• ★人種構成と社会主義 — 米国・民主党の”カラー革命”進行中   2018年11月12日

    by  • November 14, 2018 • 日文文章 • 0 Comments

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    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

     11月6日、2018年中間選挙が終わり、民主党は8年間”失われた下院の多数党”の地位を奪回し、共和党は依然として上院で多数派を占めています。民主党がネット上でおこしたブルーウェーブは、さざ波程度になりはしましたが、共和党が都市近郊選挙区で優位を失ったことは、2020年の大統領選挙に向けて、民主党を勇気づけました。総じて言えば、民主党は米国で数十年間続いてきた「カラー革命」がついにその成果を見せたというべきでしょう。この「カラー革命」は一つには人口の色合いであり、二つには思想的な色合いです。

    ★人口構造の多元化がついに成果

     民主党にとって、米国史上初が多い選挙でした。同性愛の男性が州知事(*民主党候補ジャレド・ポリス下院議員が知事に当選)になり、二人のイスラム教徒の女性下院議員が誕生し(*ミシガン州とミネソタ州)、民主社会主義を称える最年少女性下院議員・アレクサンドリア・オカシオコルテス氏(29)の当選などです。「ポリティカル・コレクトネス」という意味では大成功です。民主党支持のメディアは「今回の選挙は歴史的な記録を生み、彼らは未来をリードする」と歓呼の声を上げました。

     上院は依然として共和党が多数派です。メディアは、トランプ大統領は今後、下院で色々厄介な出来事、例えば大統領に納税報告書を出すとか、疑惑調査継続、果ては弾劾の可能性に煩わされるだろうと書いています。

     米国民主党の支持層は「無・知・少・女」です。「無」は無収入で福祉に頼る人々や一部の低収入の勤め人、「知」は教育界やメディアなど文化関係業界を含むインテリ、「少」は少数民族、青少年、性的マイノリティです。「女」は女性有権者です。民主党自身も今年の中間選挙での勝利は、スペイン系と女性支持者の増加(男性有権者より1000万人多い)だと認めており、青年層も民主党支持者の主力です。
     こうした選挙民構成は、民主党が長年にわたって作り出したもので、相対的に変わらない知識人層以外は、米国のいたるところで増加しており、民主党に大変有利となっています。

    ★米国は「人種のるつぼ」から「サラダボウル」に

     米国はこれまで「人種のるつぼ」だと言われて来ました。人口は多元化しても、フランスのイスラム教徒のように、主流の価値観を認めない少数派平行社会にはならず、最後には皆、アメリカ的価値観を信奉するようになるということです。2015年のシャルリー・エブド襲撃事件は、国内に移住したイスラム教徒たちの二代目、三代目はフランス社会の主流に同化させることが出来なかったことが原因だという反省から、フランスは米国の「るつぼ文化」を羨んで来ました。

     しかし、事実上、米国の「るつぼ」の文化はとっくに変質しているのです。民主党は支持基盤の拡大のために、不断に新たな利益グループを作りだしました。その最も手っ取り早い方法は、移民や違法移民を奨励することでした。オバマ大統領の在任期間に、最大で500万人の違法移民を米国市民と認めました。その多くがラテンアメリカ系で、彼らは民主党の鉄板支持層となりました。ヒラリーは2016年の大統領選挙で、ホワイトハウス入りを果たしたら、すぐ国境を開放すると発言していました。

     外来移民の増加と一部の少数エスニックグループ、とりわけラテン系の高い出生率が、米国の人口構造を変化させました。早くも2008年、米国の国勢調査局のレポートによれば、当時66%を占めていた主流の白人層は次第に減少し、2050年には白人の人口比率は46%に低下すると指摘していました。しかし、2017年6月の同局のレポートでは、2016年7月1日までに、米国内のスペイン系人口総数は5750万人になり、前年比2%増で、一方、非スペイン系人口の増加率は0.01%の5000人だとしました。アジア系人口は2410万人で3%増で少数民族の中で最速の増加ぶりでした。そして、2044年には、米国人口の半数以上が少数民族が占めるようになります。つまり、6年も予想より早く米国の人口は「色」が変化するというのです。

     ここで説明しておくべきことは、アジア系の人口増加は早いのですが、米国政治の構造にあまり多大な影響を与えることはありません。というのはアジア系といってもインド、中国、日本、香港、台湾、中東地域の国々といった、本来、民族、文化、宗教、政治といった要素に加え、国内各地に散らばっていて、短期間にまとまって強い政治パワーにはなれないからです。これに比べて、フロリダ州、ミネソタ州は、この20年間にずっとソマリアやオバマの故郷のケニアからのイスラム移民が集中居住しており、人口が急速に増えているので、例えば今回、二人のイスラム女性が下院議員に当選したように容易に政治パワーになりえます。

     非合法移民の合法化の他にも、民主と一部の社会グループは、自分たちの政治的利益のために、故意に民族間の矛盾をアピールして、少数民族系の人々の怒りを票に変えて、簡単にゲットしようとしました。こうした状況は、人々の意識を「米国はるつぼではなく、サラダボウルなのだ」と思わせようとするものです。

     ★民主党は社会主義化する

     2015年6月、国勢調査局のレポートは、ミレニアル世代(1982〜2000年生まれの若者8310万人)が、全米人口の4分の1以上を占めるようになったと発表しました。

     若い人々は皆、民主党の鉄板の支持者で、2018年の中間選挙で18〜29歳の投票者は激増し、民主党の票が大幅に増えた第3の理由でした。ハーバードのケネディ学院が10月に行った青年対象のアンケートでは、40%の若者が投票に行くと答えました。1986年から始まった若者の投票率はこれまで20%を超えたことがなかったのにです。そしてこの調査で、若者の大部分は、皆民主党支持者だったのです。アトランティック・マンスリー誌によれば、上院議員の議席をめぐる激戦区のテキサス州とネバダ州では、事前投票した若者は5倍に増えました。

     欧州の青年が左傾しているのと同様、米国の青年も左翼よりです。この11月、ワシントンに本部を置く「共産主義受難者ファンド」と民間調査会社YouGovが共同で行った調査では、2100人のことなった世代を対象にして、社会主義と共産主義をどう見るかについて尋ねました。

     調査結果は、世代の異なった米国人では、大多数の人々が依然として資本主義社会で暮らしたいと答えましたが、ミレニアル世代では社会主義が第一選択でした。52%の米国のミレニアル世代は社会主義国家で暮らしたい(46%)とし、資本主義を選んだ40%より多かったのです。一部の若者はファシズム社会を選び、さらに6%の若者は、共産主義がベストだと答えました。

     ★2020年向けて、民主・共和両党の強みと弱み

     民主党勝利の歓呼の声の中、冷静な観察者は、2020年の大統領選挙ではどちらの党も必勝の自信がないことを理解しています。

     組織内部では共和党の伝統派とトランプの矛盾はやや緩和されています。衆知のことですが、2016年の大統領選挙では、トランプは民主党と共和党の伝統派、並びにブッシュ、クリントンのファミリーに勝って成功をおさめました。これによってトランプは、共和党伝統派の支持を得られないこととなり、共和党の古参議員のマケインは、民主党議員より激しくトランプに反対しました。今回、落選した共和党議員の中には少なからぬマケイン派がいます。ですから、共和党議員は減ったとしても、共和党は却ってトランプ化し、ホワイトハウスへの党内の支持は高まりました。しかし、選挙民の構造(若者の減少)、選挙戦略、行動力、資金力から見ると、共和党は民主党に比べて弱点が多々あります。

     民主党が直面しているのは、伝統派と草の根派の矛盾です。上院議員のバーニー・サンダースは、元々は無所属議員でしたが、2016年民主党の大統領候補選にでるために民主党員になりました。彼の選対本部のメンバーやサポーターの多くは社会民主主義者(社会主義者)です。今年(*大統領選の後、離党していた)民主党に復帰しながら、「Brand New Congress」政治行動委員会を作って、志を同じくする若い議員候補を当選させようとしています。

     こうした急進派は、今回の中間選挙で極めて大きな働きをしました。よく知られている成果は、ニューヨーク州の下院議員に28歳の新人候補のアレクサンドリア・オカシオコルテスが「Brand New Congress」の支持のもとに民主党伝統派の現職のジョセフ・クローリーを予備選で破って、本選でも当選を果たしたことです。

     社会民主主義者にはもう一つ巨大な勝利がありました。政治ウエブサイトのThe Hillによれば、今年8月25日、民主党の全国代表大会シカゴ会議で、民主党全国委員会が圧倒的多数で、2016年の民主党大統領候補選出の時のようなことが起きないように、特別代議員の力を制限することを決めました。(*2016年の民主党大統領候補選挙で得票数でヒラリー・クリントンを上回ったサンダースが、特別代議員の票で敗北した)特別代議員とは、民主党の歴代大統領、副大統領、国会指導者、民主党全国委員会のメンバー、上下院議員、現職州知事らを含む主要なリーダーたちです。

     オカシオコルテスの勝利と特別代議員の力制限は、民主党の草の根派の勝利で、当然、伝統派との矛盾は深まりました。

     民主党が米国で長年営々と努力してきた、自国の「カラー革命」は静かに完成しつつあります。今回の「カラー革命」は、民族と思想をはっきりと分けることが出来ません。例えばラテンアメリカ国家は、この半世紀、左翼国家圏を形成してきており、こうした国々からの移民はもともと社会主義が好みです。民主党の政治経済の主張が日増しにユートピア化していく中で、(「無・知・少・女」のユートピア — 米国民主党の夢 2018年11月7日)今後、共和、民主両党の論争は「常識」と「ユートピア」間の競争というだけでなく、更には世界における米国の果たす役割にも関わってくるでしょう。(終わり)

     原文は;https://botanwang.com/articles/201811/何清涟:美国民主党的国内“颜色革命”.html

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