• ★政治とビジネスの”結婚”— 中国企業の国営・私営の関係の変化⑶★ 2017年9月14日

    by  • September 15, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

    (このテーマをよく理解していただくために、以前発表した内容が一部重複しますことをお断りしておきます。)

     国営企業改革」によって、中国の国営企業管理層が資本家に変身を遂げたのは、中国の政治と実業家の関係の変化における第一の重要なメルクマールです。2000年2月、中共総書記・江沢民は、広東省高州市を視察時に、「三つの代表」思想を提起し、正式に、中共党規則と中国”憲法”に書かれるようになって以後、中国の政治と実業の関係は重大なターニングポイントを迎えました。実業界のエリート連が正式に、中共統治の重要な同盟者となったのです。これは、中共統治の基盤が変わったということです。プロレタリアート独裁の建前は残ってはいましたが、しかし労働者・農民はもはや、中共統治の基盤ではなくなったのです。(名目上でも、正式に放棄されました)。

     ★こっそり、統治の基礎を変えた中共

     中共は、実業家の興隆には、ずっと注意を怠りませんで、少なからぬ公開された政府調査があります。人民日報の傘下にある人民フォーラムは、2010年第四期のトップ記事で、「中国の新富裕家族」を取り上げています。そこでは、関係機関が、2009年に明らかにした、中国上位3000金持ちリストでは、3000家族の財産の総価値は1兆6963億人民元、平均1家族あたり5億654元。トップ1万家族だと、2兆1,057元と平均2億元だとしています。

     この記事では、中国の「新富裕家族」の構成を、第一類は、草の根から起業して成功した、浙江省や広東省の実業家。第二類が体制内で起業して実業家になったり、あるいは、もともと中共政府御用達の実業家。この記事では、南江蘇省の実業家たちを代表的だとしていますが、「92派」(訳注 : 改革開放後に役人をやめて”下海”して、独立起業した)もここに入るはずです。第三類は、「紅色貴族の家族」です。この連中は最初から、極めて豊かな”政治的資源”を持ち、スタート時点から有利でした。彼らは、主に許可の必要な分野、貿易、基礎産業、エネルギー産業、不動産業界などの分野が大好きです。

     興味深いのは、この記事で第一類、第二類では、代表的人物を列挙しているのですが、第三類に関しては誰一人例をあげていません。そして、「国外における富豪家族には、幾つかの特徴があり、一類は庶民から身を起こした、二類は競争の激しい分野でのファミリーだが、これに比べると、中国人の実業家の家族構成には、多くの内憂がある。近年、ますます批判されている権力資本、権力と金銭の結託は、中国実業家のファミリーに、暗い影を投げかけている」と書いていることです。

    当Webサイト連載のブログ集改訳;日中両文収録 
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     何清漣さんの「中国2016」表紙

     ★中国の政治と実業界の二重の呪いとは

     人民フォーラムのこの記事は、中国の政治と実業の明暗両面を、再び明るみにだしました。表面的には、政府と企業の関係ですが、実質的には官僚と実業家、商売人の関係です。この二つの層は、ピッタリべたべたくっついており、中国の政治とビジネスの関係が直面する、生まれながらの二重の制度的な「呪い」を帯びているのです。

     第一の呪いというのは、官僚たちが「ファミリーと国家を一緒くたにして銭儲けに励むシステム」です。

     中共の政治はまさに独裁専制政治ですから、政治、経済(資源)、言論を独占しています。この3種の独占は、計画経済時代に既に形成されていました。しかし、その当時は、権力を持っていても、それを「売る市場」がありませんでしたから、、大小各種の権力者たちは、自分の住む家がちょっと大きいとか、子供の就職で特権を持っているとか程度でした。しかし、改革開放の時代になると、政府の官僚の持っている権力は、「市場」を通じることによって、「現金化」出来るようになりました。それを私は、「権力の市場化」と名付けました。この一点で、中国の官僚たちが、必然的に不法な利益を求めるエネルギーとなりました。もし、家族がそれを出来なければ、誰かブローカーを使って、官僚とビジネスの世界が結託出来たのです。もし、妻子や子供たちの中に、有能な人材がいれば、自分で起業しました。不法な利益を求めるには、やはり、他人より自分の一族にやらせたほうが安全だからです。これが、ここ数年の反腐敗キャンペーンで、汚職役人が一人、失脚すると家族や友人といった面々も、一蓮托生で牢屋入りとなる理由です。

     官僚たちから、この二重の呪いを取り除くために、数年前から、中国国内では、大真面目に「いかにして汚職役人に特赦を与える政治改革を推進すべきか」が論じられています。この種の論議は、今世紀からずっとあったのですが、2012年以後には、もっとも真剣に論議され、一部の有名人もそれに参加しました。この問題は、私は「“特赦贪官推动政改”为何不可行?」http://www.epochtimes.com/gb/12/8/4/n3651488.htm で論じておきました。

      第二の呪いというのは、制度の呪い、つまり実業家の原罪です。

     中国では、政府が資源の分配のすべての権限を握っていますから、政府と企業の関係は、「政府が恩賜する」形になります。いわゆる「権力の市場化」の特徴は、その「権力」の「現金化」にあり、必ず「市場」を必要とし、両者の動きはぴったりくっついています。ですから、資源分配の大権を握る官僚は「国王製造人」となり、これが中国の絶対多数の実業家が、官界に依拠せざるを得ない理由です。たとえ、どんなハイテク分野の大富豪の実業家であっても、自分は政府には頼っていない、とは言えません。とうのは、市場に参入を許されるにしても、税収、企業の毎年の検査で、嫌がらせをされようもんなら、ビジネス界ではやっていけないからです。実業家たちは皆、良い経営とは、「政」とうまくやっていくことであり、それが「重要資源」を握ることだと分かっています。

    中国——とっくにクライシス、なのに崩壊しない“紅い帝国

     ★「三つの代表」思想は、「政」と「商」結合の制度的パイプになった。

     この二重の制度的な呪いは、江沢民によって意図的に破られました。彼が、2000年に提起した「三つの代表思想」は、政治利益集団と経済利益集団の融合に合法性を与え、中国の実業家に政界への道を開きました。中国の政治体制の方は、未変革のままという状況の下で、この道は紅色権力貴族階層と官僚集団が一層大きな経済利益を上げるだけでなく、実業家たちにも堂々と政治的な”核の傘”を獲得したわけです。

     「三つの代表思想」理論が発表された後、私は、雑誌・書屋(2000年第3期发)に書いた《当前中国社会结构演变的总体性分析》(現代中国社会構造の変化についての総合分析)で、

    : 中国はまさに、労働者、農民らの社会的底辺層を捨て去り、政治、経済、知識界のエリートと外国資本連合の、共同統治による寡頭連盟が形成されようとしている、と指摘しました。同年6月には、上海欧亜学院の公開講演で、「江沢民の”三つの代表論』は”二つの本当と一つの嘘”からなる。経済エリートが”先進生産力”というのは本当だし、”政権集団が”先進文化”も本当だ。経済エリートを中共に吸収することによって、”二つの本当”は、その実一つになる。つまり、中国共産党、ということ。
    : 「広大な人民の利益を代表」というのが、”一つの嘘”。というのは、人民というのは集合名詞であって、無数の個人からなる名義の集合体であって、自らを代表するすべはない。ゆえに、結局は、中共を代表することになる。だから”三つの代表”というのは、すべて中共を代表するということになる。

     私がこのように書いたことは、江沢民の「三つの代表」思想を風刺した「新たな罪」とみなされ、それまでに書いていた「中国現代化の陥穽」(これで、私は、当局から政治的迫害、給料の値下げ、発言禁止、24時間監視された)の、”旧悪”に、新たにこの”新しい罪”が加わって、2000年7月に、北京で、奇々怪界な交通事故にあって(訳注 : 何清漣氏は北京で息子と共にひき逃げされ重傷を負った)、2001年、米国向けて出国しました。書屋誌の編集長の周実氏もクビにさせられ、50歳で強制的に退職させられました。

     2005年から、中国のビジネス界や学会では、実業家の”原罪”を巡る討論が、起きたことがありました。主な論点は、《原罪:转型期中国企业家原罪的反思及救赎》という本になっています。同書は”原罪”の三代原因を挙げています。すなわち、不完全な社会モデルチェンジによる、先天的な欠陥、政策と法律の不備という後天的な欠陥及び、原罪を産み育ててしまうような社会環境です。それとともに、追究派、反対派、雪中派など賛否様々な声が掲載されています。その討論では、起業家の原罪を擁護し、現在を追究しようとする意見には反対、というのが最終的に優勢でした。しかし、こうした論議で、追究に反対したところで、政府の正式なお許しが出たということではなく、中国政府が実業家階層をコントロールするのに便利なようにパイプを残しておこう、ということです。

     ★江沢民は中国の何を変えたのか。

    米・ゴールドマンサックスのロバート・ローレンス・クーンは、かつて『中国を変えた男 江沢民』(ランダムハウス講談社)を書きました。では、江沢民は一体、何を変えたというのでしょうか?

     江沢民が「三つの代表」思想を出してから、中国当局は資本家の入党を奨励し、多様な政治潮流となり、多くの民営起業家たちが各級の人民代表大会や政治協商会議に入り、中国政治はまるで「エリート共和」の第一段階に入ったかのようでした。胡錦濤の10年の治世は、江沢民作った政治ルールの前例に従ったもので、「両会」代表は引き続き、大金持ちたちを吸収していきました。この種の「エリート共和」の現象は、西側メディアの注目するところとなり、両会の報道では、中国人の富豪の人数やその財産、米国の国会議員の豊かさとの比較が語られるようになりました。

     2015年の両会の前夜、ニューヨーク・タイムズ紙は中国の長者番付のトップ1271人のうち、7分の1にあたる203人が全国人民代表大会代表だと報じ、その総資産は3兆元で、オーストリアのGDP(国内総生産)を超えると報じました。

     この中国の両会の富豪代表の財産総価値は、人々を仰天させました。長者番付のデータによると、中国の最も富裕な70人の全国人民代表大会代表の純個人資産は、2011年に、総額で115億米ドル増加し、898億ドルの新高値を記録していました。これに比べて、中共が「金銭帝国」だと宣伝し続けている米国国会、最高裁判所、ホワイトハウスの660人のトップ官僚たちの同一時期の個人純資産は75億米ドルで、中国の70人の富豪が一年に増やした金額より少なかったのです。2017年3月、長者番付によると、全人代と両会の「100人富豪番付」の富豪たちの過去四年間の財産は64%増え、2013年から2016年までに、その総財産は1.8兆から3兆元まで増えたのです。

     「中国共産党の指導下で、民主集中制による」中国の議会ということになっている中国人民代表大会は、確かに、富豪と官僚の倶楽部になっています。彭博ニュースはこの現象に対して、「全国人民代表大会は超富豪たちを偏愛し、中共と富豪の癒着関係を体現した。このシステムの各レベルにはすべて、官僚と実業家がグルになって、金持ちになろうぜ、というものだ」と指摘しています。

     鄧小平の改革は、公有経済の隙間を埋めるということで、私営企業の経済に居場所を与えました。江沢民は、資本家を「先進生産力の代用」としたので、胸をはって人民大会堂に人民代表として入場出来るようになりました。これは、私有制度を消滅させ、資本家を搾取者とみなす共産主義(社会主義)国家の中では、確かに天変地異の始まりでした。これ以前には、どんな研究の大家であろうと、誰一人として、水火相容れぬ共産主義と資本主義が結合出来るなどと考えた人はいませんでした。ただ、この種の結合は、結合の主導権を握る側からすると、一種の「恩恵を与える」ものであり、結合させられるほうからすると、ビクビクして不安な状態です。この両者の新婚の床では、終始、ある種の亀裂があって、ちょっとした動きによって、この亀裂は広がるのです。習近平が権力を握るようになってから、中国の実業界はずっと、ビクビクものでこの亀裂が、次第に広がるのを見守って来て、危機感は不断に拡大して来ました。

     西側の左派知識人はずっと、資本主義と社会主義が結合して、効率を高めると夢想して来ました。2017年8月、Martin-Sandbu(Economics editorial writer at The Financial Times)は、「レーニンから、リーマン・ブラザーズ;嘘っぱちの代価」で、こうした夢を語っています。しかし、彼は明らかに、共産党資本主義を核心とした「中国モデル」がその夢を実現したモデルだとは認めていません。彼らは、ずっといつも、資本主義と社会主義が手を結べば、艶やかな花を咲かせられると思っているのです。

    拙訳御免。

    ”国体”は変わらず— 中国企業の国営・私営の関係の変化⑷★ 2017年9月16日

    当Webサイト連載のブログ集改訳;日中両文収録 
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     何清漣さんの「中国2015」表紙

    「私有化は許されない」建前の裏で— 中国企業の国営・私営の関係の変化⑵★ 2017年9月10日
    中共幹部は如何にして資本家に化けおおせたか — 中国企業の国営・私営の関係の変化(1)★2017年9月9日

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