• ★「郭文貴ツイッター革命」は、中国の未来の革命の姿を映し出す(2) 2017年9月

    by  • September 20, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

    ★今回の「郭ツイッター革命」参加者の目立った特徴

     (1) 習近平・王岐山連合に反対するというこの一点で、官僚も反体制知識人、社会底辺層という3種類の、利益も目標も完全に異なるグループが、暫定的に合流したこと。

     官僚たちは2013年以来の、習・王連合の強力な「反腐敗キャンペーン」によって、郭文貴の言う「家は滅び、人も亡んだ」状態にあります。(実際に死刑になったのはごくごく少数なのですが)、王岐山が粛清され、習近平の「片腕」が切り落とされるのを切望しています。
     一部の反体制知識人は、郭の暴露資料によって、中共の内部権力闘争が起きて、中共政治が動揺するのを期待しています。もっと劇的なことは、江沢民、曽慶紅らの「古参指導者」が、なんと郭氏ツイッター革命の多くの支持者の”希望の星”になってしまったことです。彼らは、「古参指導者」たちが背後で力を発揮して、郭文貴が前面に出て、彼らの公開活動をし、中共第19回全国大会が、習近平の悪夢になるように、と期待しているのです。また、一部の反体制民権運動活動家は、中共が倒れた後に、自分たちが取って代わろうと期待しています。
     国内の底辺失業青年層は、郭文貴の力を借りて、”翻身”(*奴隷の身分から主人になること)を望んでいます。こうした人々が、郭文貴の暴露資料に「希望」を見出したのです。

     国家安全部の力を借りてのし上がった実業家で、反腐敗キャンペーンに外国に逃亡し、悪行の数々の経歴を持つ男が、なんと、それぞれの利害が完全に異なる、どころか、衝突しかねないグループが一緒になってたてまつる「领袖」となる奇怪千万な現象。これは、つまり習近平が、江沢民時代に始まった利益構造の変革を、あまりに急激に厳しくやり、政治的な高圧手段で、言論空間への厳しい弾圧を含む、あらゆる「不安定要素」に対処したからです。すべての階層が皆、習近平の”苛政”(反腐敗キャンペーンも含めて)に対して、深く不満を持ったのです。極端な弾圧抑圧の下では、どんなところに、ちょっとでも隙間があれば、すべて、各種反対者の結集するところとなるということでした。

     (2) 「郭氏ツイッター革命」の支持者たちは、切実に変化を求めており、少なからぬ参加者がそれぞれの目的を抱いて、甚だしきは、郭文貴の動機と、自分のそれが完全に違っていても気にもしなかったのです。郭文貴は、何度も声明で、自分が始めた動機は「自分のお金を守り、自分の命を守り、敵を討つことだ」と述べていましたが、支持者たちは、意図的に目をつぶって見ないふりをしました。郭文貴の話の中で、常に、現中共と現指導者を賛美していました。例えば「中共は14億人を養っている」とか「習近平は千年に一度現れる名君だ」などなどです。「郭7条」(訳注 : 郭文貴がネット上に発表した、「反腐敗キャンペーンに反対するが、習近平主席や国家には反対しない」という宣言)にもはっきりと、汚職役人に反対するが、皇帝には逆らわない、体制にも反対しない、とあるのですが、こうした一切を、支持者たちは「策略戦術」だと解したのです。また、中共の「負け組」を代表する郭文貴とその「老指導者」、公共財産を略奪し放題だった江沢民、曽慶紅を全て「正義の側」として、反腐敗キャンペーンに尽力した王岐山のことは、ありもしない作り話の”暴露データ”によって「国賊」だと決め付けました。

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     2017年6月1日からは、こうした態度は更にはっきりしました。6月4日の郭文貴(@KwokMiles)のツイートは、「過去3週間、もっとも興奮させられ、幸せに感じたのは、中国政府の新たな若い指導者を知ったことだ。彼らは国際的な感覚を持ち、非常に冷静な政治的知恵を備えている。そして、彼らの問題を思考する視点は、しっかししっかりしてるだけでなく、コミュニーケーションを通じて問題を更に積極的に、希望があるように試みている。これは郭7条の未来と郭文貴の心が求めているところだ。中国政府の役人の中に、若い巨大なプラスのエネルギーがあるのだ」 —— この現象はネットでは、「中国の革命的大衆は、ずっと革命の指導者を捜し求めてきた。今、革命指導者の風格が大変ある郭文貴が登場した」と風刺されました。しかし、郭文貴は、習近平が今回の革命の指導者になることを希望しました。郭文貴の「爆弾」は大変、揺れ動くものでしたが、読まれ方はもっと揺れ動きました。例えば、7月29日のツイートは、「ライブで郭文貴を支持するすべての人々よ、人民と正義は必ず勝利する。共産党を打倒せよ」で、一部の民権運動家たちは歓呼して支持しましたが、その2日後のツイートでは、「打倒共産党なんでまだ言ってないよ。現在それは郭7条に入ってないって!尊敬するつい友の皆さんを誤導したくない!」と。しかし、こうしたはっきりした、出たり入ったりの態度でも、「熱烈・郭ファン」たちは、万歳を叫んでいました。

    (3) 上述の3種のグループが、今回の「ツイッター革命」の過程で合流を形成しても、それはごく一次的なものでした。その理由は、郭文貴本人の真実の目標や、「暴露材料」が真偽のほどを見極め難いものだったとか、策略が当を失していたからというだけではなく、郭文貴とその支持者が、「四方敵だらけ」だったからで、郭文貴に反対するならすべて、彼らによって「スパイ」とされ、支持者であっても自分たちと合わないと「スパイ」で、その上、この3種類の支持者たちが求める、乱の激しさや乱後の秩序回復の目標も、完全に違っており、お互いに対立さえしていたからです。

     中共の役人は当然、王岐山が失脚し、習近平の反腐敗キャンペーンが力を無くすことを求め、江沢民、胡錦濤時代の「猫もネズミも仲良し一家時代」に復帰することを願っています。知識人たちは、習近平の5年の治世はあまりにも言論感性が厳しすぎるので、深い不満を持って、世論環境が緩められることを希望し、胡耀邦・趙紫陽時代の相対的な「自由な時代」や、江沢民・胡錦濤時代の「緩やかな時代」を懐かしんではいましたが、しかし、必ずしも、腐敗の復活横行や、「新たな造反派」が権力の座に座ることなど希望していません。社会底辺層は、中共政権、官僚階層、金持ちに対して、不満に満ち満ちており、少数の人々は、うらみつらみを広げて、あらゆる体制内の人々、下っ端の公務員、教師、研究者、医療関係者など一切の、”相対的に自分たちより成功している人々”を憎しみの対象にしています。こうした「郭氏ツイッター革命」の支持者たちと、海外の民主運動人士の目的は相互に近く、中共の崩壊を希望し、自分たちが取って代わることを期待しています。しかし、そんな目標と、役人たちが習近平・王岐山に反対するのでは、明らかに完全に食い違っています。

     「郭氏ツイッター革命」の3大支持者グループは、もともと本当の共同の利益目標はありませんし、相互の協力など更にありませんで、ただ、自分たちのうっぷんを晴らし、バーチャル空間で「ネット上の革命熱」で合流し、また、皆が「別垢」で正体を隠していますし、実際に、現実の中で手を結ぶことなど考えてもいませんから、自分たちの目的と利益の対立だって、はっきりしません。でも、一言でも意見が違えば、社会底辺層を代表する郭ファンは悪罵を浴びせ、くっついたり離れたりしてるのが当たり前の姿です。

     (4) 「郭氏ツイッター革命」のもう一つの特徴は、表向きは平等な権利を要求しつつ、裏では財産を要求していることです。少なからぬ「郭ファン」の主要な訴えは「汚職役人の財産を没収せよ」です。例えば、郭文貴が指弾した汚職役人の傅正華(*高級警察官僚)の財産は、既に数人の「ツイ友」によって、”事前分配”されています。これは世界の第三波の民主化の訴えとの相違点です。第三波の民主化の訴えは、政治的権利ですが、「郭氏ツイッター革命」では多くの支持者の訴えには、底辺層知識青年が要求する”経済的権利”があります。しかし、それは中東や北アフリカの失業青年たちが提起した「就職の権利」ではなく、共産革命の財産要求、すなわち「搾取者から搾取せよ」なのです。共産革命によって誕生した政権による中国では、長期にわたる洗脳教育のおかげで、他人の財産を羨み、隙を狙うという底辺社会の伝統文化の上に、「土豪を倒して、その田畑を奪うのは革命的だ」というお墨付きが与えられているのです。

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     ただ、全ての「郭ファン」がそうだ、というわけではありません。小悲@Zodiac4698は、ツイッター上にはっきりと、「共産主義運動が財産を分配するところから実現すると言うのは嘘ッパチで、人間の邪悪さを刺激するものだ。第二次分配で公有制度を実現し、独裁制、すなわち多数のひとを奴隷にしる。”財産分配”というのは看板で、権力奪取が真の目的だ。民主革命の真実はここが違う。その闘争の第一目標は民権だ。もし誰かが、君に向かって、自分たちの革命の目標は、財産の新たな分配だから、他人のお金を奪って、殺してこそ革命だ、などといったら絶対信じちゃダメ!それは民主革命とは無縁の革命。民主革命の最大の歴史的経験は、権力の分配を革命の目標にんだ。燃え立たせるべきは、個人の公徳心なんだ!」と書いています。しかし、「郭ファン」の中で、こうした、相対的に分かっている人々の数は多くありません。あるネット友は、中国中に一万人を超えるぐらい、と言っています。「郭氏ツイッター革命」の主流の傾向は、「社会の富の再分配」派です。ですから、こうした底辺層知識青年を中心とする「ネット革命党」の思想と行為から、中国の未来の変動の内容と方向を理解することは、とても必要なことです。(続く)

    ★「郭文貴ツイッター革命」は、中国の未来の革命の姿を映し出す(1) 2017年9月

    「郭文貴ツイッター革命」は、中国の未来の革命の姿を映し出す⑶

    訳者注;これは、近く出版される「中国——とっくにクライシス、なのに崩壊しない“紅い帝国”のカラクリ -(ワニブックスPLUS新書) の中国語版「中国;潰而不崩的紅色帝国」のあとがきに、中国語で掲載される予定です。

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