• ★2018年の中国のますます深刻化する失業状況  2018年10月17日

    by  • October 17, 2018 • 日文文章 • 0 Comments

    日中両文収録「何清漣 2017中国」Amazonで発売しました;20152016Amazon改訳版を電子ブックで。Kindle Unlimited なら無料です
    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

     中・米貿易戦争は、外資の中国からの大量撤退をもたらし、グローバルな産業再配置を促しています。こうした産業の連鎖構造再配置の過程で、発生するのは中国などの新興国家からの資本流出と失業増加です。米国は税制改革と規則の緩和によって経済発展を促進させ、グローバルな投資家の避難港となりました。8月だけで、全米の雇用は20万1千増え、失業率は3.9%です。しかし、中国では大量の外資撤退によって、もともと深刻だった失業問題の傷口に塩を塗られたようなものです。

     ★中国政府発表の失業率はなぜ信じられないか。

     中国では、現在ますます「報道禁止事項」が増え続けています。この数カ月だけで、貿易戦争、失業、外貨準備高の流失、株式市場、不動産のマイナス情報が「報道禁止事項」に加えられました。しかし、そんなことをしても、様々な方法で中国の失業問題の深刻さを計算することは出来ます。

     国家統計局は、8月中旬に、「7月の全国の都市の失業率は5.1%であり、前年より0.3%上昇した」と発表しました。

     こういったデータは中国経済のアナリストたちは信用していません。まず、この統計規格そのものが「中国的特色」を帯びており、今年の4月以降に、政府は発表する失業率を「都市登記失業率」から「調査失業率」に改変しました。政府に委託を受けた専門家グループは「調査失業率の全面解析における9つの問題」として、まことしやかに、調査失業率は以前の都市失業率より信用できると”論証”していますが、専門家たちはみなこの中国的特色の調査は本当の失業率ではないことを承知しています。

     次にこのデータは、中国の都市失業人口しか計算に入れていません。農村の数億人の労働力年齢人口(16-59歳)を含んでいないのです。2017年に「星光記者連盟」(訳注;別名、青年メディア協会、民間のメディア連合体)が、2917年に本当の失業率を調査し、長文の「中国の失業率 隠された真相」(中国失业率,被掩盖的真相)を発表しています。

     要点を紹介すると、2016年、全国の総人口は13億8,271万人で、そのうち16歳から59歳の労働力年齢人口が9億0,747万人。そこから高校生や大学生、職業学校の生徒ら6,860万人を除くと、労働力年齢人口は、8億3,887万人で、総人口との比率は60.7%(83,887/138,271)になります。(人口関連数字は全て政府の発表データによる。参考>2018年就业形势怎么样?统计局回应 )

     星火記者連盟が発見した特に重要な問題は、「中国の農民は定年退職がない」ということです。(訳注;中国の一般の定年は男性60歳、女性50歳だが農民には適用されないで60歳以上でも労働力として勘定される) つまり、生きている限り「就業人口」として数えられるのです。60歳以上の「老年農民」は合計1億2,928万人です。すると総就業人口7億7,603万人から、1億2,928万人の「老年農民」の分を差し引くと、実際の労働力年齢人口は6億4,675万人です。この6億4,675万人を労働力年齢人口の8億3,887万人から差し引くと、失業人口は1億9,212万人になります。この1億9,212万人は、労働力年齢人口の8億3,887万人の22.9%になります。

     今年の総人口は、依然として13億9000万人で、国家統計局の発表した総就業人口規模は、7億7600万人(農民工2億8600万人を含む)、労働力年齢人口も依然として9億人以上です。こうしたデータと星火記者連盟が失業データを計算した2016年の基本データと突き合わせると、ほとんど変化していません。つまり、真実の失業率は依然として22%と高止まりしているのです。

     以上の状況は、今年3月の中・米貿易戦争が発生する前の失業状況です。今や、それに三つの要素が加わって、中国の失業現象を更に深刻にしています。

     ★貿易戦争の二重の影響。外資撤退と失業の激増

     今年の外資撤退の動きは、もはや逆転は不可能な勢いです。中国政府は強硬な姿勢をとり続けていますが、しかし、商務省(部)は、9月20日の定例記者発表で、「米国の対中2000億ドル追加課税は、電気機械、軽工業、紡績、服飾など6大分野に及び、影響を受ける企業のうち外資が5割を占める。米国の今回の措置は、中・米両国の企業と消費者の利益を傷つけるばかりか、全世界の産業連鎖の安全を損なうものである」と言いました。この最後の部分の意味は、外資が現在、中国から撤退しているか、撤退を考えているという意味です。

     9月13日、中国米国商議所上海米国商会は430社以上の在中国米国企業にアンケートし、35%が既に、生産基地を中国から東南アジアや他の国に移したか、移転考慮中と回答しました。日本の共同通信によると、現在までに6割の日本企業が、中国から他の国へ撤退、あるいは撤退中で、残る4割もいかに撤退するか考慮中だとしています。台湾企業も、日経の記事によると、ナイキ、アディダス、アンダーアーマー等の台湾の靴工場や服飾関係工場が、生産ラインを東南アジアやインドへ移しています。

     米国の関税を回避するために撤退しているのは、外資企業に限りません。中国資本の企業も、自転車、タイヤ、プラスチック製品から縫製業まで、多くの中国企業が生産ラインを国外に移転しています。マレーシアの華人資本の郭鶴年の嘉里物流はアジア最大の船舶運輸会社ですが、現在、各国の顧客から生産ラインを移転する注文で大忙しで、中国からマレーシア、ベトナム、ビルマ、ラオスにまで運んでいます。

     外資の撤退は中国の就職にどれほど影響するでしょう? よく引用されている数字は、中国政府の計算で、全ての外資系企業の直接雇用人数は4500万人で、この他に外資に依存して生産している無数の供給企業があり、上流から下流までの流れを含めれば億単位になるでしょう。

     ブルームバーグ・ニュースによれば、9月11日、モルガン&チェイスの中国トップエコノミストである朱海浜の研究レポートは、関税戦争は中国に深い影響を与えるとしており、「もし、米国が2000億ドルの中国輸出品に25%の関税を掛けたばあい、中国は報復しなくても300万人が失業する。もし中国が、①対米商品に課税し、②人民元を5%切り下げ束愛、550万人が失業し、1.3%のGDPが失われる、としています。

     ★中国のAI政策が生み出す構造的な失業

     多くの先進国と同様、中国の労働力も、ロボットと職を争うという新しい問題が起きています。

     9月に中国発展研究基金会と紅杉投資ファンドの中国レポートは、中国の製造業の集まる浙江省、江蘇省、広東省のいくつかの企業でこの三年内に自動化によって3割から4割の労働力削減が行われみだろうとしています。中国の飲料品のブランド大企業である娃哈哈グループ(本社杭州)も、生産ラインの労働者を十年前から減らして、200人〜300人から、最小だと数人にまで減らしてきました。

     ロボットと人間の職場争奪戦は、各国で起きており、失業は一部の国家の労働市場では避けがたい勢いです。税収の減少を補うために、「ロボット税」の概念も登場しています。スイスのジュネーブ大学教授と税関係の弁護士のザビエル・オーベルソンはロボット税徴税を主張しています。ロボットは、労働者一人の仕事を奪うにとどまらず、こうした社社会保険制度そのものを危うくするとして、税金によって社会保険基金をつくり失業者を訓練するために使うべきだとしています。韓国やフランスの政界でも、ロボットからとりたてた税金を失業者の福祉に利用すべきだとの主張があります。中国の当局もAIによる失業の増加に気がついてはいますが、具体的な考慮は明らかにまだありません。

     ★社保税の増加が失業を増やす

     8月27日、国家税務総局が発表した社保税の税務局による徴収は、来年1月1日から「新社保税」として実施されます。この「新税」は二つの大きな変化をもたらします。

     ひとつは、企業に従業員数をごまかす社保税逃れが出来なくなります。中国の社保の第三者機関である51社が8月末に発表した「中国企業社保白書2018」のデータだと、中国企業の社保納付数の不一致は73%に達し、7割以上の企業で、実際の給与にあわない社保経費という問題があります。新たな制度では、企業の社保負担は、現在の31%(世界189カ国中13位)が、44%で、世界2位になってしまいます。

     社保税の新税は、企業の負担増を意味します。多くのメディアがこの問題を論じています。「未来一年、失業のご準備を」の筆者の計算だと、ある企業の従業員の収入が毎月1万元とすれば、これまでに最低額の社保を納付したとして、今後は従業員は毎月640元負担が増えます。一方、企業は毎月1860元増えるのです。これは1人職員を雇うと、コストが1年で2万元以上違ってきます。従業員10人の小企業にとっては、毎年20万元以上もの出費となり、直接中小企業の利潤を圧迫します。生存のためには、従業員を減らすしかありません。

     貿易戦争はまだ終わらないのに、中国の受ける影響は次々と今、明らかになっています。中国政府は、米国と貿易戦争をしたいわけではありませんが、自分たちは長年、ずっと西側国家に市場開放は、中国が西側国家に与える恩恵である、といい張ってきており、中国の経済繁栄は、国際システムが中国に対して友好的で開放的だったからだ、などとは決して認めませんでした。

     それに、2003年に「平和的勃興」を宣言してから、中国は、ずっと国際ルールを変えようとして、自分がルールの制定者になりたかったのです。2014年になると、習近平はもっとおおっぴらに、「国際国内両方のマーケット、両方の資源、両方のルールを総合的に運用して、統一的に検討しなければならない」(訳注;両方を都合の良いようにうまく利用していけ、の意味)という外交指導原則を提起しました。

     現在、世界の構造の擁護者はアメリカですから、中国が国際ルールを書き改めようと願うなら、別に「かまど」を立てて、米国に挑戦しなければなりません。その結果、米国に対抗出来るだけの十分な資本がないとなれば、貿易戦争は時期尚早なのです。(終わり)

     原文は、「2018年 中国的失业阴霾将更厚重

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