券監督管理委員会や保険監督管理委員会、保険会社によって調査されるということです。つまり、不動産以外、金持ちが持つ、各種の金融資産は全て、「中国FAT法」の調査範囲に入り、かつ、調査結果は、口座所有者には通報されません。

     

    「中国FAT法」 : 誰が「金持ち」なのか?

     今年の1月10日の搜狐財経誌が「600万海外小豪族たち、ご用心、中国税務署出動だよ」という記事を掲載しました。誰が「海外小豪族」で、誰が「金持ち」なのか、民間では様々な解釈が生まれましたが、しかし、「中国FAT法」の対象ははっきり決まっています。国外の身分をもって、中国で税金を納めていない個人及びその企業で、2016年末以前に中国で開かれた各種の金融口座の残金が600万人民元(88万米ドル)以上か、2017年1月1日以後、中国で開設されたどんな種類の金融口座でも600万元を超える者が、「中国FAT法」の”おデブ”ターゲットになります。(金融機関ではこれを「富裕層の個人アカウント」と呼びます)。ここで言う、「国外の身分」と言うのは、口座主本人が国外の身分証や金融口座を持っていることを指すだけでなく、口座の登記地やメールアドレス、連絡先電話、口座代理人などの住所が国外にあったり、金融口座の毎月の明細の送り先が国外だったりしても、全て、対象になります。そして、金融口座とは、預金通帳口座、現金のファンド、金融機関の株券、債券収益、信託口座、保険契約、年金契約などまで含みます。

     今年の7月1日からは、中国の各金融機関は、上述の金持ちを調査したのちに、「中国FAT法」の規定に照らして、上述の人々は、「金融機関に協力し、中国で資産関係の税金を納めているかどうかを明らかにして、もし中国で納税しているならば、彼らの資産が海外にあっても、中国の徴税範囲に入ります。もし、中国では納税していなければ、中国税務部は、彼らの中国国内に隠匿されている資産を、当該国の税務部門に通知し、外国の税務部門が補正税や、追徴税、さらには、脱税刑事責任まで問えるようになります。

     当Webサイト連載のブログ集改訳;日中両文収録 
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    「中国FAT法」・狙いは海外資産に

     「中国FAT法」の背景には、中国政府が、ますます海外逃避資産で撮り損ねてきた大量の税収を重視し始めたことがあります。経済のグローバル化によって、世界各国の金持ちは、海外隠匿資産を持つようになり、巨額の脱税を行なってい流のは、もうとっくに当たり前の風潮になっています。経済協力開発機構(OECD)の、玉木林太郎事務次長は、全世界でその損失額は、2500億ドルに上ると見ています。このためOECDは、2014年2月のG20(20か国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議)で、「金融口座に関わる税金情報の自動交換基準(Common Reporting Standard,CRS)を定めました。これはOECDの国際収税協力で、国境を越えての脱税行為に打撃を与え、各国司法省が互いに自分たちの掌握している金持ちの資産隠匿情報を交換し合って、追徴措置を取れるようにするものです。現在、すでに百カ国以上が交換基準に合意しており、中国は、2015年12月16日に、「「多国間の管轄権に関する協定」(Multilateral Competent Authority Agreement/MCAA)に署名し、77番目のCRS加入国家になりました。

    中国——とっくにクライシス、なのに崩壊しない“紅い帝国

     「中国FAT法」の規定では、中国の金融機関は、2017年12月31日前に、「富裕層の個人アカウント」を全面調査し、2018年12月31日前に、全ての「太ってない」個人のアカウント及び、全ての機関の口座の調査を終えます。2017年9月から、全ての中国人及び、彼らの個人所有企業が100カ国で開設している銀行の口座情報は、それらの国家や地区が自ら進んで中国の税務期間に報告してくるわけです。この100カ刻には、イギリス、フランス、ドイツ、スイス、ルクセンブルグ、オーストラリア、カナダ、日本などや、オフショア金融センターで有名な、バミューダや英領バージン諸島、ケイマン諸島、セーシェル、香港、マカオ、モナコ、リヒテンシュタイン、アンドラ、ナウル、パナマなど、金持ちの財産隠匿の”天国”も含まれています。2018年9月から、中国は外国と税務情報を交換し、米国との間では現在、関連交渉が進行しています。

      

    “狡兔三窟”は、今後どうなる?

     中国の金持ちは昔から、“狡兔三窟”(ずる賢いウサギは常に3つの穴を用意している)をしっかり承知していましたから、中国内にかなりの量の金融資産と不動産を溜め込んでおく以外に、海外にも一定量の財産を隠しておき、万全を期し、来源不明の財産が引き起こしかねない厄介ごとを避けてきました。3年半前、私はVOAで、「★世界に「盗賊型政権」を認識させた「中国オフショア金融報告」の意義」 (January 28, 2014)を書きました。そこで、中国のキャピタルフライトの歴史を述べています。最近の情勢はそれに一言加えるだけで済みます。

     米国が10年有効ビザを開放して以来、ますます多くの中国旅行客が米国の銀行に口座を解説し、報道によれば、中国パスポート所有者の米国銀行口座開設者は3倍以上に増えました。ある銀行は、米国の住所や関連文書を必要とせず、中国国内の住所でオッケーでしたし、ある銀行は、中国人顧客が、米国の友人の住所を使って口座を開くのもオッケーでした。こうした、資産移転の「コツ」は、今後、面倒なことになります。つまり、数が多いことから、「中国FAT法」に目をつけられたり、米国の親戚友人名義の口座は、米国税務部門から中国に通報されたり、中国の住所を使用していても、米国の税務部門から中国政府が、中国銀行顧客の資料を強く要求されたら引き渡されることがあり得ます。とりわけ、多くの多くの、中国国内不動産の価格の暴騰で金儲けの絶好のチャンスと、国外登録企業でマネーロンダリングして、海外の資産を「外資」として、中国国内不動産市場に投入して大儲けしようとした金持ち連は、今、不動産価格が下がり始めてるのを見て、売り抜けようとした場合に、ちょうど、ぴったり「中国FAT法」のターゲットになりかねません。

      「中国FAT法」実施後、“狡兔三窟”は、「どの穴もみなつながって」しまい、「芋づる式」に、資産が中国にあろうと、海外にあろうと、税務署の前に素っ裸になってしまいます。「羊城晩報」は最近、去年、すでに金持ちたちはこうした噂を聞きつけて、香港銀行の口座を、細かく分けて、多くの銀行に分散し、今年7月1日からの各銀行の第一回、金持ち口座チェックで目をつけられるのを逃れようとした、と報道しました。この方法は現在はまだ有効ですが、来年は、これではかわせません。来年年末には、各銀行が全面調査を完成させますから、こうした人々は相変わらず、「リストに上がって」しまいます。彼らの次の悩みのタネは、どの国の個人税が一番少なくて済むか、脱税をしても法的責任が軽クて済むか、です。そして、国内の反腐敗部門の追跡調査が心配な人々は、どうやっても中国の監察部門を騙せず、バレるのは時間の問題という、口に出せない焦慮を抱えることになります。(終わり)

     拙訳御免。
     原文は;何清涟:中国版“肥咖法案”出台
    当Webサイト連載のブログ集改訳;日中両文収録 
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     何清漣さんの「中国2015」表紙

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