• 程暁農★中米関係は、曇りから薄曇りへ 2018年12月4日

    by  • December 5, 2018 • 日文文章 • 0 Comments

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    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

     G20 ブエノスアイレス・サミットでのトランプ大統領と習近平主席の会談が終わり、目下、米・中貿易戦争は停戦状態です。しかし、再度開戦か、休戦が続くのかは、今後90日間の期限内に、双方が知的財産権問題協議を通じて、具体的な成果をあげられるかにかかっています。

    1;アルゼンチン会談での成果とは?

     G20 ブエノスアイレス・サミット後は、両首脳とも満足の様子でした。しかし、今回の会談の結果について、内外の中国人はおそらく自分の読むメディアによって、全く異なった情報を読まされるでしょう。もし人民日報や新華、中央電視台サイトだったら、中身のない原則的な言葉の記事。同様に、国内外の無数の微信(WeChat )などでは、情報源の異なる様々なものを見ることになります。つまりは、今回のサミットで双方が一致した内容に関しては、「二つの相違点」があるのです。中・米それぞれの声明内容も、中国国内宣伝メディアと外国メディアも違うのです。この「二つの相違点」に、中・米両国政府の交渉戦略と今回の”停戦”の真相があるのです。

     国際メディアはどこも、会談後の中・米双方の発表した公式声明の内容の不一致に注目しています。ホワイトハウスの声明は、今回双方が共同歩調で同意した具体的な内容を列挙していますが、中国側の声明は、外務大臣の王毅が最終日に内外の記者に発表した内容を含め、両国がこれ以上の関税を停止したこと、中国側が米国からの輸入拡大を約束したことだけが強調されています。そして、中国側の声明には、強制技術移転、知的財産権保護、ネット侵入行為による窃盗問題の交渉といった、まさに今回のキーポイントとなった点について、言及していません。しかし、もし3ヵ月以内に協議の成果がなければ、米国は関税値上げに踏み切るでしょう。

     会談終了後2日経っても、中国国内の宣伝メディアは依然として、外務省の発表のままで、新華社や人民日報を含む政府メディアも、90日間の交渉期限については触れていません。対外宣伝メディアの環球時報英文版と多維ニュースネット海外版だけが、解説を加えています。しかし、国内読者も百度で検索しても多維ネットの海外版の内容は読めません。北京のアメリカ大使館の微信(WeChat )は中・米両国語でホワイトハウスの声明を発表しましたが、中国国内では、政府によってRTが禁止されています。明らかに北京当局は、国内の民衆に今回のサミットの肝心の部分を知られたくないのです。

     2;なぜ知的財産権問題がキーポイントだったのか?

     数カ月前に中・米相互貿易関係の交渉開始時に、中国は米国からの輸入拡大案を提起しましたが、これは却って貿易戦争をエスカレートさせてしまいました。これで分かる通り、中国の輸入拡大は米国の1番の関心の的ではありません。米国が注目しているのは、実は中国の米国知的財産権の侵害問題です。しかし、中国側はG20 ブエノスアイレス・サミットまで、自分たちが米国の知的財産権を侵害したとは認めませんでした。ですから、この問題の解決が、事実上、今回の会談の成否のカギだったのです。

     いわゆる知的財産権侵害問題とは、単に技術、特許の侵害ではなく、米国企業の知的財産の受益権に対する違法な占有行為であり、その手段には強制的な技術移転、企業技術の窃盗行為、ネット侵入による窃盗行為などがあります。中国は1985年3月19日に、「工業所有権の保護に関するパリ条約」に署名しメンバー国になっています。本来ならば国内放棄で、外国企業の知的財産権侵害についての如何なる行為も罰せられるはずなのです。しかし、過去何年も、中国が外国の知的財産権を侵害することは、逆に政府の支持と資金援助を得てきました。既に、米国企業は巨大な損失を被っており、更には米国企業がリスクをとって開発したコストを回収するチャンス、国内外での競争力を奪っています。

     そして、最近の「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」計画の登場によって、中国政府と企業による、外国の知的財産権の侵害行為は、ますます盛んになってきて、米国はじめ諸外国の懸念は倍増しました。中国がまともな方法で自主研究開発によって、自国産業をグレードアップさせるのは、本来、至極当然のことです。しかし、知的財産権の侵害でもって実現しようと言うのは、国際条約に違反し、米国の国内法にも違反します。今年10月に米国司法省によって、中国の三大ICメモリーチップ製造企業、福建省晋華集成電路(晋華・JHICC)が起訴されたのは、知的財産権侵害行為に対する米国の最初の反撃です。

     中・米貿易戦争では、多くの国際メディアは双方の課税の範囲、数量の多少に注意を集中しました。というのも、それが企業にとっては最大関心事だからです。しかし、米国の行政当局にしてみれば関税は最初から手段でしかありません。中国が交渉を拒否している知的財産権こそが本当のテーマなのです。 G20 ブエノスアイレス・サミットの最大の見るべき点は、この協議自体を拒否していた中国側が、言を左右するのをやめ、交渉のテーブル上に載せたということなのです。

     つまり、中国は事実上、知的財産権侵害行動の存在を無言のうちに認め、米国と具体的な討論によってこの問題の解決を願ったのです。この問題ではいかなる知的侵害活動を停止すると言うのは、実際は一言で済む話で、討議だの協議だのを重ねる必要はありません。本当に協議が必要なのは、いかにして双方が認め合える監視体制を作るか、こうした活動の再発を防げるかであって、これが90日間の”停戦期間”中に、解決を要する最大の問題です。

     中国が姿勢を改めて協力する態度をとったので、今回のホワイトハウス声明では、北京のメンツを立てて、「知的財産権の窃盗行為」という表現は避けられています。その実、これこそが、双方の会談内容の「二つの不一致」となった本当の原因です。北京当局は、知的財産権侵害の歴史が国内民衆の注目となることを望まなかったということです。

     3;トランプは罠にはめられた?

     しかし、今回のG20 ブエノスアイレス・サミットの決定内容が、果たして水の泡にならないかについては、疑念もあります。例えばウォール・ストリート・ジャーナル誌で、Peter Morici・メリーランド大学経済学教授が、トランプ、オバマ、小ブッシュ、クリントンが同じ罠に落ちたといい、彼らはもっと多くの聞き飽きた約束を近い、結果はほとんど得られなかったといいました。

     北京がまたしても、時間稼ぎ作戦に出るかどうかは今の所わかりません。ただある程度分析は出来ます。北京は依然として、巨大な圧力にさらされています。

     今回の会談で、米国に対する完全の取り消しに同意しました。そして、米国もすでに行った10%の関税のままにしておき、90日経っても知的財産権侵害など一連の問題で協議が成立しなければ、関税値上げに踏み切るとしています。中国政府はそれに同意したのですから、つまり、北京は現在、知的財産権侵害問題は避けて通れない、直面すべき問題だと認識したのです。

     同時に、知的財産権の侵害を停止しても、中国経済はそれによって、すぐに大打撃を受けるわけではありません。ただ、産業の向上が遅くなるだけです。しかし、もし知的財産権侵害問題などで協議を拒絶したならば、米国は中国産品全体に多額の関税をかけかねません。そうなると中国は米国という最大の輸出先を失うばかりか、大量の外国企業の国外移転によって深刻な経済苦境に直面します。

     次に、フィナンシャル・タイムズは3人の消息筋からの話として、10日後に中国は劉鶴副総理率いる30人の代表団がワシントンで交渉にあたると報じました。この姿勢は、北京が、以前のように、自分たちの一方的な願望を述べるのではなく、ある程度真面目に今回の交渉に臨む可能性があります。

     さらにもう一つ、北京はトランプ大統領への評価を変えています。外向け宣伝メディアの多維ネットは、G20 ブエノスアイレス・サミットの最終日に「トランプは中・米の抗争を避ける最大の安定装置」という一文を発表しました。それには、トランプの三つの長所をあげており、第一には「あらゆる米国大統領のうち、もっとも超党派でイデオロギーの束縛から自由である」とし、第二には「内部の発言に気を遣っており、権益の配分に注意深く、幕僚の管理に長けている」、第三には「性格的に長時間、中国と喧嘩するつもりはなく、逆に長時間、中国と友好を続けることもできない。貿易戦争は、彼の中国に対するアラ探しのようなもので、それは中国と値段交渉をする商売の手段であって、最終目的ではない」と書き、まるで一夜にして、トランプが別人になったかのようです。

     90日というのは、そう長い日数ではありません。もうしばらく待っていれば、中・米関係の天気がどうかわるか、みられることでしょう。(終わり)

     原文は;大纪元 程晓农:中美关系 阴转多云? (程暁農博士は、何清漣氏の夫君です。)

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