• ★習近平の終身制が、支配層の「共和」を震撼させる★ 2018年2月26日

    by  • February 28, 2018 • 日文文章 • 1 Comment

     2月25日から、新華社が中共中央の提起する憲法改正の内容を報じ始めました。その一番肝心な点は、国家主席と国家副主席の任期が2期を超えてはならないという従来規定の削除です。これは、国家主席の習近平が、2018年からの第二任期後も、国家主席を続ける可能性が極めて高いということです。これが発表されると、中国国内や海外の大勢の中国人の間に激しい反発、憤怒を引き起こしました。

     

    ★「共和国」は誰の共和なのか?

     ある老政治学者は、「習近平は終身制を復活させて、帝政にしようとしている。これは共和を傷つけるものだ」と批判しました。別の人は、袁世凱が皇帝就任に当時の人々が反対している映像を、ネット上にアップし、またたくまに広がりました。そのキーワードの一つには「共和になったのに、いまさら自分が皇帝になりたいのか?」があり、更に多くの民主運動活動家たちはネット上で「共和を守れ、帝政反対」の署名を行いました。

     人々が、習近平のやり方に怒りを表明するのは、理解出来ます。しかし、攻撃目標は間違っています。中国の共和とは、民衆とは無関係だからです。中国の国名は、確かに「中華人民共和国」ですが、人民とは全然、関係ありませんで、その「共和」とは「趙家の共和」なのです。「趙家の人」は支配階級一族。魯迅の「阿Q正伝」から生まれた言葉で、中国のネット民は、中共統治集団をこう呼んでいます。

     政治思想の上では、共和主義は共和制を採用している国のイデオロギーで、君主制と区別されます。フランス啓蒙思想家のモンテスキューはあらゆる市民による共同国家統治の民主の形も、一部の人が国家を統治する貴族政治や寡頭政治も、全て共和政体だとみなしました。現代的国家が出来てからは、共和主義は世界各国での実践と理論では様々な違いが生じはしました。それでも、共和政体国家は以下の特徴は備えていなければなりません。

     国民は、統治者の所有物や付属品ではないこと。かつ、大部分が、有効性のある憲法で国民の基本的権利が政府に侵害されない保障を定めていること。政府の権力は公共物であって、国家統治はあらゆる国民の共同事業であること。

     というわけで、中国は確かに共和制の国家ではありますが、現代的な意味での国民の共和ではなく、少数の人間による権力独占の寡頭制の共和、つまり「趙家の共和」なのです。今、世界には200の国家があり、193カ国が国連に加盟しており、そのうちの174カ国が民主国家で、専制国家は19カ国しかありません。そのうちの5カ国が共産党専制国家です。しかし、哀れにも中国人民は、21世紀になっても一枚の選挙投票券すらありません。ですから、中国の「共和」というのは、8000万人の中共党員とその家族だけしか関係ないのです。もし信じられないのなら事実を見てごらんなさい。鄧小平から始まって、江沢民、胡錦濤の2王朝で形成された「共産党資本主義」という利益貪り体制において、受益者は共産党の官僚が大半で、人口の8割を占める平民とは無関係でした。

     ★個人独裁も集団指導もどちらも独裁に変わりなし 

     習近平の第一任期の5年では、反腐敗キャンペーンでも軍事でも、あらゆる政治行動は全て独裁でした。特に第19回全国代表大会(2017年10月18日から10月24日) 以後は、あらゆる中央政治局常務委員、同政治局委員は、皆、習近平に対して報告せねばならず、徹底的に江沢民、胡錦濤時期の中央政治局常務委員の「9匹の竜の治水」という形を、改変しました。こうした独裁体制には、広く批判の声が起こりました。習近平独裁は個人崇拝を強めるもので、習近平は独裁政治を打ち立てようとして、文革時代に回帰するものだという批判でした。今回、緊急に開かれた三中全会で(訳注;通常なら三中全会は秋に開かれるのがこれまでの定例だった)、まず憲法から国家主席、副主席の任期制限を廃止することで、独裁批判の声は更に、「天地を覆うほど」に高まりました。

     しかし、習近平への権力集中と独裁制への批判の主たる原因は、政治学上の常識の欠如が原因です。批判者は、集団指導制は独裁ではなく、独裁といえば個人独裁のことだと思い込んでいます。これについては、以前に、政治学でいう独裁とはこういうことだと書きました。

    「一人か又は少数の集団が、絶対政治権力を握って、憲法や法律の制限を受けない政治体制。この種の大勢の統治権は、一人か数人の集団によって独占されており、様々な弾圧装置をもってその政治的権威を発揮させる。第一次大戦以後、世界の独裁政治大勢は、憲法独裁、共産独裁(プロレタリアート独裁)、反革命独裁、ファシズム独裁。1960年代のアフリカ各国は民族独立解放運動を経たのち、様々なタイプの異なった独裁、例えば宗教独裁、家族独裁などを生み出した」。

     中共政府は、政治の実践を通じて、世界に自分たちの政治体制はまさに独裁政治だと知らしめております。それが毛沢東の個人的独裁タイプだろうが、鄧小平から始まって、江沢民、胡錦濤時期の集団指導(寡頭政治、いわゆる「9匹の竜による治水」)だろうが、どちらも中共の独裁政治の本質を変えるものではありません。ですから、習近平は別に、独裁を復活させようというわけではないのです。彼が手にしている政権が、まさに独裁政体であり、ただ彼は、寡頭独裁を個人独裁に変えたいだけです。世界の近現代史を見れば、独裁政治の中の個人独裁と宗教独裁は、例えばソ連のスターリン、中国の毛沢東、イランのホメイニのように比較的簡単に個人崇拝現象を生み出します。

     政治迫害も別に文革の専売だったというわけではありませんで、専制独裁政治に共通する性質です。毛沢東が中共政権を打ち立てたその日から、中国政治の迫害は止んだことがありません。ただある時はちょっと緩み、ある時は厳しくなっただけです。各種の運動期間は政治迫害が集中し、大規模になり、被害者が増えます。例えば、反右派闘争、文革、天安門事件が鎮圧されてからは、政治迫害は大変厳しくなりました。文革時期には、トップリーダーの意向が何度も変わったので、政治情勢の変化が早すぎて、ある波では迫害者が、次の波では被害者になりました。文革を懐かしく思っているのは、大半が文革で最終的に利益を得た者たちです。

     ですから、中共独裁政治の性質はずっと変わらないのです。「習近平が独裁政治を復活させようとしている」は、偽命題なのです。彼は、寡頭独裁を個人独裁に変えようとしているのです。

     

     ★独裁反対の批判は、正しい方向を探すべきです

     中国の「共和」は、「趙家の共和」であり、中共の政体はずっと独裁体制だったのだという二つの点をはっきりさせた上で、果たして批判すべきなのか、批判するならどんな方向から批判すべきなのかを検討しなければなりません。

     習近平が、国家主席と副主席の任期制限を取り払って、終身制にして、寡頭独裁を個人独裁に変えることで、損害を受けるのは民衆ではありません。それは中共内部のハイレベル、それも大臣級以上の高官の中の「後継者シード選手」たちです。中共は、鄧小平時代に集団指導体制を確立し、5年の任期制を取り、権力を寡頭(中央政治局常務委員、同政治局委員)のものにしました。彼らはそれぞれに、自分たちの権力をマーケットを通じて金銭に変えて、その一家は途方もない金持ちになりました。更に重要なことは、こうしたシード選手たちは、すでに何十年も政治的マラソンを走って来ています。胡錦濤や習近平のように玉座に上るために、一歩一歩と権力ピラミッドの頂上に上れるという、任期制による利益で、望みを抱いて来たのです。それが、現在になって、なんと習近平が任期の制限を廃止することは、こうしたシード選手にとっては、後継者になる機会を待っても得られないことになります。これは「趙家の人々」にとっては、反対しないわけにはいかないのです。

     しかし、憲法修正は、政治体制の改変とは無関係です。任期制限があろうとなかろうと、中国政治の体制はやはり独裁で、全国8000万人の中共党員にだけ関係するだけです。憲法改正が終わったところで、独裁政治はいささかも変わりません。ですから、「趙家」が、今回激怒するのは、全て理解できます。しかし、「趙家」に属さない平民と、今回の憲法改正は利益に関係しません。彼らは投票権はもとより、国家を論じる資格さえ持ってないのです。ですから、「趙家」に変わって闘いにでかけたり、習近平が独裁し、皇帝になろうとしていると罵る必要もないのです。

     「趙家」以外の中国人は当然、憲法改正に関心を持ち、批判はすべきです。しかし、方向が違います。正しい方向とは、この中共の憲法を人民の憲法に変え、執政者の権力の源の問題を解決することです。その核心点は、現行憲法の規定する中共執政政権を廃止し、民選政治と三権分立を基本とせよ要求することです。中国人が自分たちの政治的権利を主張することなく、「趙家のシード選手たち」が後継者になれるかどうかを心配するとなどというのは、つまりは、自分たちが「趙一家」の奴隷奴婢だということであって、それでは、主人になることは出来ないのです。(終わり)

    原文は;习近平的终身制对“赵家共和”的震撼

    当Webサイト連載のブログ集改訳;日中両文収録 
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    One Response to ★習近平の終身制が、支配層の「共和」を震撼させる★ 2018年2月26日

    1. Hi
      March 4, 2018 at 16:47

      何老师,Google 好像把妳封了一点点。以前google”何清涟推特”, 第一个結果就是妳的推特帐号。但从两天前就google 不道妳的推特主页了。但其它搜尋引擎如bing.com还能照样搜索到妳的推特主页。这应该是google 最近封杀反对民主党的右翼言论行动的结果。google 旗下YouTube 也封了很多账号。

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