• ★2018年 — 中国は、なぜ米国を失った?(中) 2018年12月31日

    by  • December 31, 2018 • 日文文章 • 0 Comments

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    何清漣氏の2015~2017までのエッセイ改訳版

     この30年来の米・中関係をよくご存じの方なら、誰でも「パンダ派」(親中国派)が長い間、中・米関係で政治力を発揮、リードしてきたことをご存知でしょう。では、彼らが中国の現実を顧みず、ひたすら米・中友好を唱えてきたパワーの原動力は、ただただ中国に対する麗しい夢に駆られたからでしょうか? 当然違います。

    ★パンダ派が指導してきた米中友好

     米国でホワイトハウスの対中政策に影響を与えてきた力は、少なくとも四つあります。

     まず一つは、両国の貿易関係を優先して考慮する財務省と商務省(支持者は米国金融界と産業界の多国籍企業)で、米国の当面の利益のニーズに応えます。

     もう一つは、クリントン大統領大統領(任期:1993年1月20日 〜 2001年1月20日)時代からずっと「接触、協力、説得、影響」によって、中国を西側システムに引き入れようとしてきた国務省を代表とする力です。

    この二つのパワーを支えてきた人々は、退職後、多くが各種のシンクタンクと「K街ロビイスト」になります。これが三つ目の力です。

     中国人が熟知する「キッシンジャー・アソシエイツ」は、元国務長官で国家安全保障問題担当大統領補佐官だったヘンリー・キッシンジャーが創設した国際コンサルティング会社。多くの退職外交官を雇用し、中には中国大使だったステープルトン・ロイや、父ブッシュ大統領の国家安全保問題担当大統領補佐官だったブレント・スコウクロフト(後に自分でもコンサルタント会社を設立)、ローレンス・イーグルバーガー元国務長官らがいます。

     これを米国では「政界とビジネスを往来する回転ドア・システム」と呼びます。ラルフ・ネーダーが設立した米国のNGO「パブリック・シチズン」の統計では、1998年から2005年まで、198人の連邦議会を辞めた議員の半数が、プロのロビイストになっています。第111〜113連邦議会(2009〜2015年)では、辞めた国会議員の3割がロビイスト会社に、15%以上が個人会社でロビイストになっており、2割がその顧問になっています。

     この状況はトランプ大統領就任以後、少しばかり改善されました。2014年、国会議員は退職後、16%がロビイストに、13%がワシントンDCにとどまり、2%が故郷に戻った後、ロビイストになる準備をしていました。彼らは現役の時に「ワシントンの泥沼を干し上げろ(ロビイストに反対)」に賛成して、政府の役人が離職後5年間はロビイングに就いてははならない(それまでは2年間)と約束しており、また一生、米国の政府官僚は、外国のためにロビイングしてはならないことになったからです。

     2016年末には、退職した国会議員で、ワシントンDCにとどまることを選択したのはわずか5%で、ロビイストになったのは8%に減り、地元の州でロビイストになるが3%。この小さな動きは、共和党、民主党の既得権と公職にあった職員の「おいしいバター」を取り上げたことになり、反発は大変強いのです。これが現在、両党のエリート連が一致団結して、2020年には「トランプ大統領を干上げろ」と切望する理由です。

     政府高官も同じで、小ブッシュ大統領時代のC・ライス国務長官、S・ハドリー国家安全保障問題担当大統領補佐官、R・ゲーツ国防長官も退職後、すぐ会社を設立しました。前下院議長、前共和党全国委員会委員長も、退職後すぐさまロビイング会社を作り、元の同僚や部下に対して活動を開始しました。

     この三つの力に加えて、接触政策を唱える業界の人物や、深く中国との裏交渉に通じた学界、報道、政策研究、コンサルティングなどの中国専門家らの「中国通」らがいます。

     彼らは中国との接触を通じて、中国に影響を与え「平和的転換」が可能だと主張し、中国のイデオロギー、価値観、社会制度などで米国により接近させることが出来る、そうして今後、中国が勃興しても米国を敵とする可能性を減らせると主張してきたのです。

     この一派は、老ブッシュ時代には「接触派」と呼ばれ、クリントンから小ブッシュ時代には、明確に中国との友好を唱え「パンダ派」と呼ばれました。全盛時期には、彼らをちょっとでも批判しようものなら、たちまち猛烈な攻撃を受けました。

     2007年、経済学者で香港科技大学人文社会科学部のカーステン・ホルツ教授が、極東経済評論に「中国研究学者は皆、買収されているのか?」を発表。「中国研究に携わる学者は、私自身を含めて、時に無意識で、時には意識的に中国の歓心を買おうとする。我は、ある種の研究テーマで、またはある種の研究テーマを提起しないことによって、ある種の事実を軽んじることによって、自分たちが使う用語によって、何を講義して、何を講義しないかによって、習慣的に『生存環境に適応』しようとしている」と書きました。この一文は、中国研究者たちの痛いところを突きました。私は、自分の目で、同教授があるチャイナ・スクールの討論会でめちゃめちゃに攻撃される姿を見たことがあります。

     ★トランプ登場、「屠龍派」続々

     4番目の力は、接触派に対立する対中国「阻止派」です。その主力は1990年後期に興った新保守主義の「外交政策コミュニティー」でした。最初は7、8人の同志的な友人関係で、自分たちの家で集まっていたのが、後に40人ほどのエリート・サークルに発展しました。彼らは別に正式な組織ではありません。正式なメンバーはおらず、事務局も指導者もいないからです。しかし、はっきりとした綱領と影響力はあります。綱領は大変明確で、冷戦後に方向を失った米国外交を「正しい軌道に戻す」です。重点は、米国の中国政策の「偏向を正す」ことにあります。後に彼らは「屠龍派」と呼ばれました。小ブッシュの2期目(2004年11月〜2009年1月)に、この名称はいささか中国に対して不穏当すぎるというので、「反パンダ派」と改称したこともあります。

    ジョージ・W・ブッシュ大統領時代( 1995年1月17日 〜 2000年12月21日)以後、一群のタカ派が政府の高級官僚に就任しましたが、「接触派」や、お金も力もあるチャイナ・ロビーが長年、主流の地位を占め、政府内外に深く根を下ろし、勢いがありました。1966年に中国文革期にうまれた米中関係全国委員会(National Committee on United States – China Relations)が多数の「パンダ派」の主力となっていましたので、ブッシュ大統領も、「パンダ回避」戦術を採るしかありませんでした。

     2016年の大統領選挙後の40日間、米中関係全国委員会は、ニューヨークの総本部で、設立50周年記念活動を、後追いで開催しました。後追いというのは、設立は1966年6月ですから、本来なら6月に開催すべきだったのを、12月15日になって遅ればせに開いたのです。当然、それはトランプ大統領に自分たちの力を見せつけるためでした。中国メディアは大々的にこれを報道し、微に入り細に入り会場の様子を報道しました。

     会長のステファン・オーリンズは、参加した500人以上の聴衆に向け、毛沢東語録の「我々の同士は困難な時期には、成果を見つめ、光明を見つめ、勇気を出さねばならない」と中国語で暗唱してみせました。メディアによると、会場では拍手が沸き起こり、聴衆がこの中国語を理解したことを示すとともに、米中関係が直面する圧力を反映したものであるとし、また様々な角度から、キッシンジャーの「一つの中国」こそ、米国がいささかも争う余地のない主張なのだと報じられました。中国共産党の機関紙「人民日報」の姉妹紙である「環球時報」は、2018年に重ねてこのことを取り上げました。当然、パンダ派に米・中友好の政治舞台への復帰を大いに期待した表れです。

     トランプが政権に就いてから、屠龍派人士はその志を得て、現任の国家通商会議(現・通商製造業政策局)のトップ、ピーター・ナヴァロ初代委員長(カリフォルニア大アーバィン校教授)は「タカ派中のタカ派」と言われ、現任の国家安全保障問題顧問のジョン・ボルトンは、典型的な米国第一主義者で、中国をロシアより更に危険な敵だと見ているばかりか、国連をも常に批判しています。こうした人物がホワイトハウス入りをしたことは、ワシントンのシンクタンクにとっても、明白な信号となり、屠龍派の人物が次々に水面に浮上しました。1年以上の準備期間を経て、やっと至るところに中国のスパイが浸透していることなどを示す各種レポートが10種近く発表されて、中国に重大な打撃を与えることとなりました。パンダ派は、これまでにない苦境に陥り、口をつぐむしかありません。

     ★パンダ派が弁護できない理由は中国の明らかな独裁ぶり

     パンダ派のこの苦境は、結局のところ中国が作り出したものです。長期にわたって、パンダ派は米・中友好を唱え、1998年には中国の経済スパイについてのコックス報告を棚上げすることにさえ成功し、中国に20年にわたって、1,000人計画(先端科学技術者の招聘計画)を成功させるなどで、米国の知的財産権を窃取する時間を与えました。

     その理由はただ一つ、「中国経済が発展すれあ、中国は国際システムに適応して、民主化を実現し、責任ある大国になるから」でした。しかし、この口実は、胡錦濤・温家宝時期に胡錦濤が決めた「五つのやらないこと(五不搞)」(*2011年3月。多数党制度、両院制度、三権分立、連邦制、私有化をやらないと決定)で否定されました。それにもかかわらず、オバマ大統領とパンダ派はこれを見て見ぬふりをしました。しかし、習近平時代になって鄧小平賛美を抑えこみ、毛沢東賛美を開始するなど、様々な方面で独裁政治を強化したことで、パンダ派は、共産中国を弁護するいかなる根拠も、とことん失ってしまったのです。

     トランプ大統領は当選後、「100日計画」を発表して、はっきりと「ワシントンの泥沼を干上がらせる」ことにしました。この★2018年 — 中国は、なぜ米国を失った?(上)」で書きましたが、各種のレポートが次々に発表されました。外国の代理人のスパイ工作を防止しやっつけるための米政府の日程が列挙されました。この一年半の間に、米国の朝野共に、ついに中国問題で共通認識にたったのです。

    その認識の内容は、以下のとおりです。

    (1)米国各界で対中国政策を全面的に検討し、米国がこの数十年採ってきた対中国政策は失敗に終わったことを認める。 

    (2)中国が米国現代史上、直面する最も有力で遅るべきライバルであることを認める。上院議員のMarco Antonio Rubio(共和党)は、中国を、米国建国以来最大のライバルであると見ている代表的人物です。ですから、米国は必ず行動を起こさねばならず、さもなければ中国との戦略的な闘いに破れることになる。

    (3)米国は中国との接触政策を放棄する必要はないが、しかし必ずや抵抗して、懲罰と報復を与えるやり方を取り、中国の行動に対して、中国政府に改めさせなければならない。

     こうした雰囲気の中で、パンダはが主流を占めてきた米国の中国研究者たちは、中国研究の現状を再検討することを迫られました。2018年11月29日に、スタンフォード大学研究所、米国アジア協会米中関係センターとアネンバーグ基金サニーランド信託が共同で、ワシントンで「中国の影響と米国の利益 建設的警戒を推進すべき」(Chinese Influence & American Interests: Promoting Constructive Vigilance)というレポートを出しました。これは米国の中国研究界の30名以上のトップクラスの学者が、過去数十年の中国の現状を間違っていたと共同で執筆したものです。(続く)

     原文は;何清涟专栏:2018年-中国缘何失去了美国(中)

    ★2018年 — 中国は、なぜ米国を失った?(下) 2019年01月08日
    ★2018年 — 中国は、なぜ米国を失った?(上)http://yangl3.sg-host.com/2019/01/09/%E2%98%852018%E5%B9%B4-%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AF%E3%80%81%E3%81%AA%E3%81%9C%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E3%82%92%E5%A4%B1%E3%81%A3%E3%81%9F%EF%BC%9F%EF%BC%88%E4%B8%8B%EF%BC%89-2019%E5%B9%B401/Ω

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