• ★「私有化は許されない」建前の裏で— 中国企業の国営・私営の関係の変化⑵★ 2017年9月10日

    by  • September 10, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

    ★中共幹部は如何にして資本家に化けおおせたか — 中国企業の国営・私営の関係の変化(1)★2017年9月9日から続く) 中国では1990年代後期に、こうした大規模な私有化が行われたのですが、中共のトップ連は、この事実をはっきりと否定しているのです。その理由の一つは、いわゆる企業改革の過程で、中共権力集団が徹底的に、国営企業労働者を主体とする社会底辺層を見捨てたからです。こうした行為は政治的正当性があるでしょうか? モデルチェンジした他の社会主義国のプロセスと比較すると、結論がはっきりします。

     ★(1)中国は唯一、改革の名で底辺層を捨てた社会主義国家

     これまで、元社会主義国の経済と政治のモデルチェンジは大体、3種類あります。

     第一は中欧型モデル(ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア)です。これらの国では、社会主義政権に反対してきた知識人層が指導し、基本的に、元共産党の幹部達と権力を分け合ったり、和解したり、寛容な姿勢をとったりしませんでした。そして、共産主義の残した社会の汚れを清掃する過程で、出来るだけ共産主義の残した文化の残滓を徹底して取り除きました。その上、これらの国々の民衆の目には、今日佐藤政権というのは、ソ連にが移植した傀儡政権だと映っていましたから、唾棄すべき存在だったのです。これらの国々の政治・経済のモデルチェンジの結果は、元共産党幹部たちの大半は、そこでうまい汁を吸うなどということは出来ず、大体3分の1は社会経済的な地位が低下し、約半数は繰り上げ退職しました。

     第二は、ロシア型でその結果は、元の共産党幹部連は、まんまと忍術を使うように民主派の幹部に変化の術でもって、モデルチェンジの中に居場所を作り、うまい汁にありつきました。同時に、民衆も私有化の過程で、一定程度の財産権を勝ち取りました。これは典型的な「旧権力貴族が新社会に入り込む」タイプのモデルチェンジです。

     第三は中国式です。その特徴は、中共政権の前半30年の毛沢東時代の革命建設による社会主義経済制度を通じての全面高優勢と計画経済を完全に放棄しました。そして、毛沢東の残した専制独裁制度をもって共産党資本主義を強固にしていきました。権力貴族による私有化の過程では、紅色家族の狂ったような手段を選ばぬ蓄財行為が模範となって、数々のブラックな行為が生まれ、官僚システムと国家丸ごとの、極端な腐敗を生み出しました。こうした腐敗政治は、当然、深刻な社会分配の不公平を生み出します。富と社会的上昇のチャンスが独占され、総人口の8割を占める社会底辺層は、必然的にエリート階層を憎み、官僚を憎み、恨みをいつか晴らそうという気持ちが社会全体に蔓延します。

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     ★(2)密室の私有化は、解き難い社会的恨みとなる

     中国式モデルは、多くの研究者に対してこれまで重視されてこなかった問題を投げかけました。それは、「経済的なモデルチェンジは政治的なモデルチェンジに利するものなのか、それとも妨げとなるのか?」です。中国やロシア、東欧の全社会主義国を見て思うには、その鍵は両者のうちどちらが先だったか、という順序の問題です。経済のモデルチェンジが政治のそれと歩調を合わせるなら、例えばロシアのように、赤色エリートが「変身」して民主派になっても、民主化には反対しません。というのは彼らにとって、民主化は必ずしもそれまで築いて来た富を利用するのを妨げないとわかったからです。しかし、もし経済的なモデルチェンジが、政治的なモデルチェンジの前に、既に完成してしまっていた場合、これは中国のような状況で、既に資本家になってしまった紅色貴族たちは、民主化を阻止しようとします。彼らにとって、民主化というのは、自分たちの政治的特権を剥奪するばかりか、彼らが違法に奪った富まで追求されかねないからです。海外の中国語ネットサイトによく見られる、「民主化したら、お前ら皆殺し」といった類の言葉は、まさにこの恨みつらみの表れです。

     上述の家庭は、政府が、国営企業管理層や政府官僚が結託して国有資源を略奪するのを、勝手にさせていたということは、いくら当局が舌先三寸で誤魔化そうとも、そうした略奪行為を正当なものにすることは出来ないということに他なりません。たまにメディアに載る国有企業の私有化のケースは、しばしば、社会大衆の忿怒の的となりますから、中国政府は、国内メディアに私有化を論じることを許しませんし、学者がその過程を研究して発表することも禁止しています。2011年に至って、中国政府が「5つのやらない」(五不搞)を堅持すると宣言し、その中には、「私有化をしない」とあります。しかし、これは国内の大衆を騙すためのもので、実際には、中国政府は、世界銀行などの国際機関に、何度も、国内における私有化の進行状態の結果報告を出すように委託しています。そのレポートは全て、英語で、中国国外で発表されて、国際社会に、中国は早くも1997年末に私有化推進を開始し、2001年12月のWTO(世界貿易機関)に成功裏に加入する道ならしを行なってきたのでした。

     私有化が推進されていく前後の10年、中共当局は、紅色貴族のエリート達が企業や国有資産を私物化する行為をほとんど追求しようとはしませんでした。それどころか、1998年から2003年の私有化のクライマックスの時期に、中国政府は、国有資産管理曲を閉鎖し、6年の長きにわたって国有資産を管理監督する部局をなくしてしまって、危険貴族や国有企業の工場長や管理職、および官僚たちが国有企業を私物化する便宜をはからったのでした。2003年以後、新たに国有資産管理局が復活した時には、とっくに私有化は終わっており、元々の国営企業の管理職達は、既に堂々たる私営企業家に成りおおせていました。

      ★(3)中国の私有化の明らかな弊害

     共産党国家の公有企業の私有化ていうのなら、こういう方法しかないのではない何?と思う向きもあるかもしれません。程暁農はロシアと中欧数カ国の私有化の過程を研究した結果の結論は、このように、共産党幹部が直接国営企業の資産を我が物にするやり方を、政府が奨励し保護したのは、中国だけがやったことです。中欧の各国の私有化は、基本的に、共産党幹部に手を触れさせませんでした。もし中国とロシアの工業私有化の過程を比較するのであれば、中国のやり方には、明らかに以下のような弊害があります。

     第一に、中国政府は未だかって、企業の私有化の具体的な考え方を明らかにしていませんし、私有化の過程は政府の官僚と、企業の幹部が密室で計画し、ブラックボックスであり、労働者はツンボ桟敷におかれたまま話が進みます。ロシアではこれと違って、私有化は労働者が一票を投じることができる、といった点。

     第二に、中国の労働者は、工場長や経営者から、雇用継続と引き換えに強制的に自分たちの預金をはたいて、株式を購入させられます。株をかったあとは、名ばかりの株主でしかなく、その権利は保証されません。ロシアの労働者は、企業の株購入は自分の意思で行われ、使われるのは政府発行の私有化券であり、彼らの株主としての身分も認められ、権利も保障されています。

     第三に、ロシアでは私有化後、企業の労働者は、自分の企業の株の4割前後を所有し、中国の労働者の10%よりはるかに多いのです。ロシアの企業経営者層も株式を持っていますが、中国のそれに比べるとぐっと少ないものです。ですから、ロシアの経営者たちが、自分たちの株だけでは、その企業を私物化したくてもできない場合が結構あるのです。

     第四に、私有化後、中国では労働者の約半数が解雇されま、した。経営者が労働者を解雇すれば人的コストが下がり利益は上がります。これは各地方政府の支持を得ました。ロシアでは私有化の過程で解雇された人の数は比較的少なかったのです。

     第五には、中国では私有化あたって、まだ失業労働者の社会福祉システムが作られていませんでした。ですから、失業者は生活の元になるものがありませんでした。そこへ、企業経営者達が国有資産を私したわけで、これが大量の労使紛争を招いた理由です。1995年の全国の県、市級での労働争議仲裁機構の処理した件数は3.3万件だったのが、2006年には44.7万件にもなり、2008年には69万件になっています。一方、ロシアでは、私有化の過程での福祉制度は依然としてちゃんと機能しており、少数の失業労働者は社会福祉を受けてなんとかかんとか生きてゆけました。ロシアの経営者層は、私有化過程でも比較的、労働者を尊重し、私有化を原因とする労使紛争は少なかったのです。

     西側のある学者は、共産党国家の専制体制は、政府が強権をもって民間からのブレーキを克服することができるから、経済のモデルチェンジと発展に有利であり、中国は、彼らの目から見ると、最も好例にみえるようです。彼らが全く無視しているのは、この「経済のモデルチェンジ」の過程が、完全に社会の公正を無視し、大衆の利益を奪うものだ、という点です。これは、統治階級のエリートの制度のためには有利に働くでしょうが、未来の中国の社会衝突に向けて、大変深い禍根を残しつつあるものです。

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     拙訳御免。
     原文は : 何清涟:中国经济公私之变(2):不被承认的私有化 

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