• ★金融治安維持が当局の頭痛のタネ★ 2017年7月31日

    by  • July 31, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     最近数カ月、私は自由アジア放送の民主サロンという番組で、いつも「資金調達話」で何万元もの投資の元本が消え失せたとかいった、ひどい目に遭った話を聞いてきました。訴えは最後には、政府が人は捕まえるけれども、お金が返ってくるようにはしてくれないと、政府を罵倒するのです。こうした方々がご存知ないのは、現在の社会矛盾の、一大発火点がこの「資金調達」、「マルチ商法.無限連鎖講」、「財テク商品.高利回り金融商品」などの名目で出現する金融詐欺事件の頻発で、中国公安部の不完全な統計では、被害総額一億元(1元は現在は16円程度なので16億円)以上の事件が100件以上発生し、被害者は全国に広がり、金融治安維持が中国当局の、大変頭の痛い問題になっていることです。

     ★中国のポンジ・スキーム(金融詐欺)の新たな特徴

     私は、以前の文章で、中国経済は既に『ポンジ・スキーム成長』に陥っている、と言いました。(経済の「巨大ネズミ講化」に対して習近平はどうする? 2016年8月16日「中国2016 何清漣」参照)これは、元は、米国の「ponzi’s scheme」という言葉、1919年にイタリア移民のカルロス・ポンジなる男が、1919年に幽霊会社を作って、投資すれば3月で4割儲かる、と話を持ちかけ、出資者を募り、新規投資家のお金を、前からの投資家に回すという手段で、どんどん新規投資家を募ったのでした。最初の投資家は、確かに大きな利益を得たことで、どんどん出資者は増えて行き、7カ月間に3万人の投資家を集め、一年後にやっとバレたのでした。

     中国の「資金調達話」、「財テク商品」、「マルチ商法」の本質は、このポンジ・スキームに本質的に類似したものです。中国公安部の役人が2017年に、防犯と違法資金調達の法律政策宣伝の座談会の席上での発言によると、「2016年に、全国で起きた違法資金調達話は5197件、2511億元(約4兆円)で、上位の10省の合計は3562件、1887億元(約3兆円)だと言います。

     北京と上海は中国経済の一番発達した地域ですから、金融犯罪も一番多いのです。今年6月に、上海市は違法資金調達、財テク商品などの犯罪に関して「2016年度上海金融検察白書」を出しました。7月下旬には、北京市社会科学院が「北京社会治理発展報告(2016〜2017)青書」を発表し、北京での違法資金調達などの犯罪は、件数、投資人数、金額共に上昇しており、特に「インターネット・プラス」の環境の下で、「e租宝」などのインターネット金融の違法資金調達事件が頻発して、それによる集団性事件(三人以上の人々が集まって騒ぐ)が起きている。この二つの報告を読むと、こうした金融犯罪は専門化していくという特徴が見られます。

    ① 事件を起こす企業の組織構造が緻密・専門化してきた。巨額事件は全て
    が集団化、広域化、多層化運営モデルになっており、短時間で急速に膨大な企業を作り出し、全国に広げる。名前は違ってもこうした企業は皆、同じ人間が運営操作しており、消費者を騙すようにできている。また犯罪に関わる人間の数も、これまでの伝統的な資金調達詐欺とは比べ物にならない。e租宝、申彫大大、中晋系など全て、全国に支社を設けており、販売も多層的で、巨額だった。

     ② 新興の金融業と関係する違法資金調達事件が大量に出現した。一部の銀行など正規の金融機関に従事する人間も犯罪に加わった。こうした状況は、各種の正規の金融機関の会社が「金融自由化」、「金融リニューアル」のスローガンの下で、一部のインチキ財テク商品で投資を集めたもので、その最も代表的なものが、P2Pを代表とするインターネット金融の理財管理プラットフォームである。

     ③ 被害の回復は難しく、どれも極めて率が低い。北京の返還例で10%~30%前後。これは他の地方も同様で、2016年、山東省の公安庁副庁長の王兆は、返還金額は大体10%~30%、時にはもっと少ない、と答えている。つまり事実上、投資した資金は戻ってこない。今年の4月に半月談という雑誌に「金額は億を軽々と超えるが、取り戻せるのは九牛の一毛 — 違法資金調達事件後の追跡調査の結論」には、

      : 2016年、全国の検察公訴部門が受理した違法資金調達事件は9500余件で、違法預金集め事案は8200余件、資金調達詐欺は1200余件で、返還比率が最高だったのはe租宝で、380億元だった。業界人の計算によると、e租宝の投資家が期待できる返還額は3割前後で、大部分は1割だと言う。

     ④ 投資家は理性を欠き、極端な訴えになりやすい。これはやや分かりにくい言い方だが、つまり簡単に集団性事件を起こしやすい。2016年、「伝播大数据」と「非新聞」(どちらも集団制事件の統計)は、2015年に起きた集団制事件の数を推計しており、同様の結論を出している。つまり

      : 中国の金融システムのシャドーバンクの大規模商業詐欺事件に関係した集団制事件の件数が、急速に増えている。

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    ★シャドーバンクを誰が裏書き?

     全国各地には25の持ち株会社の金融プラットフォーム(すなわち、銀行に生存を頼ったシャドーバンク・システム)が行なっている業務は、大体どこもが広域的なとくと湯を持ち、国有銀行はシャドーバンク・システムを通じて、普段に各種の中小の預金者の投資を吸収しており、いわゆるP2P(ピアツーピア)業務というのは、一種の第三プラットフォームを通じて、一定の費用を取る代わりに、少額の金融貸し出しを行うモデルで、「個人」、「第三方プラットフォーム」、「少額の貸借り」がキーワードでした。しかし、数年後にP2P業務のネットプラットフォームは、大多数が破産し、20社に1社しか生き残れませんでした。民生銀行の30億元偽理財商品事件や、国海証券の「人参ハンコ事件」は、100億元を超える資金詐欺となって、近年の大財テク商品詐欺事件になりました。

     中国政府は、高らかに「金融レバレッジをやめる」などと言っていますが、その結果分かったのは、レバレッジが一番行われているのは、正規の金融システムの外であって、監督が大変難しいシャドーバンク・システムだったのでした。このシャドーバンク・システムはまさに、正規金融システムが育てて、信用を供与していたのです。中国の金融系統の大黒柱は、国有銀行であり、政府によって信用が裏書きされていますが、それらが資金集めのために、シャドーバンクシステムに信用を与えて、各種の財テク商品を拡販させ、中小投資家の資金を詐取して、経営を傾かせ、破産させたのです。しかし、国有銀行は何の責任も負いません。国際評価機関のムーディーズは、2017年5月に、中国の2016年のシャドーバンクの資産は既に64.5兆元(約1032兆円)となり、前年同期より21%増加したと報告しています。2010年から2016年にかけて、金融システムにに起きた重要な変化とは、大型銀行の資産占有率が52%から28%まで下がり、ノンバンクの金融機関(つまりシャドーバンク)が管理する資産は9%から20%に増加しました。

     国有銀行とシャドーバンクのこうした絡み合った不明瞭な関係に加えて、各地方政府が、資金・人員不足で専門性が十分ではないとか、税金を取るのに都合が良いとかいったことで、往往にしてこうした違法資金調達行為を放任していることこそが、騙された民衆の政府に対する怨念を生み出します。

    当Webサイト連載のブログ集改訳;日中両文収録 
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     何清漣さんの「中国2015」表紙

     「マルチ商法.無限連鎖講」は地方での、小規模資金集め活動で、これはよく知った人とのつながりを通じて、詐欺が行われる現象です。江蘇省で盛んですが、当局公安部門の総括によると、原因は多くが、親戚や友人、同級生、同郷人などの知り合いを通じて資金集め詐欺のターゲットにしています。売り手は金儲けのために、そうした人間関係を自分の利益と交換し、ひどい時には、自分の妻子、夫、兄弟、姉妹まで食い物にします。公安部は、近年の各種の金融詐欺事件で、民間投融資の仲介機構は依然として違法資金集めの災難が集中して起きており、その活動はまさに「農村人民の中へ!」の運動のような勢いだといいます。こうした村レベルの資金集め活動は主に、知り合いのツテを辿って行われます。

     以上の分析が証明するように、政府の監督管理が行き届かず、金融システムがシャドー銀行を支えて活動させ、投資家が暴利の神話を信じていることが、近年の、中国の金融詐欺活動が猖獗を極める原因であり、最後に危機を生み出します。当局が金融治安活動を強調するというのは、まさに羊がいなくなってから、檻を作る、の類なのです。(終わり)

     拙訳御免。
     原文は : 让当局头痛的“金融维稳”
    中国——とっくにクライシス、なのに崩壊しない“紅い帝国

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