• 程暁農★米国中間選挙の結果について — 共和党、民主党の得失2018年11月13日

    by  • November 15, 2018 • 日文文章 • 0 Comments

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     米国中間選挙の結果に世界の主要国家のウォッチャーは、悲喜こもごもといったところです。トランプ支持者は共和党が上院で議席を増やしたことに喜びつつも、下院がトランプの足を引っ張るのではないかと心配します。一方、反トランプ側は民主党が下院で多数派になったのを喜びつつも、トランプ打倒を果たせなかったのには憤懣やるかたなし。

     では、結局、この度の中間選挙が米国政治の未来に意味するところは何でしょう?中・米貿易戦争にはどんな意味を持つでしょう? 両党は選挙期間中にそれぞれ収穫がありました。しかし、その収穫は共和党にとっては党内の団結の成功でしたが、民主党にとっては党内分裂の前兆です。北京が願っていた中間選挙の結果で、トランプ政権の米中貿易戦争政策を止めさせる、という期待は明らかに空しい望みと相成りました。

     ★中間選挙結果はトランプの足かせになる?

     選挙前、世界のどの国より選挙の進展を固唾を飲んで見守っていたのは中国です。北京の対外宣伝用の大メディア多維新聞ネットは、先ごろ、中国外交シンクタンク方面の情報として「北京はかつてない熱心さで中間選挙に注目しており……野党民主党が上院・下院で一挙に多数派になって、トランプにブレーキをかけ、更には弾劾できることを期待している」。「少なくとも上院・下院のどちらかで勝利を収め、トランプに好き放題させなくなるように期待している」と書きました。同ネットによれば、中国の駐米大使館とニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ヒューストンの5領事館では、全米を6つの地域に分割して情報蒐集にあたり、大使館に報告し、最終的には北京に報告していたとあります。10月末の北京の中間選挙の予想としては米国主流メディアと同じで、民主党が下院で多数を占めるが、上院は依然として共和党のものでした。

     北京が、米国中間選挙にこれほど関心を持ったのは、勿論トランプの中国政策にイライラさせられているからです。しかし、下院の多数派の民主党がトランプの邪魔をし、米中貿易戦争における北京への圧力を減じることが出来ると考えているなら、大間違いです。対外経済政策の決定に関して、下院が持つ力は実際にはしれたものなのです。それに、民主党内にも中国に圧力をかけ続けるべきだという声は少なくありません。中・米貿易戦争の問題は経済政策ですから、こうした政策は行政命令の範囲内であり、その決定権、実施権はホワイトハウスにあって、下院の立法による必要はないのです。ですから、トランプは今後も、これまで同様、今後も中・米貿易戦争に関わる決定を下すことが出来ます。

     トランプ弾劾に至っては、お話にもなりません。米国憲法の規定では、下院司法委員会が、十分信頼に値する証拠を以って大統領が国家に叛逆していることを証明すれば、単純多数決で弾劾することができます。しかし、民主党に協力する特別検察官が既に2年間も捜査をしてきて、今もってそんな証拠は挙がっていません。たとえ下院の民主党が無理やり国家反逆罪でトランプを弾劾したところで、最終決定権は下院にはありません。憲法によれば、下院の一部議員が検察官としてトランプを起訴する理由を提起できますが、その起訴が成立するか否かは上院が倍診断の役割を果たし、3分の2以上の議員が大統領は有罪だと認めなければ弾劾は成立しません。明らかに、共和党が多数派を占める上院では弾劾は成立しないのです。
     

     ★大統領を止める?2つの州の民主党票の中身は?

     今回、民主党が下院で多数派となり、多くの人々が米国の政治学教科書の説明通り、選挙民がトランプの行き過ぎにバランスをとるようにという意思を明確に表明したのだ、と思っています。しかし、過去10年の状況を見ると、オバマ大統領が当選した2008年と第二期目の2012年には、民主党は下院でそれぞれ21議席、8議席増やしました。多くの有権者が在任中の大統領とその党を支持した時、彼らは国会のバランス機能を放棄して、大統領のなすがままにしようとしたというのでしょうか? 実は、米国の有権者は別に機械的にバランス説に依って反対政党に投票したりはしません。投票時には必ずしも全国各州の投票結果が分かっているわけではありません。有権者は主に候補者に対する自分の認識に基づいて投票しますし、最後の結果が上院・下院で反対党が多数派を占めるか、政権党が多数派を占めるかは、翌日の朝になってやっと分かるのです。

     今回の中間選挙では、東部の大都市の郊外で、民主党が共和党から多くの議席を奪いました。もし単純に、有権者がトランプにブレーキをかけようとしたならば、民主党の下院議員を選んだ有権者は、同時に上院の同党候補にも投票したはずです。誰でも分かることですが上院・下院の双方で民主党が多数派にならなければ、大統領にブレーキをかけることは出来ません。

     しかし、私がニュージャージー州とペンシルバニア州の投票結果を分析してみたら、そんなことはありませんでした。ニュージャージー州の民主党支持者は下院の候補者に164万票を投じましたが、上院の候補には150万票しか投じませんでした。つまり14万人の民主党支持者が上院では民主党候補に投票せず、その分、共和党候補に有利になっても良いと考えたのでした。ペンシルバニア州では逆に、民主党の上院候補は273万票を獲得しましたが、民主党の下院議員候補は243万票しかとれませんでした。ここでは共和党の上院候補と下院の候補の票数は接近していました。しかし、民主党支持者の30万人は自分たちの下院議員候補を支持しなかったのです。

     更に分析を共和党候補が落選した選挙区の民主党候補に進めると、実際にはどの選挙区でも様々な要素の総合的な影響が見られます。例えば、候補者の個人的なイメージだとか経歴が良ければ有利です。また候補者がベテランだったりスキャンダルがらみだったりすれば、若い候補者に有利です。政策でも、有権者は必ずしも政党重視だとは限りません。時には候補が、票目当てに対立党に近い立場をとったりします。それが効果的な場合もあれば逆もあります。(ニュージャージー州の第七選挙区では10年選手の共和党議員が中間派選挙民を取り込もうとして、却って落選しました)。つまり、米国の有権者は、総じて言えば冷静に自分の考えで投票しますが、表面から見えない要素もあるのです。

     ★政党の得失は?

     中間選挙で、共和党も民主党もそれぞれの得失がありました。共和党は上院の議席を増やし、民主党は下院の多数派を奪回しました。普通はこの角度から得失を論じる場合が多いのですが、私は、もうちょっと別な面から両党の得失を論ずることが出来ると思います。それだと、共和党は得たものが失ったものより大きく、民主党はその逆に思えます。

     今回の共和党の基礎レベルの選挙組織は、民主党ほど出来が良くありませんでした。多くの選挙区では年寄りの共和党議員が引退したり、政策のアピール力などでパッとしませんでしたし、共和党の新人候補は社会的影響力や動員力が弱かった。民主党はこれとは逆に、選挙区の実情に合わせてアピールし、多くの新人候補が一部の民主党支持の有権者にうまく迎合し、成功をおさめました。

     しかしながら、両党の得失の背後には、国会の議席の得失とは相反する動向が潜んでいます。共和党では、トランプ当選後、彼の施政方針はつねに党内で論争を招き、党内の結束は十分ではありませんでしたし、多くの古い共和党議員はトランプの政策に同意せず、反対意見をしょっちゅう発表していました。しかし、この中間選挙前にトランプと意見の合わない長老議員は引退するか(ポール・ライアン議長)、逝去しましたし(ジョン・シドニー・マケイン3世)、あるいはトランプと距離を置いていた議員が次々に落選しました。ですから、中間選挙によって共和党は初めて期せずして党内がまとまることが出来るようになったばかりか、2年後の大統領選挙でもトランプと歩調を合わせられることになったのです。こうしてみると、共和党は党内の反対派というお荷物をおろせたといえます。

     民主党はまったく正反対です。今回の中間選挙では党内の異分子たちを助けることによって多数派という成果を得たものの、極左勢力を抱え込むことになりました。いわゆる極左派とは、主にバーニー・サンダース議員が代表する活動的な社会主義者たちです。彼らの政治経済面での主張は、実際に米国の基本的政治経済制度と根本的に対立するものです。例えば、彼らは資本主義に反対し、社会主義の実現を主張します。反資本主義の旗印を掲げる社会主義制度は、わずかに共産主義国家にしか出現したことはありませんが、どれもとっくに全面的に失敗しました。が、サンダース一派はいささかもひるまず社会主義のスローガンを掲げて、民主主義制度を支える資本主義を敵としています。集票のためには、財政負担能力がどうあろうと、福祉を全国民に広げるべきであり、たとえば大学生の学費ローンは返済する必要はないとか、全国民健康保険制度を実行すべきだと言います。移民グループに対する支持を拡大し、国境を廃止し、辺境を監視し、移民許可証をだす国土安全部移民帰化局を廃止し、世界各国の誰もが自由に入国できる米国にすべきだ等々がその主張です。

     比較的冷静な民主党支持者は、この極左派の社会主義路線に賛成してはいません。なぜなら、彼ら極左派のスローガンは、自分たちへの支持を集め影響力を増すためのものであり、違法移民を引き付けることは出来ても、米国の政治経済の安定をダメにしてしまい、財政破綻を招き、正常な社会福祉システムを崩壊させると、はっきり知っているからです。まさにこの理由で、民主党内のサンダース支持は2割を超えたことがないのです。

     しかし、今回の中間選挙で民主党の穏健派は、自分たちの政策的な主張を欠き、サンダースたちが重要なポジションを占めることを許しました。その結果、民主党は左派によって極端な方向にシフトしました。確かに、民主党は下院で多数派にはなったのですが、この道は民主党の主流勢力が、次回の大統領選挙で、極めて痛みを伴う選択を強いられることに続きます。それは民主党が社会主義の道を歩むのか、それとも党内の極左派と袂を別つかです。どちらを選んでも、次回大統領選挙における民主党の力は大々的に失われかねません。

     まさにこういうわけで、今回の中間選挙結果は、共和党は失ったものより収穫が大きく、民主党は失ったものが得たものより大きいと言えるのです。米国の二大政党の動態変化は、明らかに中・米関係の未来に極めて重要な影響を与えるでしょう。(終わり0

     原文は;程晓农:美国中期选举面面观 

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