• ★知的財産権をめぐる米国の「対中スパイ戦争」  2018年12月15日

    by  • December 18, 2018 • 日文文章 • 0 Comments

    日中両文収録「何清漣 2017中国」Amazonで発売しました;20152016Amazon改訳版を電子ブックで。Kindle Unlimited なら無料です
    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

     最近、相次いで三つの大事件が起こりました。中国通信大手のファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)の創設者の娘で首席財務官(CFO)の孟晩舟がカナダ当局に逮捕され、米国の引き渡し要求で身柄を米に移送されようとしています。中国側はこれに対して、カナダ人の元外交官のマイケル・コブリグを「中国の国家の安全に危害を加えようとした」として逮捕し、人質交換要員の”財産”として身柄を確保。一方、孟が逮捕された12月1日には、スタンフォード大教授の中国系米人で物理学者・張首晟が自殺しました。

     三つの大事件は全て中・米貿易戦争停戦期間の中心議題になる知的財産権に関わっています。そして、知的財産権は、米個置くがこの一年間、次々に逮捕した経済スパイに関わります。こうした数々の減少は、中・米貿易戦争は既に関税問題ではなく知的財産権問題だということを表しています。

     ★米国の301報告書は「中国は懲りてない」

     今年の米国のスペシャル301条(訳注;1974年通商法における知的財産権に対する対外制裁に関する条項)報告書の重点は、まさに技術移転と知的財産権保護問題です。これまでと違うのは、中・米貿易戦争の形成の変化に対して、報告の内容がどんどん増えたことです。11月20日の最新版では、米国は「中国は全く技術移転、知的財産権保護に関する行為で、政策や手法を変えようとしせず、依然として不当な行為が続いている」です。

     報告の主な内容は2点あります。

     1)中国政府の政策は対外直接投資に影響を与える。

     米国通商代表部(USTR)は、技術集約型業界の航空、集積回路、情報技術、静物技術、工業機械、再生可能資源、自動車の各分野でを数百件調査した。結論として、中国政府の政策と措置は、どの技術集約型産業投資においても重大な影響を及ぼしている。中央 — 地区と地方にわたって中国政府は米国と米国企業と関連資産の買収を指導している、としています。

     同報告は、精華大学、中国電信、晋華集成、南航など数十の中国企業を、国営、軍民共同、民営など詳細に分類しています。精華大学は企業ではありませんが、中国が海外の科学技術者の英才、1千人を招く計画の多くが、精華大学の特別招待教授だったからです。

     2)国家によってサポートされながら、米の知的財産権を窃取。方法は4種類ある。

     ① ネット経由で米国企業やその他の国家のビジネスネットでの窃盗行為を引き続き支援し、その他違法な手段でデータを入手。こうした窃取データには、ビジネス上の秘密、知的財産権、技術データ、中・米政府間の交渉の資料まである。

     ② 中国政府は、外国企業の中国投資への制限を緩和し、持ち株制限等も緩めているが、しかし、外国資本に対する自制の要求や、米国企業からの技術移転を迫り、マーケット競争で米国企業を不利にさせている。

     ③ 世界貿易機関(WTO)ルールの不備を突いて、外資に対して差別的な許可制限を行い、知的財産権を窃取している。

     ④ 不公平なやり方で、中国企業と資本が米国企業に対して買収行為にでることや、先進技術、知的財産権を獲得することを推し進めている。2018年は全体としての対米投資金額は減っているにも関わらず、シリコンバレー等のハイテクベンチャー企業に対する投資は、逆に新記録となっている。

     この四つのやり方のうち、2、3番目は中・米関係が「パートナーシップ」だった時代の産物です。米国側は、キッシンジャー時代から対中政策は「接触、強力、影響、改変」の8文字方針をもって、経済発展をうながせば、中国が民主化するだろうと期待しており、中国側も、「発展すれば民主も進む」とそれに応えつつ、「技術移転マーケット」戦略をとって、うまくだまし取るのと強奪の2本立てでやってきたのです。米国は抗議はしてきましたが、トランプ政権のような本気ぶりは見られませんでした。

     第1の「中国がその他の違法な手段でデータを得ている」は中国が米国の科学技術面での人材を借用する「千人計画」と密接に関連しています。第4の中でのシリコンバレーのベンチャービジネスへの投資では、301レポートには三つの中国のベンチャー投資機関が明記されています。通和毓承、丹華资本(Danhua Capital),国家がバックのOriza Ventures Techology Fundです。

     通和毓承はもっぱら医療・健康分野の投資ファンドで、1ヶ月以内に米国の生物医薬領域の4社を買収したとして名前が挙がっています。丹華キャピタルの創始者は、12月1日に自殺した張首晟で、張はスタンフォード大学の物理学部教授で、電子工学分野と応用物理の修身教授で、米国科学アカデミー会員で、「ノーベル物理学賞に一番近い男」と言われました。しかし、彼は同時に中国科学アカデミーの外国籍会員でもあり、中国の「千人計画」の特別招聘精華大学教授で、2017年度中国国際科学技術協力賞受賞者です。11月20日に発表された対中国301調査レポートでは、丹華の近年の対米投資データの調査で、同社は、ベンチャー投資を通じて米国技術を中国に流していた疑いが持たれています。

     ★「千人計画」で逮捕者続々

     まず、「千人計画」とは何かというと、中共はずっと海外の統一戦線工作(訳注;共産党外の様々な人士を味方に引き込む)を注意深く進めてきました。米国科学技術界で成功した人材に対して注意を払い、自分たちの側に引き込もうとして、まず「長江学者計画」をつくり、高給で中国系人士に帰国を促すか、短期間の学術交流を図りました。2008年から、中共中央組織部長、統一戦線部、教育部、科学技術部が共同で「千人計画」を立案し国外の有名大学、科学研究機関などの教授級の学者、国際知名度の高い企業の専門技術者、知的財産権や核心技術を知る人材を対象に網を広げたのです。フルタイムの中国復帰学者は6カ月、短期帰国者は連続3年に毎年2カ月は中国で働くことを条件にしていました。待遇が極めて良く、その上、米中関係は当時は「重要な経済協力パートナー」とか「戦略的協力相手」とかでしたから、少なからぬ学者がこの計画に参加するのを誇りとしていました。

     しかし、中国による米国の知的財産権侵害事件が次々に起こり、「千人計画」はFBIの注目するところとなりました。2017年10月には、米国の中国系科学者の多い微信(WeChat)上では「これを見たらすぐRTせよ。FBIが千人計画参加の中国系学者・技術者は全て監視対象にするといっている」というニュースが駆け巡りました。

     2018年6月6日には、「千人計画;中共による米国学術界への浸透と利用」に関する公聴会が開かれ、中国の対米諜報戦活動が暴かれました。米国国防・情報関係の証言者たちは、中共が「千人計画」を通じて、米国で教育を受け、働いている人材を引き寄せ、技術を中国に移転させ、コピーした上で、最終的には米国の軍事・商業技術の努力の成果に追いつくために、合法、非合法の両方の手段で、米国技術、知的財産権を中国に移転させようとしていると証言しました。

     現在までに、既に多くの千人計画に参加した中国系科学者が逮捕されて、判決を受けています。彼らの中には、ミシガン州立大学のロボット専門家の席甯(Ning Xi)、バージニア理工大学生物学部システム工学系の前教授・張以恒(YiHeng Zhang)、ゼネラルエレクトリック(GE)主任技師の鄭小清、アメリカ海洋大気庁(NOAA)の科学者で、中国科学院の会員、王春在(Chunzai Wang)がいます。

     彼らの共通点は、1900年代の中国改革解放後に米国に赴いて研鑽を積み、博士号を取得し、専門家として優秀な成績をおさめ、米国籍を取ったけれども、全員が「千人計画」に参加している学者です。最近ではテキサス州のアンダーソン大学ガン研究センターが、FBIの捜査重点対象となって、18人が逮捕されるか、辞職を求められるか、職場を異動になりました。そのうち4人が中国系の教授です。ですから、米国の中国系サークルでは、「千人計画は監獄入りリスト」とされ、中国はこの8月以後、それまで公開していた千人計画招聘リストを発表しなくなりました。

     ★「Made in China 2025」は、「窃盗指南書」だ

     中・米貿易戦争が始まると、北京は「米国の最大の関心は貿易赤字ではなく、国家の長期的競争力だ」と知ることになりました。12月10日、中国国務院弁公庁の産業発展と技術改造に関する通達で、もはやこれまであれほど大宣伝してきた中国最先端産業の発展計画「Made in China 2025(中国製造2025)」という言葉を使わなくなり、同時にこれ以前に出された「中国製造2025」という言葉を使った国務院弁公庁82号通達は執行停止にしました。しかしウィルバー・ロス米国商務省長官は、中国が「中国製造2025」という用語を強調しなくなっても、「だからと言って、彼らが諦めたわけではない」と語っています。

     12月12日、米国議会上院の司法委員会では、中国スパイ問題に関する公聴会が開かれ、司法省のJohn Demers次官補は証人として、「Made in China 2025」は窃盗指南書であると証言しました。2011年かr2018年までのスパイ事件の9割が中国によるもので、その行動は、現在更に加速されており「やり方は大変単純明快で、奪い取る、コピーする、置き換える」であり、「米国企業の知的財産権を略取し、米国企業の技術をコピーし、中国市場と全世界で米国企業に取って代わることだ」と述べました。 

     カリフォルニア州民主党のカーマラ・ハリス上院議員は、米国の現在の経済スパイ法を改正し、その一部を緩和し、米国の検察官が、国外で行われる経済スパイ活動を米国経済への切実な影響を与えた人物として直接起訴出来るようにする議案を提出しました。

     11月上旬のトランプ・習近平会談では、米国は90日間の猶予を、中国の知的財産権侵害問題の解決のために与えました。米国の公表した各種資料から見ると、この交渉の重点は三つあります。一つは、中国は今後再び行わない事。二つは、香港上海銀行(HSBC)が違法行為を行なったあと、米国代表を派遣したように、中国国内でも米国代表が監視できるようにする事。三つには以前の侵害行為を追求するか、やるならばどの程度までやるのか、です。

     現在公開されている情報から見ると、元々は12月10日に米国に来るはずだった劉鶴副総理はまだ米国に来ておらず、知的財産権をめぐるスパイ戦争は再発し、スパイ交換には第三国のカナダを巻き込んでおり、この種の複雑きわまる多方面にわたる協議は極めて困難だという事です。(終わり)

     原文は;美国围绕智慧财产权展开对华「反间谍战」

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