• ★アフリカはなぜ中・米の「第二の戦場」に? 2018年9月5日

    by  • September 9, 2018 • 日文文章 • 0 Comments

     

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    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

     9月3日、習近平国家主席は、2018年の中国アフリカ協力フォーラム北京サミットの開幕式で、アフリカに対して、金融機構や企業投資、政府融資などのやり方で600億ドルの援助を行い、同時に中国と外交関係のあるアフリカの一番遅れた国々、巨額債務を背負極貧国に対して、2018年末までの政府間無利息借款の債務返却を免除すると宣言しました。これが知れ渡ると、中国のネット上では、「札ビラの大盤振る舞い」だと大いに非難されました。
     この「大盤振る舞い」の背景には、北京の国際経済戦略の転換への思惑が隠されています。

     ★正面戦で不利な中国は、第二戦場を開いた

     この600億ドルの投資の明細と時間的な選択をつぶさに見れば、その目的には二つの意味があります。一つは、米国の対アフリカ新戦略が、現在調整時期にある今、機先を制すること。もう一つは、中国がアメリカとの貿易戦で苦しい思いをしており、しかし負けも認られないので、新たな戦場として、アフリカで競争しようというのです。

     まず、なぜ600億ドルかをみましょう。8月31日のウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された「中国に対抗、米国、十数億ドル海外投資へによると、米国政府はあまり知られていない、しかし似たような機能を持つ政府機関を統一して、新たな権限を付与し600億ドルの投資を行う、米国の海外プライベートファンドを中心とする新機構の「海外民間投資会社」を作る予定です。その中心は1971年にニクソン大統領が作った(Overseas Private Investment Corporation,OPIC「米国国際開発金融会社」)で、米国企業の新興市場への開発投資に協力することで、政府の対外政策を進めようというものでした。

     この新たな国際開発金融会社が正式に発足後には、これまで米国の国際開発局が管理していた複数のプロジェクトを吸収し、その最大のプロジェクトは「信用供与」の強化です。この権限が与えられると、他国の重要なインフラ設備や発展プロジェクトを提供する米国企業に対して、選択的な融資を行い、中国と互角の競争が出来るようになります。

     中国と米国のアフリカにおける電力建設での競争は、オバマ大統領時代から始まっていました。オバマの最後の任期には「2016電力法案」が提案され、同時に、米国が2000年につくった「アフリカ成長の機会法案」(African Growth and Opportunity Act)には、重要な改正が加えられ、世界貿易体系と一致させて、期限を2025年9月まで延長しました。この二つは、米国のアフリカ新戦略の二本柱です。中国はこれに対して、2017年にアフリカ最大の水力発電ダム「吉布三水発電所」(グランド・エチオピア・ルネサンス・ダム)を「中国的スピード」(*2011年起工、2018年完成予定)で建設すると宣言しています。これは中国の三峡ダムより大規模なものです。

     トランプは就任してから、アフリカ政策に重要な調整を加えました。アメリカのインフラがボロボロになっているのに、アフリカへの大量の非軍事援助は不必要だとして、今年の予算案からアフリカへの食料と平和目的のプロジェクトを完全にやめたのです。しかし、後に、中・米貿易戦争の中で、中国への理解を次第に深め、アフリカへは一帯一路計画のキモだと認識しました。ですから、下院の提出した、類似した機能を持ついくつかの機関を統合して国際金融開発企業とし、借款の金額を増やし、600億ドルの開発融資を提供する権限を与える法案を支持したのでした。この法案は下院を順調に通過し、上院の評決を待つばかりです。今や、米国政界の中国に対する姿勢は強く一致しており、通過するものとみられています。

     中国がアフリカに600億ドルばら撒くのは、この米国の600億ドルに対抗するものです。北京は別にそれを隠そうとはしていませんで、習近平が宣言したとたんに、中国の海外メディアは盛大にこれを宣伝し始めました。「中国の一帯一路計画の影響力は日増しに強まっており、米国が同じ600億ドルの融資機構を作ったのは、これとのバランスをとるためだ」と。

     ★中国がアフリカを第二戦場に選んだ背景と打算

     中・米貿易戦争は、目下のところ、激しくもなく緩くもない中間程度です。11月6日、トランプは国内で民主党とメディアの包囲攻撃を受け続けており、中国は、共和党が中間選挙で負け、それが中国に転機となることを期待し、同時に挽回のチャンスを狙っています。8月28日、北京で開かれた検討会では、前中国商業貿易部の副部長で、現任の中国国際交流センター副理事長の魏建国がはっきりと、この中国側の意図を説明しています。

     それは、「将来5年間、中国が毎年アフリカに輸出する商品は5000億ドルとなり、アフリカは米国に代わる中国最大の輸出先になる。米国は、中国の輸出に対して5000億ドルの関税を課すことができるが、しかし、中国が米国から輸入するのは全部で1500億ドルでしかない。だから、最後に中国は必ず勝利する。ただ、当然、魏建国も、中国の対アフリカ輸出は、米国へのそれとは異なることは認めています。

     もう一つ、中国が極めて重視する現実的な考慮があります。中国とアフリカの経済貿易は長年続いており、借款方式であろうと、貿易方式であろうと、少なからぬアフリカ国家が、すでに一部、人民元体制に組み込まれています。人民元がアメリカドルに対して弱い立場にたたされ、外貨準備高の3兆ドルを維持するのが難しい状況で、人民元の国際化を推進することは、プレッシャーを軽減させることになります。人民元が国際通貨基金の五大備蓄通貨とされて以来、全部で60国家が人民元を外貨準備に組み込んでいます。その中でアフリカは14カ国で、ナイジェリアなどの国々は、人民元を決算通貨として使いたいと願っています。

      角力「アフリカ場所」の中国の勝算は?

     私の見方はこうです。勢いという点では勝てるでしょう。何故ならば、アフリカでの中国投資の金主は政府であり、コストを顧みず投資できますし、中国では援助と投資の境界線がはっきりしない、という特徴があるのも強みです。今年の習近平が約束した600億ドルの対アフリカ投資は、150億ドルの無償援助、無利息借款優遇借款が含まれます。200億ドルは信用資金貸し出しで、100億ドルは中国・アフリカ開発性金融プロジェクト資金、50億ドルはアフリカ輸出貿易融資プロジェクト基金です。これらは投資と援助の区別がつかないという中国政府の伝統です。例えば、2013年のアフリカ投資サミットフォーラムでは、中国代表は、中国は2050年までに累計で1兆ドルの借款を与える、それには直接投資、長期定理貸付、商業借款、援助などが含まれるとしてます。

     米国ではこうしたことはできません。援助と経済は、はっきり区別されており、グレーゾーンはありません。投資の評価は縛りがかかっており、中国のような気前の良さは発揮できないのです。

     しかしながら、勢い以外では、こうした投資の効率という点では極めて大きな疑問符がつきます。

     中国の対外投資の主体は国有企業です。国有企業の長年の海外投資は大部分が水の泡になっています。2016年、中国の政府メディアの中央人民広播電台(CNR)のネット上で、大ぴらに、中国の海外投資の失敗率は95%を超えると認めました。同年、私は、「中国の海外投資はなぜ面倒なプロジェクトばかり?」(2016年6月23日)で、こう書きました。
     ;「一路一帯」の対象にされている国々は主に東南アジア諸国連合、南アジア、西アジア、北アフリカ、欧州です。このうち欧州国家が2015年以来の難民問題でもめている他は、大多数がもともと政治的な危険度が高く国際的な信用もよろしくないのです。例えば、インド、ハザクスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、キルギススタン、ベトナム、イラン、スリランカ、インドネシア、モルジブなどですがスタンダード&プアーズとかフィッチ・レーティングなどの国際評価機関による信用度評価では大多数がB級以下、イランなどは級外です。

     事実が証明していることですが、中国の一帯一路計画は既に重大な挫折に遭遇しています。マレーシアのマハティール首相は、8月に北京を訪問して、マレーシアの国家債務は2500億ドルにもなっており、3大インフラプロジェクトを暫時中止せざるを得なくなったことについて、中国側の了解を求めました。現在、70カ国が一帯一路計画に参加していますが、その中の多くが多額の債務を抱えており、ワシントンのシンクタンク「Center for Global Development, CGD」が、今年の3月に発表した見通しでは、すでに8カ国が債務の深い泥沼に沈んでいます。

     中国の国営企業に比べて、米国の国家開発金融会社の主体となるのは、米国の海外プライベート投資企業で、過去40年の投資利益記録は優良です。米国が組織替えして、米国の国際開発プロジェクトを受けつぐにあたっては、まず企業の営利能力を考慮します。

     発展途上国の投資は、西側であろうと中国であろうと、成約にこぎつけるのは別に難しくもなんともありません。本当に難しいのは、投資の回収と利益の保証です。この問題は、中国が対外投資先国家の踏み倒しに対して、懲罰を与える力があるかどうかに関わってきます。西側企業が発展途上国に投資しても、途上国側はそう簡単に踏み倒そうとはしません。その理由は、途上国の政治家たちが自分たちの財産を、先進国に預金していることや、子弟を留学させているからで、米欧側には様々な懲罰手段があるのです。しかし、中国にはそうした統治者の子女の留学先ではありませんし、中国の金融システムは、西側国家のような独裁者の金庫になっていませんから、借金踏み倒しにあっても、制裁能力がないのです。

     中国政府の立場からすれば、中・米貿易戦争の改善が難しい状況下では、アフリカへを投資先とするのが、中国経済が再び世界戦略を進める上での一種のテストケースなのです。ただそれがうまくいくかどうかは、これは別の話です。(終わり)

    原文は;非洲为何成中美角力的第二战场?

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