• ★行き所のない「西洋ゴミ」で分かった中国の”重要性”★ 2018年1月13日

    by  • January 16, 2018 • 日文文章 • 0 Comments

     最近、中国が世界にとっていかに大事な存在であるかが、はっきりわかる出来事がありました。今年の初め、中国は廃プラスチックゴミ、分別していない紙ゴミ、紡績原料クズ、五酸化二バナジウムを含むバナジウム鉱滓など24種類の廃棄物の輸入を禁止しました。これによって、英国、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランドなどの西側国家は、自分たちが毎年100万トン以上の「再生可能資源」と呼ばれるゴミを打ち棄てる場所が無くなったことに気がつきました。中国メディアは、皮肉な調子で、「中国が洋ゴミを輸入しなくなって、西側大慌て」と報じたものです。

     

    ★先進国の身勝手なゴミ処理

     これは、多かれ少なかれ、先進国が環境保護で立派なことを言いながら、実は、手前勝手に処理を他国に押し付けていた結果です。

     ここで最初に挙げた先進国は、国際社会では立派な環境模範国家だと認められた国々です。そうした国々の自然環境は美しく保っていることが出来たのは、かなりの程度、中国が世界のゴミ捨て場だったからです。プラスチックゴミだけを例にとっても、以下のような有様です。

     英国環境部門のデータでは、英国の包装用プラごみ(ボトル、ラップ等を含む。包装用以外のプラスチックは含まず)は220万トンで、うち50万トンが中国に運ばれてきました。2012年以来、英国は中国に270万トンの廃棄プラごみを輸出し、英国のプラスチック輸出量の3分の2を占めました。

     ドイツのゴミはプラスチックが主で、その半分以上が中国に。毎年150万トンです。

     中国は、毎年、オーストラリアから61.9万トンの再生ゴミを輸入してきました。これらのゴミは大体香港経由で、中国南部の内地のゴミ処理場に送られていました。ニュージーランド環境省によると、毎年5万トンのゴミが中国に輸出されてきました。

     長年にわたって、ゴミはまとめて中国へというのがすっかり習慣になっていた西側国家は、今回の24種類のゴミ輸入禁止令で慌てふためいて、どうしていいか分からない有様です。

     英国では、既に危機は顕在化しており、10分なプラごみ処理能力がないので、ゴミステーションの周囲に、様々なゴミの山ができており、メディアは、「イギリスはゴミの山に包囲されている」というような記事を書いているそうです。

     香港は、これまで様々な国からのゴミを一手に引き受け、右手で受け取って左手で中国に手渡して、大儲けしてきました。しかし、今後はそんなことはできませんから、やはりゴミに埋もれることを心配しています。

     

    ★中国が世界のゴミ捨場になったのはお金が理由

    中国が、自らの環境を犠牲にし、自国民の健康を犠牲にし、各国の環境保護団体の批判の的になった理由は、ただただ「お金」のためでした。

     過去中数年にわたって、中国は世界のゴミの56%を受け入れてきました。2010年の国連環境計画の報告によれば、全世界で出る電子ゴミは2千万トンから5千万トンです。2011年から、中国は毎年230万トンの電子ゴミを生み出す一方、毎年、全世界の電子ゴミの7割(1400万トンから3500万トン)を受け入れ、世界最大の電子ゴミ国家になりました。河北、山東、江蘇、広東省など10余の省が「洋ゴミ」処理地担っています。

     電子ゴミ以外には、どんな洋ゴミがあるでしょう? 中国税関の2011年から2013年のデータだと、プラごみだけでも、平均、毎年800余万トン。2014年には、4960万トンのゴミを工業生産原料として輸入しており、全世界の輸出ゴミの4分の1以上を引き受けています。これは欧州のゴミの半分を占めます。2016年には廃プラゴミだけで730万トンになりました。

     欧州、韓国、オーストラリアなどの先進国からの洋ゴミの他に、米中貿易の中にも、「再生資源」という項目があります。米国国際貿易委員会のデータでは、2000年から2011年までの、中国が米国から輸入した「再生資源貿易」の総額は7.4億ドルから115.4億ドルに増えています。これは2011年の中米貿易の輸入総額の11.1%で、農産物と電子部品、化学、運輸設備に次ぎます。米国のInstitute of Scrap Recycling Industries(金属廃棄物回収工業協会/ISRI)の統計では、2016年には中国は米国から56億ドルの金属ゴミを輸入し、19億ドルの紙ゴミ(1320万トン)と4.95億ドルのプラごみ(142万トン)を輸入してます。巨大な輸出額は、一連の産業チェーンを形成し、ISRIのロバート・ワイナー会長は、米国内には、中国へのゴミ輸出関連で15.5万人の就業人口がいると話しています。

     中国が自国をゴミだらけにした目的は、もとより先進国のゴミ負担を軽減しようという理由からではなく、ゴミの中から得られるお金目当てでした。「中国の先進国ゴミ密輸行者は数十倍の暴利」という記事では、洋ゴミは国外の提供者から、中間業者、中国国内の輸入業者からなり、国外提供者は、自社工場を持っており、政府から補助金をもらってゴミを処理します。中国メディアの試算では、先進国のゴミ処理費はトン当たり400ドルから千ドル。中国に運ばれる輸送費は、わずかにトン当たり10ドルから40ドルですから、大儲けです。そんな余地があるので、中国のゴミ輸入ビジネスは、最低価格でゴミを買って、最低の人件費で(中国国内の人件費は10分の1)分別して転売するわけです。このチェーンは鏈の環の一コマ毎に大儲け出来るからです。

     中国ではフリーの映画監督の王急良が「塑料王国:PLASTIC CHINA」というドキュメンタリー映画を作って、アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭で受賞しました。この映画で王急良は、中国のプラごみ汚染を、大変直覚的に分かりやすい形で世界に見せてくれました。映画の中で、ある業者が「空気は悪いし、水もダメ。ただお金だけはいいんだ。ゴミが届くと、皆が『ドルが来た〜』っていうのさ」と話していました。

      

    ★中国政府は、「世界のゴミ捨て場」のプロモーター

    中国が世界のゴミ捨て場になったのは、第一に政府の政策の失敗、第二に監督の失敗が原因です。

     中国が世界の工場になれた原因は、製造コストが面で各種の価格の優位があったからでした。それには人件費以外にも、原料の安さ必要でしたが、廃棄物資から再生原料を得られたことが大きかったのです。ですから、中国政府は洋ゴミの輸入を奨励してきました。2001年と2011年に、中央政府は二度にわたって文書を出して、国外のゴミを輸入するにあたっては、検査が必要で、国内に入るときに港湾での検査、税関での検査、輸入許可、利用企業の監督など全過程での検査が必要だとしました。しかし、状況は変わりませんでした。「塑料王国:PLASTIC CHINA」には、こうした洋ゴミが中国に到着して、最終的に処理場に落ち着くまで、地方政府も港湾当局も、それによる汚染には見て見ぬ振りをしていることを暴露しました。これは、こうした洋ゴミの処理によって、地方政府は税収を、監督部門は監督権を利用して金儲けをしていたという解釈しかありません。

     今や、中国政府は輸入禁止を命じ、西側先進国は、中国という世界のゴミ捨て場に、自分たちのゴミを捨てられなくなったことを発見しました。すぐには、代替え場所が見つからないことから、西側諸国は、なんとか中国に引き続きゴミを引き取らせようと説得しているとのことです。しかし、こうした産業連鎖による金儲けが、中国の公共環境の汚染の上に成り立っていることや、中国人の健康を代償にしていることを考えれば、たとえそうすることでいくばくかの職場が失われようとも、私は、中国政府のこの政策は、大いに結構なことだと思っています。(終わり)

     (原文は台湾上报,2018年1月13日,http://www.upmedia.mg/news_info.php?SerialNo=33125

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