• 程暁農 ★中・米貿易戦争 なぜ中国はツッパる?

    by  • July 28, 2018 • 日文文章 • 0 Comments

    2018年7月27日 

     今年の中・米貿易戦争が起こってから、北京はその終結を主に三つの方面から期待してきました。第一は、EU諸国と日本が連携してトランプの貿易政策に抵抗すること。第二は米国の消費者、農場主たち、産業界がトランプの対中貿易政策を阻止すること。第三は米国の有権者の不満が高まって、議会の中間選挙に影響を与え、トランプに手を引かせることでした。

     しかし、事態の進展は北京の期待を裏切り、米国とEUは7月25日に貿易政策で初歩段階での協力を達成し、米国の中間選挙の予備選挙で一部のトランプ大統領批判者の共和党候補予定者は、大統領支持の予定者に敗れました。そして、最新の米国のアンケートではトランプ大統領支持率は落ちるどころか上がっています。どうやら北京の三つの希望は皆、虚しくなりそうです。

     こうした現実に直面して、北京でも反省の声が聞こえます。政府メディアの多維ニュースネットには、7月21日に「四つの誤算」という記事が発表されました。それは、まず一つには、中国が貿易戦争に対して過度に楽観視していたこと。そして、国民の民族的情緒がそれほど大きくなるとは思っていなかったこと。米国の各界、とりわけ米国の実業界のトランプ大統領に対する影響力。ホワイトハウスのタカ派がこんなに長期に主導権を握っていられると思っていなかったことを挙げています。

     今回の貿易戦争では、本当に「予期しなかった」のでしょうか?もし北京が最初から「この四つを全て予想していた」なら、貿易摩擦は貿易戦争にまでエスカレートしないで済んだでしょうか? 実は、北京にしてみれば、この中・米経済戦争においては、譲歩も抵抗もどちらでも負け将棋だったのです。ですから、北京は「ツッパリ」の道を選んだのです。

     中・米双方の事前交渉には、二つの意味がありました。すなわち貿易赤字と知的財産権です。このどちらも中国は譲歩したくなかったのです。現実的に考えれば、「もし、対米輸出が減れば、貿易黒字がなくなり、外貨準備高も減って、経済成長が下り坂になる。また、もし西側国家の知的財産権を完全に尊重するならば、技術のタネが尽き、技術の進歩は停滞する。ですから、中国からしてみれば、米国に譲歩すれば、自ずと全部負けなのです。もし譲歩しないで、頑張り抜けば、米国は関税をかけ、中国は人民元を切り下げ、いくらかは輸出が続けられますし、せいぜいその結果は譲歩と同じようなものです。譲歩しないのには、もう一つ長所があって、米国の技術を得られなくなっても、少なくとも他の国家の外資からは、まだ得られるということです。つまり、中国は中・米貿易戦争で譲歩しない方を選んだのは、利害得失のバランスを考えて、自分たちに一番有利な道ということで方針を決定したのでした。

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     ★知的財産権 — 西側積年の恨み

     中・米貿易戦争の発端では、関税値上げが国際的にも、中国国内でもメディアの関心の的でした。しかし、もう一つの重要なテーマである知的財産権に関しては、中国はずっと低姿勢で、原則的な漠然とした言い方をして、この問題については全面的に「誤解を晴らそう」とはしませんでした。しかし、この問題はまぎれもなく、米国やその他西側諸国が、中国の知的財産権侵害に対して、長年恨みに思っていた点なのです。その積年の恨みは、中国が不当な方法を取り続けてきたことによります。

     いわゆる「外国企業の知的財産権侵犯」には、明暗二つの方法が含まれます、つまり、無理やりと窃取です。中国が外資の進出を許してから、中国国内では「市場と機密技術の交換」というスローガンが生まれました。その意味は、中国進出を願う外国資本企業に対して、機密技術を放棄し、中国企業にその貴重な技術と設計の機密を開かせというものです。具体的な方法には二通りあって、一つは外国企業が中国投資を行うならば、必ず合資でやらねばならず、合資企業に機密技術を教えるということが投資許可条件になっているケースです。最新の事例では、今年6月、韓国メディアが明らかにした、広州市政府が韓国のLGのICチップ工場開設の条件として、大型液晶ディスプレイの製造技術を要求しました。第二のやり方は、政府の行政管理過程で、外資企業を狙い撃ちにして、企業機密を開かせば、中国での経営を許すというもの。例えば、中国政府は、中国で販売する米国アップル社のエンコードの核心技術を引き渡せといったことです。

     「こっそり」の方は、つまり産業スパイ活動です。よくあるのは三種類です。一つは外国企業の技術者に、金を渡して技術をいただく。二つ目は、海外の華僑を通じて輸出禁止のハイテク産品を中国に持ち込んで模倣する。三つ目は軍隊の情報部がネットを通じて、米国政府や企業の機密情報を盗み出す方法です。前二者はずっと活発に行われており、例えば、細菌米国メディアによって暴露された、福建省の企業が台湾経由で産業スパイを行って、米国企業の台湾系従業員をヘッドハンティングして、その際に従業員に米国企業の機密技術を盗み出させ、台湾から大陸へ盗んだ技術を持ち込むというやり方です。少し前に中国の西北工業大学と軍の艦船部門が密接な関係を持つ公開学院が米国のハイテク製品を購入したのがバレたケースも典型的な例です。

     2013年から総参謀第三部(技術偵察部)第二局の上海における”高橋陣地”と呼ばれた61398部隊による、米国のネット侵入スパイ活動がバレてからは、軍のこの種の活動は下火になりました。しかし、民間企業が西側技術を合法的に獲得する動きは、日増しに盛んになっています。主な手段は、西側のハイテク企業を買収するか、新興ハイテク企業にベンチャー投資する方法です。これは主として米国に集中しており、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が7月24日の報道では、今年1月から5月だけで中国からのベンチャー投資は24億米ドルに達し、2015年一年間に等しい金額となっています。ブルムバーグ・ニュースの7月24日報道によると、近年の中共の対ドイツ企業に対するネット攻撃は減少し始め、それに代わって企業買収が上位になっています。

     中国の企業は、米国のハイテク企業の立ち上げに際して大量のベンチャー投資を行いますが、それは米国での長期経営を目指してのことではなく、こうした新興企業のハイテク技術を手に入れるためです。また企業買収された米国企業の技術がもし軍民両用だったり、米軍に採用されているものなら、中国はこうした技術を解放軍のために使えます。ですから、中国軍の情報部門や、軍事企業の系列の大学院などはみな企業を設立登記し、こうしたハイテク企業の資金不足につけこんで、大量のベンチャー投資を行って先進技術を獲得します。米国ではすでに多くのケースが明らかになっており、最近、警戒が高まって防衛措置の準備が始まっています。
      ★中国は西側技術によって国際市場を制覇する

     中国が、あの手この手で獲得した技術を自国市場でだけ使うというのなら、西側国家の損害は、相対的にはまだマシで、せいぜい、西側企業が自分の会社の製品と同類の商品や技術が、中国市場でより廉価な商品に使われていることを発見する程度でしょう。しかし実際には、中国があらゆる方法を使ってこうした技術を獲得しようとするのには、より大きな目的があります。それは、コストをかけないで数々の知的財産を獲得して、国債市場で自己の巨大な経済利益に変えようとすることです。つまり、中国において不当に獲得した外国企業の知的財産権で、国内で模倣品をつくって民間や軍用に製造して、それから更に国際市場を奪おうというのです。これは既に国家発展戦略の一部であり、多くの中国企業の金儲けの道なのです。当然、それは同時に、西側国家にとっては、経済上の巨大損失となります。

     この角度から中・米貿易戦争を見れば、貿易黒字と知的財産権は、実は両者一体のもので、中国の巨大な貿易黒字には、知的財産権侵害の生んだ巨額の利益が含まれており、米国が関税をアップするのは、ただ貿易赤字を減らそうというだけでなく、知的財産権侵害に対する一種の懲罰なのです。知的財産権問題では、現在、先進国は対中国姿勢なら容易に一致出来ますし、北京は、なんとか追求を躱そうとしても、あれこれと弁解はしたがりません。同時に北京は米国に、今後、知的財産権侵害の活動をやめると約束もしたくないのです。先に述べた韓国企業が広州で遭遇した知的財産権侵害の要求は、中・米双方が貿易と知的財産権問題で談判している今、中国の真意を知るヒントになりましょう。(終)

     (終)

     原文は;程暁農【观点】中美贸易战,北京为什么选择硬扛?(程暁農さんは、在米の中国経済学者で何清漣さんの夫君です)
     
     

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