• 程暁農★2018年 — 中国経済の衰退は止まらない 2018年12月26日

    by  • December 28, 2018 • 日文文章 • 0 Comments

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    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

     もうすぐ2018年が終わろうとしている今、中国も40年の長きにわたった経済繁栄に別れを告げようとしている。2018年は、中国経済の衰退は既に当たり前の考えとなり、国事に関心を持つ人々は未来の光景に恐れをなしている。中国国内のある経済学者は、最近2018年の中国経済成長率はゼロ成長に近いと警告した。私は、経済衰退が一時的な現象ではなく、これまでの経済繁栄が本来、持続出来るものではなかったと考えている。「輸出景気」「土木プロジェクト景気」という二つの一時的な繁栄が終わった後の、経済衰退はとっくの昔から分かっていたことだ。

     1)経済学者・向松祚の警告

     政府は2015年に今後の経済見通しを修正し、経済成長はこれまでより低くなる、それが中国経済の「新常態」であると強調した。しかし、そこで言われなかったことは、「経済新常態」の下で、どのぐらい経済が衰退するのかということだった。今、我らは突然、経済ゼロ成長が「経済新常態」になる可能性があると聞かされたのだ。

     12月中旬、中国農業銀行の首席経済学者である向松祚が、中国人民大学における講演で、大胆にも「2018年の経済衰退はどの程度なのか? 国家統計局の発表した数字は6.5%である。しかし、大変重要なある研究グループの内部発表報告では、現在、中国のGDP成長率は1.67%である。そしてもう一つの予測は、経済はマイナス成長になるとはっきりと予測している」と語った。

     これが伝わると、国中が仰天し、SNS上ではその発言が伝わり、ネット管理部門は、関連書き込み削除に大忙しだ。向松祚が引用した1.67%と、マイナス成長を平均すれば、2018年の中国経済はゼロ成長になる。向松祚は上述の判断を下した「大変重要な、ある研究グループ」がどの組織を指すのか明らかにしていないが、北京の目下の雰囲気からすると、彼のストレートな発言は根拠のないことではなさそうだ。では、どの部門が敢えてこのデータを出したのか? 大企業や大銀行ではあり得ない。彼らのトップには、そんな度胸はあるまい。こんなことを一番言えそうなのは政府機関、それも国家統計局より格上で、経済政策のトップレベルの政策決定の参謀機能を担うところだから、内部から経済面の警告を発することができるのだ。おそらく、中央経済指導小組弁公室だろう。

     2)経済データの発表禁止は何を意味するか?

     今年から中国の一部の経済アナリストは、多くの地方政府の統計部門が発表してきた月ごとと年累計の経済データが、去年と同じからマイナスになっていることに注目してきた。しかし、統計部門がある種の技術的方法で、不断にデータ範囲を調整したために、結果は依然としてプラスの成長数字になった。例を挙げれば、今年経営の思わしくない工業企業が去年の基数から排除されていた。こうすれば、経営の正常な工業企業の増加値は、去年に比べればプラスになる。しかし、経営不良企業の値を含めると、今年の増加額は去年より低くなる。つまり、統計仕様を改変して、各省や市の統計部門の実際上のマイナス成長を、成長にするのだが、こんな「成長率」では、人々に信じてもらうのは難しい。

     おそらく、省や市の統計部門のこうした拙劣なやり方では、簡単に見破られてしまい、国家統計局が発表した経済成長のデータが困った事になりかねないので、中国国家統計局は、地方政府の統計部門に生産統計データを発表させなくなったのだ。「南華早報」は12月17日に、10月に中国国家統計局が通知を出して、各地方の省クラスの生産データを発表しないようにさせた。その理由は、地方と国家統計局のデータを比較するのに便利だからということだった。こうした言い方は、中国の読者なら”翻訳”して理解出来る。つまり、今年10月以前の各地方政府が公表した経済活動総額のデータに基づいて、民間エコノミストは簡単に、国家統計局の発表したデータは、明らかに各省、市のデータより高いことに気がつき、疑問を抱いてしまう。だから、今後、地方政府には生産データの発表を許さない。そうすれば、民間の経済アナリストも各省市の生産地の動態データを比較仕様がなくなり、国家統計局発表のデータに、疑問を挟めなくなるというわけだ。

     3)経済不況は短期の現象か?

     2018年には色々な事が起きた。中・米貿易戦争はその最たるものだった。現在、暫時停戦中だが、もし米・中双方が”終戦”に合意すれば、中国経済の繁栄は戻ってくるのだろうか? 別の言い方をすれば、経済の衰退は、短期間の現象なのか? それとも長期間続くのだろうか? これは読者として知りたいところだと思う。

     私は妻の何清漣と去年の年末に「中国:溃而不崩」(邦訳;中国——とっくにクライシス、なのに崩壊しない“紅い帝国”のカラクリ – 在米中国人経済学者の精緻な分析で浮かび上がる – ワニブックスPLUS新書 *ただし中国語版は倍の量がある)で、1990年代の後半に始まった経済繁栄はこれ以上続けられないと書いた。今後の経済衰退は必然的なものだと。いかなる国家の経済活動も、つまるところは全て、消費、投資、輸出によって支えられている。どれか一つが活力を失えば、経済は衰退する。だから、消費、投資、輸出は「経済を牽引する三頭の馬」に例えられる。では、なぜこの三頭の馬は今、走れなくなったのか?

     2009年以前は、輸出が最も馬力のある馬だった。それは10年にわたる「輸出景気」を作り出した。しかし、中国の様々な工業分野のコストが持続的に増加し、アパレル、靴製造といった外国企業は、さっさと他国に移転してしまい、「輸出景気」も、最早毎年25〜30%もの成長を維持する術もなく、2009年以後、輸出の成長率は次第に緩慢になった。中・米貿易戦争がなくても、輸出という馬は力を失っていったと言える。そして、巨額の貿易赤字と知的財産権の頻繁な侵害行為が誘発した中・米貿易戦争は、その馬の脚を更に傷つけた。これは2018年10月8日の「程暁農★世界の工場衰微の原因は「勃興」の中に有った   2018年10月10日」に詳しく書いた。

     大体2009年から、投資が中国経済牽引の最大の力を持つ馬に変わった。そして、その中でも不動産投資とインフラ整備投資が、10年足らずの「土木プロジェクト景気」を引っ張った。これは中国各地の都市現代化を果たしたが、同時に不動産バブルを産んでしまった。今や、国内の住宅の総合計は、今後20年間の需要を満たすほどで、その価格はサラリーマンが買えるようなものではなくなってしまい、もうこれ以上膨らみようがなくなって、「土木プロジェクト景気」も日増しに元気が無くなっている。最近、北京で開かれた中央経済工作会議は、今後の投資は主に、商業的用途ではない農村末端の公共建築を対象にすると決めた。これは、北京のトップ層も、もう10年前の温家宝時代のような不動産開発に4兆元のインフラ投資を行うことなど出来ないと分かったということだ。そんなやり方では、今は「経済刺激」にならないし、温家宝のやり方は大変なマイナス効果を伴ったからだ。つまり不動産バブルであり、今や金融システムの安全を深刻に脅かし、今や当局の頭痛のタネとなっている。つまり、土木プロジェクト投資が経済を牽引する道はもう行き止まってしまい、投資を引っ張ってきた最大パワーの馬も、もうすぐへたばってしまうということだ。

     「三匹の馬」のうち、輸出、投資がもはや主力になり得ないならば、残るは「消費」という馬だが、この馬も今や、息切れしてヨロヨロしている。農村の数億人の生活水準は長い間低迷したままだし、年においては、住宅費と教育費、医療支出が人々の購買力の脅威となっている。その上、リストラ、賃金カットの波によって、2018年の消費はすでにゼロ成長に近づいている。2005年の中国社会の消費販売額は、年成長率24%だったが、2018年の1〜11月のそれはわずか4%、その2%は物価上昇分だった。つまり、今年の消費の実質成長率はわずかに2%にすぎない。このような右下がり現象は、このまま続く可能性が極めて強い。

     経済の衰退とともに、中国の財政収入も衰退が始まっている。2018年12月13日に中国財政部国庫司の発表した11月の財政データでは、その財政収入は10,775億元で、去年同期比で5.4%のマイナス。2018年1〜11月では4月の財政収入が最高で18,473億元で、11月の財政収入は4月に比べて4割以上少なくなっている。財政収入の各項目を分析すると分かるのだが、11月の財政収入減少は、減税による影響ではなく、経済衰退の結果である。
     
     では、経済改革を進める事によって、新たな経済繁栄を生み出す事が出来るだろうか? 上記の分析で分かる事だが、「三頭立ての馬が同じ穴でへたばる」のは、実際はマクロ経済レベルにおける法則性を帯びた現象であって、ただ体制の欠陥が産んだというだけのものではないのだ。改革では、実際のところ、輸出の減少、不動産バブルの行き過ぎ、消費力の疲弊という三つの大問題を解決することは出来ない。そこから分かることは、2018年下半期の経済減少は、決して偶然ではなく、「輸出景気」「土木景気」による一時的繁栄が終わってしまった必然の結果であり、本来、とっくの昔から予測された結果なのである。(終わり)

     原文は;程晓农:2018年 中国经济下行成定势

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