• ★中国外貨安定政策の代償★ 2018年02月11日

    by  • February 12, 2018 • 日文文章 • 0 Comments

     中国が外貨事情を安定させるための代償は何か?米国ワシントンの国際金融協会(Institute for International Finance)が、2月1日に発表したレポートによると、去年、中国の資本流出規模は600億米ドルでした。2016年の6400億ドルに比べると、十分の一以下です。過去1年間の資本逃避防止という点では、中国政府は基本的に成功し、外貨準備高の増加と人民元の値上がりも、この点を裏付けしているという結論になります。

     しかし、このレポートは、資本流出だけを問題にしたものですから、列挙された数字には、中国がそのためにどんな代償を払ったかは書かれていません。

     

    ★私企業の資産転移制限の背景は債務危機防止

     国際金融協会レポートは、周知の事実を指摘しています。すなわち、中国資本の流出が明らかに減ってきてはいるが、その重要な原因は、資本に対する管制を強化したために、資本が中国から出て行きにくくなったからだ、ということです。

     つまり、資本管制強化が主要原因なのです。こうした管制は、一つには中国資本の企業による海外投資に対してで、これは資本の流出の主要なルートです。二つには、外資が毎年年末に利益を本国に送ることに対してです。三つ目は、中国の国内にいる人々が、毎年一人5万ドルの外貨交換によって「アリの引越し」方式で持ち出すことに対して、難度を上げて、こうした少額の外貨交換を減らそうというものでした。
     
     この三種のうち、一番目だけが中国資本の国外流出を制限出来ます。自国ビジネス界や資本のビッグマンたちが、外国に大規模に資産移転(多くが、国内で理財商品を売って、その金をドルにします)に対して、中国政府は、政治的に大変力のあるバックを誇る大物二人をやっつけることにしました。一人は鄧小平の孫娘の婿だった安邦保険集団のトップ・呉小暉。もう一人は中国のトップ富豪の万達集団の総裁・王健林です。王健林の企業は、江沢民以来の三代に及ぶ新旧中央政治局常務委員の家族が株を持っていて、バックは全て政治的背景の強大な人物で、中には習近平の姉の斎橋橋とその夫までいたと言われています。2012年の中国共産党第十八回全国代表大会で、習近平が玉座に着いてから、斎橋橋やもう一人の姉の習安安たちの株を売らせて、ビジネスから手を引かせ、知人の太子党たちも次々にそれに習いました。朱鎔基の息子の朱雲来は2014年10月に中国国际金融有限公司 から身を引きました。しかし、呉小暉の安邦と王健林は、その年から海外で「イケイケ、どんどん」とばかり資本を拡張しはじめました。安邦を例に取ると、2016年末に安邦保険の総資産は1.45兆元で、そのうち海外の保険資産が9000億元以上で、総資産の6割を占めていました。その大部分が中国国内で理財商品を売って得た資金でした。王健林は、中国国内の銀行から巨額の債務を得て、海外に数百億ドルを投資し、その資産負債率の7割を占めていました。

     安邦と王健林の共通点は、どちらも大量の借金を外貨に変えて資産逃避させ、危険だけを中国国内の金融システムに残したことです。中共中央政治局は、やむをえず2016年5月に会議を招集して、中国保険監督管理委員会、中国銀行業監督管理委員会、中国証券監督管理委員会に、全国的に第二回目の金融粛清を行わせました。6月9日には呉小暉が調査に連行されました。呉小暉が自由を束縛されている間に、中国保険監督管理委員会は、安邦に人員を派遣し、今年の1月に呉小暉が釈放されて出てきた時には、もう彼の管理権は奪われていました。王健林は身柄拘束はされていませんが、似たようなもので、資産を売り払って巨額債務の返済を迫られていますし、何度も公開の場で、海外資産を中国に戻すと表明しています。

     こうした例は、なにもこの二人ばかりではなく、他の私営企業のビッグマンたちも同じことです。2014年から、中国私営企業の海外進出過程は、まさに中国の外貨流出過程でもありました。ですから、中国資本の国際流動は、既にホットマネーが中国に流れ込む状態から、中国から流出すし、外貨準備高がものすごい速さで流出する危険を迎えていたのです。もし、これをコントロールしなければ、資産バブルが破裂し、金融危機が起こる危険がありました。山のような負債と、欠陥だらけの金融システムに対して、習近平は止むを得ず、金融は国家の安全の重要な構成要素であること。金融危機防止を重視し、多国籍資本流動をコントロールしすることは、国家の安全にとってこれまでにないほど大事なことであると、中共が金融を管理することを明確にしたのでした。ですから、呉小暉が鄧小平の孫娘の婿であろうと、王健林がいかにトップレベルの人脈を持っていようと、中共政権の安定に比べれば、そのような「お守り」は役に立たなかったのでした。

      

    ★外国為替管理統制維持の代償

     中国経済に与える影響が巨大で、国家の信用を傷つけた最たるものは、外資の利潤本社送金に対しての、コントロールでした。中国大陸にある外資企業は毎年年末、年度末には、自国の本社に対して利潤の一部を送金しなければなりません。しかし、中国政府の外為維持政策が始まると、利潤の送金は相当難しくなってしまいました。一番最初に撤退困難に陥ったのは日本企業でした。2016年9月、日本は前代未聞の230人の経済訪中代表団を結成し、中国側に貿易環境の改善談判を行い、中国政府が専門窓口を設置して、日本企業の撤退手続きを簡素化するように求めました。と言うのは、多くの日系企業はすでに事業を停止しているにもかかわらず、人民元を日本円に交換して日本に持ち帰れないでいたからです。

     こうしたことは当然、日本企業だけでなく、中国で営業している欧州企業も、株式による利益を、中国国外に持ち出せないでいました。北京のEU商議所(European Chamber of Commerce in China)は、欧州企業が遭遇中の支払い困難状態が、業務運営に差し支えていると述べました。台湾の財訊双周刊2017年10月12日号も、多くの台湾企業が中国の外国為替管理によって苦しめられており、ハイテク企業のTPK宸鴻光電、四方精創などが、資金を台湾に持ち帰れないでいると報じました。

     こうした外資企業からの苦情に対して、中国政府は、絶対に外資が外貨を持ち出せないなどと言うことはなく、ただ新たに、ちょっと手続きが増えただけだ、と答えました。外資企業が国外に資金を持ち出すにあたっては、二段階の手続きが必要で、まず税務機関に必要な税金を納めれば、銀行で外貨に交換できるのだ、と。しかし、外為管制に関する74号文書(外国為替決済に関する企業統制規則)が発効してからは、税金申告の期間は延長され、以前は1〜2カ月だったのが、半年になり、これによって外資企業サプライヤーは、代金を適時に受け取ることが出来なくなっています。

     中国の投資環境が日増しに悪化する時期に、外国為替管理強化は、中国の外資企業の信用に影響を与え、少なからぬ企業が次々に、中国から撤退しました。今年1月16日に中国商務部が出した、2017年全国外資導入状況では、導入外資の伸びと、実際の使用金額は8775.6億元で、前年より7.9%増加だとしましたが、2017年の外資導入に比べると厳しくなったことを認めざるを得ませんでした。注意すべきは、7.9%といっても、その裏には厳しい事実があります。この数字は新たに増え多分だけを計算しており、撤退した外資は計算されていないのです。中国のネット上には、「君が知らない撤退外資リスト。4500万人が職を失う」(你未必知道的外资撤离名单:4500万人或将失饭碗)という文章が掲載されており、その中には、日本企業の投資が集中してた蘇州の外資撤退は、ほとんど災害的レベルで、現地の大量失業、不動産産業の衰亡を招いている、とあります。

     米国のトランプ減税政策の実施後、中国の米国企業撤退の勢いは一層強まりました。ニューヨーク・タイムズ紙は去年の12月29日に、「中国条件付き外国企業減税、企業利潤の持ち帰りを防止」という記事には、北京が資金流出の大きな流れを阻止しようとして、為替管理を強化したことで、外資企業は怨嗟の声が上がっており、一層、多くの企業(や個人)が、資金を中国から動かして、損失を減らそうとしていると報じました。米中貿易全国委員会(U.S.-China Business Council)中国事務副会長の彭捷寧(Jake Parker)は、トランプ減税のために、中国での利益を、危険に襲われる前に早く米国に持ち帰りたがっているメンバーがいる、と言っています。

     2016年8月から、中国が実行してきた「外国為替準備防衛戦」。今回の勝利は、資本を来るのは歓迎しても、逃げることは許さないというやり方で達成したものです。そのマイナス効果は、国家の信用が失われたことで、外資は流入を減らし、撤退を最大限にしています。ちょっと前にダボス会議で、今年の3月に国務院の金融担当副総理になるとも言われている劉鶴は、「中国の改革開放への力は予想以上である」と発言しました。しかし彼は、以前に「一切の金融危機は全て、監督が間違っているから起こるのだ」と発言しています。ですから、中国金融部門のシステム的な危機が消え失せるないうちは、外資を含む資本に対しての金融コントロールはまだ続くことでしょう。(終)

    原文は;中国为了外汇维稳付出什麽代价 http://www.upmedia.mg/news_info.php?SerialNo=34939

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