• ★「郭文貴ツイッター革命」は、中国の未来の革命の姿を映し出す(3) 2017年9月

    by  • September 21, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

    (5) 今回の「郭氏ツイッター革命」の暴力化傾向は相当に深刻で、文革の言語暴力とほぼ同等。この傾向は二つの方面で体現されています。

     第一に、相当多くの郭サポーターは、単純な「敵味方」の観念を抱いています。毛沢東の「およそ敵が反対するものは、我々は擁護する」、「我に従うものは栄え、我に逆らうものは滅ぶ」といった態度を取ります。「郭ファン」の中には、ならず者的な傾向が大変強く、自分の気に入らない全てに対して、寛容の気持ちが欠如しており、毛沢東の独裁体制が一切の異なった意見を許さなかったのと同様に、寄ってたかって、口汚い言葉の限りを浴びせて攻撃し、その為には手段を選ばないという強烈な傾向が見られます。また、知識人に対しての恨みつらみや、蔑視で溢れかえっており、そのツイートは、かつての「文革」時代の壁新聞に似ています。例えば、郭を「中国民主の第一人者」、「キリストの再」と褒め称え追蹤するなど、空前絶後の持ち上げ方をする他に、中には、「郭文貴を支持しない全ての者たちは、必ずやっつけねばならず、郭文貴に反対する全ての奴らは皆、中共のスパイか五毛(政府お雇いSNS書き込み要員)である」といった意見までありました。

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     第二に、公然と血塗れの暴力を鼓吹したことです。中国政法大学の大学院を出た国際法修士の学位を持ち、北京で20年近く弁護士をして、現在カナダ大学にいると自己紹介しているLは8月9日のツイートで、暴力を極点まで進め、こう書いています。

      : 「自分は、各地の、他の人々と連合して、専制完了たちに反抗する権利を持っている。自分の反抗手段と正当性は、こうした連合によって失ったり、減ったりすることはない。多くの人々が一致して行動するときには民主革命を叫ぶ。革命の家庭では同様に、罵り、呪詛し、欺き、デマを流し、き続け、彼らを殺すのだ。自分はこうした手段で、どんな圧迫者にも対抗する権利を持っている。有効なあらゆる手段を使って、簡単な話だ」。
     この意味するところは、自分の目的が正しければ、手段を選ばない、ということで、自分は、他人の命を好きに奪って良い、と思っているのです。別のカナダ在住の、護憲派弁護士のGは、8月21日のツイートでこう言います。「いかに、暴君のならず者が、憲政民主の大革命を圧殺しようとするのを阻むべきか。およそ、今後発泡を命じ暴力的に鎮圧しようとするいかなる人間に対しても、その家族や子供(未成年は除いても良いが)、処刑するのだ。そしていかなる死刑執行者もすべて褒め称えられ賞金を与えられるべきだ」。
     この二人の中国人弁護士の血塗れの言論は、いささかも教養のボトムラインが感じられず、中共革命初期の言論や、テロ組織のISISとなんら変わりません。

     こうした「郭ファン」の考え方や言説の特徴に対して、萧山‏@mozhessが大変、的確な総括をしています。

      : 共産党には必ず反対する、反対のための反対でもする、というロジックだと必然的に「共産党が殺人放火に反対なら、我々は殺人放火を支持すべきだ」、「共産党が、クズみたいな連中をやっつけようとするなら、我々はそうした連中を支持しなければならない」、「共産党が腐敗を退治しようとするなら、我々は、腐敗を支持しなければならない」、「共産党が、災害救援に赴くなら、我々は救援活動を破壊しなければならない」という無茶苦茶な論理になってしまう。もし、強盗が君を襲ったとして、中共が強盗を捕まえようとしたら、君はそれに反対して、強盗の闘争を助けなければならない、ということになる。

     こうしたツイートは、今回の政治的な”ポップな”デタラメぶりをはっきり表しています。中国の大衆は、役人の腐敗、役人と実業家の結託といえば、もう恨み骨髄に切歯扼腕しています。これも一部の反対派が、中共政権を転覆させなければならないという理由の一つです。しかし、今回の「ツイッター革命」では、何百万の腐敗で失脚した汚職役人は、一部の政治的な反対派から見ると、「被害者」に見えてしまうのです。

     「郭氏ツイッター革命」は、この特徴で十分説明できる通り、民主憲政の制度を打ち立てようとすることとは全く関係がないのです。その反対で、それには、毛沢東共産革命の記憶が深く深く胎内に宿っています。

     しかし、「郭氏ツイッター革命」が、本物の社会運動とはいえないもので、ただ三つの社会集団が現行体制と社会の現状に不満の気持ちを、集団的に吐き出すだけのものだとしても、中共当局にとっては、古代ローマの歴史学者・タキトゥスが描いた苦境にあることも確かです。それは、「タキトゥスのわな」と呼ばれるもので、「政権が信用を失えば、良い政策でも悪い政策と同様に、人民から恨まれる。本当の話でも嘘っぱちでも、良いことをしようと、悪いことをしようと、全てが嘘っぱちで、悪いことだとみなされる」ということです。

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     胡錦濤時代の後期から、中国政府は次第に、信用を失ってきました。今回の「郭氏ツイッター革命」は、集中的に中国の各社会階層の当局に対する本当の気持ちを明らかに見せつけました。習近平と王岐山の反腐敗キャンペーンは、疑いなく、中共が改革開放以来、最大の力をいれた最も広範な役人たちへの政治行動でした。しかし、これほど強硬な反腐敗キャンペーンでも、中共政府の信用を取り戻すことが出来ずに、帰って、役人、知識人、社会底辺層というこの三つのグループが共に、王岐山を恨むということになったのです。王岐山は「タキトゥスのわな」においての当局への恨みを、一身に背負うことになったわけです。

     中共政治の弾圧の激しさによって、今や、当局の”革命”に反対する者たちの大半は、海外のネット上のバーチャル空間にしか存在できなくなっています。しかし、「郭氏ツイッター革命」が未来の中国への隠喩となっている意義は、「いったん、政治的な弾圧が崩壊したら、この種の”革命”はたちまち現実になり、その主導的な力は、必ずや、社会底辺層のものとなって、中国歴史上何度も起きた農民革命や、中共の赤色革命と同様のものになる可能性が極めて強い」ということです。

     「郭氏ツイッター革命」が、2017年に起こったということは、中国の社会矛盾が長期にわたって、鬱屈し激化してきた必然の結果です。郭文貴の「暴露話」は、ただ一つの契機を提供したに過ぎません。中国社会から見れば、今回の、デタラメなネット革命は、ちょうどぴったりの警告となったのです。

     郭文貴本人は、8月26日に発表した「全面的、徹底的に盤古事件と郭文貴事件の解決のための申し立て」《全面彻底解决盘古及郭文贵事件申请报告》の中で、極めて卑屈な態度で、中国国家主席の習近平に対して、「自分の命と財産さえ保証されるならば、一身をもってそれに報い、国家の利益を重んじ、習近平主席の核心理念を擁護し、主席のために自己の一切を捧げる」、「国家利益と習近平主席の国際的大戦略の基礎の上に、この文貴にどうかはっきりとした目標任務を与えてください。過ちをつぐなう手柄を立ててみせましょう。結果でもって、習近平主席と国家に対する愛を表明してみせます」と書いています。

     ちょっと興味深いのは、この「恭順投降書簡」も、郭文貴の鉄板の支持者たちからすると、「宣戦布告文書」だというのです。この奇妙奇天烈な現象は、つまり郭文貴本人の態度とかは、結局どうでも良いことだという話ですね。重要なのは、これらネット上革命党の存在と、むき出しの暴力的な姿勢、彼らが指導者を必要としていることで、郭文貴の出現は彼らから見ると、「それ!革命のチャンスだぜい」、ということだったのです。彼らが、いかにして生まれて育ってきたか中国の未来の情勢の変化の中で、どのような働きをするかを理解することは、中国の未来の革命のパターンがどんなものになるかを判断する上で、大変役立つことでしょう。(終)

    ★「郭文貴ツイッター革命」は、中国の未来の革命の姿を映し出す(1) 2017年9月

    郭文貴ツイッター革命」は、中国の未来の革命の姿を映し出す⑵017年9月

    訳者注;これは、近く出版される中国語版「中国;潰而不崩的紅色帝国」(邦訳;「中国——とっくにクライシス、なのに崩壊しない“紅い帝国”のカラクリ -ワニブックスPLUS新書) の後書きに掲載される予定の記事の翻訳です。なお、「中国;潰而不崩的紅色帝国」は、日本語版(10万語)の倍以上の内容があるそうです。

     
    中国——とっくにクライシス、なのに崩壊しない“紅い帝国

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