• ★「トランプ減税」が世界に与える5つの影響★ 2017年12月23日

    by  • December 24, 2017 • 日文文章 • 0 Comments

     12月20日、米議会上下両院は、約30年ぶりとなる税制の大改革法案を可決しました。減税や貧困家庭の免税額を引き上げた他に、最も肝心な点は、先進工業国中、一番税率の高かった米国の企業税を35%から21%に引き下げたことです。これは約30年このかた、米国最大の減税法案であり、米国が「世界の中でも税金の安い国」になるということで、世界の主要な企業に対して重大な影響を持ち、とりわけ中国本土と台湾に直接影響します。

     

    ★第一の大きな効果;米国資本の本土回帰促進

    米国減税法案は企業の海外留保利潤に対する1回だけの税金として、米国海外資金の大規模な米国回帰を促進するでしょう。各専門家の分析では、少なからぬ米国企業が海外に巨額の利潤を蓄積しています。しかし、ここ数年、EUがアップル社に対する巨額な罰金を課して後、フランスやイタリアが相次いで、巨額の罰金をカス動きがでています。各国がそれぞれ、米国企業の利潤をかじりとることに対して、米国企業は不安感を覚えています。ある統計では、現在、米国企業が海外に貯め込んでいる金額は、総額2.5億から3億ドルの間と言われ、もしこの3分の1が米国に還流するとしても、短期間に世界的な資本流動の影響が生まれるでしょう。

      

    ★第二の大きな効果;国際資本は中国から米国へ向かう

     この改正後の米国の税率に比べると、中国の法定税率は25%です。しかし、これはいわゆる「額面税率」であって、もし企業が負担する各種の費用を計算に入れた「本当の税率」だと、実質は40%を超えるのです。香港は税率が低いと言われますが、米国の21%というのは、香港に近いものになります。この「世界の中でも税金の安い国」になるということは、世界の資金が米国へ向かうということで、世界各国へのプレッシャーとなります。聞くところによると、アップル社はMacの製造の一部を中国から米国に移すそうですし、フォード社は既に続々と中国や日本、メキシコから一部を撤退させています。報道によれば、その他の国や地域からも一部企業が米国投資を検討しており、台湾のフォックスコン(鴻海科技集団/富士康)の米国でのプロジェクトは既に実施段階まできているといいます。

      

    ★第三の効果;グローバルな減税への動きの引き金に

     米国の減税は企業税、個人所得税にも適用されますから、EUや中国といった税金の高い国々にも影響します。米国の税改革後は、製造業、知的産業、ハイテク産業の人材の「三重の還流」が起こります。この還流は必ずや、波及効果を生み出し、世界的な減税の潮流を生み出すでしょう。英国の首相スポークスマンは、内閣は既に2020年に企業勢を17%にすると表明しました。インドのモディ政府は、個人所得税と中小企業減税を計画中で、各種税金の見直しを推進しています。日本の行動は更に早く、12月14日、与党の自民党と公明党は減税法案(平成30年度税制改革大綱)を批准し、企業税率を30%から最大20%に引き下げることにし、2018財政年度から、3年間の期間を切ってスタートさせます。フランスもいかに減税するかを議論しております。こうした動きを見れば、2018年は全世界的な減税改革の年になるでしょう。

     

    ★第四の効果;中国の税金制度に構造的な圧力

     経済誌のフォーブスは毎年、「世界の法人税重税ランキング」を発表しています。指数が高いほど、税負担が重いのです。去年の計算だと、中国の「重税指数」はリストに挙げられた50カ国の中で、フランスに次ぐ第二位でした。

     中国企業の重い税負担は、中国国内では何度も論議されています。2017年始めにも、財政学者の李煒光は、中国の税金が重すぎると批判して、40%の税負担は、中国企業にとっては死ねというのに等しいとして、「死亡税率」と呼びました。同じ頃、米国に投資していた”ガラス王”の曹徳旺は記者に、「中国の税金は世界一」だと語っています。この頃、民間減税の声はピークに達していました。

     米国の減税政策は、中国に様々な矛盾を突きつけます。まず、投資上、中国の実体経済へのプレッシャーとなり、中国の民間資本を米国へ向かわせます。次に、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げによって、資本の流動が中国金融市場にたいする打撃になります。ある中国の専門家は、「いったん、こうした圧力が共振現象を起こせば、中国経済は”外傷”ばかりでなく”内傷”も被る」と語っています。こうした状況下では、米国の「減税プラス利上げ」の圧力に対して、完全にその影響を免れることは不可能なのです。更に多くの研究者は、こうした巨大な外部圧力は、中国の税制改革と減税を促すことになると見ています。

     

    ★第五の効果;台湾企業にとって新たな投資適地という選択肢

     資本、技術、人材が米国に還流するということは、勢い、中国の生産材料、マンパワーなどの面でのコストの優位性を減少させます。とりわけ、企業所得税の減税は、台湾企業の今後の米国での発展の可能性を開きます。心配されている国境調整税は、この度の米国税制改革では言及されていませんから、この点は台湾企業の心配を大幅に減らすでしょう。大型企業の台湾セミコンダクターや鴻海グループが、短期間に工場建設を迫られるといった圧力もしばし緩和されましょう。

     中国の投資環境は、ますます劣悪になっていますので、台湾のビジネス界は、以前から他国に向かいたいと思っていました。2017年6月下旬の米国で開催された投資サミット(Select USA Investment Summit)には、全政界から2千を越す企業の代表が参加し、台湾からも140人、84社が参加しました。そこには市場株価総額で1700億米ドルの台湾セミコンダクターから、資本金百万ドル未満の牧畜業者までおり、皆、米国でのビジネスチャンスをうかがっていました。その中で、鴻海グループ総帥・郭台銘が発表した総額3千億台湾ドルの米国内6州におよぶプロジェクトは注目を集めました。米国税制改革法案が実施されれば、更に多くの台湾のビジネスマンは、中国から手を引いて、米国というこの新しい投資チャンスに向かうでしょう。

     米国は、近年、衰えたりとはいえ、まだ何と言っても世界第一の大国であり、米国での減税はバタフライ効果となって、全世界に大風を吹きわたらせるのです。長期的に見て、米国減税の5大効果は、全世界の企業の活動エネルギーを刺激し、政府の効率を高めるでしょう。(終わり)

     当Webサイト連載のブログ集改訳;日中両文収録 
    「中国2016 何清漣」Amazon電子ブック発売中。
     何清漣さんの「中国2016」表紙
     (元原稿は、2017年12月21日。http://www.upmedia.mg/news_info.php?SerialNo=31542
     

    Leave a Reply

    Your email address will not be published. Required fields are marked *