• ★中共19回大会前夜の掃討戦★ 2017年8月7日

    by  • August 7, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     今年秋に予定されている、中共第19回全国代表大会(19大)の政治闘争は、18回大会の権力闘争を引きずっているわけですが、重点は異なります。18回大会時には、権力闘争のライバルたちは全て、それぞれの「権力の砦」(とりで)に拠っていましたし、江沢民、曽慶紅も、元気盛んで、現実にコントロール能力を持っていました。習近平が権力を引き継いだ時点の最初の段階では、薄熙来をやっつけられただけで、それから一年半経ってから、やっと党・政・軍の三大系統の粛清に手を染めることができたのです。この戦いが、まだ19回大会の前夜まで続いているのです。今や、習近平は、郭文貴の背後にいる「老領導(旧指導者)」をシンボルとする情報部門の大きな抵抗に遭遇し、明暗両面で戦いを強いられています。

     ★明暗の「明」は勝利も容易 — 孫政才失脚

     表立った戦いは、第19回大会前夜の、権力配置で、主なものは二つです。一つは、かつては「後継者」の呼び声もあった重慶市委員会の書記、政治局委員の孫政才を、「セクト主義」のレッテルで攻撃したこと。二つ目は、次代の「トップ層のメンバー配置」のために、第19回大会の代表を、注意深く選び出すことです。

     孫政才をやっつけるのは簡単でした。孫が失脚した後、全国の各省の大官たちは、こぞって党中央の決定支持を表明しました。また孫政才が、かつて管轄していたのは吉林省と農業部ですから、政府部門では農業部だけが態度表明を迫られたぐらいでした。人民日報、新華社などの官製メディアは当然、いつものごとく、「中共の厳正な党内政治」を強調し、指導的な高級官僚たちに、(中央決定を支持する)政治的立場を堅持するように警告を与えました。

     第19回大会の名簿は、既に、各省に配られており、現任の中央政治局員の大多数は、例えば、習近平は貴州省から、李克强は広西省から、王岐山は湖南省からとったような形で中央が名前を挙げて、各省が選ぶようになっています。代表の総数は2300人で、第18回大会より30人増えています。中央金融系統は全部で44人の、第19回大会代表の名前が挙げられており、事前に何度も、このメンバー選定の重要性を強調する特別報道が行われました。2015年の株式市場崩壊以来、金融系統の官僚は大量に逮捕され、牢獄入りさせられていますから、こうした報道には、当然、深い意味があります。現在、金融の粛清は、経済クーデター防止の渦の中心だからです。

     ★「暗闘」は、ツイッター上で。米国中国語メディアが戦場に

     暗闘とは、すなわち、皆さんがご存知の郭文貴の暴露事件です。これは別に郭文貴一人が戦っている訳ではなく、背後には数量不明の「老領導」たちがいて、操っています。北京は、国家安全部門系統のこの、数も定かでない「謀反」について明らかにしたがりませんが、深い傷を負ってはいます。中共の歴史から見て、建国以来、最高指導者で、機密情報部門から、こんなに大規模に反抗を受けた最高指導者は、習近平だけなのです。国際的な広がりで見ても、これは共産党国家で、唯一起きた、情報機関の集団反抗です。ですから、この戦いは、中国国内と、国外の両方で繰り広げられています。

     国外の「暗闘パワー」は、ひとつは米国のSNSのツイッター上の、郭文貴の殴り合いで、もうひとつは華人メディアの大物の何頻が、今経営している明鏡ニュース集団と、昔、何瀕が作った多維ニュースの間の”ネット戦争”です。戦況はといえば、観衆は、もういささかうんざりしてきてはいますが、それでも、まだ二、三カ月間はもちそうです。戦果は、郭文貴が当初予告していた、「19回大会が開けなくなる」ほどのものではありませんが、確かに見ものではあり、多維ニュースの「近思録 — 郭文貴の中国野蛮人ぶりを見通す」(《近思录:透视郭文贵中国野蛮人演进》では、「中国政府を自分のメンツを守る戦いに奔走させている」ことは認めています。このほかに、当然、ヒマワリのタネをかじりながら見ている野次馬連にはうかがい知れない、暗闘の仲裁工作もあります。

     秘密情報機関系統の「大反抗」に対して、北京も組織の粛清に乗り出しています。6月27日、中国は初めての「国家情報法」を作りました。この法案のポイントは二つあります。一つは、情報部門に非常時には国境を越えて行動して良い、ということです。これは中共情報機関にとっては歴史的な権力拡大を意味すると見られています。二つには、国家情報機関の職能の位置づけと重要工作で、法案は、比較的後半に規定を設けました。特に注目されるのは、国家安全システムの大改革は四つの方面になります。①国家安全部は国家情報総局に名称を変更し、対外的な反スパイ活動と情報活動を行い、内政には介入しない。②地方政府の関与と利用による、国内治安や政治闘争の道具にならないようにする。③国家安全部系統の人員の広範な整理と、公安(警察)・国内安全保衛支隊系統の人員を入れる。③国内安全保衛支隊を対外的な「カミソリの刃」として、人事は中央直轄にする、です。

     秘密情報機関の系統は、ずっとこれまで江沢民の重臣・曽慶紅の手中にあり、習近平もなかなか手をつけられませんでした。「郭文貴暴露事件」後になって、習近平は、公安・司法系統と情報系統に対して、徹底的に打撃を与え、再構成せざるを得なくなり、機構から人事まで改組し、中国の情報系統を国家安全委員会の管理の下に置くように繰り上げ実施を迫られました。これは、習近平自らが、各部門の利益を超越した新設の国家安全員会を握って、政策決定、立案、諮詢、協力などの役割のほか、改革全体の整合性を取ることもその主要な職務である、と広く認められています。未来の中国の国家安全体系は、国家安全委員会が、「黄金のタワー」のようにそそり立ち、その下に各種の安全部門が、効率的に秩序立った働きをすることになります。

     ★ビジネス界には、「原罪を忘れるなかれ」と。

     ビジネス界は認めたくはないでしょうが、実際には、習近平政権になってから、ビジネス界は、江沢民時代に始まった黄金時代の終焉を迎えています。2013年の夏に始まった「反腐敗」キャンペーンによって、200以上の各省レベル以上の腐敗官僚の「お友達」たちは、ほとんど全て、一蓮托生となり、その中には、全滅した周永康の四川省書記時代の、四川組の「川商」、令計劃の故郷の山西省の石炭経営者グループがあります。そして、今年からは金融の粛清が始まり、すでに戦火は、ここ数年「実体経済を蚕食し、資本領域で.波風を立てる.騒ぎを起こしている役人=ビジネスマン結託に向けられています。

     習近平王の反腐敗キャンペーンの暴風雨を避けるために、役人と親密な関係にあった少なからぬ数のビジネスマンたちは、次々に資本を安全な場所に移し、香港がその中継点でした。香港島のセントラル金融街8番地にあった四季酒店(中央紀律委のテレビ番組「人民の名において」では「三季酒店」の名で登場)は、中国のそうしたリッチな経営者たちの避難場所でした。さらに、彼らに情報を提供し、問題解決を図るスーパー・ブローカーの蘇達仁もいました。しかし、今年の一月、常に8人の女性ガードマンを引き連れていた金融界の超大物・肖建華が、大陸の「強力部門」によって、秘密裏に北京に連行されて以後、この四季飯店は、もはや安全な場所ではなくなり、避難する大陸の富豪も減って、このホテルの神話も終わりを告げました。

     今年の7月に、中国国務院は「国務院金融穏定発展委員会」という「一行三会」(中国大陆对中国人民银行、中国银行业监督管理委员会、中国证券监督管理委员会和中国保险监督管理委员会)の上にあって、これを指導監督する機関を作りました。政府メディアはこれを「資本の暴力時代はもうすぐ終焉を迎える」としました。多くの金融界の超大物たちは、やっと、自分たちがこれまで、適当に協力するふりをしてきた政府が、ついに自分たちにその砲口の照準を合わせてきたことに気がついたのでした。あの輝かしい勢いを誇った鄧小平の孫娘の婿だった呉小暉が逮捕された後、何人もの政治局常務委員経験者の家族をバックに持っていた中国ナンバーワンの大富豪・王建林もやっと、3年続けてきた資本の国外転移をやめ、頭を低く垂れて恭順の意を表し、今後の投資は中国国内に留めると言いました。一度は、政府に「お茶に招待された』(話し合いを強制された)复星系の郭広昌は、公に「海外投資は、より実りを伴って戻ってくるものであり、三、四年続けて、国内で資金集め、海外に資本転移することによって資本逃避する風潮こそ、権力によって阻止せねばならない」と発言しました。

     もし、中国の大金持ちたちが、こうした厳しい規制は一時的だろうと思っているのなら、それは虚しい願いというものです。第19回大会を穏やかに見せるために、中国国内のビジネス圏の未来図に対しての方向性は示されていません。しかし、北京の大対外宣伝メディアの多維ネットは、8月上旬に一連の文章「「近思録 — 郭文貴の中国野蛮人ぶりを見通す」(上、中、下)《近思录:透视郭文贵中国野蛮人演进》を出しました。

    当Webサイト連載のブログ集改訳;日中両文収録 
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     このタイトルの「郭文貴」は見出しを目立たせるだけで、大した意味はありません。重要な点は、郭文貴を代表とする中国ビジネス圏の、30年以上にわたる改革の生まれた軌跡に置かれています — もし、この記事が、中国国内向けに発表されていたら、第19回大会の「安定団結」の局面に影響を与えかねないものでした。と言うのは、ビジネス界の「92派」(鄧小平の南巡講話をきっかけに、独立起業した中国の代表的起業家たち。政商とは違う)の精鋭たちは、決して郭文貴をビジネス界の代表とは認めないでしょうし、寒々とした冬枯れの厳しさを見る思いにかられたでありましょう。

     私は今、「富豪の災難;中共資本主義の運命」《富豪劫:中国共产党资本主义的宿命》を書いており、そこで、中国の政商関係の今後を分析していますので(これまでは来歴を分析してきました)、ここでは、だた、多維ニュースネットの、「近思録 」の記事の主要な意味を分析しておきます。

     「近思録 」の(下)は、単独の「中共は、経済の野蛮な成長を終わらせる努力をする」という章があります。編者は、「どの権力の中心の周囲にも、すべてその鼻息を窺う利益集団がある。こうした連中は、権力の中心に近づき、資源を独占し、巨大な利益を獲得する」と書いています。

     中国政治を知る人々なら、この話は分かります。どの権力の中心にも、は、江沢民の「複数の龍が治水を行う」という「9龍治水」の構造です。どの政治局常務委員も、皆、自分の管轄する担当領域では権力の中心となりました。「権力を取り巻く」側は、国家資源を自分たちの利益にする集団で、例えば、今回の情報系統の反抗も、国家安全部門の権力を中心に形成された利益集団が、暗中に計画して実行していることです。第19回大会でやろうとしていることは、今後は、中国の政治権力の中心は、一つしかなく、二度と多頭共同統治による集団指導は行わない、ということです。

     更に、「胡錦濤・温家宝の10年に形成が悪化したのは、時の温家宝の性格が優柔不断で、経済音痴の総理だったからで、更には在位機関中に、中国の特殊権力構造の桎梏が生まれた。最初に持っていた理想は間も無く消えてしまって、最後には、どうにも回復出来ないまでの政治改革の空文句になってしまった。今や、既に一つの重要な転換の時期である」とも言っています。

     「重要な転換」とはなんでしょう? 経済的に言えば、「ビジネス抑制の時代」が始まろうとしているということです。その証拠は、政府側メディアの報道では、今年、第19回大会の生産と労働の第一線の代表の比率です。省区市、中央金融系統、中央企業(国営企業)系統代表の中で、生産と労働の第一線の党員が閉める比率は、通常、3分の1以下であってはならない。例えば、桂林公共交通有限校舎平山11号路線のバス運転手の夏四初の経歴は、文革を体験した人には、毛沢東時代の第9回大会の労農兵の代表だった紡績労働者の呉桂賢、石油労働者の王進喜、農民代表の陳永貴らを思い出させます。

     「精鋭の集う」人民代表大会・政治協商会議も、来年は規則が変わります。一部の大金持ちたちは、その党員代表の地位を、労農兵といった第一線の党員代表に明け渡す、ということが想像出来るのです。(終わり)

     拙訳御免。
     原文は;中共十九大前夕的“战场”清扫

    当Webサイト連載のブログ集改訳;日中両文収録 
    「中国2015 何清漣」Amazon電子ブック発売中。
     何清漣さんの「中国2015」表紙

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